ニーラ (インド神話)

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青色で描かれたニーラ。1880年頃、バリ島

ニーラ: नील, Nīla)は、インド神話に登場するヴァナラ族(猿)である。ニーラとは 「」を意味する[1]叙事詩ラーマーヤナ』によると火神アグニの子で、ヴァナラ族の主要な指導者の1人としてヴァナラ族の一派を率いて王であるヴァーリンおよびスグリーヴァに仕え[2][3]アヨーディヤーの王子ラーマラーヴァナとの大戦争では武将の1人として活躍した。

神話[編集]

ヴァーリンを打倒したスグリーヴァは王位に就くと、ヴァナラ族を総動員して行方の分からないラーマ王子の妻シーターの捜索に乗り出した。ニーラはスグリーヴァに命じられて各地からヴァナラ族を招集した[4]。またアンガダとブリハッドヴァジャの指揮のもと、ハヌマーン、ジャームバヴァット、マインダ、アグニプトラ、ガヤらとともに南方の捜索隊に加えられ、ヴィンディヤ山脈やダンダカの森、マラヤ山脈などを捜索した[5]

ラーマ王子率いるヴァナラ軍がランカー島に上陸すると、ニーラはアンガダとともに軍隊の正面中央に配置された[6]。そのためラークシャサの斥候の1人サーラナがヴァナラの軍勢を説明したとき、ニーラは一番最初に名前が挙げられ、その次にアンガダの名前が挙げられた[7]。進軍して都市ランカーを包囲した際にはマインダ、ドゥヴィヴィダとともにラークシャサ軍の総帥プラハスタが守る城壁の東門を攻撃し[8]、両軍が激突するとニーラはクムバカルナの息子ニクムバと戦った[9]。この大戦争でニーラが挙げた最も輝かしい武功はランカーの軍勢の3分の1を率いて戦ったプラハスタを討ったことである。ニーラは矢の雨を降らせるプラハスタの攻撃を耐え、シャーラ樹を振るってプラハスタの馬を打ち殺し、弓を破壊した。するとプラハスタは棍棒を握って戦車から飛び降りたため、両者はたがいの武器で激しく打ち合った。しかしプラハスタがニーラの樹木による攻撃をものともしなかったので、突進してくるプラハスタに対して巨岩を持ち上げ、相手の頭に投げつけて殺した[10]。その後、アンガダがデーヴァーンタカトリシラス、マホーダラから攻撃を受けた際にはハヌマーンとともに救援に駆けつけ、トリシラスとマホーダラの攻撃に苦しみながらも巨岩を投げつけて、マホーダラを騎乗する戦象もろとも押し潰して殺した[11]。戦後は他のヴァナラの将たちとともにアヨーディヤーを訪れ、ラーマの即位式に出席した[12]

その他のニーラ[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c 『インド神話伝説辞典』p.249「ニーラ」の項。
  2. ^ 『ラーマーヤナ』1巻17章。
  3. ^ 阿部知二訳、p.18。
  4. ^ 阿部知二訳、p.219。
  5. ^ 阿部知二訳、p.233。
  6. ^ 阿部知二訳、p.334。
  7. ^ 阿部知二訳、p.337。
  8. ^ 阿部知二訳、p.350。
  9. ^ 阿部知二訳、p.353。
  10. ^ 阿部知二訳、p.369-370。
  11. ^ 阿部知二訳、p.392。
  12. ^ 阿部知二訳、p.453。

参考文献[編集]

  • 『ラーマーヤナ 世界文学全集III-2』阿部知二訳、講談社、1966年。
  • 『ラーマーヤナ1』岩本裕訳、平凡社東洋文庫、1980年。ISBN 4-582-80376-8。
  • 『インド神話伝説辞典』菅沼晃編、東京堂出版、1985年3月。ISBN 4-490-10191-0。