トヨタ・プログレ
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トヨタ・プログレ JCG1#型 | |
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NC250 ウォールナットパッケージ 前期型(1998年5月 - 2001年4月) NC250 ウォールナットパッケージ 前期型(リア) | |
販売期間 |
1998年5月14日 - 2007年5月31日 |
設計統括 |
野口満之 奥平総一郎 |
乗車定員 | 5人 |
ボディタイプ | 4ドアノッチバックセダン |
エンジン |
2JZ-GE 3.0L 直6 DOHC 1JZ-GE 2.5L 直6 DOHC 2JZ-FSE 3.0L 直6 直噴 DOHC 1JZ-FSE 2.5L 直6 直噴 DOHC |
駆動方式 | FR / 4WD |
変速機 | 5速 / 4速AT |
サスペンション | 4輪ダブルウイッシュボーン |
全長 |
前期型:4,500mm 後期型:4,510mm |
全幅 | 1,700mm |
全高 | 1,435 - 1,450mm |
ホイールベース | 2,780mm |
車両重量 | 1,460 - 1,600kg |
最小回転半径 | 5.1 - 5.6m |
後継 |
トヨタ・SAI ※事実上。ただし登場まで2年間の空白期間あり |
-自動車のスペック表- |
プログレ(Progrès)は、トヨタ自動車が1998年5月から2007年5月[1]まで販売していたセダン型の普通乗用車である。
概要[編集]
メルセデス・ベンツ・CクラスやBMW・3シリーズ[2]に該当する「小さな高級車」をキャッチコピーとし、車体全幅を小型自動車(5ナンバー)枠相当である1,700mmに、また全長も4,500mm(後期型は4,510mm)と極めてコンパクトに抑えていることが特徴である[3]。車格はDセグメントないしフルCセグメント(1990年代当時での基準)に相当するものの、ホイールベースは販売当時の10/11代目クラウン(Eセグメント・全長4,820mm)と同等の2,780mmを誇り、居住空間は十分な広さを確保している。
エンジンは直列6気筒排気量3,000cc(NC300)ないし、2,500cc(NC250)の自然吸気ガソリンエンジン。駆動方式はFR(NC300・NC250)ないし4WD(NC250 Four)。プラットフォームは8代目マークII系、足回りは10代目クラウン系である。
エクステリア・インテリア共に極めて保守的なデザインであるが、本車のチーフエンジニア(CF)である野口満之は同時期にフルモデルチェンジした2代目センチュリーのCFを兼任しており、プログレの特徴である丸型2灯と縦型2で構成されるフロントマスクと類似したイラストが、2代目センチュリーのデザイン案として提案されていた(カースタイリングによる)。
品質はクラウン以上のセルシオ品質と謳われ、全車塗装は全色5層コート、吸音材を多用(静粛性向上)、装備もレーダークルーズコントロール、本革シート、高性能オーディオ等が用意され、カーテンエアバッグやNAVI・AI-SHIFTは日本車では初搭載となるなど、当時の最新のテクノロジーも盛り込まれていた。特筆に価する点として、NC300・NC250ともに本木目のパネル・ドアトリム・コンビステアリングホイール・シフトレバーノブ・ウィンカー/ワイパーレバーノブを有す「ウォールナットパッケージ」(2004年4月まではさらに本木目柄の異なる「ノーブルインテリアパッケージ」を用意)のオプションが用意されている(1998年当時、本木目の内装を持ち一般販売されていたトヨタ車はセンチュリーとセルシオのみであり、クラウンはもとより2/3代目クラウンマジェスタでさえ全車木目調である[4])。
センチュリーと同じくエクステリアやインテリアにトヨタのCIエンブレムが付いていない数少ない車種であり、代わりに車名の頭文字「P」をあしらったエンブレムが、フロントグリル、トランクリッド、ホイールセンターキャップ、ステアリングホイールおよびキーに付けられている。これは、既存のトヨタのセダン系車種ヒエラルキーに属すことを否定したためとされている。また、グレード名に冠される「NC」は「NEO CATEGORY」の頭字語であった。
マイナーチェンジ後の2001年6月には、全幅・全長をやや拡大してスタイリングも若々しくした姉妹車ブレビスを発売開始。
しかしながらプログレ・ブレビス共に販売台数は伸びず、2007年5月、販売不振・車種整理の対象とされたため販売終了。9年の歴史に幕を下ろした[5]。要因として、保守的過ぎたエクステリア・インテリアのほか、同クラスの他のFRセダンとの差別化が図れず[6]、サイズの割にコストが掛かり高額であったこと[7]、当時は「小さな(国産)高級車」が受け入れられなかったことがあげられる。
事実上の後継車はミドルクラスのハイブリッドカーのSAIである。 また本来の目標であった「Cクラスや3シリーズに対抗するプレミアムコンパクト」という点では、そもそもアルテッツァ時代からそれらを対抗車種としてきたIS(XE20系と120系マークXで比べると「短いボディ」に「大排気量エンジンの設定」という点でも符合)が該当する。 車の性格上、チューニングベースに用いられることはほぼないが、「JZエンジンでFR、かつ不人気で中古車価格が安く、短い全長で運転がしやすい、他のJZエンジン搭載車と異なり乱暴に扱われた個体が存在しない」といった理由で、大掛かりな改造を施してドリフトのベースとして使用されることがある。
初代 XG10型(1998年-2007年)[編集]
年表[編集]
- 1997年10月 - 第32回東京モーターショーにてNC250として参考出品。開発当初は「ニューロン」という名前で発売予定だった。
- 1998年5月14日 - 発表。搭載エンジンは1JZ-GE(NC250・NC250Four)、2JZ-GE(NC300)。
- 1999年5月 - 専用パーツを使用し足回りをチューンしたスポーティグレードとしてiRバージョンを追加。
- 12月 - 4WD追加。
- 2000年4月 - 一部改良。オプションでサペリマホガニーを使用するウッドパネルも選択可能に。
- 2001年4月11日 - マイナーチェンジ実施。主にフロントグリル・トランクリッド部・アルミホイールの意匠を変更、またボディカラーの見直しを行っている。エンジンは直噴(D-4)化され、変速機は5速ATに変更された(4WDを除く)。また、良-低排出ガス(☆)の認定を受け、排出ガス記号が「GF」から「TA」となる。
- 2002年11月20日 - NC250に特別仕様車「プライムセレクション」を追加。
- 2004年4月 - 一部改良。ディスチャージヘッドランプを全車標準装備化。”iRバージョン”、”ノーブルインテリアパッケージ”を廃止。
- 2005年12月6日 - 一部改良。定速クルーズコントロールを全車標準装備化。
- 2007年5月 - 生産・販売終了。 販売期間中の新車登録台数の累計は7万8019台[8]
販売店[編集]
車名の由来[編集]
フランス語の「進歩」「進取」から。
脚注[編集]
- ^ デアゴスティーニジャパン「週刊日本の名車」第47号 9ページより。
- ^ 当時のトヨタ公式の映像カタログでは、プログレ NC300を1997年モデルのW202 C280およびE36 328iと比較している。
- ^ プログレの寸法は、1998年当時販売されていた同社のT210型コロナプレミオやS11型コンフォート並とコンパクトさを謳っていた。
- ^ 本木目パネルはそれ以前に初代ウィンダム(1991年~1996年)でも採用された。2000年7月、アリストにS300ウォールナットパッケージが追加され、2004年登場の4代目クラウンマジェスタが全車本木目パネルが標準装備となった。
- ^ ブレビスは6年。
- ^ 2003年にクラウンが「ゼロ・クラウン」こと12代目に、2004年にマークIIがマークXに、2005年にアリストとアルテッツァがレクサスブランドのGSとISにそれぞれモデルチェンジした。これらはプラットフォームの刷新に加え、エンジンを直6のJZ系からV6のGR系へ転換し、デザインも大幅に若返りを図るなどの大変革を行った。
- ^ 2005年12月最終モデルプログレのカタログ記載メーカー希望小売価格(税抜)は322万~420万円、対して2002年10月最終モデル11代目クラウンロイヤルは295万~442万円と、プログレの新車価格は事実上クラウン以上であった。
- ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第47号9ページより。
関連項目[編集]
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