トルクメニスタン

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トルクメニスタン
Türkmenistan
Туркменистан
トルクメニスタンの国旗 トルクメニスタンの国章
国旗 国章
国の標語:なし
国歌独立、中立、トルクメニスタンの国歌
トルクメニスタンの位置
公用語 トルクメン語ロシア語
首都 アシガバート
最大の都市 アシガバート
政府
大統領 グルバングル・マリクグルイェヴィチ・ベルディムハメドフ
首相 グルバングル・マリクグルイェヴィチ・ベルディムハメドフ[注 1]
面積
総計 488,000[1]km251位
水面積率 極僅か
人口
総計(2012年 5,200,000人(???位
人口密度 10人/km2
GDP(自国通貨表示)
合計(2017年 1,327億[2]トルクメニスタン・マナト
GDP (MER)
合計(2017年 379億[2]ドル(95位
GDP (PPP)
合計(2017年1,037億[2]ドル(83位
1人あたり 18,164[2]ドル
独立
 - 日付
ソビエト連邦より
1991年10月27日
通貨 トルクメニスタン・マナト (TMM) (£)
時間帯 UTC +5(DST:なし)
ISO 3166-1 TM / TKM
ccTLD .tm
国際電話番号 993
  1. ^ トルクメニスタンでは憲法英語版規定により大統領自身が兼任している。

トルクメニスタントルクメン語: Türkmenistan / Түркменистан)は、中央アジア南西部に位置する共和制国家カラクム砂漠が国土の85%を占めており、国民のほとんどは南部の山沿いの都市に住んでいて、豊富な石油天然ガスを埋蔵する。西側でカスピ海に面し、東南がアフガニスタン、西南にイラン、北東をウズベキスタン、北西はカザフスタンと国境を接する。首都はアシガバートで、永世中立国である。旧ソビエト連邦の構成国であったが、1991年に独立した。

国名[編集]

正式名称はトルクメン語で、Türkmenistan / Түркменистан。公式の英語表記は、Turkmenistan。国民・形容詞ともTurkmen。

日本語の表記は、トルクメニスタン漢字による当て字土耳古斯坦

トルクメニスタンとは「トルクメン人の土地」を意味する。

歴史[編集]

首都であるアシガバードの郊外には人類最古の農耕集落遺跡の一つであるアナウ遺跡、および紀元前2世紀または3世紀頃のパルティア王国(漢名「安息国」)の発祥地とされるニサ遺跡がある。またこの時代、現在のアシガバードの位置に小さな集落があったが、その後、サーサーン朝ペルシアの領土となった。6世紀には遊牧民テュルク系民族に、7世紀からはイスラム帝国ウマイヤ朝およびアッバース朝)に支配された。9世紀からサーマーン朝セルジューク朝ガズナ朝ホラズム王国などの領地となる。13世紀にはモンゴル帝国が侵攻し、イル・ハン国ティムール朝の統治下となる。

16世紀以降、ヒヴァ・ハン国ブハラ・ハン国サファヴィー朝などに絶えず侵略される。

1869年帝政ロシア軍がカスピ海東岸に上陸し、1873年ザカスピ軍区を設置。同年、ヒヴァ戦争ロシア語版1880年ザ・カスピ鉄道が開通する。1881年アレクサンドル2世治下のロシア帝国陸軍アシガバートを占領し、基地を築く。

1882年アレクサンドル3世治下の帝政ロシアにより、カフカス総督管区内のザカスピ州とされた。ロシア帝国への編入後、ロシア向け綿花栽培が拡大し、1910年頃よりロシアの綿工業の原綿の供給地の役割を果たし、現在も繊維工業や綿花栽培は主要な産業となっている。

伝統的な衣装を着たトルクメン人の男性(20世紀初頭)

第一次世界大戦中の1916年から1918年にかけて反ロシア大暴動(バスマチ運動)が起きる。1924年トルキスタン自治ソビエト社会主義共和国を民族別の共和国に再編し、トルクメン・ソビエト社会主義共和国としてソ連を構成する国の一つとなった。ヨシフ・スターリンによる農業集団化ロシア語版に反発した遊牧民の抵抗が1936年頃まで続いた。1948年には大震災英語版に見舞われ、11万人の犠牲者を出した。

ソ連時代末期の1990年8月22日主権宣言を行い、10月27日には直接選挙による大統領選で単独候補のサパルムラト・ニヤゾフ最高会議議長が98.8%の得票率で当選した。1991年10月26日の国民投票でソ連からの独立に94.1%が賛成し、翌10月27日独立。その2ヶ月後の12月26日ソ連が解体されたことで晴れて独立国家となる。1992年5月18日、最高会議が大統領権限を強めた新憲法を採択。傍らで同年5月にロシアCIS諸国との集団安全保障条約の署名を拒否。

1992年6月、大統領選でニヤゾフ大統領が99.5%の支持で再選し1995年12月、国連総会において「永世中立国」として承認された[注 1]。ニヤゾフ大統領は2002年8月には終身大統領とされ、国内ではニヤゾフ大統領は「テュルクメンバシュ(トルクメン人の長)」を姓としている。

その後、ニヤゾフ大統領は2006年12月21日未明に66歳で死去した。その直後、同日中にオヴェズゲリドゥイ・アタエフ大統領代行が刑事訴追を理由に解任された。約2ヶ月後の2007年2月14日に大統領選が行われ、89.23%の得票率を獲得したグルバングル・ベルディムハメドフ大統領代行が正式にトルクメニスタンの第2代大統領に就任した。

政治[編集]

行政[編集]

トルクメニスタンの国家元首である大統領は憲法規定によれば任期は7年で、国民直接選挙により選出される。だが、1990年以来2006年末までニヤゾフ大統領が終身制の下で大統領職に就き、首相も兼任していた。ニヤゾフ大統領は、2008年から2010年頃に大統領選挙が行われると表明していたが、ニヤゾフ大統領が死亡した為、死去後に大統領選挙が行われた。選挙の結果、得票率89.23%(2007年2月14日朝日新聞)で他の候補を圧倒したグルバングル・ベルディムハメドフ大統領代行が第2代大統領に就任した。2008年に憲法を改正した。

2016年、憲法改正が行われ大統領の任期延長(5年から7年)、大統領選挙の出馬資格の緩和が行われた[3]

議会[編集]

マジュリスと呼ばれる定数125議席の議会があるが、議員全員は大統領の承認を得る必要がある。議員は比例代表制に基づき国民の直接選挙で選出され、任期は5年である。

国権の最高機関として国民評議会(ハルク・マスラハトイ)が存在していたが、2008年の憲法改正により廃止され、権限は議会に移った。この際、それまで50議席だった議会定数は125議席に拡大された。国民評議会は、大統領による主宰の下、マジュリス代議員、閣僚、地方、司法権等の代表が入り、大統領不信任案を提出し、弾劾に関する国民投票を行う権限を有していた。

政党[編集]

旧トルクメン共産党の後身トルクメニスタン民主党Türkmenistanyň Demokratik Partiýasy, TDP)による事実上の一党独裁制で、ニヤゾフ初代大統領が同党の議長を務めていた。

憲法では複数政党制が認められているものの、TDP以外の合法政党農民正義党の1つしかない。この農民正義党はTDPの地方(農村)幹部により構成される衛星政党であるため、実質には複数政党制は機能していない。2004年12月19日の議会(マジュリス)選では、全50議席をTDPが独占した。 2013年の選挙ではトルクメニスタン民主党が大幅に議席を減らし47議席となり、トルクメニスタン労働組合組織となり33議席を確保し第二党になった。

軍事[編集]

トルクメニスタン軍陸軍海軍空軍の三軍から構成されている。

国際関係[編集]

トルクメニスタンはソヴィエト連邦崩壊時にアルマトイ宣言に合意したため、独立国家共同体の加盟国となったが、その後に制定されたCIS憲章を批准していないため正式な加盟国とはならなかった。しかしながら脱退したわけではなく、正式加盟国ではないにもかかわらずCISの会議には参加を続けており、2007年には正式に準加盟国と定められた。旧ソ連の中央アジア諸国では唯一、上海協力機構の正式加盟国ではなく、ゲスト参加にとどまっている。北大西洋条約機構(NATO)や日本など西側諸国とも対話や要人往来を行っている[4]。南隣のイランとの友好関係も重視しており、各分野で協力する文書を2018年に結んだ[5]

永世中立を掲げるものの、実態としては中央アジア諸国を巡るロシア連邦中華人民共和国の勢力争いの対象となっている。トルクメニスタン産天然ガスはかつてロシア経由でヨーロッパへ輸出されていたが、トルクメニスタン側が値下げに応じなかったため、2016年に中断。2009年に完成した中国向けパイプラインを通じた輸出のみとなっていた。ロシア国営企業ガスプロムは2019年にトルクメニスタン産天然ガスの輸入を再開する予定を表明しており、これには同国への影響力回復を目指すロシア政府の意図があると見られると報道されている[6]

地方行政区分[編集]

トルクメニスタンの地方行政区分

5州(ベラヤト)とアシガバート市(Aşgabat)で構成される。

  1. アハル州 (Ahal) - 州都アナウ (Änew)
  2. バルカン州 (Balkan) - 州都バルカナバトBalkanabatNebitdag ネビトダグ)
  3. ダショグズ州 (Daşoguz) 州都ダショグズ (Daşoguz)
  4. レバプ州 (Lebap) - 州都テュルクメナバト (Türkmenabat)
  5. マル州 (Mary) - 州都マル (Mary)
  • 順番は地図の番号と対応させている。

地方自治制度は、ゲンゲシュ(小会議)と地方公共自治機関が構成する。ゲンゲシュは、小都市、町村の代表機関である。ゲンゲシュ議員は、5年の任期で選出される。

主要都市[編集]

地理[編集]

トルクメニスタンの地図
トルクメニスタンの地形

地形[編集]

国境線の長さは3,736km。うち9割がカラクム砂漠で国土面積の多くを占めており、国土の北方はトゥラン低地で占められている。

ウズベキスタンとの国境付近に位置する北東地域にはキジルクム砂漠が在る。その中にアムダリヤ川が流れており、そこからカラクム運河が分かれていて、灌漑農業などに利用されている。 また、同じくウズベキスタン国境線上の北部地域にはサリカミシュ湖が在り、アムダリヤ川の分流であるウズボイ川に通じている。

一方で、国土に流れる河川にはムルガブ川英語版アトレク川英語版があり、ムルガブ川はマルを通りアフガニスタンの国境を越えて流れ アトレク川はカスピ海沿いに流れてイランの国境付近の河川と繋がっている。なお、国内の河川の多くは水無川ワジ)である。

最高地点は東部のウズベキスタン国境にそびえるアイリババ山英語版(海抜3,139m)である。

気候[編集]

ほぼ全域が砂漠気候である。トルクメニスタンの気候条件は非常に厳しくは40~50度、は0度以下まで下がるなど、夏と冬の寒暖の差日中と夜間の寒暖の差が激しい。また、昼と夜では20度を超える温度差となることもある。年間降雨量はかなり少なく、コペト・ダヴ山脈では200~400mm、カラクム山脈中央部は40~50mmと恐ろしく過酷な状況である。一方で南・東辺のイランおよびアフガニスタンの国境地帯は降雨量が比較的多い為、国土はステップ気候地中海性気候の二面を持つ。

夏季に雨はほとんど降らないがその反面、冬季には国土一帯に雪が降り、この雪は一時的に積雪することがある。

環境[編集]

上述の通り、国土のほとんどがカラクム砂漠で占められている為、植物の生息域は非常に狭められている状況である。森林面積は4,130,000haで、そのほとんどは天然林である。なお、山地の森林は79,000haほど存在し、川沿いの森林は33,400haほど存在している。天然林の主な樹種は砂漠化領域サクサウール英語版タマリクスで、山地はアルチャ(ビャクシンの一種)、川沿いはコトカケヤナギポプラの一種。現地ではトゥランガと呼ばれる)が繁殖している。トルクメニスタンは現在、国土の緑化に力を入れているが、違法伐採が続く為に森林の減少傾向による環境破壊が問題となっており、水資源の乏しさも加わって非常に深刻なものとなっている。

経済[編集]

色と面積で示したトルクメニスタンの輸出品目

IMFの推計によると、2017年のトルクメニスタンのGDPは379億ドルである。一人当たりのGDPは6,643ドルで、中央アジア5ヶ国の中ではカザフスタンに次いで2番目、世界平均の約61%の水準にある[2]

ニヤゾフ時代には、対外的には旧宗主国ロシアの影響力からの脱却が図られるが、その手段となるはずであった天然ガスの供給ルートがロシアに限定されていたこともあり、経済的なロシア依存は強く残ることになる。それでも「永世中立国」となることで地政学上の脅威を和らげ、1997年にはイランとの天然ガス供給ルートを開拓するなどの多様化を図った。対露依存の転機は、ニヤゾフ大統領による2006年の中国との天然ガス供給合意だった。この合意によってトルクメニスタンからウズベキスタン、カザフスタンを経由して中国に至るガスパイプライン(A/Bライン)の建設が始まる。さらに後継者のベルディムハメドフ大統領は、翌2007年中国国営石油公社(CNPC)とバクチャールィク(Bagtyarlyk)鉱区での生産分与協定(PSA)を締結し、天然ガス売買契約に調印した。これを境に中国資金のトルクメニスタン進出は加速化し、ガス輸入国としても、2011年には中国がロシアを上回り、ロシアに代わって経済における中国への偏重が始まることになる。

ベルディムハメドフ大統領は、天然ガス依存の経済からの転換を目指し、輸出産業として石油ガス化学部門を最優先としながらも農業や繊維などの製造業の発展を目標としている。また、国内消費市場おいても輸入品依存を改善させるため民間ビジネスの育成にも乗り出している。消費市場では、独立当初のロシア製品の圧倒的シェアは、トルコ製品の侵食を受けるようになり、2010年以降は首位の座を奪われた。一方で2012年に急増した中国からの輸入(2012年:輸入金額1,699,117千ドル 国別輸入先第1位 輸入シェア約18.1%)は抑制され、2017年時点で輸入金額は、2012年の約5分の1の368,117千ドル(国別輸入先第4位 輸入シェア約8.4%)となっている[7][8]

輸出は、独立後はロシアを中心とした旧ソ連が中心で、輸出の9割以上、輸入の8割以上を構成していた。その後はドイツ、米国など欧米の比率が高まるようになり、近年では中国、トルコの存在感が強まっている[7]。2017年時点で輸出の約83.2%(65億7,512.6万ドル)を中国、約5.1%(4億355.3万ドル)をトルコが占めている[9]。一方、輸入は、トルコが約23.8%(10億3,798万ドル)を占めている[10]

主な産業は、天然ガス石油綿花栽培、繊維工業。特に天然ガスは狭い国土にも拘らず世界第4位の埋蔵量の資源国である。これらの資源の輸出により潤沢な資金流入がある為、経済が豊かで、政府による治安維持が行き届いている。現状では治安はとても良く、近隣諸国と違いテロ事件等もおこっていない[11]経済成長率は潤沢な資源のおかげで高成長を見せている。同国では、国営企業が経済活動のほぼすべてをおさえ、工業生産の大宗を賄っている。特に、オンショアの炭化水素生産、輸送、精製、発電、流通、化学、建築資材、教育、医療、メディア企業の分野は、国営で、厳しく管理されている。また、国営企業は、農業、食品加工、繊維、通信、建設、貿易、サービスの分野にも深く関与している。国営企業は、多くの場合、旧態依然とした効率性の悪さが目立つが、戦略的に重要と考えられている[7]

更に、食料品・日用品や住居等の物価が低く抑えられている他、教育・医療費が無料とされている。この為、国民生活は実質的な収入金額以上に安定していると言える。しかし、2019年1月から、サパルムラト・ニヤゾフ前大統領が電気、ガス、飲料水については1993年から、食卓塩については2003年から無償供給としていた制度を止め、有償化した。有償化の理由をグルバングルィ・ベルディムハメドフ大統領は「政府活動の持続的拡大、資源の合理的利用、社会的補助制度の発展のため」と説明している[12]

農業[編集]

同国の主産物は小麦ナッツ類(主にピスタチオ)、ハーブ薬草)類である。ピスタチオは元々造林用として栽培され、その果実を食用として利用出来るため積極的に植林されており、果実は豊作の年で20~30t採取されることがある。同国特産のハーブはアルテミシアエフェドラで、この2つは料理用や薬品の原材料として用いられることが多い。また、林業にも力を入れており、その主要となっているのは人工造林である[注 2][13]。一方、ソ連時代から綿花栽培を行なっているが、灌漑農業での栽培である為に水資源に乏しい同国においては綿花を主産物とすることに対し賛否両論となっている面を持つ。更に、毎年の綿花の収穫作業に、教師や医師を含む1万人以上の公務員と10~15歳までの児童も従事させられており、2016年4月に「アリテルナチブニエ・ノボスチ・トルクメニスタナ(「トルクメニスタンの代替ニュース」の意、AHT)」と「国際労働権利フォーラム(ILRF)」が米国国土安全保障省関税国境警備局に告発状を提出した。その結果、2018年5月24日に引渡保留命令(WRO、5月18日付)[14]を公開し、トルクメニスタン産綿と同製品の米国への輸入を禁止した。トルクメニスタン政府は、2017年の綿花の収穫量を110万トンと発表している。作付面積は50万ヘクタール。トルクメニスタンから米国向け輸出額の最大シェア(52.0%、718万ドル)を綿・綿織物等が占める(2017年実績、米国側統計、第三国経由を含まず)[15]

また、国内消費される食品の多くを輸入に依存しており、食料自給率の向上が大きな課題となっている。政府は、生産プロセス技術の強化、農業生産システムの改革などによる生産性の向上を目指している。特に食肉及び小麦、酪農製品の国内生産拡大を急務と位置づけている。主な輸入先は、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタン、イラン、トルコ、アゼルバイジャン、インド、パキスタンといった周辺国である[7]

鉱業[編集]

トルクメニスタンは他の中央アジア諸国と比較した場合、鉱物資源に乏しいと言える。例えば、金属鉱物資源は採掘されていない。

ただし、有機鉱物資源、特に天然ガスに恵まれている。2018年版BP統計[16]によると埋蔵量はロシア(35.0兆㎥、世界シェア約18.1%)、イラン(33.2兆㎥、世界シェア約17.2%)、カタール(24.9兆㎥世界、シェア約12.9%)に次ぐ世界第4位の19.5兆(世界シェア約10.1%)を誇る。2017年時点の天然ガス産出量は約620億㎥であり、これは世界シェアの約1.7%に達する。また、2014年時点であるが国内消費は277億㎥、輸出総量は416億㎥(2014年推計)とされる。輸出先は中国が最大で277億㎥、次いでロシア(90億㎥)、イラン(65億㎥)、カザフスタン(5億㎥)となっている。2011年、英国のGaffney, Cline and Associatesは、ガルクイヌシュ(旧南ヨロテン)ガス田の埋蔵量を13.1兆~21.2兆㎥と評価し、世界第2位の規模と見立てた。)。更に石油埋蔵量は、トルクメニスタン政府の公式統計では、オンショアで530億トン、カスピ海オフショアで182.1億トンの716.4億トンとなっている。しかし、BPは2017年末段階で、1億トンの石油埋蔵量を推計しているに過ぎない。なお、これら石油・ガス収入は同資源の開発管理を所管する大統領直轄の炭化水素資源管理利用庁に納められ、80%が大統領、20%が国庫に拠出される[7]。また、石油生産量は、25.8万バレル/日であり、世界シェアの約0.3%である[16]

輸出額に占める天然ガスの割合は2017年時点で約83.0%(輸出金額:6,561,439千ドル)であり、原油の割合は約7.8%(輸出金額:615,109千ドル)である[17]。したがって、輸出に占める鉱業セクターの割合は9割に達する。なお、石炭はほとんど採掘されていない。更に、輸出の大部分を占める天然ガスの輸出先は約99.5%が中国であり、同国への依存が極めて高い[18]

観光[編集]

メルヴニサといったシルクロード遺跡が有名だが、全体として観光業はあまり発展していない。

また、観光ビザに関しては、海外の先進国や新興諸国に比べ処理のスピード等が遅めであることから、その取得手続きは煩雑である。

政策により物価はとても安く、期間に拘らず滞在し易い。

日本からの観光については、シルクロードトラベルインフォメーションセンター[19]とオワダン観光[20]が渡航の手配をしている。

交通[編集]

国民[編集]

民族構成[編集]

民族構成(トルクメニスタン)<2003年>
トルクメン人
  
85%
ウズベク人
  
5%
ロシア人
  
4%
その他
  
6%
トルクメン人人口の大半を占めるが、ロシア人ウズベク人も多い。現在はロシア人は減少傾向にある[注 3]
ソ連時代の名残りから人名はロシア語風の姓名が多く見受けられる。

言語[編集]

トルクメン語 72%、 ロシア語 12%、ウズベク語9%、その他7%。
公用語はロシア語だが、トルクメン人同士は主にトルクメン語で会話する。
ただし、トルクメン人でも長く都市部に住んでいる者やエリートなどの中にはロシア語を母語とし、トルクメン語が満足に話せない者もいる[注 4]

宗教[編集]

イスラム教スンナ派が大多数。キリスト教正教会の信徒も一部存在する。

教育[編集]

2015年の推計によれば、15歳以上の国民の識字率は99.7%(男性:99.8%、女性:99.6%)である[21]

保健[編集]

2018年の推計によれば、国民の平均寿命は70.7歳(男性:67.6歳、女性:73.9歳)である[21]。また、ベルディムハメドフ大統領が歯科医師ということもあり、病院・医療関連へは個人的な思い入れが大きいという。医療機器に関してはドイツが先行している。また、医療分野でのITシステム導入は、医療に対する消費者への簡易アクセスを可能にするものとして重要視されている[7]

婚姻[編集]

婚姻時に、婚姻前の姓を保持する(夫婦別姓)か、共通の姓(同姓)かを選択することができる[22]

治安[編集]

同国の治安は経済の項目欄でも記されている通り比較的安定している面を持つが、犯罪統計を一切公表していない為に、実際の犯罪発生状況を正確に把握することが困難な状況にあり、危険と判断されるレベルで捉えられていることが多い[23][24]UNODC (United Nations Office on Drugs and Crime)の統計によると、統計のある最新の2006年の数値では、10万人当たりの殺人(既遂)が約4.2件(認知件数:203件)[25]、窃盗(強盗・侵入盗・自動車盗は除く)は、約29.7件(認知件数:1,431件)[26]である。殺人は中央アジア5カ国の中ではカザフスタン(約11.3件[2008年]、2015年は減少して約4.8件)、キルギス(約8.3件[2006年]、2016年は減少して約4.5件)に次いで3番目であり、窃盗はウズベキスタンを除いた4カ国の中では一番低い。

現在、海外からの訪問者が現地で盗難被害に遭っている事件が後を絶たず、傍らで同地警察による贈収賄が横行している問題も根強い。

両替を行うブラックマーケットも存在し、実際の為替レートとは違う金額で換金が行なわれるなどの被害も多発している。

また、売春を行なっていると思わしき女性と一緒にいた外国人男性が、現地の警察から嫌がらせを受けたという被害報告も出ている。

人権[編集]

トルクメニスタンでは国内の少数民族に対する差別が今も続いている。一例として、同国に散在する世界的少数民族のバローチ人英語版の文化やその言葉を教えることが禁じられている[27]

また、同国では2003年にロシアとの二重国籍を廃止。そこからロシアのパスポートを持たない同国生まれのロシア人は、トルクメン人に認定される形で自身のアイデンティティーを奪われ、ロシアへの出入国も永久に行なえない可能性が高まっている[28]。加えて数千人のロシア人がトルクメニスタンから財産などを放棄したままで出国するよう促されたという話もある[29]

文化[編集]

伝統的な衣装を身にまとったトルクメン人の女性
トルクメニスタンのアカデミックドレスを着用した安倍晋三2015年10月23日、マフトゥムグルィ名称トルクメニスタン国立総合大学にて)

アハル・テケというトルクメニスタン名産のはトルクメニスタンの誇りとされ、アレクサンダー大王もお気に入りだったという。この他、絨毯も名産品の一つ。

食文化[編集]

音楽[編集]

ペルシアインドの音楽の影響下にある独自の民族音楽がある。

また、ソ連時代からジャズ軽音楽のバンドの活動もあり、打楽器奏者 Rishad Shafi をリーダーとするバンド Гунеш (Gunesh Ensemble) のレコードがソ連国営レコード会社メロディアから発売されていた。同バンドは高度な演奏技術を持ち、トルクメニスタンを代表するバンドとして西側諸国でも高い評価を得ている。

世界遺産[編集]

トルクメニスタン国内には、UNESCO世界遺産リストに登録された文化遺産が3件存在する。

祝祭日[編集]

日付 日本語表記 現地語表記 備考
1月1日 新年
1月12日 記憶の日
2月19日 トルクメニスタン国旗の日 ニヤゾフ初代大統領の誕生日でもある。
3月8日 トルクメニスタン(国際)女性の日
3月21日、22日 春分の日
4月第1日曜日 「水の滴、金の粒」の日
4月最終日曜日 トルクメニスタン競走馬の日
5月8日 1941-1945年大祖国戦争戦死者追悼日
5月9日 勝利の日
5月18日 再生、統一、マフトゥムグルの詩の日
5月最終日曜日 トルクメン絨毯の日
7月第3日曜日 ガッラー・バイラマの日
8月第2日曜日 メロンの日 ニヤゾフ初代大統領がメロン好きであった事から制定された記念日で、現在も引き継がれている。当日はメロンを称える様々なイベントが行われる。
9月第2土曜日 石油・ガス、エネルギー、地質産業職員の日
9月第2日曜日 トルクメン・バフシーの日 バフシーとは、弾き語りをする音楽師。
10月6日 追悼、全国民服喪の日
10月27日、28日 トルクメニスタン独立記念日
11月第1土曜日 健康の日
11月17日 学生の日
11月最終日曜日 収穫の日
12月第1日曜日 善隣の日
12月12日 中立の日
12月21日 初代トルクメニスタン大統領、偉大なるサパルムラト・テュルクメンバシュ記念日 ニヤゾフ初代大統領の没日(2006年)で、2007年3月2日制定。
政府が決定 クルバン・バイラムの日
政府が決定 オラザ・バイラムの日

過去の月名と曜日名[編集]

2002年、ニヤゾフ元大統領の独断により、月の名称と曜日の名称が独自のものに変えられた。しかし、国民には不評で2008年4月には元に戻す法案が提出され、2009年から元の月と曜日の名称に戻った。

トルクメニスタンの月
日本語表記 現地語表記 本来のトルクメン語 備考
1月 テュルクメンバシュ Türkmenbaşy Ýanwar ニヤゾフ大統領の言葉によれば、ニヤゾフ大統領自身を賛美するためではなく、トルクメン人にとっての最初の月だからだという。
2月 バイダク Baýdak Fewral 「旗」、2月に国旗を制定したため
3月 ノヴルーズ Nowruz Mart イラン暦新年
4月 グルバンソルタン Gurbansoltan Aprel ニヤゾフの母親の名前。これは議員からの「提案」
5月 マフトゥムグル Magtymguly Maý トルクメニスタンの国民的詩人
6月 オグズ Oguz Iýun 歴史上の人物。トゥルクマーンによる国家をはじめて築いたとされるオグズ・ハーン
7月 ゴルクート Gorkut Iýul 歴史上の人物。トルクメンの叙事詩の英雄
8月 アルプ・アルスラーン Alp Arslan Awgust 歴史上の人物。セルジューク朝を拡大させたスルタン
9月 ルーフナーマ Ruhnama Sentýabr ニヤゾフが9月にルーフナーマを書き終えたから
10月 ガラシュスィズルィク Garaşsyzlyk Oktýabr 「独立」、トルクメンが1991年に独立した月
11月 サンジャール Sanjar Noýabr 歴史上の人物。大セルジューク朝最後のスルタン・サンジャール
12月 ビタラプルイク Bitaraplyk Dekabr 「中立」、永世中立国となった月
トルクメニスタンの曜日
曜日 日本語表記 現地語表記 備考 本来のトルクメン語
月曜日 バシュギュン Başgün 主要な日 Duşenbe
火曜日 ヤシュギュン Ýaşgün 若き日 Sişenbe
水曜日 ホシュギュン Hoşgün 善の日 Çarşenbe
木曜日 ソガプギュン Sogapgün 敬虔の日。死者に祈りを捧げる日 Penşenbe
金曜日 アンナギュン Annagün 全国民がルーフナーマを読む日 Anna
土曜日 ルフギュン Ruhgün 精神の日。読書や観劇で精神を高める日 Şenbe
日曜日 ドゥインチギュン Dynçgün 休息の日 Ýekşenbe

著名な出身者[編集]

マフトゥムグル英語版の切手
ソ連1959年

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 永世中立宣言はロシアの影響力の排除が目的と見られている。
  2. ^ ただし、環境造林を基本としているので産業造林には特化しておらず、国内の林産業へはあまり揮われていないのが現状である。
  3. ^ トルクメン人 (85%)、ウズベク人 (5%)、ロシア人 (4%)、その他 (6%) (2003年)
  4. ^ 実は初代大統領のニヤゾフもその一人であった。

出典[編集]

  1. ^ トルクメニスタン基礎データ”. 外務省. 2018年11月5日閲覧。
  2. ^ a b c d e World Economic Outlook Database, October 2018” (英語). IMF (2018年10月). 2019年3月9日閲覧。
  3. ^ 独裁強化の現職勝利へ=中央アジアのトルクメン AFP(2017年2月12日)2017年2月12日閲覧
  4. ^ トルクメニスタン/外交・国防日本国外務省ホームページ(2018年11月21日閲覧)。
  5. ^ イラン・イスラム共和国放送(IRIB)系ニュースサイト「Pars Today」、イランとトルクメニスタンの間で、13の協力文書が調印(2018年3月28日)2018年11月21日閲覧。
  6. ^ 「トルクメン産 輸入再開/ガスプロム 中国の影響排除狙う」『日本経済新聞』朝刊2018年11月20日(国際面)2018年11月21日閲覧。
  7. ^ a b c d e f トルクメニスタン概要 (PDF)”. ジェトロ・イスタンブール事務所 (2016年9月). 2019年3月9日閲覧。
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  11. ^ トルクメニスタンに対する渡航情報(危険情報)の発出”. 外務省海外渡航安全ページ. 外務省. 2012年2月19日閲覧。
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  14. ^ “Withhold Release Orders and Findings>TURKMENISTAN(引渡保留命令>トルクメニスタン)”. U.S. Customs and Border Protection(アメリカ合衆国国土安全保障省・関税国境警備局). (2018年5月24日). https://www.cbp.gov/trade/trade-community/programs-outreach/convict-importations/detention-orders 2019年3月10日閲覧。 
  15. ^ 高橋淳 (2018年5月25日). “米国政府、トルクメニスタン産綿製品の輸入を禁止(米国、トルクメニスタン))”. 独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ). https://www.jetro.go.jp/biznews/2018/05/8e75c1b333f1e70c.html 2019年3月10日閲覧。 
  16. ^ a b “BP Statistical Review of World Energy (BP統計 世界のエネルギー概要)” (PDF). BP. (2018年8月). https://www.bp.com/content/dam/bp/business-sites/en/global/corporate/pdfs/energy-economics/statistical-review/bp-stats-review-2018-full-report.pdf 2019年3月11日閲覧。 
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  18. ^ List of importing markets for the product exported by Turkmenistan in 2017 (Mirror)Metadata Product: 2711 Petroleum gas and other gaseous hydrocarbons(2017年 トルメキスタンの国別輸先先 2711 石油ガスその他のガス状炭化水素)”. International Trade Centre(国際貿易センター) (2017年). 2019年3月11日閲覧。
  19. ^ トルクメニスタン”. シルクロードトラベルインフォメーションセンター. 2012年2月19日閲覧。
  20. ^ オワダン観光とトルクメニスタン発見の旅”. オワダン観光. 2018年2月28日閲覧。
  21. ^ a b CIA (2018). CIA World Factbook "Turkmenistan" (Report). https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/tx.html 2019年3月9日閲覧。. 
  22. ^ Family Code Of Turkmenistan
  23. ^ 海外安全ホームページ: 危険・スポット・広域情報:トルクメニスタン 外務省
  24. ^ 海外安全ホームページ: 安全対策基礎データ:トルクメニスタン 外務省
  25. ^ Statistics and Data>Crime data>Intentional Homicide>Intentional homicide victims”. UNODC. 2019年2月24日閲覧。
  26. ^ Statistics and Data>Crime data>Other Crimes>Theft”. UNODC. 2019年2月24日閲覧。
  27. ^ "Alternative report on the Human Rights situation in Turkmenistan for the Universal Periodic Review"
  28. ^ "Asia-Pacific | Russians 'flee' Turkmenistan". BBC News
  29. ^ Striking Zambian unions described their nationwide stayaway on Wednesday against tax hikes and wage freezes as "successful". IRIN • humanitarian news and analysis from Africa, Asia and the Middle East - updated daily

関連項目[編集]

政府
日本政府
大使館
その他
観光