タルワー級フリゲート

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タルワー級フリゲート
INS Talwar.jpg
艦級概観
艦種 フリゲート
運用者  インド海軍
艦名
前級 16A型 (ブラマプトラ級)
次級 17型 (シヴァリク級)
性能諸元
排水量 基準:3,620トン[1]
満載:4,035トン[1]
全長 124.8 m[1]
全幅 15.2 m[1]
吃水 4.6 m[1]
機関 COGAG方式
DS-71ガスタービンエンジン
(9,000馬力)[2]
2基
DT-59ガスタービンエンジン
(19,500馬力)[2]
2基
固定ピッチ・プロペラ[1] 2軸
速力 32ノット
航続距離 4,850海里/18 kt
乗員 180名
兵装 A-190E 100mm単装砲 1基
カシュタン複合CIWS
(前期建造艦)
2基
AK-630 30mmCIWS
(後期建造艦)
3S90ミサイル単装発射機
(9M38/9M38M2 SAM×24発)
1基
3M54E SSM 8連装VLS
(前期建造艦)
1基
ブラモスSSM 8連装VLS
(後期建造艦)
RBU-6000対潜ロケット砲 1基
533mm 連装魚雷発射管 2基
艦載機 哨戒ヘリコプター 1機
C4I トレーボヴァニェ-E 戦術情報処理装置
FCS 5P-10Eロシア語版 (100mm砲用) 1基
MR-90 (SAM用) 4基
3R14N (SSM用) 1基
レーダー フレガートM2EM 3次元式 1基
ポジティヴE 低空警戒/対水上捜索用 1基
ガルプンB 対水上捜索用 1基
ソナー HUMSA 艦首装備式 1基
電子戦 ASOR電波探知妨害装置
PK-10 10連装デコイ発射機 8基

タルワー級フリゲート (タルワーきゅうフリゲート、英語: Talwar-class frigate) は、インド海軍フリゲートの艦級。ロシア国境軍が運用していた1135.1型国境警備艦(クリヴァクIII型)をもとに全面的な改設計を加えたもので、ロシアの設計番号としては1135.6型と称される[1][2]

設計[編集]

上記の通り、本級の設計は1135.1型国境警備艦(クリヴァクIII型)をもとに、部分的にステルス艦化を図るとともに防空艦化を図ったものであり、1135型警備艦の系譜に属することから、1135.6型あるいは11356型と称される[1]。船型も、長船首楼型を踏襲している[2]

主機関も1135.1型のものが踏襲されており、巡航機としてUGT-6000(DS-71)ガスタービン、加速機としてUGT-16000(DT-59)ガスタービンエンジンを組み合わせたCOGAG機関を2セット搭載する。総出力は55,284馬力といわれている。推進器は固定ピッチ・プロペラ[1]であり、最大回転数は300 rpmである[2]。なおこのCOGAG機関は、減速機まで含めたシステムとしてM7N1と称される[3]

電源としては、バルチラ-カミンズGTA50-G3ディーゼルエンジンを原動機とする発電機4基を搭載しており、総出力3,200キロワットを確保した[2]

装備[編集]

C4ISR[編集]

戦術情報処理装置としては、ロシア製のトレーボヴァニェ-E(Trebovaniye-E; 「要求」の意味) を搭載する。ロシア本国向けのトレーボヴァニェ-Mでは256の目標を同時に扱うことができるが、本級の搭載するトレーボヴァニェ-Eは輸出向けのダウングレード版であるため、同時に処理できる目標の数は24に減らされている[4]

主センサーとしては、1135.1型や15型駆逐艦(デリー級)と同系列の3次元レーダーであるフレガートM2EMが採用された。これを補完する低空警戒レーダーとして、MR-352「ポジティブE」も搭載されている[1]。また艦対艦ミサイルの測的用を兼ねた対水上捜索レーダーとしてガルプンBも搭載された[2]

ソナーとしては、国産の中周波ソナーであるHUMSAをバウ・ドームに収容して搭載した[2]

なお電子戦装置としては、ASOR(TK-25E-5)電波探知妨害装置を搭載している[1][2]

武器システム[編集]

1135.1型からの最大の変更点が艦隊防空ミサイル・システムの搭載で、当時建造が進められていた15型駆逐艦(デリー級)と同系列のシュチーリ・システムが搭載された。ただし同級がミサイル単装発射機を2基、火器管制レーダーを6基備えていたのに対し、本級では、ミサイル単装発射機は1基、火器管制レーダーも4基と、いずれも縮小構成とされている。なお本システムのシステムインテグレートには困難が伴い、就役遅延の一因となった[2]

もう一つの大きな変更点が艦対艦ミサイルで、前期建造艦ではロシア製の3M-54E「クラブ-N」(SS-N-27)、後期建造型ではロシアとインドが共同開発したブラモスを搭載する。これらはいずれも8連装のVLSに収容されて搭載される[1][2]

対潜兵器はおおむね1135.1型を踏襲しており、RBU-6000 12連装対潜ロケット砲を艦橋構造物直前に、またPTA-53ロシア語版 533mm連装魚雷発射管を艦中部両舷に搭載する。このうち魚雷発射管は、対潜用のSET-65E魚雷とともに、対艦用の53-65の運用にも対応しており、対艦兵器としての性格もある[1][2]

近接防空用には、前期建造艦ではカシュタン複合CIWSを備えている。これはコールチク (CADS-N-1) の輸出モデルであり、GSh-6-30 30mmガトリング砲2門と9M311K(SA-N-11「グリソン」)近接防空ミサイルを組み合わせたものであった。後期建造艦では、AK-630M 30mmガトリング砲を搭載している[1][2]

艦砲としてはA-190E 100mm単装砲を1基備える。これは1135.1型や15型で搭載されたAK-100の改良型である。ただし、ロシア海軍が採用しているA-190の砲塔はステルス化されているが、タルワー級に搭載されている砲塔はステルス化されていない。艦橋構造物頂部の5P-10E「ピューマ」の射撃指揮を受けている[1][2]

航空機[編集]

本級は、1機の中型ヘリコプターを収容・運用することができる。その機種は、ロシア製のKa-28対潜哨戒ヘリコプター、またはインド国産のHAL ドゥルーブである。また、早期警戒機であるKa-31の搭載も考慮されている[2]

同型艦[編集]

一覧表[編集]

艦番号 艦名 起工 進水 就役 備考
F-40 タルワー
INS Talwar
1999年
3月10日
2000年
3月12日
2003年
6月18日
ロシア軍艦としての艦名は「ドゾルヌイ」(«Дозорный»
F-43 トリシュル
INS Trishul
1999年
9月24日
2000年
11月24日
2003年
6月25日
ロシア軍艦としての艦名は「ウダールヌイ」(«Ударный»
F-44 タバール
INS Tabar
2000年
5月26日
2001年
5月25日 
2004年
4月19日
ロシア軍艦としての艦名はSKR-23号(СКР-23
F-45 テグ
INS Teg[5]
2007年
7月27日
2009年
11月27日[6]
2012年
4月27日
F-50 タルカシュ
INS Tarkash
2007年
11月27日
2010年
6月23日[7]
2012年
11月9日[8]
F-51 トリカンド
INS Trikand
2008年
6月11日
2011年
5月25日
2013年
6月29日[9]

運用史[編集]

まず前期建造艦3隻の建造契約が1997年に締結され、1998年7月21日に確認された。また後期建造艦3隻の建造も1999年6月に承認され、2006年7月14日に確認された[1][2]

サンクトペテルブルク市のバルチースキィ・ザヴォート(バルチック造船所)英語版で建造された1番艦から3番艦は、一時ロシア軍艦籍に入った後、インド海軍に引き渡されている。ただし、これら3隻の建造に当たって、工事の不手際などによる引渡しの遅延などがあったため、3隻の追加発注分については、カリーニングラード市のヤンターリ造船所で建造されることとなった。なお、同造船所は、のちに本級をもとにしたロシア海軍向けのアドミラル・グリゴロヴィチ級フリゲートも建造している[10]

2016年10月には新たに契約が結ばれ2隻をロシアが製造し残り2隻を支援の元、インドの造船所が製造することとなった。この4隻はブラモスを装備するとされている[11]。後にロシアで建造する2隻は「アドミラル・ブタコフ」と「アドミラル・イストミン」であることが正式に明かされた[12]。2017年3月22日にインドでの供給と生産のための契約を締結したことが発表された[13]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p Stephen Saunders, ed (2009). Jane's Fighting Ships 2009-2010. Janes Information Group. p. 334. ISBN 978-0710628886. 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. pp. 277-279. ISBN 978-1591149545. 
  3. ^ Zorya-Mashproekt. “ÌARINE PROPULSION PLANTS (PDF)” (英語). 2016年5月18日閲覧。
  4. ^ 野木恵一「ロシア海軍注目の新艦載兵器 (特集・再生図るロシア海軍)」『世界の艦船』第675号、海人社、2007年6月、 90-95頁、 NAID 40015458630
  5. ^ India gives names to 3 frigates built by Russia
  6. ^ Russia floats out first frigate for Indian Navy
  7. ^ Russia floats out 2nd frigate for Indian Navy
  8. ^ Kaliningrad shipbuilders to transfer Tarkash frigate to India Navy
  9. ^ 「ニュース・フラッシュ インドの新造フリゲイト「トリカンド」Trikandが就役」 『世界の艦船』785集(2013年10月号) 海人社
  10. ^ 小泉悠「アドミラル・グリゴロヴィッチ級FFG (特集 世界の新型水上戦闘艦)」『世界の艦船』第782号、海人社、2013年8月、 96-97頁、 NAID 40019721131
  11. ^ Фрегаты проекта 11356 могут оснастить ракетами "БраМос"
  12. ^ Россия продаст Индии фрегаты, простаивавшие без украинских двигателей
  13. ^ Россия заключит в 2017 году с Индией контракт на поставку четырех фрегатов - РИА Новости, 22.03.2017

参考文献[編集]

関連項目[編集]

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