ハエ取り紙

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平紙型の蝿取り紙/数多くの飛翔性昆虫を“一網打尽”にした状態。黄色いのは誤って触れないようにという配慮のされたデザインであろうか。
平紙型の蝿取り紙/透明タイプ。
蝿取りリボン/リボン型の蝿取り紙。数多くの蝿を捕らえた状態。
蝿取りリボン(全体)

蝿取り紙(はえとりがみ、はえとりし。表記揺れ蝿取紙ハエ取り紙、ほか。読みの転訛:はいとりがみ、はいとりし。歴史的仮名遣:はへとりがみ、はへとりし)とは、蝿(はえ、ハエ)を捕るために誘引剤を含む粘着性物質を塗った。なお、漢字」(拡張新字体)には旧字体」があるため、全ての熟字は2種類ある。

害虫駆除用品の一種。また、古来の日本語でいうところの、蝿取り/蝿取(はえとり、はいとり。蝿を取るための道具。蝿叩き、蝿取り器、蝿取り紙など)の一種。英語では "flypaper日本語音写例:フライペーパー)" という。中国語では「捕蝇纸繁体字捕蠅紙)」のほか、様々な名称で呼ばれる。

あくまで蠅を駆除対象とするが、実際には小型飛翔昆虫を区別なく捕らえる。否定的言い回しをするなら、害虫以外も捕らえてしまう。 世界には平紙の形状(シート形状)のものを始めとして様々な蝿取り紙がある。日本では、蝿取りリボンリボン蝿取りとも呼ばれるリボン状の吊り下げタイプが開発されて以降、このタイプが蝿取り紙の形状として独占的なものとなった。英語では "fly ribbon日本語音写例:フライ リボン)" と呼ぶこのタイプは、天井など高所から広い空間に垂れ下がるように吊るすことで、そういった場所に留まりたがる飛翔性昆虫の習性を利用して捕らえる。

概要[編集]

主にロジンと油(ひまし油など)などを原料とする粘着性の強い粘性を持った液体がシートに塗布されており、これに接触した昆虫など小動物がベタベタ粘りつくことで捕らえられる。これは所謂接着ではないため、揮発性の高い溶剤が乾くことで固化しないようになっており、概ね塗布された液体の面が出ている限りは対象を捉えることが出来るが、大抵は(大量の虫が貼り付いている状態は見た目の上でも衛生的に見えないなどの事情で)ある程度の期間が経ったら新しいものに交換される。

日本で最もよく普及したのは、カモ井加工紙1930年昭和5年)に発明した天井吊り下げタイプである。それまで海外で使用されていたタイプは平紙状の粘着・誘引シートを設置するだけという素朴なものであった。[要検証]吊り下げタイプは海外にも大量に輸出されている。その多くでは1つのパッケージに何本かがセットになっており、数箇所に同時に設置したり、定期的に交換される替えとして利用される。このタイプは、高さ8センチメートル程度の紙筒に入ったテープを引き出して使用する。テープ先端には画鋲が取り付けられている製品もあり、これを天井や鴨居などに刺して固定する。近年[いつ?]では、シートタイプやスティックタイプも散見されるようになった。古典的な製品ではあるが、基本的に殺虫剤成分を含まないため、食品を取り扱う事業所などでよく使われる。日本では製造会社の商品名である「リボンハイトリ」や「ハエ取りリボン」がそのまま通称として用いられることも多かった。

かつては蝿取り紙にはヒ素が使われており[1]、水に浸すとヒ素を抽出できることから、フレデリック・セドン英語版フローレンス・メーブリックといった毒殺者が使用したことでも知られている[2]

注意点[編集]

強い粘着力を持つため、人や動物が誤って触れると容易に取れなくなるので注意が必要である。また、風が吹き抜ける場所では埃や葉屑などのゴミが付着して機能が早期に低下することにも留意しなければならない。

応用[編集]

設置場所を通る小動物をすべて捕獲するトラップであるために、動物相の調査に使える。生態学的研究に利用される場合がある。例えば目的の場所にぶら下げると、そこを通る昆虫をその高さ別に採集できる。池の水面に設置したところ、アメンボが意外に水面より少し上で捕まるのが多かった、などという例もある。

主要メーカー[編集]

カモ井加工紙株式会社は、1923年大正12年)創業の日本企業で、日本初の蝿取り紙として平紙タイプを創業時から製造販売している。1930年昭和5年)には吊り下げリボン型を開発・発売している。

季語[編集]

季語・季題としての蝿取紙/蝿取り紙/蠅取紙/蠅取り紙(はえとりがみ、歴史的仮名遣:はへとりがみ、別の読み:はいとりがみ)は、の季語(三夏の季語)である。/(はえ、歴史的仮名遣:はへ)を親季語とする数ある子季語の一つ。

転義[編集]

税制における「ハエ取り紙の理論」とは、蝿取り紙の持つ「最初に触れた場所にくっついて離れない」という特徴を、「地方政府に入った補助金が、住民に還元されることもなく、財政支出という形で最初に入った地方政府という場所に張り付いて離れない」ことや「負担というものが直接課税対象から少しも離れない考えられない」ことに譬えることにより、地方政府の構造的問題を揶揄して指摘する理論である。

関連作品[編集]

アメリカ映画フライペーパー! 史上最低の銀行強盗』(原題:Flypaper )は「フライペーパー(蝿取り紙)」を題名とする。

脚注[編集]

  1. ^ Randerson, James (2007年3月29日). “Lethal poisons for sale in web marketplace”. London: The Guardian. https://www.theguardian.com/technology/2007/mar/29/news.uknews 2011年12月7日閲覧。 
  2. ^ Cantle, John (1982). Atomic Absorption Spectrometry, Volume 5. Elsevier Scientific Publishing Company. p. 385. ISBN 0-444-42015-0. https://books.google.com/books?hl=en&lr=&id=SbI86Gb-v4QC&oi=fnd&pg=PA384&dq=flypaper+arsenic+-effect&ots=LhulOK6wDC&sig=rVFRdVo_6wALtV-WobtKF4Fqz9M#v=onepage&q=fly&f=false 2011年12月12日閲覧。. 

関連項目[編集]

  • 蝿取り
  • 蝿払 - 蝿や蚊を払う道具。ただし、他に多数の語義あり。