ドラえもん のび太の恐竜2006

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ドラえもん
のび太の恐竜2006
Doraemon:
Nobita's Dinosaur 2006
監督 渡辺歩
脚本 渡辺歩、楠葉宏三
原作 藤子・F・不二雄
出演者 レギュラー
水田わさび
大原めぐみ
かかずゆみ
木村昴
関智一
ゲスト
神木隆之介
内海賢二
船越英一郎
劇団ひとり
音楽 沢田完
主題歌 スキマスイッチボクノート
制作会社 シンエイ動画
製作会社 映画ドラえもん制作委員会
配給 東宝
公開 日本の旗 2006年3月4日
中華人民共和国の旗 2007年7月20日
香港の旗 2007年7月26日
中華民国の旗 2007年9月14日
タイ王国の旗 2007年10月11日
シンガポールの旗 2007年11月15日
大韓民国の旗 2009年7月15日
上映時間 106分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 32.8億円
前作 ドラえもん のび太のワンニャン時空伝
次作 ドラえもん のび太の新魔界大冒険
〜7人の魔法使い〜
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ドラえもん のび太の恐竜2006』(ドラえもん のびたのきょうりゅうにいまるまるろく)は、2006年3月4日に公開された日本アニメ映画。映画ドラえもんシリーズ通算第26作(第2作2期シリーズ第1作)。この作品は、1980年に公開された『ドラえもん のび太の恐竜』のリメイクである[1]。特集記事が『月刊コロコロコミック2005年9月号から2006年4月号まで掲載された。

まんがドラえもん誕生35周年記念作品[2]。第1回Invitation AWARDSアニメーション賞受賞作品[3][4]

概要[編集]

テレビシリーズが第2期にリニューアルして以降、初めて製作された映画作品で、本作品は2年ぶりの公開となる[1]興行収入は32億8000万円[5]

映画ドラえもんシリーズとしては初めて製作委員会方式が採られ[6]、新たに小学館プロダクションが出資と製作に参加した。

海外でも公開され、中国で初めて公開された日本のアニメ映画作品である(2007年7月公開)[7]台湾(2007年9月14日公開)のほか、シンガポールスペインフランスでも公開された。

本作はリメイクに伴い、当時最新の学説を取り入れるなど改変ポイントが幾つかある[8]

特にピー助に関して、のび太は新旧両方で卵から孵化させているが、モデルであるフタバスズキリュウは卵を産まない上、恐竜でなく首長竜である[8]。 これらに対し書評家の清水銀嶺は「(ドラえもん作品で)学説にこだわるのは野暮の極み」と述べており[8]、監督の渡辺歩も「これをファンタジーにしたいという事で、最新の恐竜学の考察を入れるのは避けた」としている[9]

作品への評価として、映画批評家の前田有一は「第1作のリメイクは新キャスト・スタッフにとって良い選択」「近年の劇場版と比べシンプルだが、飽和気味の世界観を絞め直す効果はある」と批評している[10]

また、2017年のインタビューにてメイン声優の水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみの3人は本作品を大長編のベストに挙げている[11]

製作[編集]

2005年4月より行われたテレビシリーズのリニューアルと共に映画シリーズも原点回帰・再出発がテーマとして大きく打ち立てられ、大長編の第1作である『のび太の恐竜』のリメイクとして企画がスタートした[9][12]

脚本は総監督の楠葉宏三と監督の渡辺歩の共同によるもので、楠葉が原作をそのまま脚本に置き換え(具体的には物語の前半にあたる、ピー助を最初に白亜紀へ送り届けるところまでを担当)、渡辺が具体的な脚色をする形を取った[9][13]

本作で新たに加えられた要素・場面に関して渡辺は「あくまでも、自分の想像の域を出ない」と断りをいれた上で「原作に潜んでいるもの」、「読者の想像力にゆだねられたもの」を描いた[14]としている。その一方で、原作・旧作とは異なる(のび太たちがタイムパトロールの力を借りずに日本へたどり着く)終盤の展開については物語のポイントであり[15]、「最初に手を加えたいと思った箇所」とも述べており[9]、「子供達が、自分達の意志で生きていくようにできないのかという事と、理想論としての子供と大人の関係みたいなもの」を描くために入れたという[9]

作画監督は渡辺たっての希望もあり、スタジオジブリ出身の小西賢一が迎え入れられた。小西は前作『のび太のワンニャン時空伝』(2004年)で原画を担当しており、そのことが本作に携わるきっかけとなった[9]。キャラクターデザインは渡辺がテレビシリーズ用に手がけた設定画と原作、本作の絵コンテを元に小西が改めて描き起こした[16]

そして本作品の特徴ともいえるのは、一般的なアニメで見られる均一の整えられた線でなく、鉛筆の手描きを活かした強弱のあるタッチである。小西が『ホーホケキョ となりの山田くん』(1999年)を手がけた際に作った技法の延長線にあり[17]、同時にアニメ的な影の入れ方も排した。これは時間経過や光源がはっきりしている場面の効果的な強調と、原作・キャラクターの「良さ」を活かすためのものである[17]。また、整われた形よりも動きを優先させた作画が、方向性として採用された[16]。これらの手法は本作以降、『のび太の宇宙英雄記』(2015年)、『のび太の南極カチコチ大冒険』(2017年)など一部の作品を除いてアニメ第2作2期シリーズの映画では定番となっていく。

本作の制作にあたり、森久司松本憲生橋本晋治など腕利きのアニメーターシンエイ動画の外部より多数集められた。また、シンエイ動画の筆頭アニメーターである大塚正実が『のび太の日本誕生』(1989年)以来17年ぶりに参加している[18]

チーフプロデューサーである増子相二郎により、美術監督はシンエイ動画制作の『戦争童話』シリーズを手がけてきた西田稔が、CG監督にはIKIF+を主催する木船徳光がそれぞれ選ばれた[19]

オープニングアニメーションはこれまで手描きの作画によるものやCGを多用したものなど様々な手法で制作されてきたが、本作では『ぜんまいざむらい』のキャラクターデザインなどを手がけた秋穂範子が中心となり、クレイアニメを交えた内容となっている。

あらすじ[編集]

スネ夫にティラノサウルスの爪の化石を自慢されたのび太は、悔し紛れに「自分の手で恐竜まるごと一匹の化石を発掘してみせる」「もし出来なかったら鼻からスパゲッティを食べてやる」と宣言してしまう。翌日、近所の崖で採掘作業を始めたのび太は、偶然にも恐竜らしき卵の化石を発掘する。タイムふろしきによって1億年前の姿に戻され、のび太の体温で温められた卵からは首長竜の一種フタバスズキリュウが孵った。のび太はそれをピー助と名付け、成長させてからスネ夫とジャイアンに見せて二人をギャフンと言わせようと決意する。しかし、ピー助は成長するごとに巨大になっていき、飼育場所を公園の池に移したものの目撃談が広がってしまう。やがてダイバーによる池の捜索活動が始まったうえ、未来からやってきた黒マスクの男にピー助を売り渡すよう脅迫されたのび太は、タイムマシンでピー助を白亜紀に返す事を決意する。黒マスクの追撃を振り切り、白亜紀の海に辿り着いたのび太はピー助を置き去りにして21世紀へ帰還した。

宣言を達成できなかったのび太は鼻からスパゲッティを食わされそうになり、しずかからも「嘘を吐いたのに認めないのは男らしくない」と非難されてしまう。やむなくタイムテレビで皆にピー助を見せようとしたものの、そこにはエラスモサウルスに包囲されたピー助の姿が映っていた。実は黒マスクの攻撃でタイムマシンの空間移動装置が損傷しており、日本近海ではなく北米大陸に置き去りにしてしまったのだ。居ても立ってもいられなくなったのび太はタイムマシンでピー助の下に向かおうとし、皆もそれに同行する。しかし、無理な時間移動で損傷していたタイムマシンは完全に故障し、一億年後にのび太の机が存在する座標(=超空間への出入り口)に置かなければ時間移動が不可能になってしまう。

やむなく一同はスネ夫のアイデアに従い、1日4時間はタケコプターで、残りの時間は徒歩で移動することでバッテリー消耗を抑えながら、まだ水没していないベーリング海峡を経由して日本に向かう事を決意する。オルニトミムスやティラノサウルスを桃太郎印のきびだんごで手なずけるなどしながら過酷な旅を続ける一同だが、ケツァルコアトルスの襲撃で遂にタケコプターが故障してしまう。そこに現れた黒マスク率いる恐竜ハンター達は「ピー助を渡せば、君たちを21世紀に送ってあげよう」と懐柔を図るが、のび太達は拒否する。前例がないほど人間に懐いた恐竜であるピー助を諦めきれない黒マスクは、雇い主のドルマンスタインにのび太達の捕獲、すなわち「人間狩り」を提案する。

ラジコンを利用した陽動作戦で逃亡時間を稼ごうとするドラえもん達だが、あえなく作戦は露見し、しずか、スネ夫、ジャイアンは恐竜ハンターのアジトに捕えられてしまう。彼らを助けるべくアジトへ侵入したドラえもんとのび太にはティラノサウルスがけしかけられ、絶体絶命の危機に陥る。だがそのティラノサウルスはかつて手なずけた個体だった。一同が反撃を開始し、ティラノサウルスがドルマンスタインのペットであるスピノサウルスと対決する中、戦闘の余波でアジトは崩壊・水没していく。ドラえもんはのび太達と捕らえられた恐竜を四次元ポケットに収納し、懸命に泳ぐピー助に掴まる事でかろうじてアジトから脱出する。その後、事態を察知して現れたタイムパトロールの手で恐竜ハンター達は全員逮捕された。

全てのひみつ道具を失ったものの一同はタイムパトロールの手を借りようとはせず、成長したピー助の背中に乗る事で目的地を目指す。やがて辿り着いた小島には超空間への出入り口が開いており、近海にはフタバスズキリュウの群れが棲息していた。ピー助が還るべき場所に辿り着いたことを悟ったのび太は、泣きながら別れを告げて21世紀へ帰還した。その夜、のび太はちょうどピー助の卵ほどのサイズのバレーボールを抱きしめて、彼の幸せを願いながら眠りにつくのだった。

声の出演[編集]

※表記・順は本編クレジットに準じる。

登場する恐竜・古代生物[編集]

1980年版と同じく、ドラえもん一行を何度も襲撃し、アラモサウルスの群れを襲撃時にドラえもんの手で"桃太郎印のキビダンゴ"を食べて、大人しくなる。その後恐竜ハンターに捕らえられるもドラえもん達の手で縦横無尽に暴れ回る。

スタッフ[編集]

「特報」ムービー制作スタッフ

(7月中旬から劇場や公式ホームページで流された最初の特報でドラえもん、のび太、ピー助が乗るタイムマシンが黒マスクが乗るタイムマシンに襲われるシーンがメイン。この特報は本編DVDにも収録されていない。これ以外の特報、予告編は本編映像を使用。)

主題歌[編集]

オープニングテーマ「ハグしちゃお
作詞 - 阿木燿子 / 作曲 - 宇崎竜童 / 編曲 - 京田誠一 / 歌 - 夏川りみビクターエンタテインメント
エンディングテーマ「ボクノート[20]
作詞・作曲・編曲 - 大橋卓弥・常田真太郎 / 歌 - スキマスイッチBMG JAPAN/AUGUSTA RECORDS)

ゲーム版[編集]

ニンテンドーDS用ソフトとして2006年3月2日にゲーム版が発売されている。内容のほとんどは本作とは異なるオリジナルである。

関連[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b 映画ドラえもん のび太の恐竜2006 (2005) - シネマトゥデイ”. 株式会社シネマトゥデイ. 2020年2月14日閲覧。
  2. ^ 全45巻の『ドラえもん』に6パターンの第1話を収録した"0巻"が登場!23年ぶり・誕生50周年記念の最新刊 - ほんのひきだし”. 日本出版販売株式会社 (2019年11月26日). 2020年1月19日閲覧。
  3. ^ 「時かけ」「ドラえもん」にインビテーションアワード(12/28) - アニメ!アニメ!”. 株式会社イード (2006年12月28日). 2020年1月19日閲覧。
  4. ^ MSN エンターテイメント×Invitation Invitation AWARDS 各部門受賞者・受賞作品紹介 - ウェイバックマシン(2007年1月26日アーカイブ分)
  5. ^ 『映画ドラえもん』新シリーズ、興行収入累計400億円突破”. アニメ&ゲーム by Oricon News. 2020年4月4日閲覧。
  6. ^ エンドロールクレジットでは「制作委員会」表記。『のび太の宇宙開拓史』(1981年)から『のび太のワンニャン時空伝』(2004年)においては「制作」としてシンエイ動画・テレビ朝日・小学館の3社が、「制作協力」としてADK(旭通信社、ASATSU-DK)・藤子プロ(藤子スタジオ)の2社が製作を行っていた(『のび太の恐竜』(1980年)のみ「製作」がシンエイ動画・小学館、「製作協力」がテレビ朝日・旭通信社となっている)。
  7. ^ 「ドラえもん のび太の恐竜2006」中国で全国公開(4/24) - アニメ!アニメ!”. 株式会社イード (2007年4月24日). 2020年2月14日閲覧。
  8. ^ a b c 消えた「ブロントサウルス」 ピー助は恐竜じゃない? 昔と現在の恐竜の違いをさぐる”. 株式会社KADOKAWA (2019年6月9日). 2020年2月14日閲覧。
  9. ^ a b c d e f 渡辺歩・小西賢一が語る『のび太の恐竜2006』(1)「一言で言えば『描ききるぞ』と」”. スタジオ雄 (2006年4月17日). 2020年5月2日閲覧。
  10. ^ 超映画批評『ドラえもん のび太の恐竜2006』55点(100点満点中)”. 前田有一. 2020年2月14日閲覧。
  11. ^ 担当声優さんが選ぶ『映画ドラえもん』シリーズのオススメはコレだ! - アニメイトタイムズ”. 株式会社アニメイト (2017年3月8日). 2020年2月17日閲覧。
  12. ^ 「もっと!ドラえもん特別編集 映画ドラえもん のび太の恐竜2006 公式ファンブック」P.67を参照。
  13. ^ 「もっと!ドラえもん特別編集 映画ドラえもん のび太の恐竜2006 公式ファンブック」P.68を参照。
  14. ^ 「藤子・F・不二雄ドリームシアター もっと!ドラえもん No.5 2006 SPRING」P.14を参照。
  15. ^ 『アニメーションRE(アール・イー) vol.3 / APR.2006』P.17を参照。
  16. ^ a b 渡辺歩・小西賢一が語る『のび太の恐竜2006』(2)「やっぱり画である事を大事にしたいんです」”. スタジオ雄 (2006年4月18日). 2020年5月2日閲覧。
  17. ^ a b 『アニメーションRE(アール・イー) vol.3 / APR.2006』P.12 - 13を参照。
  18. ^ 『のび太の日本誕生』~『のび太の恐竜2006』までのスタッフクレジットを参照。
  19. ^ 「もっと!ドラえもん特別編集 映画ドラえもん のび太の恐竜2006 公式ファンブック」P.69-70を参照。
  20. ^ 『映画ドラえもん のび太の恐竜2006』主題歌、スキマスイッチ新作! - CDJournal ニュース”. 株式会社 シーディージャーナル (2008年3月31日). 2020年2月14日閲覧。