タイポス系書体

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タイポス系書体とはウロコのないコントラスト (抑揚)の付いた日本語書体のことである。明朝体とゴシック体の中間に相当する[1]。かつてはコントラスト体という名称が提案されていた[1][2]。タイププロジェクトはタイポス系のことを抑揚サンセリフ体と呼んでいる[2]

タイポス系書体は漫画において放送音に使われている[3]。またタイポス系書体は低解像度な印刷に向くと評されていた[4][5]

ラテン体[編集]

タイプラボの記事では以下のフォントをラテン体としてカテゴライズしている[6]

それによればラテン体はオプティマなどの欧文書体に影響されたとしている[6]

タイポス系書体の歴史[編集]

タイポスはもともとグループ・タイポ (伊藤勝一、桑山弥三郎、長田克己、林隆男) が石井明朝体の漢字との混植を前提として開発した仮名書体であり[7][8]写真植字に向けた写植用文字盤が写研から販売されていた。タイポスは1969年に発表され、1970年に雑誌「an・an」の創刊号で使用された[9]。また、タイポスの出た1969年にモトヤは明朝体からウロコを取った書体である「モトヤアポロ」の金属活字を発売し[10]、同時期、モリサワもタイポスへの対抗として仮名書体の「OH」を発売した[11]

1972年頃、写研は活版印刷に向けてタイポス類似の「キッド」という書体を発売し[12]、1976年、グループ・タイポが東京地方裁判所で写研を訴えた[12]ものの、書体は有体物であるべき商品ではないなどとして棄却され[12]、1980年に東京高等裁判所へと上訴したものの同様に棄却された[13]

その後、モリサワがタイポス類似書体の「フォーク」を発売し、それを丸ゴシックにした「丸フォーク」も登場した。

フォント一覧[編集]

タイポス系角ゴシック[編集]

商用
フリー
  • ロゴたいぷゴシック
  • 源瑛ラテミン

仮名書体のみ[編集]

  • タイプバンク
    • タイポスオールマイティ - タイポスを再デザインした仮名フォント。
  • エヌフォー
    • タイポスオールマイティ - Macintosh用仮名フォント。取り扱い終了[15]

ゴシック体漢字との合成フォント[編集]

元々タイポスは仮名書体しか存在しなかったためゴシック体漢字との混植が一般的であった。そのためそれを再現した漫画用フォントが存在する。

商用
  • エヌフォー
    • Comic-GT[16] - 「コミック・フォント」に含まれていた合成フォントの一つ[16]。タイプバンクゴシックDBとタイポスオールマイティ211を合成していた[17]
    • ComicStudio-GT - 「ComicStudioフォントパック」に付属しており[18]ComicStudio Pro/EXにも付属されるようになった[19]
フリー
  • 源瑛ラテゴ

タイポス系丸ゴシック[編集]

  • モトヤ
    • モトヤ丸アポロ
  • モリサワ
    • 丸フォーク
  • フォントワークス
    • ハミング - スキップの角を丸くしたもの[14]
  • Type Project
    • TPスカイラウンド

その他[編集]

タイポス系と同じく明朝体とゴシック体の中間として開発されたウロコの無い書体にイワタの「イワタミンゴ」がある[20][21]。この書体はタイポス系よりも明朝体に近いものとなっている。

出典[編集]

  1. ^ a b c タイポスの登場 マイナビ 2018年11月20日
  2. ^ a b c 『TPスカイ開発ストーリー』第5回「TPスカイの書体属性とデザイン」 Type Project 2018年4月2日
  3. ^ 『文字に生きる [51〜60]』 写研 1985年11月 ASIN B000J6K4TW
  4. ^ TYPEFACE ランダムノート 有限会社タイプラボ 1988年
  5. ^ 斎藤秀紀『言語処理におけるターンアラウンド・システム国立国語研究所 1977年
  6. ^ a b 書体の基礎知識 漢字書体編 - ラテン体(拉丁体) タイプラボ
  7. ^ 『文字に生きる―写研五〇年の步み』写研 1975年11月 ASIN B000J6K4U6
  8. ^ 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(3)─フォント千夜一夜物語(36) 日本印刷技術協会
  9. ^ 『カラー版 日本デザイン史』 森山明子 2003年7月 ISBN 978-4568400670
  10. ^ モトヤアポロ - 書体見本 モトヤ
  11. ^ a b 活字書体から写植書体、そしてデジタル書体(19)―フォント千夜一夜物語(52) 日本印刷技術協会 2004年8月25日
  12. ^ a b c 昭和51年 (ワ) 6007号 - 不正競争判例データベース アスタミューゼ
  13. ^ 昭和55年 (ネ) 689号 - 不正競争判例データベース アスタミューゼ
  14. ^ a b c フォントブログ「スキップ・ハミング最強説」 フォントワークス 2020年4月20日
  15. ^ タイポスオールマイティ エヌフォー
  16. ^ a b 夏コミはこれか?エヌフォーが漫画吹き出し用フォントを発表 ITmedia 2001年6月15日
  17. ^ Comic-Font エヌフォー
  18. ^ セルシス、あのマンガ制作ソフトの最新版を発売 ASCII 2001年11月6日
  19. ^ ComicStudio 4.0に付属しているフォントは商用作品に使えますか? セルシス 2012年5月7日
  20. ^ イワタ、明朝体とゴシック体の良さを兼ね備えた書体「イワタミンゴ」がグッドデザイン賞に 日本印刷新聞社 2015年9月30日
  21. ^ 新書体「イワタミンゴM」発売のお知らせ(2015.02.02発売 ) イワタ