トナー

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粉砕トナー粒子.png

トナー(英:toner)は、画像形成技術における着色材料として、インクとともに最も代表的な形態のものである。 トナーという言葉はtonerという原語で考えれば文字通りトーンを与えるもので、すなわち着色剤であるから特に粉状のものを指す限定的な意味は無いわけではないが、C.F.カールソンの発明になるゼログラフィーシステムにおける着色用粉体をトナーと呼んだ経緯からトナーにはインクと異なる『粉』状着色剤のイメージが付随している。 トナーには液体トナーと言うものも存在しているで粉体に限るものでもないことは明らかであるが、液体トナーにおいてその実体は微粒子の分散系であるから、粉体を空中ではなく液中に存在させたものと言うこともできる。そのように考えると、トナーとは微粒子による着色を行う着色材料であると言える。[1]

トナー技術の歴史について[編集]

トナー技術は1938年C.F.カールソンによるゼログラフィー技術の発明に伴って発生したものであり、そのプロセスや製品の発達の歴史と歩調を合わせて発展してきている。 粉体トナーと液体トナーの歴史は好対照であり、当初よく用いられた液体トナーは粉体トナー技術の発展に伴い急速に利用が衰退したが、近年になって粉体トナーの画質限界が問題になってくると再び注目され、小ロット印刷機に用いられるようになっている。 粉体トナーの歴史は2成分トナーに始まり、1成分磁性トナー、1成分非磁性トナーという順序で開発が進んできたが、これらはあとで発明されたものが優れているという性質のものではなく、その特性が用途によって使い分けられている。最近では重合トナー製法の発明との利用の活発化が特筆される。[2]

トナー製造方法バリエーションついて[編集]

トナーの製造方法として従来から最も標準的に用いられてきた方法は樹脂顔料等の材料を混錬し作成したバルクを粉砕して微粒子を作成する粉砕法である。 これに対し、画像の高画質化のニーズが高まってくるとトナーの『粒子の大きさを一定の狭い範囲に収める』『形状を球形に近くする』という要求が高まり、従来の粉砕法では実現が難しくなり代わりに最近利用が増えてきているの製造方法が重合法である。 重合法は、高分子モノマーからポリマーを液中で合成する方法であり、形状の整った球形のトナーが狭い粒子のばらつき範囲内に製造可能であることから高画質の画像形成に威力を発揮する。[3]

トナーのサイズについて[編集]

トナー粒子は、大きすぎれば画像解像性が悪くなって(例えば20μm以上になると)明視距離で良好な画像を形成できなくなる。細かければ良いというわけでもなく、静電力に対して付着力、凝集力(ファンデルワールス力が主体)が強くなり、種々のトラブルの原因となる。また、粉砕に必要なエネルギーコストも大きくなる。 実用化されているトナーの粒径は5~20μmの範囲にあり平均粒形を小さくして画質を改善したいという動きは認められるが、小粒径化にはいろいろ問題も伴っておりこの20年間あまり大きく変わっていない。 ただ、粉砕分級技術のの進歩により粒度分布が狭くなって実用性能は大幅に改善されている。[4]

カラートナー用色材について[編集]

アナログ式のカラー複写機・カラープリンターでは色補正が不可能であったため不正吸収を少なくするため比較的シャープな吸収を持つ色材である染料が使用されていた。 しかしながら、近年では色補正処理が可能であること、染料顔料に比べ高価且つトナーの帯電性への影響が大きいことなどの理由から、ほとんどのカラートナーの色材には顔料が使用されている。

  • シアン顔料には、銅フタロシニアン(ピグメント・ブルー15:3)
  • マゼンタ顔料には、2,9-ジメチルキナクリドン(ピグメント・レッド122)または、カーミン6B(ピグメント・レッド57:1)
  • イエロー顔料には、ジスアゾ・イエロー(ピグメント・イエロー12,14,17)

の色材を使用している。[5]


トナーカートリッジについて[編集]

トナーをユーザーが簡単に交換できるカートリッジに収めたもの。種類としては、純正トナーカートリッジ、汎用トナーカートリッジ(NBトナーカートリッジ)、再生トナーカートリッジ(リサイクルトナーカートリッジ)、互換トナーカートリッジ、模倣トナーカートリッジなどがある。

純正トナーカートリッジ[編集]

プリンター本体の製造メーカーが国内向けに生産する新品のトナーカートリッジです。プリンタ本体のメーカーが提供しているため、品質が最も安定しています。 しかし、価格についてはトナーカートリッジの中では一番高い価格で販売されています。

主な国内純正トナーカートリッジメーカーは以下の通り。

汎用トナーカートリッジ(NBトナーカートリッジ)[編集]

プリンター本体製造メーカー以外の企業が生産している新品のトナーカートリッジです。ノーブランドやOEM品とも呼ばれます。 メーカーブランドはついていませんが、品質は安定しており、基本的に純正と同等です。メーカー正規品ではないため価格は少し安く販売されています。

再生トナーカートリッジ(リサイクルトナーカートリッジ)[編集]

純正品の使用済みトナーカートリッジを回収し、洗浄・修理・再生した製品です。印字枚数等の仕様は純正品と同じですが、品質は製造会社によって異なるため価格の比較だけで購入するのではなくいろいろな側面(印字品質や製造元のアフターフォロー、保証体制など)を比較して選ぶことが必要です。 価格についてはかなり安価で販売しているので、品質の良い再生トナーカートリッジを選ぶことができれば大きなコストダウンが可能です。

主な再生トナーカートリッジメーカーは以下の通り。

互換トナーカートリッジ [編集]

純正品をリユース・リサイクルした製品ではなく、新たに製造した製品。純正品の知的財産権を侵害している違法製品も存在します [6]

模倣トナーカートリッジ [編集]

何らの権限がないにもかかわらず純正品を模倣した製品。純正品または再生品(リサイクル品)として販売され純正品の知的財産権を侵害している場合もあります [7]

出典[編集]

  1. ^ 面谷信ほか(『トナーおよびトナー材料の最新技術』)株式会社シーエムシー、2000年2月25日、1貢を参照
  2. ^ 面谷信ほか(『トナーおよびトナー材料の最新技術』)株式会社シーエムシー、2000年2月25日、5貢を参照
  3. ^ 面谷信ほか(『トナーおよびトナー材料の最新技術』)株式会社シーエムシー、2000年2月25日、4貢を参照
  4. ^ 相田純考ほか(『電子写真技術の基礎と応用』)株式会社コロナ社、1988年6月15日、465貢を参照
  5. ^ 高橋恭介ほか(『ディジタルハードコピー技術と材料』)株式会社シーエムシー、1999年7月31日、120貢を参照
  6. ^ 模倣品への対応 互換品”. 一般社団法人日本カートリッジリサイクル工業会. 2019年5月14日閲覧。
  7. ^ 模倣品への対応 模倣品”. 一般社団法人日本カートリッジリサイクル工業会. 2019年5月14日閲覧。

関連項目[編集]