ノーリツ鋼機

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ノーリツ鋼機株式会社
Noritsu Koki Co., Ltd.
Noritsu logo.png
種類 株式会社
機関設計 監査等委員会設置会社
市場情報
東証1部 7744
1997年11月7日上場
大証1部(廃止) 7744
2013年7月12日上場廃止
本社所在地 日本の旗 日本
106-0045
東京都港区麻布十番1丁目10番10号 ジュールA 5階
北緯35度39分21.8秒 東経139度44分12.5秒 / 北緯35.656056度 東経139.736806度 / 35.656056; 139.736806座標: 北緯35度39分21.8秒 東経139度44分12.5秒 / 北緯35.656056度 東経139.736806度 / 35.656056; 139.736806
設立 1961年11月24日
業種 精密機器
法人番号 9170001002607 ウィキデータを編集
事業内容 「ものづくり」「ヘルスケア」事業を行う子会社株式を保有する持株会社
代表者 代表取締役CEO 岩切隆吉
資本金 70億2500万円
(2020年12月31日現在)[1]
発行済株式総数 3619万0872株
(2020年12月31日現在)[1]
売上高 連結: 411億4800万円
(2020年12月期)[1]
営業利益 連結: 58億2500万円
単独: △8億6500万円
(2020年12月期)[1]
経常利益 単独: 8億0600万円
(2020年12月期)[1]
純利益 連結: 106億6200万円
単独: 202億3600万円
(2020年12月期)[1]
純資産 連結: 1191億8900万円
単独: 830億9000万円
(2020年12月31日現在)[1]
総資産 連結: 2358億4800万円
単独: 1230億3500万円
(2020年12月31日現在)[1]
従業員数 連結: 1,776人
単独: 19人
(2020年12月31日現在)[1]
決算期 12月31日
会計監査人 PwCあらた有限責任監査法人[1]
主要株主 株式会社サンクプランニング 42.17%
西本佳代 6.74%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 5.14%
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 4.83%
THE BANK OF NEW YORK MELLON 140051 3.75%
JPMBL RE NOMURA INTERNATIONAL PLC 1 COLL EQUITY 1.97%
THE BANK OF NEW YORK 133652 1.96%
MSIP CLIENT SECURITIES 1.84%
BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG (FE-AC) 1.62%
株式会社三井住友銀行 1.51%
(2020年12月31日現在)[1]
主要子会社 #関連会社参照
関係する人物 西本貫一(創業者)
外部リンク https://www.noritsu.co.jp/
特記事項:連結経営指標は国際会計基準のため、売上高は売上収益、純利益は当期利益、純資産は資本合計、総資産は資産合計。第66期(2020年12月期)より決算期を3月31日から12月31日に変更。第66期は経過期間のため期間は9か月間。
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ノーリツ鋼機株式会社(ノーリツこうき : Noritsu Koki Co., Ltd.[2])は、音響機器の開発・販売、ペン先部材の製造・販売、医療データ分析調査のヘルスケア、などを行う子会社を傘下に置く持株会社

概要[編集]

写真処理機器メーカーとして創業。2000年代までは、写真館やDPEショップ(2000年代まで街中にたくさん存在した小規模写真現像所)に設置されていた「ミニラボ」と呼ばれる写真自動現像システムの「QSS(クイック・サービス・システム)」を主力としており、世界で5割のシェアを持つ最大手であった。1990年代中頃より写真フィルム世界最大手のイーストマン・コダック社と提携しており、ノーリツはフィルムや印画紙などの民生用品を製造していなかったため、ノーリツがコダックの資材を使用したり、またコダックがノーリツ製品のOEM販売を行ったりしていた。

しかしデジタルカメラの普及とともにミニラボ市場は急激に縮退し、業績が悪化。1990年代後半以降、デジタルカメラプリントに対応した機材「デジタルミニラボ」も製造し、2002年よりコダックとミニラボを共同開発、2006年にはミニラボ業界の最大のライバルであった富士フイルムとも提携して共同開発を行って生き残りを図ろうとするも、2000年代後半より写真関連事業を縮小。

2010年より他業種に対して積極的なM&Aを展開し、ヘルスケア事業へ進出など事業転換を進める。創業事業の写真関連事業を2016年に譲渡。(旧ノーリツ鋼機の写真処理機器部門を源流とするノーリツプレシジョンは、2020年代においてもなおプロフェッショナル向けとしての市場が残るフィルム写真処理機器の世界シェア1位である。)

2019年に中期経営計画を発表後、事業ポートフォリオを再編。現在は持株会社として、フェルトペン先で世界シェア5割を誇るテイボーや、DJ機器で世界シェア7割の「Pioneer DJ」ブランドで知られる音響機器メーカーのAlphaTheta(旧Pioneer DJ)などによる「ものづくり」事業と、医療ビッグデータ事業のJMDC(旧・日本医療データセンター)などによる「ヘルスケア」事業を柱としている。

沿革[編集]

和歌山市で写真館「西本スタジオ」を運営する創業者の西本貫一は、1951年に水車の原理を応用した写真印画紙の水洗機を発明。これを事業化するために1956年に設立した「ノーリツ光機製作所」を起源とする。写真の現像工程の「能率化」が社名の由来である。

創業当初より写真店向けの機材を商品としており、モノクロフォトプリント・カラーフォトプリント用の機材を次々に開発、製造してきた。1961年にはモノクロフィルムプロセッサー「RF−20E」の開発によって、世界で初めてモノクロフィルム現像工程の自動化に成功。同年、社名を「ノーリツ鋼機」と改める。

1976年にはフィルムを現像してプリントするまでの工程を一元化したシステム「クイックサービスシステム(QSS)」の1号機である「QSS−1型」を開発。1970年代当時は写真現像の機械化・高速化が進んでおり、熟練のオペレーターが手で1枚1枚現像するという高価で手間のかかる方式(「手焼き」)に代わって、現像所にフィルムを送って大型機械で一括に現像する方式(「集中ラボ」方式)が一般的となっていた。それでも後者は写真が出来上がるまでに1週間程度かかったが、「QSS」を導入すると写真館の中で1時間程度で現像が可能となった。「QSS」は、後に「ミニラボ」と呼ばれて普及する小規模な写真現像機器の最初の製品であり、これ以降、世界中の写真館にミニラボが導入されることとなる。

その後、富士フイルムなど国内の大手写真機材メーカーも「ミニラボ」事業を展開し始めたことから、ノーリツは1978年にノーリツアメリカを設立し、国内同業他社に先駆けて北米に進出。1980年代には北米で大きな成功をおさめ、北米でノーリツはミニラボの代名詞となった。ノーリツはミニラボ事業で世界シェア1位となり、会社は急拡大。1997年には東証1部上場を果たす。

日本でも2000年代まで「DPE店」と呼ばれる写真現像所が各地にできた。「DPE店」とは、写真の現像および現像所へのフイルムの取次ぎを主な業務とする小規模な店舗で、従来は写真材料販売店などに併設されていることが多かったが、ミニラボはオペレーターの熟練を必要とせずに写真を現像できることから、異業種からの参入が相次いだ。「フジカラーショップ」など写真材料販売店系のDPE店には系列メーカーのミニラボが導入されていたが、それ以外の独立系のDPE店にはノーリツ製がよく導入されていた。1980年代から1990年代にかけては、スーパーなどの一角に設置されたDPE店にカメラを渡すと、買い物が終わったころに写真が出来上がっているというシステムが構築されていた。

しかし2000年代以降、デジタルカメラの普及によりフィルム事業を主とするノーリツ鋼機の業績が悪化する。1996年には富士フイルムが世界初のデジタル対応のミニラボ「フロンティア」を発表、1998年にはコニカが世界初のメモリーカードに対応したデジタルミニラボ「QD-21」を発表するなど、各社ミニラボのデジタル化が進む中、ノーリツはデジタル対応に乗り遅れたため米コダックと提携し、コダックが開発したソフトウェア「DLS」(Digital Lab System)システムを搭載したデジタルミニラボ「QSS-27」シリーズをリリース。2002年にはセイコーエプソンと提携し、現像液を使わずにインクジェット方式で写真を印刷する「ドライミニラボ」を開発。そんな中、社長の西本貫一が2005年に90歳で死去。2代目社長体制においては、2006年にライバルの富士フイルムと提携してデジタルミニラボの共同開発を行うなど、ミニラボ事業の継続を模索するが、ノーリツ鋼機の大株主である創業家(西本貫一の夫人と娘)が2008年に全取締役を解任する。その後、西本貫一の元秘書であり、西本貫一の娘婿でもある西本博嗣が社長に就いた。

ノーリツ鋼機は2006年より赤字が続いていたが、2008年の時点では無借金、利益剰余金707億円、売上高626億円と、ミニラボ事業でシェア世界一の安泰な企業だと思われており、創業家のクーデターに対して不可解さを覚える報道もあった[3]。しかし実際はミニラボ業界は急激に衰退しており、2005年には独アグファの倒産に伴いアグファとミニラボを共同開発していたコパルがミニラボ事業から撤退、2006年にはコニカミノルタがミニラボ事業をノーリツに譲渡して撤退(同時に全てのカメラ事業・フォト事業から撤退)、2010年には英KIS Photo-Meグループ傘下の仏KIS(日本でも少なからずシェアがあった)がミニラボから撤退、2012年にはノーリツとミニラボを共同開発していた米コダックが倒産した。そんな中、ミニラボ事業でノーリツの最大のライバルであった富士フイルムもイメージング事業を縮小し、ヘルスケア事業や高機能材料などを中心として事業ポートフォリオを再編していた。(ちなみに、Photo-Meも2010年にコインランドリー事業に進出し、証明写真とプリクラのメーカーとしてイメージング事業を継続しながら、事業ポートフォリオを再編している)

ノーリツ鋼機も西本博嗣社長体制においては写真処理機器事業以外の分野に進出すべく、写真処理機器事業以外の分野の会社を傘下に置く「NKリレーションズ」を2009年に設立し、農業事業の「NKアグリ」など写真事業とは関連しない事業をいくつも展開した。同時に写真事業を縮小し、2011年に写真関連事業を「NKワークス株式会社」としてノーリツ鋼機本体から分離した。また、当時はミニラボ事業で築いた豊富な資金が残っていたことから、異業種に対する積極的なM&Aを展開し、医療やペン先の企業などを買収。2010年3月期にはミニラボ事業の減損もあり、売上高279億円に対して赤字206億円という巨額の赤字を計上し、全盛期には900億円ほどあった売り上げが2012年3月期には約180億円にまで落ち込むも、ノーリツ鋼機は持ちこたえ、2013年3月期に黒字化した。

2016年には「NKワークス」の全株式を投資会社に譲渡し、写真関連事業から撤退した。「NKワークス」はその後「ノーリツプレシジョン」に社名を変更した。銀塩写真の現像処理機は、2020年代においてもなおプロフェッショナル向けとしての市場が残っており、ノーリツプレシジョンは富士フイルムとともにフィルム写真向けの現像処理機を開発・販売する最後の2社として、ノーリツの「QSS」シリーズとフジフイルムの「フロンティア」シリーズで世界シェアを二分している。

2015年に祖業の地である和歌山市から東京都港区に本社を移転した。なお、和歌山市には写真関連機器などを生産するノーリツプレシジョン本社などの元関連会社がいくつか残っている。また、かつては和歌山市内でカメラや写真機材などを扱う「カメラの西本」を数店舗経営していたが、2010年代に全て閉店し、最後の1店舗となった「カメラの西本 車庫前本店」(和歌山市西高松)および併設の「西本スタジオ」は2020年6月に閉店した。

2018年6月に現代表の岩切隆吉がCEOに就任、M&A戦略の一巡を経て事業ポートフォリオ再編に着手。2018年には「NKリレーションズ」をノーリツ鋼機本体に吸収合併。2019年には中期経営計画を発表し、コア事業を「ものづくり」と「ヘルスケア」に定め、2019年、ヘルスケア事業を担うJMDC、ドクターネット、ユニケソフトウェアリサーチからなるJMDCグループが上場。2020年にはものづくり事業としてPioneerDJを有するAlphaTheta株式会社を買収。2021年にはものづくり事業として、米国で手ごろな価格帯におけるNo.1のポータブルオーディオブランド「JLab」を有するPEAG, LLC dba JLab Audioを買収。

年表[編集]

創業者 西本貫一が写真印画紙自動水洗機を発明。水車の原理を応用した、停電時でも稼働できる画期的な発明により、当社の基礎を築く。
有限会社ノーリツ光機製作所を設立。
ノーリツ鋼機株式会社に組織変更。現在の社名となる。
先進のモノクロフィルム自動現像機=モノクロフィルムプロセッサー>RF−20E<を開発。世界で初めてフィルム現像工程の自動化に成功。
QSS−1型を開発。QSS・ミニラボの原点、世界飛躍への原動力となる。
大阪証券取引所市場第二部に株式を上場。
東京証券取引所市場第一部に株式を上場。
創業者 西本貫一が逝去。
新規事業開拓・M&Aを担うNKリレーションズ株式会社(2016年からNKリレーションズ合同会社)を設立。
日本有数の植物工場で野菜を生産するとともに、「カタチの農業から中味の農業」を目指す、NKアグリ株式会社を設立。(2020年撤退)
遠隔画像診断支援サービス(「Tele-RAD®」)のリーディングカンパニーである株式会社ドクターネットをグループに迎える。
先端医療の技術開発と予防医療事業を担う、NKメディコ株式会社を設立。
新設分割により、イメージング事業を承継するNKワークス株式会社を設立。ノーリツ鋼機株式会社は持株会社となる。
医療機関向けコンサルティングや診療報酬ファクタリングを営む、エヌエスパートナーズ株式会社をグループに迎える。
50代からの女性にライフスタイルを提案する出版・通販事業を営む、いきいき株式会社(2016年から株式会社ハルメク)をグループに迎える。(2020年譲渡)
シニア層を中心とした通販事業を営む、株式会社全国通販をグループに迎える。(2020年譲渡)
医療統計データサービスを営む、株式会社日本医療データセンターをグループに迎える。
歯科医院向け通販事業を営む、フィード株式会社をグループに迎える。(2020年譲渡)
再生医療技術・製品、細胞医薬品の研究開発を担う、株式会社日本再生医療を設立。(2020年譲渡)
健康年齢少額短期保険準備株式会社を設立、グループ会社である日本医療データセンターのビッグデータを用いた新しい保険の開発を開始。(2016年、金融当局から許認可を取得、営業開始)
マーキングペンのペン先部材で世界トップシェアのテイボー株式会社をグループに迎える。
本店所在地を和歌山県和歌山市から東京都港区へ変更。
機関設計を監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ変更。
会計基準を日本基準から国際財務報告基準(IFRS)へ変更。
創業の事業であるイメージング事業を営む、NKワークス株式会社(現 ノーリツプレシジョン株式会社)を譲渡。
健康年齢少額短期保険準備株式会社が金融当局から許認可を取得、健康年齢少額短期保険株式会社として営業開始。(2020年譲渡)
母体血による胎児DNA検査サービスを営む、GeneTech株式会社(ジーンテック)をグループに迎える。(2020年譲渡)
バイオ医薬品事業を営む、株式会社ジーンテクノサイエンスをグループに迎える。
保険薬局向けシステム開発等を営む、株式会社ユニケソフトウェアリサーチをはじめとしたチームユニケをグループに迎える。
賃貸入居者向け家財保険事業を営む、日本共済株式会社をグループに迎える。(2020年譲渡)
NKリレーションズ合同会社を吸収合併。
岩切隆吉が代表に就任。事業ポートフォリオ再編に着手。
PBT(化学繊維)ブラシ製造のsoliton corporationをグループに迎える。
JMDC、ドクターネット、ユニケソフトウェアリサーチからなるJMDCグループが上場。
中期経営計画を発表、コア事業を定めて事業ポートフォリオの再編を推進。
「Pioneer DJ」などのDJ機器を展開するAlphaTheta(旧社名Pioneer DJ)をグループに迎える。
AlphaThetaとテイボーを含むものづくり事業と、JMDCグループを含むヘルスケア事業をコア事業と再定義し、それ以外の事業すべてから撤退、成長性の高い事業グループへと再編を進める。
ポータブルオーディオブランド「JLab」を有するPEAG, LLC dba JLab Audioを買収、グループに迎える。

CM・広告[編集]

2004年10月から2005年9月の間、朝日放送新婚さんいらっしゃい!』でタレント若槻千夏を起用したTV-CMをオンエアしていた。

関連会社[編集]

国内グループ会社
海外グループ会社
  • 泰宝制筆材料(常熟)有限公司

脚注・出典[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d e f g h i j k 株式会社 (2021-03-29). 第66期(2020年4月1日 - 2020年12月31日)有価証券報告書 (Report). 
  2. ^ ノーリツ鋼機株式会社 定款 第1章第1条
  3. ^ 経営陣全員をクビにした創業家 ノーリツ鋼機を外資系に売却か(下) - ネットアイビーニュース

関連項目[編集]

2013年から2015年までNBLに参戦していたプロバスケットボールチーム。事務所が本社社屋内に入居しており、ホームアリーナも和歌山本社体育館をノーリツアリーナ和歌山と改めて使用していた。
2014年3月に店舗撤退により閉鎖した施設を購入。しかし「グランパークとして再建することはない」として5月より施設を解体し、跡地にケーズデンキ甲府店をオープンさせている。