ナツメ

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ナツメ
Ziziphus zizyphus foliage.jpg
ナツメ
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : バラ類 rosids
: バラ目 Rosales
: クロウメモドキ科 Rhamnaceae
: ナツメ属 Ziziphus
: ナツメ Z. jujuba
学名
Ziziphus jujuba
Mill.
syn.
Ziziphus zizyphus
(L.) H.Karst.
和名
ナツメ(棗)
英名
(Common) Jujube,
Chinese date
Ziziphus zizyphus
唱歌に詠われた水師営の棗の木(乃木邸内)

ナツメ学名Ziziphus jujuba)は、クロウメモドキ科落葉高木である。和名に入ってが出ること(夏芽)に由来する[1][2]。中国植物名(漢名)は、棗(そう)という[1]

果実乾燥させたり(干しなつめ)、菓子材料として食用にされ、また生薬としても用いられる。

ナツメヤシヤシ科単子葉植物であり遠縁の別種。果実が似ていることから。

英語ではjujube[3] または Chinese date(中国のナツメヤシ)という。

学名[編集]

  • 1753年 - カール・フォン・リンネRhamnus zizyphus として記載。
  • 1768年 - フィリップ・ミラーZiziphus jujuba[3]として記載。クロウメモドキ属 (Rhamnus) から分離したので、新しい属名としてリンネによる種小名を属名に昇格(ただしおそらくは何らかの間違いで1文字変わった)させ、トートニム(属名と種小名を同じにすること)は植物命名では認められないため新たに種小名をつけた。
  • 1882年 - ヘルマン・カルステンが Ziziphus zizyphus として記載。Ziziphuszizyphus は1文字違うのでトートニムにはならず、リンネのつけた種小名が引き続き有効であることを指摘した。

特徴[編集]

南ヨーロッパ原産、中国西アジアへ伝わり、中国原産ともいわれている[4][5]日本への渡来は奈良時代以前とされている[2]落葉の小高木で、野生状態のものもあるが、主には栽培されている[6]。日本では古くから栽培されてきたが、現在ではまれに庭などに植えられる[1]

対生するが、なかには棘がないものもある[6]は小枝に互生して、羽状複葉のようにも見える[6]。葉身は卵形で落葉樹らしからぬ光沢があり[6]、3脈が目立つ。

花期は初夏で、は淡緑色で小さく目立たず、葉腋に数個ずつつける[6]果実核果で、長さ2センチメートル (cm) ほどの卵型か長楕円形または球形でなめらか、1個の種子が入る[6]。熟すと赤黒くなり次第に乾燥してしわができる(英語名のとおりナツメヤシの果実に似る)。

同属は多く熱帯から亜熱帯に分布し、ナツメ以外にも食用にされるものはあるが、ナツメが最も寒さに強い。

栽培[編集]

日当たりが良く、排水が良いところであれば土質を選ばないため栽培しやすい[6]。繁殖は実生または株分けで行われる[6]

利用[編集]

木材としては、硬く、使い込むことで色艶が増す事から、高級工芸品(茶入れ、器具、仏具家具)等に使われている。その他、ヴァイオリンのフィッティング(ペグ、テイルピース、顎当て、エンドピン)にも使われている。 比重としてはツゲ黒檀の中間程度。

食用[編集]

日本では、果実を砂糖醤油甘露煮にし、おかずとして食卓に並ぶ風習が、古くから飛騨地方のみで見受けられる。

韓国では、薬膳料理として日本でも知られるサムゲタンの材料に使われるほか、砂糖・蜂蜜と煮たものを「テチュ茶(ナツメ茶)」と称して飲用する。

欧米には19世紀に導入されキャンディ(当初はのど飴)の材料として使われるようになった。また葉に含まれる成分ジジフィン(Ziziphin)は、甘味を感じにくくさせる効果がある。

乾果の砂糖漬を高級の菓子として賞味する。

生薬[編集]

タイソウ
Ziziphus jujuba MS 2461.JPG
生薬・ハーブ
原料 ナツメの果実
成分 ジジフスサポニン
臨床データ
法的規制
投与方法 経口
識別
KEGG E00128 D06758
別名 大棗
テンプレートを表示
サンソウニン
대추씨.jpg
生薬・ハーブ
原料 サネブトナツメの種子
成分 ジジベオシド
臨床データ
法的規制
投与方法 経口
識別
KEGG E00105 D06734
別名 酸棗仁
テンプレートを表示

ナツメまたはその近縁植物の実を乾燥したものは大棗(たいそう)[8]、種子は酸棗仁(さんそうにん)と称する生薬である[9]日本薬局方においては大棗がナツメの実とされ[10]、酸棗仁がサネブトナツメの種子とされている[11]。)。大棗は、果実が大きく、果肉が豊富なものを良品とし、種子が大きいものは実太(さねぶと)という[6]。秋(9 - 10月)に果実が黄褐色になったときに採って、蒸した後に天日で乾燥させる[1][6]。日本へは、中国原産の薬用品を輸入している[6]

大棗には強壮作用・鎮静作用が有るとされる[8]。甘みがあり、緩和、強壮、利尿の薬として、漢方では多種の配剤があり[6]葛根湯、甘麦大棗湯などの漢方薬に配合されている[12]生姜(しょうきょう)との組み合わせで、副作用の緩和などを目的に多数の漢方方剤に配合されている。民間では、筋肉の痛み、知覚過敏、咽頭炎に、1日大棗3 - 5グラムを水300 - 400 で煎じ、3回に分けて服用する用法が知られている[1][6]。ただし胃の弱い人や、をもつ小児への服用は控えた方が良いという意見もある[6]

このほか、胃腸が弱っているときに起こる疲労倦怠や食欲不振、冷え性不眠に対する薬効もあるとされ、ホワイトリカー1.8リットルにナツメ果実200グラムを入れて1か月以上漬け込んだナツメ酒を、就寝前に猪口1杯を飲む[1]。ナツメには睡眠と関係があるオレアミドが含まれている[13]

酸棗仁には鎮静作用・催眠作用が有るとされる[9]。酸味があり、補性作用・降性作用がある。酸棗仁湯に配合されている[14]

その他[編集]

庭木街路樹としても用いる。

茶器にも「」があるが、これは形が棗に似るためである。

脚注[編集]

[脚注の使い方]

参考文献[編集]

  • 大塚敬節『漢方医学』創元社〈創元医学新書〉、1990年2月1日(原著1956年7月25日)、第3版。ISBN 4-422-41110-1。
  • 貝津好孝『日本の薬草』小学館〈小学館のフィールド・ガイドシリーズ〉、1995年7月20日、163頁。ISBN 4-09-208016-6。
  • 馬場篤『薬草500種-栽培から効用まで』大貫茂(写真)、誠文堂新光社、1996年9月27日、81頁。ISBN 4-416-49618-4。
  • 「医薬品各条」『第十五改正日本薬局方』(PDF)、2006年3月31日、p.1239。2010年6月27日閲覧。