ニコタッチ方式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ニコタッチ方式(ニコタッチほうしき)とは、パナソニック モバイルコミュニケーションズ(旧:松下通信工業)製携帯電話端末に搭載されている日本語入力システムの1種である。同社製端末においては「モード3」と呼ばれることもある。略称は「ニコタッチ」。

概要[編集]

携帯電話端末の限られたキーを用いて、2回の打鍵で1文字を入力することを実現する方式である。同様の文字入力方式であるポケベル入力とも呼称される2タッチ入力を基礎としてはいるが、様々な点で改良が施されている。これにより、少ない打鍵回数で日本語の文章が入力できる点や、同行の仮名をカーソル移動させる手間を掛けずに続けて入力できる点など、ポケベル入力の利点をそのまますべて持ち合わせ、かつその欠点とされていた諸問題を解決している。

最大の改良点として、ポケベル入力とは文字の割り当てが異なっている。携帯電話での使用を前提とし、平仮名アルファベット数字・記号類の採択および配置に工夫が施されていることにより、習得や入力操作が容易になっている。従来のポケベル入力では、アルファベットや数字はその割り当てが記憶しづらく、習得を挫折するものも少なからずいたが、ニコタッチ方式では、トグル入力(かな方式)での割り当てと同一のものとすることで、ダイヤルキーにあらかじめ表示されている文字と一致させた。これにより、新たに暗記する必要がなくなり、習得を大幅に容易にさせることに成功している。また、頻出する捨て仮名句読点、さらにメールアドレスの表記等で一般的な記号類を基本の変換表に含めることで、入力モード(文字種)を切り替えることなく、異なる文字種の入り混じった文章の入力が可能である。

2003年1月に発売された、NTTドコモ2002年冬モデルのデジタル・ムーバ P251iS において初採用された。これ以降、P902iより前に発売されたFOMA端末やオペレータパック搭載端末、au端末および*Infineonプラットフォームソフトバンクモバイル端末やスマートフォンを除くパナソニック製の端末の多くに搭載されており、2019年現在、スマートフォン向けアプリにおいては、Android向けアプリである楽打ち[1]、nicoWnnG IME[2]なども対応しており、楽打ちとnicoWnnGはともに物理キー付きスマートフォンにおいても入力可能である。

パナソニックブランドの携帯電話端末では、かな方式(トグル入力)・2タッチ方式(ポケベル入力)・ニコタッチ方式の3種の文字入力方式が搭載されていることが多い。この場合、それぞれをモード1モード2モード3と呼ぶ場合がある。

操作方法[編集]

平仮名[編集]

1桁目に子音「あかさたなはまやらわ」の行に対応する「1234567890」を選択し、2桁目に母音「あいうえお」の段に対応する「12345」を選択する。例えば「けいたい」と入力する場合、「24(け)12(い)41(た)12(い)」となる。ここまではポケベル入力と同様だが、捨て仮名の「ゃゅょ」(拗音)や「っ」(促音)を含む場合も2回の打鍵で行う。例えば「ちゃくしん」と入力する場合、「42(ち)84(ゃ)23(く)32(し)03(ん)」となる。これにより、トグル入力に対し、ポケベル入力よりもさらに平均打鍵回数が減少する。

ヤ行・ワ行において、2桁目の母音「あいうえお」とキー「12345」との相関関係が崩れているため、注意が必要である。

捨て仮名および濁音半濁音は、清音入力後に続けて特定のキーを押すことで入力する。機種によって、大小の変換キーと清濁の変換キーとが異なっている場合と、同じになっている場合とがある。

大小と清濁とが異なるキーの場合
捨て仮名は、清音入力後に続けて「発信」を押すことで入力する。「発信」を1回押すごとに「清音→捨て仮名(→清音)」の順に変換される。例:「か→ヵ(→か)」「つ→っ(→つ)」
濁音・半濁音は、清音入力後に続けて「*」を押すことで入力する。「*」を1回押すごとに「清音→濁音→半濁音(→清音)」の順に変換される。例:「か→が(→か)」「つ→づ(→つ)」「は→ば→ぱ(→は)」
大小と清濁とが同一のキーの場合
捨て仮名・濁音・半濁音は、清音入力後に続けて「*」を押すことで入力する。「*」を1回押すごとに「清音→捨て仮名→濁音→半濁音(→清音)」の順に変換される。例:「か→ヵ→が(→か)」「つ→っ→づ(→つ)」「は→ば→ぱ(→は)」

アルファベット[編集]

1桁目にトグル入力の割り当てと同じキーを選択し、2桁目に「6789」のいずれかを選択する。1個のキーに3文字が割り当てられている場合は「789」に、4文字が割り当てられている場合は「6789」に、トグル入力と同じ順に割り当てられている。

大文字小文字との変換(入力モードではなく文字単独での変換)は、仮名の大小の変換キーと同一である。よって機種によって異なるが、文字入力後に続けて「発信」ないし「*」を押すことで入力する。1回押すごとに、大文字と小文字とが入れ替わる。

ポケベル入力では、アルファベットは1桁目「123456」・2桁目「67890」の範囲内に押し込まれているため、その配置が記憶しづらく、初心者からは敬遠されがちである。ニコタッチ方式では、トグル入力と同一キーに割り当てることで、キーに表示されている文字を見ながら打て、初心者にとっても習得しやすくなっている。

ひらがな大文字の入力モードの際、ポケベル入力では大文字の「ABCD…」が入力されるが、ニコタッチ方式では小文字の「abcd…」が入力される。英文では、文頭や固有名詞の語頭を除いて、ほとんどが小文字で表記されるので、実状に合致したものであると言える。

数字[編集]

1桁目に入力したい数字と同じキーを選択し、2桁目に「0」を選択する。

ポケベル入力では、数字は1桁目「90」・2桁目「67890」の範囲内に押し込まれているため、入力に際し、一々その配置を思い出さなければならず、それを避けるためには入力モード(文字種)を数字に切り替える必要があるなどの短所がある。これに対し、ニコタッチ方式では、1桁目を実際に入力したい数字と一致させ、2桁目を「0」に統一してしまうことで直感的に入力でき、入力の際の負担が極めて大幅に軽減されている。

文字の割り当て[編集]

基本的な文字の割り当ては以下の変換表のとおりである。ただし、機種によっては小文字の入力モードがないなど、多少異なっている場合もあるため、詳細は各機種の取扱説明書を参照のこと。

漢字ひらがな入力モード
(全角大文字)
2 桁 目
1 2 3 4 5 6 7 8 9 0
1

1 _
2
3
4
5
6
7
8
9
0
漢字ひらがな入力モード
(全角小文字)
2 桁 目
1 2 3 4 5 6 7 8 9 0
1

1
2
3
4
5
6
7
8
9
0
カタカナ入力モード
(半角大文字)
2 桁 目
1 2 3 4 5 6 7 8 9 0
1

1 . - @ _ 1
2 a b c 2
3 ソ d e f 3
4 g h i 4
5 j k l 5
6 m n o 6
7 p q r s 7
8 t u v 8
9 w x y z 9
0 ! ? 0
カタカナ入力モード
(半角小文字)
2 桁 目
1 2 3 4 5 6 7 8 9 0
1

1
2 A B C
3 D E F
4 G H I
5 J K L
6 M N O
7 P Q R S
8 T U V
9 W X Y Z
0

※割り当て文字のない箇所は、すべて全角ないし半角の空白文字である。

問題点[編集]

携帯電話の限られたボタンを用いた入力方式としては、ポケベル入力と同等あるいはそれ以上に優れた方式だが、いくつかの問題点もある。

  • パナソニック モバイルコミュニケーションズの独自方式であるため、いったんこの方式で慣れてしまうと、他社製の携帯電話端末への機種変更がしづらい。また、必ずしもパナソニックブランドのすべての携帯電話端末に搭載されているわけではないため、この入力方式を重視するのであれば、事前の確認も必要となる。
  • すでにポケベル入力で慣れているユーザにとっては、ヤ行やアルファベットなどの配置が異なっているため、かえって混乱してしまう虞がある。
  • 全角と半角との切り替えは、ソフトキーによる入力モードの切り替えではできず、機能メニューから選択するしかない。しかし、これもキー操作としては2回の打鍵で可能なので、慣れてしまえばそれほどの障害ではなくなる。

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 楽打ち(旧2タッチ文字入力) | ライフラボ株式会社” (日本語). 2019年4月3日閲覧。
  2. ^ nicoWnnG IME”. Gorry. 2019年4月3日閲覧。

関連項目[編集]