トクサ

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トクサ Equisetum hyemale
Equisetum hyemale.jpg
トクサ
分類
: 植物界 Plantae
: シダ植物門 Pteridophyta
: トクサ綱 Equisetopsida
: トクサ目 Equisetales
: トクサ科 Equisetaceae
: トクサ属 Equisetum
: トクサ E. hyemale
学名
Equisetum hyemale L.[1]
シノニム

Equisetum hyemale L. var. ramosum Honda[1]

和名
トクサ、エダウチトクサ[1]
変種
  • ハマドクサ Equisetum hyemale L. var. schleicheri Milde[1]
トクサの花(胞子葉群)
仕上研磨材となるトクサの顕微鏡写真、2-1-0-1-2は1mm間隔、1/20mm目盛、無数のケイ酸の蓄積が見える。

トクサ(砥草、木賊、学名Equisetum hyemale)は、シダ植物門トクサ科トクサ属の植物。

生態[編集]

北半球亜寒帯南部から温帯北部にかけての広範囲、日本では北海道から本州中部にかけての山間の湿地に自生するが、観賞用などの目的で栽培されることも多い。表皮細胞の細胞壁にプラントオパールと呼ばれるケイ酸が蓄積して硬化し、砥石に似て茎でものを研ぐことができることから、砥草と呼ばれる[2]

地下茎があって横に伸び、地上茎を直立させる。茎は直立していて同じトクサ科スギナやイヌドクサ、ミズドクサの様に枝分かれせず、中空で節がある。茎は触るとザラついた感じがし、引っ張ると節で抜ける。節の部分にはギザギザのはかま状のものがあって、それより上の節の茎がソケットのように収まっているが、このはかま状のぎざぎざが葉に当たる。茎の先端にツクシの頭部のような胞子葉群をつけ、ここに胞子ができる。

トクサ科の植物は石炭紀から存在すると言われている。石炭紀の大気は助燃性を持つ酸素の濃度が高かったため、稲妻などにより引き起こされる野火のリスクは現在よりもはるかに高かった。トクサは耐火性のあるケイ酸を蓄積することで、野火から生き延びるよう進化したと考えられている[3]

利用[編集]

観賞用に坪庭に植えたり、生け花の客材などに用いられる。なお、土壌を選ばず地下茎を伸ばして広範囲に繁殖を広げる性質があるため、庭植えには注意が必要である。

古来、茎を煮て乾燥したものを研磨の用途に用いた。「とくさ」(砥草)の名はこれに由来している。紙やすりが一般的な現代でも高級つげぐしの歯や漆器の木地加工、木製品の仕上げ工程などに使用されている。クラリネットなどの葦製リードを磨いて調整するのにもトクサが用いられる。また、瀧廉太郎は身だしなみとして常々トクサでを磨いていたとされる。アイヌ語ではトクサを「シプシプ」と呼ぶが、これも物を磨く際のオノマトペに由来する名である。

茎を乾燥したものは木賊(もくぞく)と呼ばれる生薬で、その煎液を飲用すると目の充血や涙目に効果があるとされる。

文学[編集]

小話に、明治時代の郵便夫が、草鞋があまりに擦り減るのを嘆き、擦り減らなさそうな材料としてトクサを使う話がある。その結果、足先から擦り減って頭だけになった郵便夫は、頭を鞄に片づけて帰ったという落ちである。

「木賊刈る」は秋の季語

乾燥したトクサ。最も目の細かい紙やすりと同等に使われる。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList、2013年3月23日) Archived 2012年6月15日, at the Wayback Machine.
  2. ^ “トクサ Equisetum hyemale L.”. http://www.digital-museum.hiroshima-u.ac.jp/~main/index.php/%E3%83%88%E3%82%AF%E3%82%B5 2015年12月26日閲覧。広島大学 > デジタル自然史博物館 > 植物 > 郷土の植物 > 維管束植物 >トクサ 
  3. ^ Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology Volume 75, Issue 3, August 1989, Pages 223-240
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