スカンクワークス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スカンクワークス(Skunk works)は、アメリカ合衆国の航空機製造会社であるロッキード・マーティン社の一部門「ロッキード・マーティン先進開発計画(Lockheed Martin's Advanced Development Programs)」の通称。転じて、航空宇宙企業内における軍事関連の秘密開発部門、警察の武器庫・銃火器管理調整担当を指していたが、その後語義がさらに拡大し、企業内の極秘開発部門・選抜されたメンバーのみからなる特命チームなどをも指すようになった。
以下にはロッキード・マーティンのスカンクワークスについて記す。
概要[編集]
軍用機開発を主な任務とし、秘密、独立、迅速を軸に、数十名の設計者と百数名の技能職によって構成されている。初代ボスは航空機設計家クラレンス・レオナルド・ケリー・ジョンソン(Clarence Leonard Kelly Johnson)。
ナチス・ドイツのメッサーシュミット Me262に対抗出来るジェット戦闘機、XP-80の開発の為に設立された[1]当初、設計室として設置したテントが、プラスティック加工工場(牛皮加工工場との説もある)に面しており、室内が異臭に満ちていた。このため、電話をとった従業員が「はい、こちらスコンクワークス」[2]と答えた。スコンクワークス(Skonk Works)はアル・キャップの漫画インディアン・ジョー(テレビ番組説も存在する)に登場する怪しげな飲み物を製造する蒸留所の名前である。これをきいたケリーは激怒したが、従業員はケリーのいない間は「スコンクワークス」と電話に出続けたため、「ケリーのサーカス小屋」をロッキード本社側でも「スコンクワークス」と呼ぶ様になった。その後、アル・キャップの漫画を出版していた出版社(テレビ番組の制作会社とする説も存在する)に訴えられたため、スカンクワークスの名称で商標登録された。
U-2偵察機、SR-71偵察機やF-104戦闘機などを開発し世界に名を轟かせた一方で、XFV-1のような過大な要求ゆえの失敗作[3]も存在した。
その後、ケリー・ジョンソンは引退しロッキード社から去ったが、スカンクワークスは存続し続け1975年には二代目ボスであるベンジャミン・ロバート・リッチ(Benjamin Robert Rich)によって引き継がれ、その後もステルス攻撃機であるF-117などを開発、アメリカの航空産業の最先端を担っている。
開発中のプロジェクト[編集]
2014年[編集]
- 小型核融合炉(CFR: compact fusion reactor)[4]
2008年初頭[編集]
- 開発が進行中のもの
- 船上発射-垂直離着陸先進型無人機システム(VARIOUS)
- 監視任務用飛行船-統合センサー搭載偵察システム (ISIS)
- マッハ10飛行-成層圏巡航攻撃/偵察機 (FALCON)
- リフティングボディ&エアシップ ハイブリッド機
- 超長距離超音速(RATTLRS)ミサイル
- 開発が進行途中で凍結されたもの