ジェットジャガー

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ジェットジャガー
ゴジラシリーズのキャラクター
初登場ゴジラ対メガロ
作者 一般公募
  • 駒田次利(初代)
  • 森正親(初代)
釘宮理恵(『SP』)
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ジェットジャガー (Jet Jaguar) は、ゴジラシリーズに登場する架空のロボットである。

概要[編集]

1970年代前半の変身ブームロボットアニメの影響により、登場した[1][2][3]。初登場作品『ゴジラ対メガロ』の脚本では、「仮面ライダーのようなロボット」と記述されている[4]。東宝初の巨大ヒーローとも称される[5]。ゴジラと共闘する巨大ヒーローというコンセプトは、翌年の特撮テレビドラマ『流星人間ゾーン』へと引き継がれた[6]

中野昭慶によれば、日本よりアメリカで好評であり、熱狂的なファンが大勢いるという[7]

制作経緯[編集]

デザインは、東宝と円谷プロダクション西友ストアによる協力のもとで開催した企画「ちびっ子怪獣大学」でシンボルキャラクターとして一般公募された怪獣「レッド・アローン」が、元となっている[8][1][2][9]。その時点ではコウモリのような羽があり、顔もロボット風ではなかった。このデザインを元にした着ぐるみが制作され、ワイドショー番組『桂小金治アフタヌーンショー』などに登場した[9]

映画では人型ロボットと設定されたことにより、胴体のデザインのみが用いられた[1][5]。顔は般若[注釈 1]、胴体はアメリカンフットボールのプロテクターをモチーフとしている[10]。最終的なデザインは井口昭彦と言われていたが、井口本人はこれを否定しており、変遷の経緯は明らかになっていない[11]

名称は、ジェットアローンエースマンなどを経て、ジェットジャガーへと至った[9]。東宝特美の小林知己によれば、当時特急レッドアローを運行していた西武鉄道から苦情が来たため変更することになったという[9]。初期の宣材やグッズでは、レッドアローンの名称が用いられていた[4][9]山本弘によれば、『ゴジラ対メガロ』の劇場公開前の宣伝ポスター[注釈 2]では「ボクはレッドアローン」と吹き出しで名乗っている[13]

登場作品[編集]

公開順。

『ゴジラ対メガロ』のジェットジャガー[編集]

諸元
ジェットジャガー
JET-JAGUAR[19]
別名 電子ロボット[26]
全高 1.8m[28]
重量 150kg[29]
出身地 伊吹吾郎の研究所[30][注釈 3]
出現地 日本[24][25]
(戦闘時)[15][4]
全高 50m[28]
重量 2万5千t[31][注釈 4]
飛行速度 マッハ3.5[32][注釈 5]

青年科学者・伊吹吾郎が開発した、カラフルな色彩の等身大ロボット。機体内の良心回路により、「人間に会ったらお辞儀をする」「人間の言葉を理解して妥当な反応を示す」などの行動を起こす。普段は研究所の電波操縦器(緊急時は超音波装置)で操作される遠隔操縦タイプだが、良心回路の影響から奇跡的に自我に目覚め、それによる巨大化が可能となる。吾郎にとって想定外の事態となったこの巨大化は、間近で目の当たりにしたメガロにとっても同様であり、ジェットジャガーから攻撃を受けるまで立ち尽くすという精神的影響を与えている。出現地点は北山湖→東京→怪獣島→北山湖周辺[15]

もともと日常生活の補助用として開発されたため、戦闘時は肉弾戦が主となる。飛行能力を有しており、巨大化時にはゴジラを抱えて飛行するなど、その推力は高い。設定では妨害電波を放つ機能を持ち、口からは液体窒素を吐く[20][14][8][22]

シートピア人によって強奪されてメガロの水先案内を行うが、吾郎らがこれを奪回してゴジラを呼びに怪獣島へ向かう。帰還した後には自分の意思を持って巨大化し、ゴジラの到着までメガロと優勢に戦うが、そこにガイガンが出現する。2対1となって追いつめられるも、ゴジラの加勢を受け、激闘の末にガイガンとメガロを撃退する。その後、本来のサイズに戻ったジェットジャガーからは自我が消え、良心回路も従来の限定的な機能を残すのみとなる。

  • スーツアクターは駒田次利、森正親[33][注釈 6]
  • ジェットジャガーが巨大化するという設定は、脚本・監督の福田純のアイディアであるが、特技監督中野昭慶はこの巨大化の映像化にリアリティをどう出すかで悩み、「一番頭が痛かった部分」としていて、「あまりうまくいかなかった」と振り返っている。
造形
造形は安丸信行[5][2][16]小林知己般若の顔面イメージは、翌年のメカゴジラにも生かされる。頭はFRP、胴体はウェットスーツに板状のフォームラバーを貼り合わせて制作されている[8][5][2][16]。眼は自動車のテールランプの流用。
1/2サイズの飛び人形が製作されている[16]。この飛び人形は現存しているが表面のFRPが剥がれており、表面にテープを張って新たに型を採ったものが、2012年の「館長 庵野秀明特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」にジェットジャガーのマスクと共に展示された[35]

『ゴジラアイランド』のジェットジャガー[編集]

防衛部隊Gガードの所属のロボット兵器。全身銀色となっている[36][37]

ザグレスが初めて攻めて来た際にモゲラメカゴジラと出撃するが、ヴァバルーダのビーム砲で撃墜され、以後は登場しない。

メディカルジェットジャガー[編集]

怪獣ドクターであるミサトの乗る機体[38]。全身白く塗装され、胸には赤十字マークが施されている。口から鎮痛スプレーなど怪獣の治療に使う薬品などを発射可能。

病気になった怪獣を病院へ搬送する時などに出動するほか、ミサトなどが搭乗することによって操縦も可能となる。「スペースゴジラの悪霊編」では司令官が苦肉の策としてバトルモードに改造しようとするが、トレマに却下される。

  • 後に雑誌ハイパーホビーの誌上限定版ソフビとして限定発売された。

消防ジェットジャガー[編集]

消火活動用の装備をしたもの。全身赤で塗装されている[39]。「火」と書かれた火消し暖簾が特徴。口から冷凍ガスを出す。また、巨大なホースなどを装備することで、直接水での消火も可能。さらに目は映像の投影もでき、ミサトが超巨大ゴジラを空に投影し、スーパースペシャルスペースゴジラを圧倒する場面もある。「人工太陽編」で初登場し、山火事の消火に当たっていたところを、デストロイアメガロに襲われる。

  • 後に雑誌『ハイパーホビー』の誌上限定版ソフビとして限定発売された。

『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』のジェットジャガー[編集]

オオタキファクトリーの所有するロボット。オオタキファクトリーの所長、おやっさんこと大滝吾郎が「地球を守る」活動のために開発した[40]

ジェットジャガープロトタイプ[40]
コクピットからの操縦とタブレットやスマートフォン遠隔操作で操作可能になっている。            
第1話にて有川ユンにより逃尾市の商店街の祭りの出し物としてアトラクション用に整備されていたが、突如祭りの会場に飛来した怪獣ラドンの襲来に対して、おやっさんの操縦で戦闘に突入。コクピットと各部パーツの損傷を被るも撃退に成功する。
第5話、第6話では作業用ロボットの脚部に付け替え、3輪タイヤにした姿で登場。再びおやっさんの操縦でアンギラスと戦闘になり、捕鯨用のハープンガンを至近距離から撃ち込んで仕留める。
ジェットジャガーβ[40]
声 - 釘宮理恵[40]
第7話にてコクピットが撤去されて完全な無人機となり、制御AIとしてユングが移植された[40]。その際にユングの改名がなされ「ジェットジャガーユング」「ジェットジャガー」と名乗る他、新たに開発された下半身に付け替え全高7m程に大型化、更にアンギラスの角から製造した槍を装備するようになる。
ジェットジャガーPP
声 - 釘宮理恵
最終話にて謎の巨大化を果たした。
ゴジラウルティマとの交戦の末、完成型オーソゴナル・ダイアゴナライザーによってゴジラウルティマ諸共巨大な青い結晶となり消滅した。
  • 監督の高橋敦史およびシリーズ構成・脚本の円城塔は、ジェットジャガーを登場させた理由についてゴジラと人間を戦いを描くためにその中間となる存在が必要であったと述べている[41][42][注釈 7]。また、高橋はゴジラシリーズの中でもジェットジャガーの印象が際立っていたことも挙げている[41][注釈 8]
  • ジェットジャガーの登場は、放送前のPVでも話題となり[41][43]、海外でも評判であった[41]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ 特技監督の中野昭慶は、日本的な要素を入れたかったと述べている[10]
  2. ^ 2017年には講談社のDVD付きムック『ゴジラ全映画DVDコレクターズBOX』Vol.19に復刻収録された[12]
  3. ^ 資料によっては「東京」と記述している[22]
  4. ^ 資料によっては、「1万5千トン」と記述している[8][21]
  5. ^ 資料によっては、「マッハ5」と記述している[14]
  6. ^ 書籍『オール東宝怪獣大図鑑』では、伊達秀人と記述している[34]
  7. ^ 円城はメカゴジラモゲラでは大きすぎると述べている[42]
  8. ^ 高橋は、ヘドラガイガンも際立っているが、既に再登場していたと語っている[41]

出典[編集]

  1. ^ a b c ゴジラ1954-1999超全集 2000, p. 156, 「メイキング オブ ゴジラ対メガロ」
  2. ^ a b c d 東宝特撮映画大全集 2012, p. 159, 「『ゴジラ対メガロ』撮影秘話」
  3. ^ 大辞典 2014, p. 338, 「作品紹介 ゴジラ対メガロ」
  4. ^ a b c d e f g 東宝特撮映画大全集 2012, p. 158, 「『ゴジラ対メガロ』怪獣図鑑/資料館」
  5. ^ a b c d e f 東宝特撮メカニック大全 2003, pp. 131-134, 「1970s ジェットジャガー」
  6. ^ オール東宝怪獣大図鑑 2014, p. 181, 「『ゴジラ対メガロ』」
  7. ^ 【俺とゴジラ】第三回 特技監督 中野昭慶氏(前編)”. ゴジラ・ストア. 東宝ステラ (2015年5月1日). 2021年3月20日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h ゴジラ大全集 1994, p. 122, 「東宝怪獣総進撃 ジェットジャガー」
  9. ^ a b c d e オール東宝怪獣大図鑑 2014, p. 207, 「映画以外の東宝怪獣」
  10. ^ a b ゴジラ大全集 1994, pp. 146-147, 「SPECIAL INTERVIEW チャンピオンまつりの看板と一般大作 中野昭慶」
  11. ^ オール東宝怪獣大図鑑 2014, p. 179, 「『ゴジラ対メガロ』」
  12. ^ @godzillaDVDの2017年3月21日のツイート2020年12月6日閲覧。
  13. ^ 「懐かしの海外SFドラマの世界」”. 山本弘のSF秘密基地BLOG. オタクの電脳ブログ (2013年10月15日). 2016年1月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月6日閲覧。
  14. ^ a b c d e 超最新ゴジラ大図鑑 1992, p. 128, 「[ゴジラ対メガロ]ジェット・ジャガー」
  15. ^ a b c d e f g h i ゴジラ1954-1999超全集 2000, p. 153, 「ゴジラ対メガロ キャラクター図鑑」
  16. ^ a b c d e f g h i オール東宝怪獣大図鑑 2014, p. 176, 「『ゴジラ対メガロ』ジェットジャガー」
  17. ^ a b c d e 大辞典 2014, p. 141, 「し ジェット・ジャガー」
  18. ^ a b c d e GODZILLA60 2014, p. 91, 「怪獣図鑑」
  19. ^ 出典[14][15][16][17][18]
  20. ^ a b c d e 怪獣大全集 1991, p. 77, 「東宝モンスター名鑑」
  21. ^ a b c d e ゴジラ来襲 1998, p. 210, 「第7章 特選!東宝怪獣名鑑'98」
  22. ^ a b c d e f g 東宝特撮全怪獣図鑑 2014, pp. 66-67, 「ゴジラ対メガロ」
  23. ^ a b c d e 超常識 2016, pp. 94-96, 「ジェット・ジャガーと共に戦う ゴジラ対メガロ」
  24. ^ a b c d e 解体全書 2016, p. 117, 「第4章 機械仕掛けの怪物」
  25. ^ a b c d e ゴジラ検定 2018, p. 73, 「ゴジラ対メガロ 今回の怪獣対決」
  26. ^ 出典[20][8][21][15][4][22][23][24][25]
  27. ^ a b c d オール東宝メカニック大図鑑 2018, pp. 142-143, 「『ゴジラ対メガロ』ジェットジャガー」
  28. ^ a b 出典[20][14][8][21][15][5][4][16][22][17][18][23][24][27][25]
  29. ^ 出典[20][8][21][15][4][16][22][17][18][23][24][27][25]
  30. ^ 出典[21][15][16][23]
  31. ^ 出典[20][14][15][5][4][16][22][17][18][23][24][27][25]
  32. ^ 出典[8][15][16][22][17][18][27]
  33. ^ 東宝特撮映画大全集 2012, p. 157, 「『ゴジラ対メガロ』作品解説」
  34. ^ オール東宝怪獣大図鑑 2014, pp. 182-183, 「『ゴジラ対メガロ』」
  35. ^ オール東宝怪獣大図鑑 2014, pp. 200-201, 「飛び人形大集合」
  36. ^ ゴジラ1954-1999超全集 2000, p. 182, 「ゴジラアイランド キャラクター図鑑」
  37. ^ 東宝特撮全怪獣図鑑 2014, p. 169, 「ゴジラアイランド」
  38. ^ 東宝特撮全怪獣図鑑 2014, p. 170, 「ゴジラアイランド」
  39. ^ 東宝特撮全怪獣図鑑 2014, p. 171, 「ゴジラアイランド」
  40. ^ a b c d e キャラクター | 完全新作TVアニメシリーズ「ゴジラ シンギュラポイント Godzilla Singular Point」公式サイト”. 2021年5月22日閲覧。
  41. ^ a b c d e 宇宙船172 2021, pp. 94-95, インタビュー[高橋敦史]
  42. ^ a b 宇宙船172 2021, pp. 94-95, インタビュー[円城塔]
  43. ^ “行け!ジェットジャガー!アニメ「ゴジラ S.P <シンギュラポイント>」最新PV公開”. シネマトゥデイ (シネマトゥデイ). (2021年2月2日). https://www.cinematoday.jp/news/N0121437 2021年5月22日閲覧。 

参考文献[編集]

  • 『ゴジラvsキングギドラ 怪獣大全集』構成・執筆・編集:岩畠寿明、小野浩一郎(エープロダクション)、講談社〈講談社ヒットブックス20〉、1991年12月5日。ISBN 4-06-177720-3。
  • 『増補改訂新版 超最新ゴジラ大図鑑』企画・構成・編集 安井尚志クラフト団)、バンダイ〈エンターテイメントバイブルシリーズ50〉、1992年12月25日。ISBN 4-89189-284-6。
  • テレビマガジン特別編集 誕生40周年記念 ゴジラ大全集』構成・執筆:岩畠寿明(エープロダクション)、赤井政尚、講談社、1994年9月1日。ISBN 4-06-178417-X。
  • 坂井由人、秋田英夫『ゴジラ来襲!! 東宝特撮映画再入門』KKロングセラーズ〈ムックセレクト635〉、1998年7月25日。ISBN 4-8454-0592-X。
  • 『ゴジラ1954-1999超全集』構成・執筆 間宮“TAKI”尚彦、小学館てれびくんデラックス 愛蔵版〉、2000年1月1日。ISBN 4-09-101470-4。
  • 『東宝特撮メカニック大全1954-2003』監修 川北紘一新紀元社、2003年4月10日。ISBN 978-4-7753-0142-5。
  • 『東宝特撮映画大全集』執筆:元山掌 松野本和弘 浅井和康 鈴木宣孝 加藤まさし、ヴィレッジブックス、2012年9月28日。ISBN 978-4-86491-013-2。
  • 洋泉社MOOK 別冊映画秘宝洋泉社
    • 『オール東宝怪獣大図鑑』洋泉社〈洋泉社MOOK 別冊映画秘宝〉、2014年4月27日。ISBN 978-4-8003-0362-2。
    • 『オール東宝メカニック大図鑑』洋泉社〈洋泉社MOOK 別冊映画秘宝〉、2018年6月14日。ISBN 978-4-8003-1461-1。
  • 『東宝特撮全怪獣図鑑』東宝 協力、小学館、2014年7月28日。ISBN 978-4-09-682090-2。
  • 『ゴジラ大辞典【新装版】』野村宏平 編著、笠倉出版社、2014年8月7日(原著2004年12月5日)。ISBN 978-4-7730-8725-3。
  • 『ゴジラ徹底研究 GODZILLA GODZILLA60:COMPLETE GUIDE』マガジンハウス〈MAGAZINE HOUSE MOOK〉、2014年9月5日。ISBN 978-4-8387-8944-3。
  • 『ゴジラの超常識』[協力]東宝、双葉社、2016年7月24日(原著2014年7月6日)。ISBN 978-4-575-31156-3。
  • 『ゴジラ解体全書』宝島社〈TJ MOOK〉、2016年8月15日(原著2014年7月26日)。ISBN 978-4-8002-5699-7。
  • 『「ゴジラ検定」公式テキスト』監修 東宝株式会社/協力 東宝 ゴジラ戦略会議、宝島社、2018年11月3日。ISBN 978-4-8002-8860-8。
  • 雑誌

関連項目[編集]

  • 新世紀エヴァンゲリオン - 1995年放送のテレビアニメ。第七話に登場するロボット兵器J.A.(ジェットアローン)の名前はジェットジャガーおよびレッド・アローンに由来し、カラーリングもジェットジャガーに準じたものになっている。
  • GODZILLA (アニメ映画) - 2017年公開の映画。前日譚にあたる小説『GODZILLA 怪獣黙示録』にて、「38式機動戦闘服ジャガーJ」という名称のパワードスーツが登場する。