ジョアン・コーチニョ級コルベット

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ジョアン・コーチニョ級コルベット
2010-08-06 F-471 Antonio Enes 04.jpg
F471「アントニオ・エネス」
基本情報
種別 コルベット
運用者  ポルトガル海軍
就役期間 1970年 - 現在
前級 ペドロ・ヌネシュ級
次級 バッティスタ・デ・アンドラーデ級
要目 (竣工時)
基準排水量 1,252トン
満載排水量 1,401トン
全長 84.59 m
垂線間長 81.0 m
最大幅 10.30 m
吃水 3.30 m
主機 OEW ピルスティク12PC2 V280
ディーゼルエンジン×2基
推進器 スクリュープロペラ×2軸
出力 10,560馬力
電源 900 kW
速力 24ノット (44 km/h)
航続距離 5,900海里 (8kt巡航時)
乗員 士官9名+下士官兵84名
便乗者 海兵隊員34名
兵装50口径7.6cm連装速射砲×1基
60口径40mm連装機銃×1基
ヘッジホッグ対潜迫撃砲×1基
・Mk.6 爆雷投下軌条×2基
FCSMk.63(主砲用)
Mk.51(機関砲用)
レーダーMLA-1b 対空捜索
・TM-626 航海用
・AN/SPG-50 砲射撃指揮用
ソナーQCU-2 船底装備式
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ジョアン・コーチニョ級コルベットポルトガル語: Corveta classe João Coutinho)は、ポルトガル海軍コルベットの艦級。ジェーン海軍年鑑では、ペナント・ナンバーに準じてフリゲートとして種別している[1][2]。またその後、哨戒艦に類別変更された[3]

来歴[編集]

1960年代ポルトガル植民地で急激に独立の機運が拡大し、植民地戦争が始まった。海軍もこれに対応して規模を拡大する必要に迫られ、装備を簡素化した小型フリゲート哨戒艦艇、揚陸艦艇を数年で大量建造することとなった[2]

そしてその一環として、老朽化した2等スループや砲艦の更新用として建造されたのが本級である[2]。短期間のうちに多数を整備するため、建造は海外に委託されることになり、ポルトガル海軍のホジェリオ・ドオリヴェイラ設計官の基本設計に基づき[4]、1970年から1971年にかけて、ドイツブローム・ウント・フォス社とスペインバサン造船所で分担されて建造された[2]

設計[編集]

本級は、通報艦の現代版として、沿岸〜近海域における警備・救難および対地火力投射任務を遂行できる低コストのコルベットとして開発された。このことから、運用コストを低減する一方、武装は比較的軽度なものとされている。このような任務が想定されたこともあって、乗員に加えて、海兵隊34名を便乗させることができる[2][3]

主機としてはOEW ピルスティク12PC2 V280ディーゼルエンジン2基を搭載し、スクリュープロペラ2軸を駆動する方式とされた。設計上の最大速力は24.4ノットとされていたが、ネームシップは海上公試で25ノットを発揮した[3]

現代の通報艦という本級のコンセプトは成功を収めたものと評価され、発展型として、同国海軍はバッティスタ・デ・アンドラーデ級コルベット[2]、またスペインもデスクビエルタ級コルベットを開発した[5]。また、フランスも同様のコンセプトによるデスティエンヌ・ドルヴ級通報艦を開発・配備した[6]。さらに、これらのコンセプトは第3世界諸国においても支持されることとなり、デスクビエルタ級はエジプトモロッコ、デスティエンヌ・ドルヴ級はアルゼンチントルコに輸出され、またアルゼンチンはドイツ製のMEKO 140型フリゲートをエスポラ級コルベットとして配備した[7]

装備[編集]

兵装は砲熕兵器と対潜兵器に限られている。艦首甲板の50口径7.6cm連装速射砲(Mk.33 3インチ砲)Mk.63 mod.21砲射撃指揮装置、煙突直後に搭載された60口径40mm連装機銃Mk.51 mod.2射撃指揮装置による指揮を受けていた[2]。7.6cm砲弾の搭載量は1,200発であった[3]

対潜兵器は第2次世界大戦世代であり、艦橋直前にヘッジホッグMk.10対潜迫撃砲が、また艦尾にMk.6爆雷投下軌条が設置された。中部甲板にはヘリコプター甲板が設定されており、小型ヘリコプターの発着に対応できた。艦対艦ミサイル個艦防空ミサイルの後日装備も計画されたが、財政上の理由により断念された[2]

1975年に植民地戦争が終結してからは、本級は主として哨戒艦艇として運用されるようになった。1987年にはソナーや対潜兵器が撤去され、哨戒艦としての性格をより強めている[2]。これにより、乗員のうち下士官兵23名を削減できた。また1990年代初頭にはMLA-1b 対空捜索レーダーもケルビン-ヒューズ社製の対水上捜索レーダーに換装されたほか、1994年にはMk.63砲射撃指揮装置も撤去され、7.6cm砲は砲側照準となった[3]

同型艦一覧[編集]

# 艦名 造船所 起工 就役 退役
F471 アントニオ・エネス
NRP António Enes
バサン 1968年4月 1971年6月 2019年
F475 ジョアン・コーチニョ
NRP João Coutinho
B+V 1968年9月 1970年3月 2015年
F476 ジャシント・キャンディド
NRP Jacinto Cândido
1968年4月 1970年6月 2018年
F477 ゲネラル・ペレイラ・デッサ
NRP General Pereira D'Eça
1968年10月 1970年10月 2015年
F484 アウグスト・デ・カスチーリョ
NRP Augusto de Castilho
バサン 1968年8月 1970年11月 2003年
F485 オノリオ・バレット
NRP Honório Barreto
1968年7月 1971年4月 2003年

出典[編集]

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  1. ^ Moore 1975, p. 268.
  2. ^ a b c d e f g h i Gardiner 1996, pp. 317-319.
  3. ^ a b c d e Wertheim 2013, p. 552.
  4. ^ Miguel Machado (2014年12月16日). “NOVA VIDA PARA ANTIGA CORVETA PORTUGUESA”. 2018年12月23日閲覧。
  5. ^ Gardiner 1996, p. 435.
  6. ^ A Corveta Portuguesa dos anos 70, Operacional: 2009
  7. ^ Reparo de corveta da classe João Coutinho vai custar 8,1 milhões de euros” (2013年8月9日). 2018年12月26日閲覧。

参考文献[編集]

  • Gardiner, Robert (1996). Conway's All the World's Fighting Ships 1947-1995. Naval Institute Press. ISBN 978-1557501325. 
  • Moore, John E. (1975). Jane's Fighting Ships 1974-1975. Watts. ASIN B000NHY68W. 
  • Wertheim, Eric (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. ISBN 978-1591149545. 

関連項目[編集]