ドライブ・マイ・カー (村上春樹)

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ドライブ・マイ・カー」は、村上春樹短編小説

概要[編集]

初出 文藝春秋』2013年12月号
収録書籍 女のいない男たち』(文藝春秋、2014年4月18日)[1]

村上は『文藝春秋』2013年12月号から2014年3月号まで、「女のいない男たち」と題する連作の短編小説を続けて掲載した。本作品は2013年12月号に発表されたその1作目(同号の発行日は2013年11月10日)。

雑誌発表直後の2013年12月、梁億寬(ヤン・オクグァン)により韓国語に翻訳された。掲載誌は季刊誌『世界の文学』(民音社)[2]。その後、2014年8月28日に短編集『女のいない男たち』が梁潤玉(ヤン・ユンオク)の翻訳で出版され[3]、本作品は2種類の韓国語版が存在することとなった。

主人公の家福(かふく)が北海道の実在する町の名前を挙げて感想を抱く場面について、2014年2月5日、当該町の町議が出版元の文藝春秋に対し抗議書を送ることを決めたことがマスコミで報道された[4]。これを受けて村上は2月7日、文藝春秋を通じて「僕は北海道という土地が好きで、これまでに何度も訪れています。(中略)これ以上の御迷惑をかけないよう、単行本にするときには別の名前に変えたいと思っています」と見解を発表した[5][6]。渡利(わたり)みさきの生まれ故郷の町名は『女のいない男たち』収録に際し、「上十二滝(かみじゅうにたき)町」と架空の名前に変更された[7]

英訳[編集]

タイトル Drive My Car
翻訳 テッド・グーセン
初出 『Freeman's: The Best New Writing on Arrival』(グローヴ・プレス、2015年10月13日)
収録書籍 Men Without Women』(クノップフ社、2017年5月9日)

あらすじ[編集]

家福は俳優で、台詞の練習をするために舞台に出演するときは車を運転して仕事場まで行っている。ところが接触事故を起こし、運転免許停止となった。同時に検査で緑内障の徴候が見つかり、事務所からも運転を止められる。そこで自動車修理工場の経営者である大場が、運転手として若い女性を推薦してくれた。2日後、黄色のサーブ900コンバーティブルの助手席に乗り、女に近くを運転してもらった。女の名前は渡利みさきといった。みさきは翌日から家福の専属運転手となった。

家福は助手席に座っているとき、亡くなった妻のことをよく考えた。女優の妻は時折、彼以外の男と寝ていた。家福にわかっている限りでは、その相手は全部で4人だった。

首都高速道路の渋滞中、みさきは家福に「どうして友だちとかつくらないんですか?」と質問する。家福は「僕が最後に友だちを作ったのは十年近く前のことになる」と答える。

妻が亡くなって半年後、テレビ局で高槻という名前の俳優と顔を合わせた。家福の知る限りでは、高槻は妻が性的な関係を持った男たちのリストの末尾に位置していた。翌日、二人は銀座のバーに行き、友だちになった。以後、都内のあちこちのバーで酒を飲み、あてもなく話をした。

その夜二人は根津美術館の裏手の路地の奥にある目立たないバーで飲んでいた[8]。高槻が話した言葉は、曇りのない、心からのものとして響いた。ほんの僅かなあいだかもしれないが、その隠された扉が開いたのだ。それが演技ではないことは明らかだった。それほどの演技ができる男ではない。

脚注[編集]

  1. ^ 『女のいない男たち』村上春樹 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
  2. ^ “村上春樹さん新作短編 韓国の季刊誌に掲載”. 聯合ニュース. (2013年12月10日). http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2013/12/10/0200000000AJP20131210002900882.HTML 2014年4月18日閲覧。 
  3. ^ 문학동네 BOOKS 여자 없는 남자들
  4. ^ “村上春樹氏:小説に「屈辱的表現」 町議ら文春に質問状へ”. 毎日新聞. (2014年2月5日). http://mainichi.jp/feature/news/20140205k0000m040179000c.html 2014年4月22日閲覧。 
  5. ^ “村上春樹さんが見解発表 単行本では別の町名に”. 朝日新聞. (2014年2月7日). http://www.asahi.com/articles/ASG276FHVG27UCVL01L.html 2014年4月22日閲覧。 
  6. ^ 文藝春秋|村上春樹氏作「ドライブ・マイ・カー」に関する見解
  7. ^ なお、村上の長編小説『羊をめぐる冒険』(講談社、1982年)で重要な舞台となる北海道の架空の町もこれと近い名で、「十二滝町」といった。
  8. ^ 「四十歳前後の無口な男がいつもバーテンダーとして働き、隅の飾り棚の上では灰色のやせた猫が丸くなって寝ていた。(中略)古いジャズのレコードがターンテーブルの上で回っていた。」という記述がそのあと続くが、このバーの設定は『女のいない男たち』に収録された短編「木野」の主人公が開いたバーの設定とほぼ同じである。

関連項目[編集]