ゼネラル・エレクトリック T58

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ゼネラル・エレクトリック T58
T58-IHI-10M2 turboshaft engine(cutaway model) compressor & combustor section left side view at Kakamigahara Aerospace Science Museum November 2, 2014.jpg
T58
主要諸元表
種類 ターボシャフトエンジン
全長 1.50m
直径 513 mm
重量 158.8 kg (350 lb)
製造元 GEアビエーション
初稼働 1955年4月
ヘリコプターSH-3 シーキングに搭載前のT58エンジン点検

ゼネラル・エレクトリック T58は、ヘリコプター用に開発された米国のターボシャフトエンジンである。 最初の稼働は1955年で、以後1984年まで製造され続けた。 1959年7月1日に、民間のヘリコプター用としてFAA型式証明を取得した最初のタービンエンジンとなった。

このエンジンは、イギリスではグノーム (Rolls-Royce Gnomeとしてデ・ハビランド社(1961年にブリストル・シドレーに吸収合併。1968年にはブリストル・シドレーもロールス・ロイスに吸収合併される。)によりライセンス生産および開発が行われたほか、西ドイツではクレックナー=フンボルト=ドイツ(Klöckner-Humboldt-Deutz)社によって[1]、またイタリアのアルファロメオや日本の石川島播磨重工でも製造が行われた。

設計と開発[編集]

開発は、重量400ポンド(180 kg)以下でありながら800馬力(600 kW)の出力を備えるヘリコプター用ターボシャフトエンジンを欲しいとのアメリカ海軍の要請で、1953年に始まった。ゼネラルエレクトリック(現在のGEアビエーション)社は最終的に重量わずか250ポンド(110 kg)で出力1050馬力(780 kW)のエンジンを開発し、ほどなく受注生産に入った。初飛行は1957年に改良型シコルスキーHSS-1で実施され、CT58-100の民生用での認証はその2年後に取得された[2]

T58には、次のような他とは異なる機能が幾つか組み込まれている[3]

  1. 全軸流コンプレッサ。このパワーブラケット内にある他の大半のターボシャフトは、最終的な圧縮段階として遠心ユニットを備えている。その結果、コンプレッサ後部のブレードは非常に小さく(高さ13mm未満)、非常に薄くなっている。
  2. 断片速度でのコンプレッサの取扱いが、ユニット前部に数列並んでいる可変式ステーター(翼列)によって容易になされる。これは同エンジンが最初に導入された時、かなり目新しい特徴であった。
  3. 単段パワータービン。これがエンジン後部にパワーを供給する。高温の排気流は、傾斜したジェットパイプ(排気ダクト)によって、出力軸から離れるように横方向へと向けられる[要出典]
  4. 燃焼器は、反転式というよりも直流式のアニュラ型設計である。

エンジンの主な生産バージョンはT58-GE-10で、1400馬力(1044 kW)が開発された。 最も強力なバージョンのT58-GE-16は、1870馬力(1390 kW)を生み出す[4]

派生型[編集]

  • T58-GE-400B
  • T58-GE-402
  • T58-GE-8F
  • T58-GE-10 :1400 hp(1044 kW)を出力する
  • T58-GE-16 :1870 hp(1390 kW)を出力する最も強力な型式[5]
  • T58-GE-16A :海兵隊のCH-46用の発展型
  • 石川島播磨CT58-IHI-110-1:1400 hp (1000 kW)
  • 石川島播磨CT58-IHI-140-1:1400 hp (1000 kW)
  • 石川島播磨T58-IHI-8B BLC:新明和PS-1のBLCシステム用[注釈 1]
  • ロールスロイス・グノーム:英国におけるT58のライセンス生産開発

搭載機[編集]

その他の応用[編集]

パワータービンの撤去によってターボジェットエンジンに改造された2台のT58が、Maverick TwinJet 1200のエンジンとして使用された[7]

1968年のインディアナポリス500レースに出場したキャロル・シェルビーのタービン車はT58エンジンを動力としていた[8]。吸気口の最大許容サイズに関するUSACの規定をごまかすために可変吸気口を使っていたことが判明し、その車は失格となった。

ゼネラル・エレクトリックT58やライカミングT53 / T55のようなターボシャフトエンジンは、 高性能パワーボートや双胴船、水ジェット噴射のレースボート、ハイドロプレーン(レース用の水上滑走艇)に動力を供給するのにも使用される。これらのボートのいくつかは、オープン操縦席のプレジャーボートであるにもかかわらず、時速320kmを超えて走行する[9]

遺物[編集]

ウィンザー・ロックス (コネチカット州)のブラッドレー国際空港にあるニューイングランド航空博物館(en)には、YT58-GE-2A の断面模型が展示されている[10]

仕様[編集]

一般的特性

  • 形式: フリーパワータービン・ターボシャフト
  • 全長: 55 in (1,397 mm)
  • 直径: 16 in (406 mm)
  • 乾燥重量: 285 lb (129 kg) 減速機なし、 391 lb (177 kg) 減速機付き

構成要素

  • 圧縮機: 吸気ガイド可変翼付きの10段軸流コンプレッサ(最初の3段に可変入射ステーターあり)
  • 燃焼器: 2つのマニホールドに16個のバーナーノズルを備えたアニュラ型燃焼室
  • タービン: 2段のガスジェネレータタービン+単段のフリーパワータービン
  • 使用燃料: 航空用ケロシン

性能

  • 出力: 1,250 hp (932.12 kW)
  • 全圧縮比英語版: 8.3:1
  • 空気流量: 12.4 lb (5.62 kg)/s at 26,300 rpm
  • 燃料消費率: 0.64 lb/(hp h) (0.389 kg/(kW h)) 最大連続負荷
  • 出力重量比: 6.1 hp/lb (10.024 kW/kg) 減速機なし

出典: [11][12]


関連項目[編集]

脚注[編集]

注釈
  1. ^ BLCシステムとは、境界層制御(Boundary Layer Control)と呼ばれる動力式高揚力装置で、新明和工業が初めて実用化に成功した技術[6]
出典
  1. ^ Production Briefing. // Aviation Week & Space Technology, June 24, 1963, v. 78, no. 25, p. 79.
  2. ^ Flying Magazine: 52. (March 1960). 
  3. ^ https://www.flightglobal.com/pdfarchive/view/1958/1958%20-%200077.html
  4. ^ [1] Archived January 15, 2008, at the Wayback Machine.
  5. ^ Military Engines | Engines | GE Aviation
  6. ^ 最新鋭機「US-2」の能力」新明和工業HP。2019年5月18日閲覧。
  7. ^ MiniJets Website Retrieved 28 June 2011
  8. ^ 'Rodger Ward's Indy 500 Preview; Will the Turbines Takeover?'
  9. ^ 塚本 紺 「時速320キロが横転。ハイドロプレーン・ボートのレースは「爆走」という言葉がピッタリ」GIZMODO日本語版、2016年9月3日。2019年5月18日閲覧。
  10. ^ Engine Collection. NEAM. Retrieved on 2013-08-16.
  11. ^ About the General Electric T58 (series) Turbine Engine”. 2011年11月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月18日閲覧。
  12. ^ Taylor, John W.R. FRHistS. ARAeS (1962). Jane's All the World's Aircraft 1962-63. London: Sampson, Low, Marston & Co Ltd