デルタドロメウス

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デルタドロメウス
Deltadromeus in Japan.jpg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 竜盤目 Saurischia
亜目 : 獣脚亜目 Theropoda
下目 : ?ケラトサウルス下目
Ceratosauria
: ?アベリサウルス科
Abelisauridae
亜科 : ?ノアサウルス亜科
Noasaurinae
: デルタドロメウス
Deltadromeus

デルタドロメウス (Deltadromeus) は後期白亜紀初頭の北西アフリカに生息していた大型肉食恐竜。全長は8メートル程度で、大きさの割には細身で軽量、脚も長く、おそらく足が速かったと思われる。それにちなみ「三角州の疾走者」という意味の属名が与えられた。頭骨などは発見されていないため、現在の復元はあくまで推定に基づく部分も多い。同時代の同地域にはカルカロドントサウルススピノサウルスなどのより大型の肉食恐竜も存在したが、主食となる獲物の対象を変えることで共存が成立していた。(スピノサウルスは魚類を、カルカロドントサウルスは大型の植物食恐竜を主な捕食対象にしていた可能性が高い。デルタドロメウスはその軽快な体つきから、身軽で逃げ足の速い小型から中型の植物食恐竜を主な獲物としていたとも推測される)

かつては、南米やアフリカで繁栄したアベリサウルス類(ケラトサウルス類の一派)のうち、小型種であるノアサウルスに近いとみられていたが(右の分類はそれに基づく)、原始的なコエルロサウルス類オルニトレステスなどに近い系統のものが大型化した種ともいわれる。一方でエラフロサウルスリムサウルスなどの軽量で原始的なケラトサウルス類の類縁であるという見解もある。いずれの説にせよ、近縁が小型種ばかりの系統の中で例外的に大型化した特異な種であり、既知の大型肉食恐竜に近縁のものはいない、という点が共通している。更に2016年に至ってはネオヴェナトルに近いアロサウルス上科の一員で軽量化した特殊な種ではないかという説も浮上しており、化石の少なさも相まって未だに分類が揺れている。

概要[編集]

ケムケム層(セノマニアン期、約9500万年前)で発見された単一の種 (D. agilis)の一個体分の標本のみで知られる。バハリアサウルスのジュニアシノニムである可能性がある[1]。デルタドロメウスはしばしばケラトサウリア、より詳しくはノアサウルス類のメンバーと考えられる。2016年、グアリコとして知られる南アメリカ大陸の獣脚類にデルタドロメウスとの共通点が見出された。グアリコの系統的位置に応じて、デルタドロメウスは、グアリコとの密接な関係が正当なものである場合、ネオヴェナトル類、カルノサウルス類ティラノサウルス類、または基盤的コエルロサウルス類であった可能性がある[2] [3][4]


ケラトサウリアとしてのデルタドロメウス[編集]

元記載以来発表されてきた多くの研究では、デルタドロメウスはケラトサウリアであると見なされてきた。しかしどの種類のケラトサウリアとも異なっているため研究結果は一致していない。 2003年のある研究では、ノアサウルス科のメンバーであることが示唆された。原始的なケラトサウリアであるエラフロサウルスまたはリムサウルスと近縁な植物食性動物である可能性がある[5][6][7]2016年に公開されたノアサウルス科の系統関係に関するより包括的な研究では、これらの解釈の両方が本質的に正しく、デルタドロメウス、リムサウルスおよびエラフロサウルスはすべてノアサウルス科内にあることがわかった[8]。 リムサウルスの個体発生的変化と系統分析に対する幼若分類群の影響を説明する2017年の論文では、どのリムサウルス標本が使用されたかに関係なく、すべての分析においてデルタドロメウスがノアサウルス類として位置付けられた。それらの分析にはグアリコやアオニラプトルも含まれる。この論文の著者によると、「グアリコ、アオニラプトル、デルタドロメウス」およびメガラプトラの系統的位置を解明することは、現在の獣脚類系統学が直面している最も重要な問題の1つである[9]

以下のクラドグラムは2016年のロウハットらの研究に基づく[8]

アベリサウルス上科 

アベリサウルス科 Carnotaurus 2017.png


ノアサウルス科

ラエヴィスクス



デルタドロメウスDeltadromeus silhouette.svg



エラフロサウルス亜科

リムサウルスLimusaurus runner (flipped).jpg




CCG 20011



エラフロサウルスElaphrosaurus (flipped).jpg




ノアサウルス亜科

ヴェロキサウルスVelocisaurus.jpg



ノアサウルス Noasaurus-sketch3.jpg



マシアカサウルスMasiakasaurus BW (flipped).jpg






脚注[編集]

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  1. ^ Holtz, Thomas R. Jr. (2008) Dinosaurs: The Most Complete, Up-to-Date Encyclopedia for Dinosaur Lovers of All Ages Supplementary Information
  2. ^ Sebastián Apesteguía; Nathan D. Smith; Rubén Juárez Valieri; Peter J. Makovicky (2016). “An Unusual New Theropod with a Didactyl Manus from the Upper Cretaceous of Patagonia, Argentina”. PLoS ONE 11 (7): e0157793. Bibcode2016PLoSO..1157793A. doi:10.1371/journal.pone.0157793. PMC: 4943716. PMID 27410683. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4943716/. 
  3. ^ Matías J. Motta; Alexis M. Aranciaga Rolando; Sebastián Rozadilla; Federico E. Agnolín; Nicolás R. Chimento; Federico Brissón Egli; Fernando E. Novas (2016). “New theropod fauna from the Upper Cretaceous (Huincul Formation) of northwestern Patagonia, Argentina”. New Mexico Museum of Natural History and Science Bulletin 71: 231–253. https://www.researchgate.net/publication/304013683. 
  4. ^ Porfiri, Juan D; Juárez Valieri, Rubén D; Santos, Domenica D.D; Lamanna, Matthew C (2018). “A new megaraptoran theropod dinosaur from the Upper Cretaceous Bajo de la Carpa Formation of northwestern Patagonia”. Cretaceous Research 89: 302–319. doi:10.1016/j.cretres.2018.03.014. 
  5. ^ Wilson Sereno, Srivastava Bhatt, Khosla , Sahni (2003). “A new abelisaurid (Dinosauria, Theropoda) from the Lameta Formation (Cretaceous, Maastrichtian) of India”. Contr. Mus. Palaeont. Univ. Mich. 31: 1–42. 
  6. ^ Carrano , Sampson (2008). “The Phylogeny of Ceratosauria (Dinosauria: Theropoda)”. JSysPaleo 6 (2): 183–236. doi:10.1017/s1477201907002246. https://semanticscholar.org/paper/97ba4ba82753286ee9a105aeec4d97ec2d5fc585. 
  7. ^ Xu X.; Clark J.M.; Mo J.; Choiniere J.; Forster C.A.; Erickson G.M.; Hone D.W.E.; Sullivan C. et al. (2009). “A Jurassic ceratosaur from China helps clarify avian digital homologies”. Nature 459 (18): 940–944. Bibcode2009Natur.459..940X. doi:10.1038/nature08124. PMID 19536256. http://doc.rero.ch/record/209594/files/PAL_E4066.pdf. 
  8. ^ a b Rauhut, O.W.M., and Carrano, M.T. (2016). The theropod dinosaur Elaphrosaurus bambergi Janensch, 1920, from the Late Jurassic of Tendaguru, Tanzania. Zoological Journal of the Linnean Society, (advance online publication) doi:10.1111/zoj.12425
  9. ^ Wang, S.; Stiegler, J.; Amiot, R.; Wang, X.; Du, G.-H.; Clark, J.M.; Xu, X. (2017). “Extreme Ontogenetic Changes in a Ceratosaurian Theropod”. Current Biology 27 (1): 144–148. doi:10.1016/j.cub.2016.10.043. PMID 28017609. http://www.cell.com/current-biology/pdf/S0960-9822(16)31269-6.pdf. 

関連項目[編集]