ノー・プッシーフッティング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ノー・プッシーフッティング
フリップ&イーノスタジオ・アルバム
リリース
録音 1972年9月8日 イーノズ・スタジオ("The Heavenly Music Corporation")[1]
1973年8月4日 - 5日 コマンド・スタジオ("Swastika Girls")[1]
ジャンル 実験音楽アンビエント
時間
レーベル アイランド・レコード
ディシプリン・グローバル・モービル(2008年リマスターCD)
プロデュース ロバート・フリップ、ブライアン・イーノ
専門評論家によるレビュー
フリップ&イーノ アルバム 年表
ノー・プッシーフッティング
(1973年)
イヴニング・スター
(1975年)
ブライアン・イーノ 年表
ノー・プッシーフッティング
(1973年)
ヒア・カム・ザ・ウォーム・ジェッツ
(1974年)
テンプレートを表示

ノー・プッシーフッティング[注釈 1]』(原題は括弧を含む(No Pussyfooting))は、ロバート・フリップブライアン・イーノフリップ&イーノ名義で1973年に発表したスタジオ・アルバム

背景[編集]

フリップがプロデュース、イーノがシンセサイザーの演奏で参加したマッチング・モウルのアルバム『そっくりモグラの毛語録 (Matching Mole's Little Red Record)』(1972年)の制作中、フリップとイーノは意気投合し、1972年9月8日、両名はイーノの自宅のスタジオで「ヘヴンリー・ミュージック・コーポレーション」を録音した[2]。そして、フリップは同年10月より、自身が率いるキング・クリムゾンのライヴにおいて、この曲をオープニング曲として流すようになった[2]。なお、1974年6月に録音されたキング・クリムゾンのライヴ・アルバム『USA』にも、この曲の断片が収録されている[3]

「スワスティカ・ガール」は、「ヘヴンリー・ミュージック・コーポレーション」より11か月後の1973年8月4日から5日のセッションで録音され、同月の21日から22日にミキシングが行われた[1]。この曲のタイトルは、イーノがスタジオに行く途中に拾った、裸の女性が鉤十字を腕に付けてナチス式敬礼をしている写真(イーノ曰く「たぶん何かのポルノ雑誌から誰かが破り取ったと思われるページ」)に由来しており、イーノは「私はそれをコンソールの所に貼りつけて、我々はただぼんやりとそれを見つめて、この曲を録音しながらこの写真について話をしていた」とコメントしている[4]

本作のレコーディングでは、オープンリールのテープレコーダー2台を使ってテープ・ループに別の音を重ねるシステムが使用され、これは後にフリップが多用するシステム「フリッパートロニクス英語版」へ発展した[5]。なお、フリップは両方の曲でギブソン・レスポールを使用している[1]

本作のオリジナル・ヴァージョンの全2曲は、1994年発売のベスト・アルバム『エッセンシャル・フリップ&イーノ』にも収録された[6]

評価・影響[編集]

テッド・ミルズはオールミュージックにおいて5点満点中4.5点を付け「イーノとフリップは後に、『イヴニング・スター』やイーノのソロ・アルバム『ディスクリート・ミュージック』において、このシステムを洗練させていった。フリップ個人としてもこのシステムを採用し、自分のアルバム全体やライヴ・パフォーマンスの基盤とした(特に『レット・ザ・パワー・フォール』において顕著である)。しかし、すべての始まりはこの『ノー・プッシーフッティング』だ」と評している[5]。また、ロバート・クリストガウは本作にB+を付け「ポップ・エレクトロニクスとしては、テリー・ライリーの『A Rainbow in Curved Air』以来の、特に楽しめる作品」と評し、「スワスティカ・ガール」におけるギター・プレイを聴き所として挙げている[7]

ザ・ストロークスがアルバム『ルーム・オン・ファイア』(2003年)からシングル・カットした「ジ・エンド・ハズ・ノー・エンド英語版」のミュージック・ビデオには、本作のジャケットにインスパイアされた鏡張りの部屋での演奏シーンがある[8]

収録曲[編集]

全曲ともロバート・フリップとブライアン・イーノの共作。

  1. "The Heavenly Music Corporation" - 20:55
  2. "Swastika Girls" - 18:43

2008年リマスターCD[編集]

ディスク1[編集]

  1. ヘヴンリー・ミュージック・コーポレーション1 - "The Heavenly Music Corporation" - 6:17
  2. ヘヴンリー・ミュージック・コーポレーション2 - "The Heavenly Music Corporation" - 3:08
  3. ヘヴンリー・ミュージック・コーポレーション3 - "The Heavenly Music Corporation" - 2:21
  4. ヘヴンリー・ミュージック・コーポレーション4 - "The Heavenly Music Corporation" - 4:53
  5. ヘヴンリー・ミュージック・コーポレーション5 - "The Heavenly Music Corporation" - 4:15
  6. スワスティカ・ガール1 - "Swastika Girls" - 7:32
  7. スワスティカ・ガール2 - "Swastika Girls" - 11:27
  8. ヘヴンリー・ミュージック・コーポレーション(反転)1 - "The Heavenly Music Corporation (Reversed)" - 4:35
  9. ヘヴンリー・ミュージック・コーポレーション(反転)2 - "The Heavenly Music Corporation (Reversed)" - 4:21
  10. ヘヴンリー・ミュージック・コーポレーション(反転)3 - "The Heavenly Music Corporation (Reversed)" - 2:30
  11. ヘヴンリー・ミュージック・コーポレーション(反転)4 - "The Heavenly Music Corporation (Reversed)" - 3:05
  12. ヘヴンリー・ミュージック・コーポレーション(反転)5 - "The Heavenly Music Corporation (Reversed)" - 6:22

ディスク2[編集]

  1. ヘヴンリー・ミュージック・コーポレーション・ハーフ・スピード1 - "The Heavenly Music Corporation (Half Speed)" - 12:45
  2. ヘヴンリー・ミュージック・コーポレーション・ハーフ・スピード2 - "The Heavenly Music Corporation (Half Speed)" - 5:54
  3. ヘヴンリー・ミュージック・コーポレーション・ハーフ・スピード3 - "The Heavenly Music Corporation (Half Speed)" - 5:04
  4. ヘヴンリー・ミュージック・コーポレーション・ハーフ・スピード4 - "The Heavenly Music Corporation (Half Speed)" - 9:44
  5. ヘヴンリー・ミュージック・コーポレーション・ハーフ・スピード5 - "The Heavenly Music Corporation (Half Speed)" - 8:22
  6. スワスティカ・ガール(反転)1 - "Swastika Girls (Reversed)" - 10:10
  7. スワスティカ・ガール(反転)2 - "Swastika Girls (Reversed)" - 8:46

参加ミュージシャン[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]

注釈[編集]

  1. ^ 2008年再発CD (IECP-20148/149)及び2014年再発CD (IECP-20236/237)の帯に準拠。日本盤LP (MPF 1218)及び1989年再発CD (VJD-5004)の帯では『ノー・プッシィフッティング』と表記されていた。

出典[編集]

  1. ^ a b c d Fripp & Eno - (No Pussyfooting) (CD, Album) at Discogs - 2008年リマスターCDの情報。
  2. ^ a b 『エッセンシャル・フリップ&イーノ』日本盤CD (VJCP-25089)ライナーノーツ(市川哲史
  3. ^ Reed, Ryan. “How King Crimson Ended Their Classic Era With Thunderous Live LP 'USA'”. Ultimate Classic Rock. Loudwire Network. 2018年8月5日閲覧。
  4. ^ エリック・タム『ブライアン・イーノ』小山景子訳、水声社、1994年、245-246頁。ISBN 4-89176-302-7。
  5. ^ a b Mills, Ted. “(No Pussyfooting) - Fripp & Eno, Robert Fripp, Brian Eno”. AllMusic. 2018年8月5日閲覧。
  6. ^ Jurek, Thom. “The Essential Fripp & Eno - Fripp & Eno”. AllMusic. 2018年8月5日閲覧。
  7. ^ Christgau, Robert. “CG: Artist 1904”. 2018年8月5日閲覧。
  8. ^ Lash, Joile (2004年8月27日). “Strokes Won't Let It End”. Rolling Stone. 2018年8月5日閲覧。