チリ国鉄の電車

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本項ではチリ国鉄 (EFE) に在籍している・もしくは在籍していた電車について記述する。チリ国鉄の広軌(1676 mmゲージ)路線は同国のバルパライソ州(第5州)以南、首都サンティアゴ・デ・チレ(以下サンティアゴとする)の南北を結んでいる。そのうち第8州までは幹線(チリ縦貫鉄道南部区間)が電化されている。最初の区間が電化された時期は1920年代で架線電圧直流3000Vとなっている。チリでの鉄道における旅客輸送の半数以上は現在、電車によって行われている。なお、チリ国鉄は上下分離政策により施設の保有と開発を担当する機能だけを残しており、列車の運行はいくつかの子会社により行われるようになっている。

以下で述べる車両のうち、AEZAELは日本製である。

AM(ドイツ製)[編集]

AM(ドイツ製)
基本情報
運用者
製造所 リンケホフマン
製造年 1940年~1942年(3両編成)
製造数 48両
運用開始 1942年
運用終了 2002年(定期運用終了)
主要諸元
編成 1編成3両(途中から4両)
軌間 1,676mm
電気方式 架空電車線方式直流3000V
最高運転速度 130km/h
編成重量
  • 3両:121.5t
  • 4両:162t
主電動機出力 1機あたり250hp
駆動方式 吊り掛け駆動方式
編成出力 2000hp
定格速度 70km/h
備考 諸元は[1]による
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1940年から1942年にかけてドイツで3両×12編成の計36両が製造された、チリ国鉄初の電車である。 車内の座席はモケット生地張り(後に客車に改造された車両はビニールレザーの生地に交換)の転換クロス式。 先頭電動車(Mc)2両が中間付随車(R)を1~2両中間に連結する事で1つの編成が出来上がる構造を採用しており、中間車と中間車の連結部分下には連接台車(イコライザー式)が設置されている。 1923年に電化されたサンティアゴ~バルパライソ間[2]の高速輸送およびバルパライソ近郊輸送(のちのMerval)を担当する事が導入当時の役目であったが、サンティアゴから電化区間が南へ向かうと伴にこのAMも運用範囲を広げ、最終的には南のテムコまで運用されるようになった。それと平行し輸送力強増を図るために1編成につき中間付随車を1両増結し4両となった。最終的には全ての編成に増結が行われ、1962年には同形式の増備車とも言える後述のイタリア製AM ITALIANO電車も登場した。

1980年代より老朽化による廃車が開始されたが、廃車を免れた編成や車両も存在し、2編成は客車に改造されUR-1UR-2として2002年まで活躍した。他にもいくつかの先頭車がパンタグラフもそのままに事業用車両に改造された。チリ国鉄は2019年現在もこのドイツ製AMを記念に保存している[3]

AM(イタリア製)[編集]

AM(イタリア製)
SAN ROSENDO.png
イタリア製のAM形電車(AM-21・廃車後)
基本情報
運用者 チリ国鉄
製造年 1961年1962年
製造数 20両
運用開始 1962年
運用終了 2002年
投入先
主要諸元
編成 1編成4両
軌間 1,676mm
電気方式 架空電車線方式・直流3000V
最高速度 130km/h
車両重量 182.5t
台車 連接台車(イコライザー式)
駆動方式 吊り掛け駆動方式
諸元は[4]および[5]より
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1961年1962年に後述のAMZとともにイタリアのブレダで4両×5編成(AE-21~25)・20両が製造された電車である。形式のAMが示すように前述のドイツ製AMの増備車であり、区別するためにAM ITALIANOと呼ばれる。吊り掛け駆動の主電動機やモケット張りの転換クロス式の座席、編成もイコライザー式の連接台車を使用するなど共通点が多く見られるが、新たに前面の貫通扉上に行き先や列車種別を示す方向幕が設置され、車体外窓下のヘッダーがなくなるなど新技術も多数取り入れられている。 1962年より運用を開始し、ドイツ製AMと同じく主にサンティアゴ~バルパライソ間やサンティアゴ~ランカグア間の運用に就いたが、運用によってはサンティアゴ~テムコ~チジャンの間の普通列車(各駅停車)にも使用された[4]。しかし、1980年代になると当時のピノチェト政権の政策により国の経済が悪化し製品や部品にかかる費用を十分に用意できず、自走が不可能な状態になった。そこで5編成のうちAM-22・AM-24・AM-25は運用を離脱、残りのAM-21とAM-23は運転台と車内電源供給用のパンタグラフは残しつつ、車体や車番もそのままに機関車に牽引される客車となった。客車となった後も引き続きサンティアゴ~タルカ~チジャン~コンセプシオンで運用され、1990年代後半にはコンセプシオンを中心としたビオビオ州の普通列車コルト・ラハでの運用に就いたが、後述のUT-440がバルパライソのMerval及びサンティアゴのメトロトレンに導入されたことにより、より新しく自走が可能なAESAELがビオビオ州に玉突きで転属。同じくコルト・ラハの運用に就いていた前述のドイツ製AMとともに置き換えられ、2002年に現役を退いた。このAM ITALIANOは最初に離脱した3編成を含め大半が民間に売却もしくは保管された。それらの一部は現存する。

AMZ[編集]

AMZ
J24 915 Bw Temuco, AMZ 51.jpg
AMZ形電車(テムコの鉄道博物館に屋外保存されているAMZ-51)
基本情報
運用者 チリ国鉄
製造所 ブレダG.A.I.
製造年 1961年
製造数 12両(4両編成×3編成)
運用開始 1962年[6]
運用終了 2002年[7]
投入先 チリ国鉄
主要諸元
編成 1編成4両
軌間 1,676mm
電気方式 架空電車線方式・直流3000V[6]
最高運転速度 130km/h[6]
台車 両先頭車の運転側以外は全て連接台車(イコライザー式)
駆動方式 吊り掛け駆動方式
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1961年1962年に前述のAM ITALIANOと同じ工場で並行して製造された電車である。構造もベースとなった前述のAM2形式と同じく先頭が電動車で中間が付随車となっているが、こちらは名前の最後にZ(Zalon=サロン)の頭文字がついているように特急など優等列車に使用するための設備が整っており、冷房装置が設置され、座席は大型のモケット張りのものとなっている[7]。窓は一部を除き固定式であり、車内側にはベネシャンブラインドも設置。また中間車のうち1両にはバーカウンターがあり、食事を提供することが可能。台車はAM2形式と同じく連接のイコライザー式を採用した。 運用範囲も前述のAM2形式と同じであるが、停車駅の少ない運用に使用され、1973年には同じ車内構成の増備車として後述の日本製AEZが登場したが、前述のAM ITALIANOと同じく1980年代に運転台などはそのままに客車として使用されるようになり、従来の昼行の他にサンティアゴ~コンセプシオン間の夜行列車にも使用されたが、後述のUTS-444の導入で運用に余裕が生まれたAEZに役目を譲り、2002年に引退した。引退後はAMZ-51がテムコの鉄道博物館に屋外展示されており、近年電車時代の姿に復元がなされている。

AEZ[編集]

AEZ
AEZ-44 del EFE Chile.jpg
AEZ形電車(AEZ-44・2002年11月・サンティアゴ中央(アラメダ)駅)
基本情報
運用者 チリ国鉄(EFE)
製造所 川崎重工業日立製作所
製造年 1973年
製造数 24両
運用開始 1973年
運用終了 2010年
主要諸元
編成 1編成4両(場合により3両で運用)
軌間 1,676mm
電気方式 架空電車線方式・直流3000V
最高運転速度 140km/h
設計最高速度 160km/h
車両重量 空車時:Mc車75.5t・T車63.1t・T'車62.3t
車体長 25.1m
台車 ウィングバネ式・KW5(電動台車)/KW6(付随台車)
主電動機出力 1機につき280kw
駆動方式 WN駆動
歯車比 3.05
出力 電動車1両につき280kW×4機(1120kw)
制御方式 抵抗制御(総括制御)
制御装置 抵抗器
制動装置 電磁直通ブレーキ(発電ブレーキ併用)・油圧式バネブレーキ
備考 固定軸距:2800mm・心皿間距離:18.0m・車輪径:1000mm・冷房装置:RPU-1504V
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1973年に日本から24両が輸出された特急電車である。AEZとはAutomotor Electrico Zalon(サロン電動車・ZalonはSalonのスペイン語綴り)の頭文字であり、川崎重工業で16両、日立製作所で8両が製造された。後述するAELとともに、輸出の仲介役となった商社である日商岩井(当時)が現地ではしばしば製造元だと勘違いされる。 編成はMc+R+R'+Mc(Rはスペイン語で付随車の意味)の4両編成で、R'車はバーつきサロン車となっている。座席は日本の国鉄電車のグリーン車並みの5段リクライニングシートで、足掛けもついている。サロン車には本格的な厨房もあり、また同車の客室には座席が向かい合う中央に取り外し可能なテーブルを設置可能。客室側面の窓は二重の大窓で、ベネシャンブラインドを備える。水洗便所は循環式である。客室天井の蛍光灯はグローブに覆われているが、予備の白熱灯を備えており、夜行列車での運用にも適応する。前面窓上部には竣工当時には方向幕が存在したが後に埋められ、そこに編成番号が表記されるようになった。気笛は低音かつ和音のホーンである。パンタグラフは菱形の大柄なものが両先頭車に各1基取り付けられているが、普段は進行方向の1基のみ上げて使用する。コイルバネ式の台車は、電動台車の場合重量が1台10tを超えるというもので、剛性が高く、広軌のスペース上の制約ゆえか、揺れ枕吊りが台車枠の内側にある。通常は4両で運用されるが、極稀にR車を抜いた3両でも運用される。一時期は最後部に別の客車を増結して使用される運用も存在したほか、一部編成には非電化区間にディーゼル機関車の牽引で直通するため、床下に車内電源供給用の発電機が搭載された。2001年に、軌道の状態が劣化し乗り心地が悪くなっていたサンティアゴとチヤンの間の軌道改良が日本政府の援助により完成し、同区間で本来の速度と乗り心地を取り戻した。 登場以来何度か車体や車内の改修を受けたが、後継車両に当たるUTS-444が導入されてからは運用に余裕が生まれ、前述のAMZに代わり主にサンティアゴとコンセプシオンとの間の夜行列車"Automotor Noctuno"に充当されたが、同列車が廃止になると予備車の扱いとなり、2010年に通常の運用から退いた。その後AEZ-44は綺麗に整備され時折サンティアゴ中央(アラメダ)駅等で展示されている。[8]


AEL[編集]

AEL
EFE AEL.jpg
AEL形電車(AEL-36・2002年タルカワノ・アレナル駅にて)
基本情報
運用者
製造所 川崎重工業日立製作所
製造年 1972年
製造数 32両
運用開始 1972年
運用終了 2013年
投入先 チリ国鉄(EFE)
主要諸元
編成 1編成がMc+R(T)+R'(T')+Mcの4両
軌間 1,676mm
設計最高速度 130km/h
車両重量 Mc車が72.3t・R(T)車が57.2t(どちらも1両辺りの空車時の重量)
駆動方式 WN駆動
歯車比 3.05
制御方式 抵抗制御(総括制御)
制御装置 抵抗器
制動装置 空気制動
備考 冷房装置はなし(非冷房)
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AEZと前後する1972年に日本から32両が輸出された中距離用電車である。AELとはAutomotor Electrico Local(電動普通車)の頭文字であり、川崎重工業で20両、日立製作所で12両が製造された。 編成は前述のAM2形式と同様のMc+R+R+Mc(Rはスペイン語で付随車の意味)の4両であるが、連接台車は採用せず、1両につき2つの頑丈なボギー台車が設置されている。車内はビニールレザー張りのセミクロスシートで、クロスシートの部分は転換式となっている。天井の蛍光灯はグローブつきであり、乗客用の側扉は両開きの自動ドアで、車体の片側に中間車には2箇所、先頭車には後位寄りに1箇所ある。これらの仕様も前述のAM2形式と共通している。 20年以上に渡りサンティアゴ(1990年を過ぎると近郊電車にはメトロトレンという愛称が付けられた)を中心とした運用を続けて来たAELだが、AEL-32・AEL-33は事故で先頭車が大きく損傷し廃車となり、1995~1996年頃にはAEL-31が離脱した[9]。2001年頃にAEL-31・35・36・37[9]UT-440に追われ、ビオビオ州(第8州)のコンセプシオン近郊でビオトレン普通列車として運用されるようになった。このうちAEL-31は他の3編成への部品供給用である。 その後もAEL-34とAEL-38がメトロトレンでの活躍を続けていたが、最後の編成となったAEL-38が2007年に引退した[10]。同車は離脱後はサンティアゴの留置線に留置されている[10]。 またビオトレンにおいてもUT-440-MCが導入および転入すると余剰となり、最後の編成となったAEL-37が2013年を最後に運用を退いた[11]。AEL-37は引退後もビオトレンの車両基地に留置されている。


AES[編集]

AES
Servicio Turistico Corto del Laja (24755842020).jpg
AES形電車(AES-11・2016年)
基本情報
運用者
製造所 Fiat-Materfer
製造年 1976年1977年
製造数 40両
運用開始 1976年
投入先
主要諸元
編成 2両×20編成
軌間 1,676mm
電気方式 架空電車線方式・直流3000V
最高運転速度 125km/h
設計最高速度 130km/h
編成定員 176席(2両)
編成重量 122.46t(2両)
主電動機 イギリスGEC製
主電動機出力 1機につき275kw(375hp)
駆動方式 吊り掛け駆動方式
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1976・1977年にイタリアフィアット社がアルゼンチンに持つ子会社のコンソーシアム名である"Fiat-Concord"の名義でフィアットの系列工場Materfer(Material Ferroviario SA)で製造された電車である。 編成はM'c-Tc(スペイン語ではTはRになる)の2両1ユニット構成であり、AES-1からAES-20までの2両×20編成=40両が製造された。AESとはAutomotor Electrico Suburbano[12]の頭文字である。前面の顔は前述のAM ITALIANOに似たものなっており、日本の小田急電鉄小田急4000形電車 (初代)などに見られる、いわゆる「小田急顔」にかなり近いものである。なおバルパライソMervalではAES-17およびAES-18・AES-20がM'c-T(後述するAES-1のTcを中間封じ込め)-Tcの3両を構成していたこともあった。 1両における客用乗降ドアの数は片側につき3枚であったが、1980年代にバルパライソに配置された編成の中には2枚に改造された車両も存在する。この2種類では車内の座席配置も異なっている。 窓および座席配置は下の通りである。

  • 3ドア編成:d2D1D1D3・セミクロスシート
  • 2ドア編成:d2D3D2トイレ窓1・クロスシート

どちらの仕様も基本的に前述のドイツ製AMの置き換えとしてバルパライソ近郊電車(Merval)で使用され、一時期はバルパライソ(プエルト)-サンティアゴ(マポーチョ)およびバルパライソ(プエルト)-ロスアンデスの間の比較的長い運用にも使用された[13]AESはまたいくつかの初期不良や座席が狭いことより "Cachos"(「ぽっちゃり」の意味:ここでは「問題を抱えた電車である」ということを皮肉している)いうニックネームで親しまれた。

1986年2月17日にAES-16+AES-4のプエルトサンティアゴ(マポーチョ)行きの電車とAES-9のロスアンデス発プエルト行きの電車が正面衝突する事故(ケロンケ鉄道事故)[14]が発生した。原因は過激派により、事故の3カ月ほど前に現場付近の橋が破壊され単線で応急処置されていたことに加え、信号ケーブルが老朽化で機能しておらず、更に一部のケーブルが盗まれていたことによるものであった。スペイン語版のこの事故についてのWikipediaによれば公式では58人が死亡したと伝えられたが、実際は159人の死者が出たという。 この事故以外にもAESは2回ほど過激派のテロリストによる攻撃の対象となっており、1980年代にはAES-1が、1999年5月23日にはAES-5・AES-10・AES-19が放火の被害に遭っており廃車となっている[15]。AES-1は電動車(M'c)のみの被害であったために前述の通り残ったTcはその後T車代用でAES-17・AES-18・AES-20に挟まれ3両の中間として活躍した[15]

20年に渡りバルパライソを中心に活躍してきたAESだが、1990年代の終わりにAES-8とAES-14がビオビオ州に転属しビオトレンで活躍を始めた。 バルパライソ近郊電車(Merval)では1990年代よりAESを派手な広告で包み話題となった。このように親しまれたバルパライソのAESも、2005年から2006年にかけてアルストム製の新型電車Alstom X'trapolis 100に全て置き換えられた。そして置き換えられたAESのうち中間T車代用の車両を除き、AES-3・AES-7・AES-11・AES-13・AES-15・AES-17・AES-18・そして最後までMervalで活躍したAES-20の計8編成が先に転属していた前述の2編成の後を追い、ビオビオ州に移動した。しかし8編成全てが使用される訳では無く、実際にビオビオ州での運用に入った車両はAES-11・AES-17・AES-18・AES-20の4編成のみであった。残りの4編成はビオビオ州内のいくつかの駅の側線に放置されたままとなっている[16]。ビオビオ州では、2005年よりビオトレン以外の州内普通電車であるコルト・ラハの運用にも就いている。 2019年現在、ビオビオ州で活躍する編成もAES-11とAES-17の2編成のみとなった。これらの2編成は予備車扱いであり、UT-440に検査などの事情で離脱する編成が出ると代走で使用される[12]ほか、レトロな内外装や吊り掛け駆動の音を楽しめるAutomotorとして時折貸し切りの団体列車にも使用される。


UT-435(未入籍)[編集]

1993年にチリ国鉄に1編成が導入された記録が残る、元スペイン国鉄435系電車である。この435系電車は1980年代にスペイン国鉄に在籍していた、スイス製の電気機器を搭載しSuizaと呼ばれる436系と437系・438系電車を体質改善した形式で、最終的に上記3形式から3両×23編成が改造された[17]。Mc(電動車)-R(付随車)-Mcの2M1Tで1編成を構成し、車内は革張りのクロスシートである[18]。運転台は他のスペイン国鉄やチリ国鉄の電車と同様の右側運転台であり、運転台と反対側の窓は行き先を表示する方向幕となっている。種車に存在した前面の貫通扉は埋められ左右非対称のデザインに改造されている。パンタグラフは赤色のシングルアーム型のものをMc(電動車)に2機搭載。なお、前述の通りこの譲渡の記録はスペイン側のみに存在しており[19][17]、チリには車両自体が上陸していない可能性が高く、詳細は不明。当時のチリ国鉄の整備基準では運用が不可能であったことが調査により判明し、譲渡が取り消されたということが事実と見られている[18]


UTS-444[編集]

UTS-444
EFE UTS-444.jpg
UTS-444形電車
2002年11月・サンティアゴ中央(アラメダ)駅にて
基本情報
運用者 トレンセントラル(チリ国鉄子会社)
製造所 CAFMACOSA
種車 レンフェ444系電車
改造年 2001年2005年
改造数 30両(3両×10編成)
導入年 2002年
総数 30両(3両×10編成)
運用開始 2002年
投入先 トレンセントラル(チリ国鉄子会社・列車名Terrasur)
主要諸元
編成 1編成につき3両
軌間 1,676mm
電気方式 直流3000V
最高運転速度 140km/h
設計最高速度 150km/h
起動加速度 0.30m/s2
編成定員 176人
車両定員
  • Rc車:36人
  • R車+Mc車:140人
編成重量 151t
編成長 79.864m
全長 1両あたり26.2m
2800mm
高さ 4196mm
台車 油浸円筒案内(1次バネ)・空気バネ(2次バネ)を使用
主電動機 三菱電機製MB-3165-C
主電動機出力 1機あたり290kw
駆動方式 WN駆動
歯車比 3.22
編成出力 1160w
定格速度
  • 制御方式 総括制御・抵抗制御
  • 制動方式 
制御方式 抵抗制御方式(総括制御)
制御装置 抵抗器
制動装置 電気指令式ブレーキ(Knorr Kbr XI-E・発電ブレーキ併用)・電磁吸着ブレーキディスクブレーキ(電動台車は輪心ディスク使用)
保安装置 SEC
備考

*固定軸距:2600mm(電動台車)・2500mm(付随台車)

  • 車輪径:1000mm
  • 冷房装置あり
諸元は[20][21]による
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スペイン国鉄(RENFE)にかつて在籍していた444系特急電車(Serie 444)を購入し、大幅にリニューアルしたものである。10編成購入し6編成が稼働している。編成はMc+R+Rc(Rはスペイン語でRemorque、付随車の意)からなる3両編成で、Rc車は「サロン・プレフェレンテ」と呼ばれる上級座席車両であり、客席は個別テーブルつきであり、通路を挟んで1-2人掛け。同車にはバーカウンターを備える。他2両の普通車両の座席は通路を挟んで2-2人掛けであり、座席の向きは集団向かい合わせ式で固定されている。便所は真空式であり、営業最高速度は140km/h。この電車が使用される列車にはTerraSurというブランド名が与えられ、サンティアゴとタルカおよびチジャンの間で運用されている。登場時は先頭の前面が黄色で車体側面が灰色と青色の塗装であったが、のちに車体全体が青色と白色を基調とした塗装に変更されている。


UT-440/UT-440-MC[編集]

UT-440UT-440-MC
UTMC 127 por Graneros (41489480352).jpg
UT-440-MC形電車
基本情報
製造所 CAFMACOSA
種車 レンフェ440系電車
改造年
改造数
  • UT-440:16編成(うち3編成は後にUT-440-MCに改造)
  • UT-440-MC:7編成(うち3編成はUT-440より再改造)
  • 総数 両形式合わせて3両×20編成=60両
    運用開始
    投入先
  • トレンセントラル(メトロトレン)
  • Merval
  • FESUR(ビオトレン)
  • ※全てチリ国鉄の子会社
    主要諸元
    編成 3両×20編成
    軌間 1.676mm
    電気方式 架空電車線方式・直流3000V
    最高運転速度 140km/h
    起動加速度
    • UT-444:0.35m/s2
    • UT-440-MC:0.3m/s2
    編成定員 333人
    編成長
    • UT-440:79.600mm
    • UT-440-MC:81.060mm
    主電動機出力 1機につき290kw
    編成出力 1.160kw
    備考 諸元は[22][23]より
    テンプレートを表示

    スペイン国鉄の440系近郊電車を、本国の更新車である440-R系及び470系とほぼ同様の外見に改造し購入したもので、1編成は3両である。車内は通路を挟み2-3人掛けのクロスシートで、スペイン時代のような2等級制にはなっていない。冷房装置は新たに床下に搭載された。1997年に最初の編成が陸揚げされ、1999年から運用を開始した。UT-440はチリ国鉄の子会社であるTrencentral(トレンセントラル)の手によりサンティアゴと周辺の都市を結ぶメトロトレンとして運用されている。 ビオビオ州とその周辺向けに追加で購入・改造されたもの(UT-440-MC)は前面デザインに差異が見られる。このデザインは"Modero Consepcion"と言うが、実際には名前の由来であるコンセプシオンのあるビオビオ州だけでなくメトロトレンでも運用される[23]。同州の近郊電車はビオトレンと称されチリ国鉄の子会社であるFESURにより運営されている。なお、バルパライソ近郊鉄道(Merval)に配置されたUT-440は2005年にメトロトレンとビオビオ州に転出している。UT-440の車両としての動力性能についてはUTS-444とほぼ共通であり、メトロトレンでは朝夕を中心に2編成を連結した6両での運用も存在する[22]

    X'Trapolis 100[編集]

    X'Trapolis 100 Merval
    Valparaíso runner....jpg
    バルパライソの近郊電車Mervalの主力であるX'Trapolis 100
    基本情報
    運用者 Merval
    製造年 2005年2006年
    製造数 54両
    運用開始 2005年11月24日
    投入先 Merval
    主要諸元
    編成 2両×27編成(計54両)
    軌間 1,676mm
    電気方式 直流3000V
    最高運転速度 120km/h
    設計最高速度 143km/h
    車体長 24.46m(1両・連結器含む)
    車体幅 3.05m
    高さ 3.65m
    主電動機 アルストム 4ECA 1836
    主電動機出力 1機あたり180kw
    編成出力 720kw
    定格速度 60km/h
    制御方式 VVVFインバーター制御
    制御装置 VVVFインバーター
    保安装置 ATP
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    2005年にバルパライソの近郊鉄道運営会社であるチリ国鉄子会社のMervalに導入された、フランスアルストムが設計・製造した2両1ユニットの近代的な電車である。 形式名の"X'Trapolis"はアルストムの製造・販売する近代的な近郊型車両のブランド名であり、コンセプトは"Flexible and Modular"[24]、すなわち「柔軟かつユニット方式で組み立てられる」という意味である。車体デザインは先にオーストラリアメルボルン近郊鉄道に導入された"X'Trapolis 100"をベースにしている。高性能なモーターと回生ブレーキを搭載し[24]IGBTVVVFインバーター制御により従来のAESに比べ大幅な使用電力の削減がなされている。 車内の座席配置は青いモケット生地張りのセミクロス式である。 吊り手は黄緑色に塗られ、分かりやすくなっている。混雑時に役立つつり革も2列用意され、客用の乗り降りドアはボタン式。冷房や自転車置き場も搭載している。


    X'Trapolis Modular[編集]

    Germancius-1448836986426.jpg
    バルパライソ近郊鉄道(Merval)で活躍する"X'Trapolis Modular"
    基本情報
    運用者
    製造所 アルストムバルセロナ
    製造年 2013年~2015年
    製造数 Mc+M'cの2両×24編成
    運用開始 2014年
    投入先 メトロトレンMerval
    主要諸元
    編成
    • トレンセントラル:2両×16編成
    • Merval:2両×8編成
    軌間 1,676mm
    電気方式 架空電車線電化方式・架線電圧直流3000V
    最高運転速度 120km/h
    設計最高速度 160km/h
    編成定員 376人
    車両定員 96人(1両あたりの着座定員)
    車両重量 1両あたり80.97t
    全長 1両あたり2.300mm(連結器間含む)
    2.940mm
    全高 4.960mm(パンタグラフ高含む)
    主電動機出力 1機につき320kw
    出力 1280kw(1両に4機)
    備考 諸元は[25]より
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    X'Trapolis Modularは2014年にトレンセントラル(メトロトレン)に、2015年[26]にバルパライソ近郊鉄道(Merval)に導入されたアルストム製の最新型車両である。最高運転速度は120km/h。メトロトレンでは2編成連結の4両もしくは3編成連結の6両、Mervalでは1編成単体2両での運用が多い。車内はクロスシートとなっている。このX'Trapolis Modularは他の車両の置き換えのために導入されたのではなく、増える利用者に対応するために導入された。


    ハイブリッド車両(形式名未定)[編集]

    2019年8月にチリ国鉄が発表した、UTS-444に替わる新たな優等車両である[27]。この車両は電気とディーゼルエンジンのどちらでも駆動することが可能な「ハイブリッド仕様」であり、電車としては最高速度160km/hで走行可能[28]。それによりUTS-444が4時間30分で走るサンティアゴ~チジャン間を最速3時間40分で走ることが可能となる[27]。ディーゼルエンジンは緊急時の他、チジャンから先に存在する架線が取り外された区間[29]で使用することを予想し、コンセプシオンまで直通が可能になる予定。さらに最終的にはチリの旅客鉄道の最南端の駅であるプエルトモント(休止中)まで運行する計画も存在する。2019年9月より国際的な入札を開始した。最終的に6編成が導入され、同時に運用される区間の設備の大幅な改良も行なわれる[28]

    中国中車製電車(形式名未定)[編集]

    2020年3月より導入され[30]、ビオトレンで活躍中の2編成が残るAESとUT-440を「全て」置き換える予定の中国中車製の電車である[31]。3両×10編成が導入予定であり、アルストムCAFと中国中車で入札を競った結果、中国中車が落札。非電化区間用の3両×2編成の気動車と共にビオトレンへの納入が決定した[30]。 車内はクロスシート車椅子スペースを配置し、混雑時にも対応できるよう吊り手棒の他につり革を設置。乗り降り用の自動ドア上と車内端の天井には案内用の電光掲示板も設置される予定である[32]。3両での定員は813人[32]

    脚注[編集]

    [ヘルプ]
    1. ^ https://www.trenesdechile.cl/ama.html#cabecera
    2. ^ https://elgrancapitan.org/foro/viewtopic.php?f=45&t=18877
    3. ^ https://www.railpictures.net/photo/707221/
    4. ^ a b https://www.trenesdechile.cl/
    5. ^ https://web.archive.org/web/20050910054121/http://members.fortunecity.es/amchileelect/amitalia.html
    6. ^ a b c https://www.trenesdechile.cl/amz.html
    7. ^ a b https://www.deviantart.com/xtrapolis/art/Amz-interior-3-29659598
    8. ^ https://www.flickr.com/photos/viasur/47967689973/in/photostream
    9. ^ a b http://treneschilenos-listadodeunidades.blogspot.com/2006/12/automotores-elctricos.html?m=1
    10. ^ a b https://www.flickr.com/photos/erikcespedes/7022856491
    11. ^ https://twitter.com/EmilioBeseler/status/982636683630907393?s=09
    12. ^ a b https://enelsubte.com/noticias/cuando-la-argentina-exportaba-trenes-electricos/
    13. ^ https://latragediadequeronque.wordpress.com/2013/11/21/los-trenes-de-la-muerte/
    14. ^ https://latragediadequeronque.wordpress.com/2013/10/25/la-peor-tragedia-en-la-historia-de-chile/
    15. ^ a b https://www.trenesdechile.cl/
    16. ^ https://www.jaracid.cl/?page_id=273
    17. ^ a b http://www.listadotren.es/motor/series.php?id=308
    18. ^ a b http://www.forotrenes.com/foro/viewtopic.php?f=9&t=1717&start=140
    19. ^ http://trenesytiempos.blogspot.com/2013/11/una-nueva-pero-corta-vida-para-las-600.html?m=1
    20. ^ https://www.trenesdechile.cl/
    21. ^ http://www.listadotren.es/motor/series.php?id=44
    22. ^ a b https://www.trenesdechile.cl/ut440bt.html#cabecera
    23. ^ a b https://www.trenesdechile.cl/ut440mt.html#cabecera
    24. ^ a b https://www.alstom.com/our-solutions/rolling-stock/xtrapolis-range-flexible-and-modular-suburban-trains
    25. ^ https://www.alstom.com/our-solutions/rolling-stock/xtrapolis-range-flexible-and-modular-suburban-trains
    26. ^ https://www.railjournal.com/passenger/commuter-rail/alstom-emus-enter-service-in-valparaso/
    27. ^ a b https://www.fayerwayer.com/2019/08/chillan-alameda-tren-rapido
    28. ^ a b http://www.efe.cl/sala-de-prensa/noticias/efe-inicio-licitacion-internacional-para-la-compra-de-trenes-para-el-nuevo-servicio-chillan-alameda
    29. ^ 前述のAEZを使用したサンティアゴ~コンセプシオンの直通夜行列車の廃止後、一部変電所が運用を停止し架線が取り外された区間が存在する。
    30. ^ a b https://www.railjournal.com/fleet/crrc-wins-chilean-multiple-unit-order/
    31. ^ https://www.diarioconcepcion.cl/ciudad/2018/10/27/china-se-adjudica-la-construccion-del-nuevo-biotren-carros-llegaran-en-2020.html?amp=1
    32. ^ a b https://www.soychile.cl/Concepcion/Sociedad/2018/09/08/555083/Realizaron-apertura-de-ofertas-economicas-para-adquirir-nuevos-en-el-Biobio-y-La-Araucania.aspx?fbclid=IwAR2Ks4FIkSMuRrX6DZqPOE9C_La0cwRIJcVpydZG_DBWwl0lwYYjEOCpceQ

    参考文献[編集]

    • 鉄道車両輸出組合報 (日本鉄道車両輸出組合)
    • 蒸気機関車から超高速車両まで (川崎重工業 車両事業本部)
    • Album de Material Rodante (スペイン語) (RENFE)
    • 鉄道ジャーナル別冊 年鑑'87 日本の鉄道 [1]

    参考ページとリンク[編集]

    関連項目[編集]

    参考文献内容[編集]

    1. ^ 鉄道ジャーナル社/第77ページ:「年間の出来事と87年の展望」-「2月17日:チリのサンチアゴ北西140kmのリマチェ近くで夜、衝突事故が起こり、少なくとも69人死亡。510人ケガ。現場は複線区間だが、1年前に過激派の爆弾テロで一部を破壊され単線運転していたうえ、通信線が切断されていたらしい。」