チャービル

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チャービル
Myrrhis odorata, Roomse kervel plant.jpg
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : キキョウ類 campanulids
: セリ目 Apiales
: セリ科 Apiaceae
: シャク属 Anthriscus[1][2]
: チャービル A. cerefolium [3]
学名
Anthriscus cerefolium
(L.) Hoffm. (1814) [4]
和名
ウイキョウゼリ(茴香芹)
英名
chervil[4]

チャービル (Anthriscus cerefoliumchervil) はセリ科シャク属に属する一年草パセリに類似する。フレンチパセリ(French parsley)、ガーデンチャービル[5]とも呼ばれる。マイルドな味わいの料理の風味付けに用いられ、フランス料理にも使用されるハーブである。仏名でセルフィーユ[5]、和名でウイキョウゼリ(茴香芹)[5]とも呼ばれる。

生態[編集]

チャービルはコーカサス地方原産であるが、ローマによりヨーロッパ中に広められ、現在では自生している[6]。アメリカ北東部などにも自生する。

40-70cmまで育ち、葉は三回羽状で巻いている。白くて小さい花は散形花序で、直径2.5-5cmである。果実は約1cmの細い楕円体か卵型である[6]。高さ12-24インチ、幅6-12インチに育つ[7]

パセリと似ている為混同されることがあるが、パセリとは栽培条件に差異がある。直射日光と湿気を嫌うので、日陰の窓辺、ベランダが栽培環境に適している。

歴史[編集]

文献に初出するのは紀元後、ローマの時代である。チャービルはかつて生垣や荒地に自生する一年生の雑草とみなされ、注意を払われることはなかった。19世紀後半、原産地がロシア南東部、コーカサス以南からイラン北部山地であることが判った。その後、食材として注目を集めるようになった。

チャービルの根[編集]

葉を食するチャービルとは異なるチャービル。根をとして食べられる。根を食するチャービルの葉には毒があり食べられない。芋用に育てられるチャービルは葉用のチャービルよりも太い根を持ち、品種が別物で19世紀には人気があったが、現在ではイギリスやアメリカではほとんど食べられず、フランス料理のスープやシチューの中でまだ使われている程度である。現在、産地はフランスロワール地方とブルターニュ地方で年間5トンとごく僅か。フランスのマルシェでは10月頃に出回る。中世の頃にロワール地方の貴族が北欧から持ち帰り栽培が始まった。第二次大戦後栽培されなくなったが、フランスロワール地方とブルターニュ地方でまた栽培が始められた。日本でも北海道で栽培が始められているらしい。

利用[編集]

食用、薬用に、茎、葉が利用される。

料理[編集]

チャービルを使ったサラダ

パセリの葉をマイルドにしたような香りが特徴で、チャイブ、バジル、タラゴンなどと共に家禽、魚介、野菜等の風味付けや、卵料理に用いられる[5]。フランスでは「美食家のパセリ」と呼ばれ、オムレツサラダスープドレッシング等に加えられ[5]、特に人気がある。

パセリよりも傷みやすく、スペインカンゾウのかすかな味がある。乾燥すると香りが落ちるので生のまま使うのが望ましいとされる。キリスト教圏では復活祭前の料理の材料に使われる[8]。またフランスでは、チャイブなどと組み合わせて作るミックスハーブであるフィヌゼルブの主要材料としても良く知られている[5]

栄養素としては、カロテンビタミンマグネシウムなどが含まれ、免疫力の強化に役立つとされる[5]

園芸[編集]

チャービルはナメクジ避けに用いられることがある。

医薬品[編集]

伝統的には様々な医薬用途に用いられてきた。妊娠した女性はチャービルを滲出した風呂に入り、チャービルのローションは石鹸として用いられ、また血液浄化剤としても用いられた。消化促進や血圧低下にも効果があると言われ、酢に浸出したものはしゃっくりの治療にも使われた[7]

栽培[編集]

チャービルの根は長いため、植え替えは難しい[7]。冷涼で湿った環境を好み、それ以外の環境では薹立ちという現象を起こしてすぐに種ができてしまう[7]。葉の収穫は薹立ちを防ぐのにも役立つ[7]

ギャラリー[編集]

出典[編集]

  1. ^ 大場秀章(編著)『植物分類表』アボック社、2010年、第2刷。ISBN 978-4-900358-61-4。
  2. ^ 米倉浩司『高等植物分類表』北隆館、2010年、重版。ISBN 978-4-8326-0838-2。
  3. ^ 米倉・梶田 (YList) はAnthriscus scandicina (F.Weber) Mansf.1939 をあてている
  4. ^ a b "'Anthriscus cerefolium (L.) Hoffm.". Tropicos. Missouri Botanical Garden. 1700828. 2012年8月14日閲覧
  5. ^ a b c d e f g 伊藤・野口監修 誠文堂新光社編 2013, p. 100.
  6. ^ a b Vaughan, J.G.; Geissler, C.A. (1997). The New Oxford Book of Food Plants. Oxford University Press 
  7. ^ a b c d e McGee, Rose Marie Nichols; Stuckey, Maggie (2002). The Bountiful Container. Workman Publishing 
  8. ^ 大槻真一郎、尾崎由紀子『ハーブ学名語源事典』東京堂出版、109ページ。ISBN 978-4-490-10745-6。

参考文献[編集]

  • Howard, Michael (1987). Traditional Folk Remedies. Century. p. 118 
  • バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(編)『世界の食用植物文化図鑑』山本紀夫(訳)、254ページ。
  • 伊藤進吾、シャンカール・野口監修 誠文堂新光社編『世界で使われる256種 ハーブ&スパイス辞典』誠文堂新光社、2013年12月23日、100頁。ISBN 978-4-416-61364-1。
  • 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Anthriscus scandicina (F.Weber) Mansf.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2012年8月14日閲覧。

関連項目[編集]