バッティング

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バッティング

  1. (英:Batting)
    1. 野球ソフトボールにおいて、得点をするために打者が投手の投球をバットで打つこと。この項目で述べる。
    2. クリケットにおいてバッツマン(打者)がボウラー(投球者)の投球(ボウリング)をクリケットバットで打つこと。ウィケットと呼ばれる的を守り、且つ得点するために行われる。→クリケット
  2. (英:Butting)
    1. 複数の物が競合すること。
    2. 格闘技(ボクシングなど)において頭、肘がぶつかること。ルールによっては反則になることがある。詳細は頭突き肘打ちの項目を参照。

バッティングを行うバリー・ボンズ

バッティング(英:Batting)とは、野球において打者投手の投球をバットで打つこと、およびその方法である。日本語では打撃とも呼ばれる。

目次

概要

打者はバッタースボックスの中で打撃姿勢(ホームベースに正対し、バットのグリップを握り、これを構えること)をとり、投手が投げるボールに対してバットを振り(スイングし)、バットとボールを衝突させることによってボールを打ち返す。アウトになるか走者となったときにバッティングを完了したことになる[1]

用具

バッティングにはバットが使用され、試合では打席内での安全性を確保するためにヘルメットの着用が義務付けられている。グリップを安定させるためにバッティンググローブリストバンドを着用したり、自打球死球による怪我を避けるため、肘当てやレガースを着用する選手もいる。顔面に自打球を当てた秋山幸二らがフェイスガードを着用した例もある。

技術と戦術

ボールをライト方向へ「引っ張る」イチロー

バッティングにおける技術と戦術には、次のようなものがある。

ミート打法
ボールを遠くに飛ばすよりもバットに当てる(ミートする)ことを念頭に置いてスイングすること。
強振
フルスイングとも呼ばれ、ボールをより遠くに飛ばすために強くスイングすること。
ハーフスイング
スイング途中でバットを止めること。
カット
2ストライク後の安打が困難なストライクゾーンへの投球に対して、三振を避けるためにファウルボールを狙ってバットに当てにいくこと。
センター返し
ピッチャー返しとも呼ばれ、打球をセンター方向めがけて打ち返す。最も基本的なバッティング戦術とされる。
流し打ち
右打者がライト方向に、左打者レフト方向に打つこと。右打者の場合は「右打ち」「おっつけ」とも呼ぶ[2]。カットを狙う際にも有効な技術である。
引っ張り
右打者がレフト方向に、左打者がライト方向に打つこと。一般的に流し打ちよりも強い打球を打てる。また、引っ張り専門の打者をプルヒッターと呼ぶ。
広角打法
元々は広角に打ち分ける技術の高かった張本勲の打撃の代名詞だったが[3]、センター返し、引っ張り、流し打ちを織り交ぜ打球方向に偏りが無い打撃技術を指す用語となっている。
バント
バットをホームベース上で止めた構えからボールをバットに当て、ボールを軽く転がす戦術。走者を進塁させたり、相手守備の意表を突いて出塁するために行う。
バスター
バントの構えから、投球と同時に通常の構えに戻して打つ戦術。野手が極端な前進守備を敷いたためバントが困難な場合や、打者が投手とのタイミングを合わせ難い場合、バントと見せかけて相手の集中力や守備隊形を崩したりする場合などに行われる。バントと見せかけることによって打者の打ちやすい球種を投げさせる狙いで用いられることもある。
エバース
バントの構えから、バットを引いて投球を見送る動作を指す。バントをするつもりだったが投球が明らかなボールであったり、打者有利なボールカウントで敢えて投球を見送る際に用いられる。
ヒットエンドラン
投球と同時に走者を盗塁させた後、打者もその投球を打ち進塁を狙う戦術。盗塁とバントを組み合わせた場合はバントエンドラン、盗塁とバスターを組み合わせた場合はバスターエンドランと呼ばれる。
ランエンドヒット
ヒットエンドランと同様に走者に盗塁させるが、打者は投球を見て打つか打たないかを選択する。打った場合はヒットエンドランと同様となり、打たなかった場合は通常の盗塁と同様となる。

用語

スタンス

オープンスタンスに構えるトニー・バティスタ

スタンスとは、バッティングの構えにおける体の方向のことである。

スクエアスタンス
基本の構え方とされる。足の爪先を投手と捕手を結ぶ線に合わせて、体が正面(ホームベース側)を向くように構える。
クローズドスタンス
投手側の足をホームベース寄りに踏み出して構える。体の開きを抑えることができるため、センターや流し打ち方向に強い打球が打てる[4]
オープンスタンス
投手側の足をホームベースから遠ざけて構える。投手の投球が見やすく、引っ張り、流し打ちのどちらにも対応できる。

スイング

アッパースイング

バットを振ることをスイングという。

レベルスイング
水平にバットを振るスイング。
ダウンスイング
バットを上から下へ振り下ろすスイング。強いゴロや強烈なバックスピンがかかったライナーを打つのに適しているが、ボテボテのゴロになる頻度も高い。極端なダウンスイングを「大根切り」と呼ぶ。
アッパースイング
バットを下から上へ振り上げるようなスイング。打球を遠くへ飛ばすのに適する反面、ミートまでに軌道が遠回りしやすく、その分振り遅れやすい。

その他

テイクバック
スイングするためにバットを一旦後方に引くこと。
トップ
テイクバックと足の踏み込みによって完成する、スイングのために力を貯めた形のこと。
インパクト
ボールとバットが衝突する瞬間のこと。
フォロースルー
インパクトの後、バットをさらに振り切る動きのこと。
悪球打ち
ストライクゾーンから外れたボール球を振りにいくために、結果四球による出塁が少ない打者のこと。バッドボールヒッター (bad-ball hitter) とフリースインガー (free swinger)の二種類に分類される。 漫画[『ドカベン』シリーズの登場人物岩鬼正美が作中多用する。
バッドボールヒッター
ボール球も安打にする能力を持っている打者のこと。
フリースインガー
文字通り「どんな球でも振る」、選球眼に欠けている打者のこと。

練習方法

バットを二本持ち、素振りを行う福地寿樹
セットアップティーバッティングを行う小窪哲也

バッティングの練習方法には次のようなものがある。

素振り
もっとも基本的な練習。スイングのスピードアップや、トップ、スタンスの位置などを決めるのに最適である。中・上級者でもこの練習をあまりに怠ると、フォームを崩しやすくなる。
トスバッティング(ペッパーゲーム)
近距離からボールを投げてもらい、ワンバウンドで相手に打ち返す練習。
ティーバッティング
棒(ティー, tee)の先端にボールを乗せ、それを打つ練習方法。
セットアップ・ティーバッティング
斜め下から軽くボールを放ってもらい、正面に打ち返す練習方法。[5]
フリーバッティング
打撃投手の投げるボールを打ち返す練習方法。
シートバッティング
投手および守備に付く野手を実戦に近い形式で配置して行う練習方法。
マシン打撃
バッティングセンター等で機械を相手に行う練習方法。

打撃理論

効率よくバッティングを行うための考え方は打撃理論と呼ばれ、スイング軌道やタイミングの取り方等に関して様々な考え方が提唱されている。特に体系化されたものとしては手塚一志1990年代後半に提唱したシンクロ打法うねり打法がある。

スイング軌道

スイング軌道に関しては特に様々な理論が提唱されている。村上隆行らはダウンスイングの優位性を[6]立花龍司らはレベルスイングの優位性を主張している[7]。しかし、アッパースイングの優位性を説くものも存在し、山下大輔は「どんなに速いスピードボールでも(変化球ならなおさら)ボールは必ず上から下に向かってくる。この軌道に対して最も効率よく打ち返すためには、(スイングは)レベルからややアッパー軌道が最適」と述べている[8]。また、広戸聡一は「アッパースイングやダウンスイングに見えるのはフォロースルーの軌道によるところが大きく、どのスイングもボールを叩く角度に大差はない」と述べている[9]

特徴的な打法

マット・ケンプのクラウチングスタイル
高橋由伸の一本足打法

バットの構え方や振り方(バッティングフォーム)には個人差があり、特に個性的なものには「○○打法」などの名称がつけられている。以下に主立ったものを挙げる。

  • クラウチングスタイル
打席内で上半身をホームベース寄りに前傾させ構える打法。
  • バスター打法
バントの構えから、自分のトップの位置に戻して打つ。長打は望みにくいがスイングがコンパクトになり、投手のリリースした球をよく見ることができるため選球眼が悪い打者には有効とされる。テイクバックが遅いと投球がよく見えても振り遅れることもある。中谷仁などが使っている。
投手側の足を大きく上げ、タイミングを取る打法。下半身の動きが大きくなるが、タメを作りやすい。
王貞治高橋由伸らのフォーム。
バットを神主大麻を捧げるように構える打法。手首を押し込むように打つ事が出来るので、広角に強い打球を打てるとされている。
落合博満小笠原道大中村紀洋らのフォームがこれに当たる。
投手側の足を振り子のように動かしタイミングを取る打法。
オリックスブルーウェーブ時代のイチロー河村健一郎コーチと共に開発した[10]
  • すり足打法
剣道のすり足の様に足を打席ですりながらトップを作る打法。下半身の動きが少ないため速球にも変化球にも対応しやすい。プロアマを問わず多くの選手が用いる打法。
  • ゴルフスイング打法(新田式打法)
小鶴誠がゴルファーでもあった新田恭一の理論を取り入れて習得した打法。アッパースイングではなく、ゴルフのスイングのように腰の回転を主導させる打法である[11]
バスター打法に似ているが、こちらはバットを体の前ではなく、横や後ろで構える。近藤和彦が剣道をヒントに開発した[12]
最初から体を極端に開いて構えるオープンスタンスの一種。
韓国の朴正泰(パク・ジョンテ、右打者)が行った打法。左手は左足太ももの付近に置き、右手一本でバットを構える。金本知憲は腕を骨折していた際、これに近い打法であった。
前述のガニ股打法とコンセプトは同じ。こちらの方がより体が投手と正対する格好となり、極端である。

参考文献

  • 山下大輔監修『トッププロに学ぶ野球上達テクニック バッティング』2004年、成美堂出版、ISBN:4-415-09876-2。
  • 手塚一志『バッティングの正体』1995年、ベースボールマガジン社、ISBN:4-583-04565-4。
  • 大島康徳『ぐんぐんうまくなる!バッティング』2007年、ベースボールマガジン社、ISBN:ISBN: 978-4583100531。
  • 広戸聡一監修『君は松井か、イチローか。』2007年、池田書店、ISBN:978-4-262-16300-0。
  • 芝山幹郎「大リーグ二階席」 2005 晶文社

脚注

  1. ^ 公認野球規則6・04
  2. ^ 手塚一志は、左打者の流し打ちを「おっつけ」と呼ばない理由を「(右打者が多く採用する)[二重振り子バッティング]と違い、(左打者が多く採用する)[二重回旋バッティング]ではおっつけることができないから」と説明している。『バッティングの正体』170 - 172ページ。
  3. ^ 『20世紀のプロ野球名選手100人』日本スポーツ出版社2000年、102頁において、村田繁(パ・リーグ事務局長)が「広角打法の最高峰を極めた打撃王であると認定していい。」と評している。
  4. ^ 『トッププロに学ぶ野球上達テクニック バッティング』54ページ。
  5. ^ 落合博満は「斜めからトスすることによってボールに対して斜めに打ってしまうため、変なスイングになってしまう。投げるなら正面から投げろ」として、セットアップ・ティーに否定的な見解を述べている。
  6. ^ takayuki-murakami.com
  7. ^ nikebaseball.jp Online Coaching
  8. ^ 『トッププロに学ぶ野球上達テクニック バッティング』74ページ、125ページ
  9. ^ 『君は松井か、イチローか。』86ページ。
  10. ^ 武蔵大学人文会雑誌34巻2号 川島浩平『"SUZUKI" から"ICHIRO" へ』p7.
  11. ^ 田村大五『この人にこの技あり 第18回:小鶴誠の「新田式打法」』 - Sportsclick
  12. ^ 近藤唯之『プロ野球運命の引き際』PHP研究所、2008年、p201 - p212。

関連項目

今日は何の日(5月20日

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