ストレート・アヘッド (アビー・リンカーンのアルバム)

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ストレート・アヘッド
アビー・リンカーンスタジオ・アルバム
リリース 1961年
録音 1961年2月22日 ニューヨーク ノラ・ペントハウス・サウンド・スタジオ
ジャンル ジャズ
時間 39分27秒
レーベル キャンディド・レコード英語版
プロデュース ナット・ヘントフ
専門評論家によるレビュー
アビー・リンカーン 年表
アビー・イズ・ブルー
(1959年)
ストレート・アヘッド
(1961年)
ピープル・イン・ミー
(1973年)
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ストレート・アヘッド[1]』(Straight Ahead)は、アメリカ合衆国ジャズ・ボーカリスト、アビー・リンカーン1961年に録音・発表したスタジオ・アルバムキャンディド・レコード英語版に残した唯一のリーダー・アルバムで[2]、その後リンカーンは女優としての活動を重視しており、結果的には1960年代唯一のリーダー作となった[3]

背景[編集]

1960年、リンカーンは後に夫となるマックス・ローチのアルバム『ウィ・インシスト』の録音に参加し、同アルバムに参加したローチ、コールマン・ホーキンスブッカー・リトル等は本作にも引き続き参加した[4]。プロデューサーのナット・ヘントフは、『ウィ・インシスト』の録音前までリンカーンの歌に感銘を受けたことがなかったが、同作のレコーディング現場において「自分がアメリカのニグロであることの誇りと苦痛を喚起させる猛烈な歌に、私は驚かされた」という[5]。また、当時プレスティッジ・レコードと専属契約をしていたエリック・ドルフィーもサイドマンとして参加しており[6]、ドルフィーとリンカーンは本作の録音に先立つ1960年11月1日、ジャズ・アーティスツ・ギルド(チャールズ・ミンガスやマックス・ローチ等、ニューポート・ジャズ・フェスティバルの商業化を批判したジャズ・ミュージシャンによる組織[7])名義のアルバム『Newport Rebels』に収録された「Tain't Nobody's Bizness If I Do」で共演している[2][8]

「ブルー・モンク」はセロニアス・モンクが作曲し1954年に初録音した曲で、リンカーン自身が新たに歌詞をつけており[9]、モンクは本作のセッションに招かれて、リンカーンの歌詞を快諾した[5][10]

評価・影響[編集]

本作にはリンカーンの反人種差別の主張が強く押し出され、ジャズ評論家のアイラ・ギトラー英語版は『ダウン・ビート』誌1961年11月号において、「ホエン・マリンディー・シングズ」と「ブルー・モンク」の2曲を称賛する一方「(リンカーンは)プロフェッショナル・ニグロになりつつある」「人種的伝統に誇りを持つのは結構だが、ジャズにイライジャ・ムハンマド英語版的な思考はいらない」と非難した[11]。なお、ギトラーはこの件に関して後に「私は白人と黒人を区別したくない。ジャズを通じて両方を結び付けたいんだ」とコメントしている[12]

Scott Yanowはオールミュージックにおいて5点満点を付け、本作を「アビー・リンカーンの最も偉大な録音の一つ」、コールマン・ホーキンスの演奏に関して「"Blue Monk"において印象的なソロを披露」と評している[13]。また、カーメン・マクレエは1988年録音のアルバム『Carmen Sings Monk』において、リンカーンの歌詞に準じた「ブルー・モンク」を取り上げた[14]

収録曲[編集]

  1. ストレート・アヘッド - "Straight Ahead" (Abbey Lincoln, Earl Baker, Mal Waldron) - 5:29
    • 編曲:マル・ウォルドロン[6]
  2. ホエン・マリンディー・シングズ - "When Malindy Sings" (Oscar Brown, Paul Lawrence Dunbar) - 4:08
  3. イン・ザ・レッド - "In the Red" (Chips Bayen, A. Lincoln, Max Roach) - 8:35
    • 編曲:ブッカー・リトル[6]
  4. ブルー・モンク - "Blue Monk" (A. Lincoln, Thelonious Monk) - 6:40
    • 編曲:マル・ウォルドロン[6]
  5. レフト・アローン - "Left Alone" (Billie Holiday, M. Waldron) - 6:51
    • 編曲:ジュリアン・プリースター[6]
  6. アフリカン・レディ - "African Lady" (Langston Hughes, Randy Weston) - 3:50
    • 編曲:マックス・ローチ[6]
  7. レトリビューション - "Retribution" (A. Lincoln, Julian Priester) - 3:49
    • 編曲:ジュリアン・プリースター[6]

参加ミュージシャン[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 2001年発売の日本盤CD(KICJ 8377)に準拠。『ストレイト・アヘッド』と表記されている旧規格CDもある
  2. ^ a b Abbey Lincoln Discography - jazzdiscography.com - 2015年4月10日閲覧
  3. ^ Chinen, Nate (2010年8月14日). “Abbey Lincoln, Bold and Introspective Jazz Singer, Dies at 80”. New York Times. 2015年4月10日閲覧。
  4. ^ Fordham, John (2010年8月15日). “Abbey Lincoln obituary”. The Guardian. 2015年4月10日閲覧。
  5. ^ a b 裏ジャケット記載のライナーノーツ(ナット・ヘントフ)参照
  6. ^ a b c d e f g h 裏ジャケット記載のクレジットに準拠
  7. ^ Jazz Artists Guild - Newport Rebels, Candid Records - 2015年4月10日閲覧
  8. ^ Charles Mingus, Max Roach, Eric Dolphy, Roy Eldridge, Jo Jones - Newport Rebels (Vinyl, LP, Albums) at Discogs
  9. ^ Blue Monk - Art Blakey, Art Blakey & the Jazz Messengers, Thelonious Monk | AllMusic - Song Review by Ken Dryden
  10. ^ Abbey Lincoln: Through the Years”. All About Jazz (2003年10月12日). 2015年4月10日閲覧。
  11. ^ Monson, Ingrid (2007). Freedom Sounds: Civil Rights Call out to Jazz and Africa. Oxford University Press. p. 239. ISBN 9780198029403.  Google Books参照
  12. ^ Anderson, Iain (2012). This Is Our Music: Free Jazz, the Sixties, and American Culture. University of Pennsylvania Press. p. 79. ISBN 9780812201123.  Google Books参照
  13. ^ Straight Ahead - Abbey Lincoln | AllMusic - Review by Scott Yanow
  14. ^ Carmen Sings Monk - Carmen McRae | AllMusic - Review by Scott Yanow