ノートレード条項

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ノートレード条項(のーとれーどじょうこう)とは、メジャーリーグにおける選手契約のオプションで、契約期間中在籍球団から他球団にトレードされない旨定める条項をいう。「トレード拒否条項」「トレード拒否権」とも呼ばれる。

メジャーリーグにおけるノートレード条項[編集]

メジャーリーグにおけるノートレード条項は広く用いられている。取得条件は、メジャーリーグに10年以上在籍し、なおかつ現在所属している球団に5年以上在籍していることである(ロースター25人枠未登録期間が1シーズンのうち20日以内の場合、1年在籍とみなされる)。あるいは、選手と球団の契約でもこの権利を盛り込むことができる。ノートレード条項は2つに大別される。

  1. 特定の球団へのトレードは無条件で受け入れるが、それ以外の球団へのトレードは選手本人の同意を必要とするもの
  2. 一切のトレードにつき選手本人の同意を必要とするもの

ノートレード条項が多用され始めたのは、選手に代理人(エージェント)がつくようになってからであり、エージェントは単に年俸のつり上げのみならず、選手の身分保障のため、ノートレード条項を盛り込ませることが多くなった。特に、ヤンキースドジャース等の人気球団のレギュラークラスの選手は、シーズン中のトレードを防止するためにノートレード条項を多く盛り込むようになった。一方で、高い年俸を支払いながらも故障したり不振に陥ってもノートレード条項があるがゆえにトレードができず、球団は故障者リストに入れるしかなく、ある意味球団にとって大きな負担となり、また選手としてもマスコミ等からの批判の的となることが多い。

2000年代後半ではニューヨーク・メッツ在籍時の松井稼頭央が自らのノートレード条項(ヤンキース、エンゼルス、ドジャース以外の球団へのトレードを拒否するもの)を破棄し、コロラド・ロッキーズに移籍した事例がある。

日本プロ野球におけるノートレード条項[編集]

日本プロ野球では選手が球団と契約を締結する場合の統一様式である統一契約書様式の第21条において、所属する球団がいずれかへの球団に契約の譲渡できることを選手は予め承諾するものと定められているため、ノートレード条項のような特約を定めることは不可能である。ただし、1952年から1972年まではFA制度の前身である10年選手制度によって、選手の同意がないトレード拒否が条件を満たした一部の選手にのみ与えられていた。

2000年代頃からのプロ野球では複数年契約や代理人交渉など、旧来の選手契約では考えられなかった事態が増えてきていることから、ノートレード条項が盛り込まれている(統一契約書第21条が球団・選手の同意により削除されている)ことも考えられるという主張が行われたり、報道でその存在が噂されることがあるが、野球協約第47条で「統一契約書の条項は、契約当事者の合意によっても変更することはできない。ただし、この協約の規定ならびに統一契約書の条項に反しない範囲内で、統一契約書に特約条項を記入することを妨げない。」とそれが不可能であることが明文化されている。このため、日本プロ野球においてノートレード条項の存在が明らかになったことはない。社会通念上ではともかく、協約上では複数年契約選手のトレードも可能であり、2009年に千葉ロッテマリーンズに在籍し複数年契約を結んでいた清水直行横浜ベイスターズにトレードで移籍したときは問題となった。

ただし、外国人選手に限っては統一契約書に従った内容で契約を締結するという制限がないため、ノートレード条項が契約のオプションとして盛り込まれている可能性はある。

関連項目[編集]