シラヒゲソウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
シラヒゲソウ
シラヒゲソウ(岐阜県飛騨市天生湿原、2014年9月20日)
シラヒゲソウ Parnassia foliosa var. nummularia
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : マメ類 fabids
: ニシキギ目 Celastrales
: ウメバチソウ科 Parnassiaceae
: ウメバチソウ属 Parnassia
: P. foliosa
変種 : P. foliosa var. nummularia
シラヒゲソウ
学名
Parnassia foliosa Hook.f. et Thomson[1] var. nummularia (Maxim.) T.Itô[2]
和名
シラヒゲソウ

シラヒゲソウ(白髭草[3]学名Parnassia foliosa Hook.f. et Thomson[4] var. nummularia (Maxim.) T.Itô[2])は、ウメバチソウ科ウメバチソウ属分類される多年草の1。以前はユキノシタ科ウメバチソウ属に分類されていたが[2]APG植物分類体系では新設されたウメバチソウ科に分類されるようになった。和名は、白色の花弁の縁が状に切れ込んでいる様子をに見立てたことに由来する[5][3]。属名(Parnassia)は、ギリシャ名に由来する[3]

特徴[編集]

短い根茎があり、3-8個の高さ15-30 cm花茎を伸ばし、数個の長い柄のある根生葉をつける[2][3]。花茎に4-8個のを多少茎を抱くようにつけ[2]、先端に1個の白いをつける[6]。葉は無柄で、葉身は広卵形、基部は深心形、長さ1.5-4 cm、幅1.5-4 cm[2]。花の直径は2-2.5 cmで、花期は8-9月[2]。5枚の花弁は卵形で、長さ0.9-1.2cm、縁は糸状に深く切れ込む[2][7]雌蕊雄蕊よりも短く、は長円形で雄蕊は花弁よりも短い[2]。仮雄蕊は長さ 3-4cm、先端が3深裂し[7]、先端に球状の黄色の腺体がある[2]子房は4室で卵球形、蒴果は長さ 6-7mm種子は長さ約1 mm[2]

湿地に群生する様子

分布・生育環境[編集]

基本変種(P. foliosa var. foliosa )は、インド中国に分布する[2]

本変種(P. foliosa var. nummularia )は、日本本州(中部と西部の太平洋側)、四国九州温帯域に分布し、山地湿地に生育する[2][3]。愛媛県東赤石山の深山[5]、愛知県豊田市御船湿地の低地[8]などにも分布する。『新・花の百名山』で鳥取県船上山を代表する花の一つとして紹介されている[9]山野草として、苗が市販されている。

近縁種[編集]

ウメバチソウ Parnassia palustris

ウメバチソウ、ヒメウメバチソウ、コウメバチソウ[10]に似ているが、花弁の糸状に深く切れ込む形状が大きく異なる[11]

オオシラヒゲソウ
オオシラヒゲソウ(大白髭草、学名:Parnassia foliosa Hook.f. et Thomson var. japonica (Nakai) Ohwi[12])は、シラヒゲソウによく似ていて全体に大型で、花の直径は3-3.5 cm[2]。本州(秋田県から兵庫県にかけて)の日本海側に分布し、湿った岩場に生育する[2]

種の保全状況評価[編集]

日本では以下の都道府県で、レッドリストの指定を受けている[13]。湿地の開発[14][15]、産地が限定的であること[16][17][18][19]、環境遷移に伴う湿地の消滅[17][20]、栽培目的の採集[16][20][21][15]などにより、多くの地域で減少傾向にあり絶滅が危惧されている。阿蘇くじゅう国立公園瀬戸内海国立公園などの指定植物[15]、福島県では「福島県野生動物の保護に関する条例」により、特定希少野生動植物の指定を受けて採集は禁止されている[22]。愛知県豊田市御船湿地の「シラヒゲソウ自生地」は、1971年昭和46年)5月20日に市の天然記念物の指定を受けた[8]

脚注[編集]

[ヘルプ]

注釈[編集]

  1. ^ 滋賀県のカテゴリー「絶滅危惧種」は、環境省の絶滅危惧I類相当。
  2. ^ 奈良県のカテゴリー「絶滅寸前種」は、環境省の絶滅危惧I類相当。

出典[編集]

  1. ^ Thomas Thomson (1817-1878) botanist or Carl Gustaf Thomson (1829-1899) entomologist
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 大場 (1982)、154-155頁
  3. ^ a b c d e 牧野 (1982)、174頁
  4. ^ Thomas Thomson (1817-1878) botanist or Carl Gustaf Thomson (1829-1899) entomologist
  5. ^ a b 花の百名山地図帳 (2007)、236-237頁
  6. ^ 大場 (1982)、挿絵145頁
  7. ^ a b 青山 (2003)、310頁
  8. ^ a b 特定希少野生動植物について”. 豊田市 (2009年). 2014年9月24日閲覧。
  9. ^ 田中 (1997)、332-334頁
  10. ^ 清水 (2014)、172-173頁
  11. ^ 大場 (1982)、154頁
  12. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “オオシラヒゲソウ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2014年9月24日閲覧。
  13. ^ 日本のレッドデータ検索システム「シラヒゲソウ」”. (エンビジョン環境保全事務局). 2014年9月23日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典元の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
  14. ^ a b 香川県レッドデータブック「シラヒゲソウ」”. 香川県 (2004年3月). 2014年9月23日閲覧。
  15. ^ a b c d レッドデータブックおおいた「シラヒゲソウ」”. 大分県 (2011年). 2014年9月23日閲覧。
  16. ^ a b c レッドデータブックとちぎ「シラヒゲソウ」”. 栃木県 (2011年). 2014年9月23日閲覧。
  17. ^ a b c レッドデータブックあいち2009「シラヒゲソウ」 (PDF)”. 愛知県. pp. 185 (2009年). 2014年9月23日閲覧。
  18. ^ a b 三重県レッドデータブック2005「シラヒゲソウ」”. 三重県 (2005年). 2014年9月23日閲覧。
  19. ^ a b 徳島県版レッドデータブック (PDF)”. 徳島県. pp. 274 (2011年8月). 2014年9月23日閲覧。
  20. ^ a b c しまねレッドデータブック「シラヒゲソウ」”. 島根県 (2014年). 2014年9月23日閲覧。
  21. ^ a b 愛媛県レッドデータブック「シラヒゲソウ」”. 愛媛県 (2003年). 2014年9月23日閲覧。
  22. ^ a b 特定希少野生動植物について”. 福島県 (2014年7月1日). 2014年9月21日閲覧。
  23. ^ 埼玉県レッドデータブック2011植物編 (PDF)”. 埼玉県. pp. 113 (2011年). 2014年9月23日閲覧。
  24. ^ 岐阜県レッドデータブック(初版)「シラヒゲソウ」”. 岐阜県 (2002年). 2014年9月23日閲覧。

参考文献[編集]

  • 青山潤三 『決定版 山の花1200-山麓から高山まで』 平凡社、2003年8月。ISBN 4582542336。
  • 清水建美、門田裕一、木原浩 『高山に咲く花』 山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑8〉、2014年3月22日、増補改訂新版。ISBN 978-4635070300。
  • 田中澄江新・花の百名山文藝春秋、1995年6月。ISBN 4-16-731304-9。
  • 『日本の野生植物 草本II離弁花類』 佐竹義輔大井次三郎北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫、平凡社、1982年3月17日。ISBN 458253502X。
  • 『花の百名山地図帳』 山と溪谷社(編集)、山と溪谷社、2007年6月20日。ISBN 9784635922463。
  • 牧野富太郎 『原色牧野植物大図鑑』 北隆館、1982年7月。ASIN B000J6X3ZE。

関連項目[編集]