シーメンスS200形電車

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サンフランシスコ向け車両(S200 SF)のトップナンバー・2001(2017年撮影)

S200は、シーメンスアメリカカナダライトレール向けに展開する連接式電車。1990年代から2010年代まで各都市に導入が行われたSD-100・SD-160を発展させた形式で、2019年現在2箇所で営業運転に用いられている。製造はカリフォルニア州サクラメントにあるシーメンスの工場で実施されている[1][2][3]

カルガリー[編集]

カルガリー交通局S200形電車
シーメンス S200
Calgary Transit Siemens S200.jpg
S200(Cトレイン)
基本情報
運用者 カルガリー交通局英語版
製造所 シーメンス
製造年 2015年 -
製造数 63両(2401 - 2463)
運用開始 2016年1月6日
投入先 Cトレイン
主要諸元
編成 2車体連接車、両運転台
軸配置 B'2'B'
軌間 1,435 mm
電気方式 直流600 V
架空電車線方式
最高運転速度 80 km/h
設計最高速度 80 km/h
起動加速度 0.95 m/s2
減速度(常用) 1.32 m/s2
減速度(非常) 2.75 m/s2
車両定員 最大247人(乗車密度6人/m2時)
着席60人
車椅子スペース2箇所
フリースペース2箇所
編成重量 40.8 t
編成長 25,800 mm
全幅 2,654 mm
全高 3,850 mm
床面高さ 982 mm
固定軸距 1,800 mm
主電動機出力 145 kw
出力 580 kw
制御方式 VVVFインバータ制御IGBT素子)
備考 主要数値は[1][4]に基づく。
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カナダアルバータ州カルガリーCトレインを運営するカルガリー交通局英語版は、開業時の1980年に導入し老朽化が進んでいたU2形電車の置き換えや本数増加のため、新型車両の導入を計画した。日本近畿車輛スペインCAF韓国現代ロテムカナダボンバルディアも入札に参加したが、最終的にU2形以降Cトレイン向けの車両を生産し続けていたシーメンス2013年に63両の受注を獲得した[5][6]

編成は2000年以降導入されたSD-160形を基にした両運転台式の2車体連接式で、最大5両まで総括制御による連結運転が可能である。運転室の空間はSD-160形から500 mm拡大し、運転台上の機器の配置の見直しやガラス面積の拡大により運転士の快適性や視認性、安全性が向上している。前面形状についてはボウ川にちなんだ弓型デザイン、バッファローを模したデザイン、アイスホッケーのマスクを基にしたデザインの3種類からカルガリー市民を対象にした投票が行われ、アイスホッケーが盛んなカルガリーを象徴するマスク状のデザインが採用された[1][4]

車内の座席配置は収容力の増加に重点を置き、運転席付近はクロスシート、それ以外はロングシートが設置されている。各車体の連接面付近には車椅子スペースやフリースペースがあり、車椅子ベビーカー自転車の搭載が可能となっている。床上高さは982 mmだが、Cトレインのプラットホームは全て高床式であるため、乗降の際の段差は存在しない。また運転室を含めた車内には冷暖房双方に対応した空調(HVAC)が完備されており、車体構造は断熱性にも重点が置かれている[1]

車両の機器はS70で導入された"MDS"システムにより自動的に監視・診断が行われる。また車内の安全対策として車内には乗務員と連絡可能なインターホンや監視カメラが設置されている[1]

2015年から製造が実施されており、営業運転開始日は翌2016年1月6日である[4]

サンフランシスコ[編集]

サンフランシスコ市営鉄道LRV4電車
シーメンス S200 SF
Muni 2013 at Carl and Cole, April 2018.JPG
LRV4(ミュニ・メトロ)
基本情報
運用者 サンフランシスコ市営鉄道
製造所 シーメンス
製造年 2016年 -
製造数 264両(2001 - )(予定)
運用開始 2017年11月17日
投入先 ミュニ・メトロ
主要諸元
編成 2車体連接車、両運転台
軸配置 B'2'B'
軌間 1,435 mm
電気方式 直流600 V
架空電車線方式
最高運転速度 80.5 km/h
設計最高速度 88.5 km/h
起動加速度 1.34 m/s2
減速度(常用) 1.56 m/s2
減速度(非常) 2.24 m/s2
車両定員 最大193人(乗車密度6人/m2時)
着席60人
車椅子スペース4箇所
編成重量 34.473 t
編成長 22,850 mm
全幅 2,650 mm
全高 3,505 mm
床面高さ 864 mm
固定軸距 1,900 mm
主電動機出力 130 kw
出力 520 kw
制御方式 VVVFインバータ制御IGBT素子)
制動装置 回生ブレーキ油圧ブレーキ
備考 主要数値は[2][7][8]に基づく。
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アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコミュニ・メトロを運営するサンフランシスコ市営鉄道は、2020年代に耐用年数に達するアンサルドブレーダ製のLRV2・LRV3電車の置き換えや、2021年に開通予定のセントラル・サブウェイ英語版系統へ向けての増備車両として新型電車の導入を発表した。近畿車輛やCAFも参加した入札の結果、2014年6月シーメンスが受注を獲得した。当初契約分の155両に加えてオプション分の追加発注が行われており、これらの車両はシーメンス側からS200 SF、ミュニ・メトロ側からLRV4の形式名が与えられている[9][10][11]

編成は両運転台式の2車体連接式で、最大4両編成まで総括制御による連結運転が可能となっている。カルガリー向け車両と同様に、運転室内の空間拡大、運転台の機器配置の見直しなどによって運転士の快適性や安全性の向上が図られている。設計においては環境への配慮が重視されており、エネルギーを回収する事により消費量を削減する回生ブレーキの搭載、電力を従来の蛍光灯から40%削減出来るLED照明の採用などの策が実施されている[2][8]

高床式・低床式双方のプラットホームが存在するミュニ・メトロの条件に合わせ、乗降扉付近には可動式のステップや車椅子用リフトが設置されている。また乗降扉については部品を減らしメンテナンスを容易とした新しい構造が用いられている。鋼製の車体は耐衝撃性など安全性の向上と同時に軽量化による消費電力削減が図られる[2][8]

2017年11月17日に開催された出発式から営業運転を開始したが、導入当初は運転台側の乗降扉に乗客が挟まれる事故や連結器の破損が発生し、一時的に片開き扉の使用や連結運転の停止などの措置が取られる事態となった。その後乗降扉付近のセンサー増設や連結器の部品強化などにより、故障の要因となっていた欠陥が改善された事で、2019年6月以降は通常の営業運転を再開している。以降は同年までに68両、2027年までに151両、2030年代中盤までに45両、合計264両が導入される計画となっており、LRV2・LRV3は2027年までに全車営業運転から引退する予定である[7][12][13]

脚注[編集]

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注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e S200 Light Rail Vehicle Calgary, Alberta”. Siemens (2018年). 2019年11月12日閲覧。
  2. ^ a b c d S200 SF Light Rail Vehicle San Francisco, California”. Siemens (2017年). 2019年11月12日閲覧。
  3. ^ Light Rail Vehicles for North America”. Siemens. 2019年11月12日閲覧。
  4. ^ a b c Jason Markusoff (2016年1月14日). “New Mask CTrain car arrives”. Calgary Transit. 2019年11月12日閲覧。
  5. ^ Jason Markusoff (2013年9月12日). “Calgary Transit to buy 60 new LRT cars for $200M”. Calgary herald. 2019年11月12日閲覧。
  6. ^ Vehicle Lines - ウェイバックマシン(2012年4月2日アーカイブ分)
  7. ^ a b Michelle Robertson. “New Muni train, designed to be quieter and more spacious, hit San Francisco streets”. San Francisco Chronicle. 2019年11月12日閲覧。
  8. ^ a b c S200 SF Light Rail Vehicle, San Francisco, California”. Railway Technology. 2019年11月12日閲覧。
  9. ^ Michael Cabanatuan. “New ride coming to Muni Metro”. San Francisco Chronicle. 2019年11月12日閲覧。
  10. ^ Michael Cabanatuan. “$1.2 billion contract OKd for new Muni Metro light-rail cars”. San Francisco Chronicle. 2019年11月12日閲覧。
  11. ^ William C. Vantuono. “Siemens S200 SF previews in San Francisco; more LRVs ordered”. RailwayAge. 2019年11月12日閲覧。
  12. ^ Joe Fitzgerald Rodriguez. “Muni fixes faulty train doors, couplers on new trains”. The San Francisco Examiner. 2019年11月12日閲覧。
  13. ^ Joe Fitzgerald Rodriguez. “All San Francisco Muni LRV4 doors, two-car trains back in service”. Metro. 2019年11月12日閲覧。