バーニー・サンダース

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バーニー・サンダース
Bernie Sanders
Bernie Sanders in March 2020.jpg
2020年のサンダース
生年月日 (1941-09-08) 1941年9月8日(78歳)
出生地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 ニューヨーク州ニューヨーク
出身校 シカゴ大学
前職 大工
映画製作者
作家
研究者
所属政党 無所属
称号 B.A.
配偶者 ジェーン・オメアラ・ドリスコル
サイン Bernie Sanders signature.svg
公式サイト Senator Bernie Sanders of Vermont

選挙区 バーモント州
パトリック・リーヒと共同
在任期間 2007年1月3日 -
前任者 ジム・ジェフォーズ

選挙区 バーモント州大選挙区
当選回数 8回
在任期間 1991年1月3日 - 2007年1月3日

当選回数 4回
在任期間 1981年 - 1989年
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“バーニー”バーナード・サンダースBernard "Bernie" Sanders1941年9月8日 - )は、アメリカ合衆国無所属政治家バーモント州選出のアメリカ合衆国上院議員(2期)。2016年アメリカ合衆国大統領選挙では、長年統一会派を組んでいる民主党に入党し予備選挙に立候補した。同選挙でヒラリー・クリントンに敗れた直後離党し、再び無所属となった[1]が、民主党はサンダースを民主党上院議員執行部の「有権者対策(アウトリーチ、票田の拡大)委員長」に任命し、民主党執行役員の任を担うこととなった[2][3]。上下院を通じ、無所属議員として米国史上最長のキャリアを継続している。

概要[編集]

バーニー・サンダースは、バーリントン市長(4期8年)、連邦下院議員(8期16年)などを歴任した。2007年からは連邦上院議員に鞍替えした。現在、連邦議会における無所属議員の2人のうちの一人である。2016年アメリカ合衆国大統領選挙民主党候補者2020年アメリカ合衆国大統領選挙民主党候補者の一人である。無所属の市長だった時代から「共和党民主党は同じ穴のムジナ」と公言する[4]二大政党否定論者であるが、民主党は、とくに共和党支配の議会[5]においては鉄壁の固定票を持つサンダースの助けを必要とし[6]、無所属議員でありながら民主党に強い影響力を持つ。

米大統領選において民主党候補者争いの場となった2016年予備選では、ヒラリー・クリントンと接戦となった[7]民主社会主義者を自認し、格差是正やTPP反対、オバマケアをさらに進めたユニバーサルヘルスケア(国民皆保険制度)の実現、教育支援制度の充実、LGBT少数民族などマイノリティの権利保護を訴えた[8]ミレニアル世代やそのひとつ下のジェネレーションZと言われる世代の若者の支持が厚く、インターネットクラウドファンディングを活用し、個人献金と草の根ボランティアによって、一口平均27ドルの献金が、例えば2016年2月だけで4,200万ドル以上集まり[9]、その選挙戦は驚きをもって「サンダース現象」と呼ばれた。

ラッパーで活動家のキラー・マイク英語版や、弱冠19歳(2016年10月時点)の人気ラッパーリル・ヨッティ英語版ボニー・レイットジャクソン・ブラウンディプロ、ロックバンドピンク・フロイドロジャー・ウォーターズ、ミュージシャンのジェイソン・ムラーズジャック・ホワイト、ロックバンドのザ・ストロークス、俳優のスーザン・サランドンシェイリーン・ウッドリーロザリオ・ドーソンマーク・ラファロ、映画監督のマイケル・ムーアスパイク・リー、コメディアンのサラ・シルバーマンなど、ミュージシャンやハリウッドにも多数の熱烈な支持者を持つ。サンダース自身も音楽への造詣が深く、好きなジャンルはカントリー音楽モータウン・サウンドABBAも好きで「結婚式でかけた」という[10]ベートーベンの大ファンで交響曲全曲がiPadに入っている[11][12]サイモン&ガーファンクルアート・ガーファンクルニール・ヤングが楽曲を選挙キャンペーンに使うことを許可したほか、予備選の演説会の始まりにはジョン・レノンパワー・トゥ・ザ・ピープル、終わりにはデヴィッド・ボウイのアルバムジギー・スターダストのヒット曲『スターマン』が流れた。レッド・ホット・チリ・ペッパーズグリズリー・ベアフィッシュのドラマーのジョン・フィッシュマンも支持を表明し、演説会場においてサンダースのためのチャリティ演奏を行った[13][14][15]。またヘビーメタルにも理解を示し、スリップノットのアルバム『アイオワ英語版』に衝撃を受けたとインタビューで答えている。1987年のバーリントン市長在任時にはフォーク・ソングをレコーディングしたアルバム『勝利を我等に (We Shall Overcome)』をリリースしたことがある。

ノーベル経済学賞経済学者ジョセフ・スティグリッツは、「ヒラリー・クリントンやバーニー・サンダースが提唱する改革が採用されたなら、すでに不安定な生活を送っている人々を食い物にする金融システムの能力は抑制されることだろう。そして二人が提案する徹底した改革は、アメリカが高等教育に融資する方法を変えるだろう。」と述べた[16] 。サンダースの経済政策は『ウォール街 (映画)』の主人公のモデルの一人とされる富豪の投資家と170人の経済学者にも支持されている[17][18]

経歴[編集]

生い立ち[編集]

サンダースの写真(1959年)

ニューヨーク州ニューヨーク市ブルックリンで、ポーランド系ユダヤ人移民の息子として生まれた。父イーライは17歳で兄弟と二人で米国に渡った[19]。渡米当時、イーライはほとんど一文無しで英語も喋れなかったが[20]、ニューヨーク出身のロシアポーランド系ユダヤ人女性ドロシー・グラスバーグと結婚し、ペンキのセールスマンとして家計を支え賃貸アパートで二男を育てた。その長男がイギリス在住でイングランド・ウェールズ緑の党所属の政治家ラリー・サンダースであり、次男がバーニー自身である。サンダース兄弟によれば、サンダース家は衣食にこと欠くことはなかったが貧しく、カーテンや絨毯などを買い換えることは難しく、狭いアパートでキッチンからトイレに魚が飛んできたこともあったという[21]。母はバーニーが高校卒業後間もなく46歳で病死、数年後父も57歳で世を去った。

イーライが渡米後、ポーランドの親族のほとんどがホロコーストで殺害された[22]。生まれ育った地区の年長のユダヤ人たちの腕に数字の入れ墨があった。ホロコーストを生き延びた人々だ[23]。そのためサンダースは幼い頃から政治意識に目覚めていた。「アドルフ・ヒトラーという男が合法的に政権を取り、第二次世界大戦が起こり、ユダヤ人600万人を含む5000万人が殺害された。だから子供の私が学んだのは、政治とは本当に重大なものだということだった[24]。」

小学校ではバスケットボールチームに所属し、地区優勝を飾った。ブルックリンのジェームズ・マディソン高校では長距離走選手として活躍し[25][26][27]、ニューヨーク市の室内1マイルトラック試合で3位。クラス長に初立候補した時は、落選するも、当選した生徒に自分の主張(朝鮮戦争孤児のための奨学金制度を作る)を取り入れるよう説得し、基金が設立された[28]。卒業後、ニューヨーク市立大学ブルックリン校に1年通い、シカゴ大学に進学する。1964年政治学の学位を取得した[29]。卒業後はイスラエルキブツで数ヶ月間過ごし、その後一貫して「格差が少なく普通の人々が政治に深くコミットする社会の形成」という政治理念を保ち続ける[30]。ニューヨークに戻り、バーモント州に定住するまでの期間、精神病院の看護助手、環境不遇の未就学児童を対象にした政府のプログラムで教師、課税資産調査員や低所得者への食糧支援、大工など、わずかな賃金の仕事に従事した[31][32]。兄ラリーは「バーニーの不屈の闘志と体力は、高校時代のクロスカントリースキーマラソンの選手としての経験で鍛えられた」と語っている[33]。 また、サンダース自身は、自分の強い独立心は大人に干渉されず子供たちだけで遊びのルールを決めていた子供時代に養われたとしている[34]

1963年、シカゴ大学の学生で当時21歳だったサンダースは、人種隔離政策に反対するデモに参加し、警察官に参加者の黒人と鎖で足を繋がれたのち、両腕を掴まれ逮捕された[35]人種平等会議学生非暴力調整委員会学生平和ユニオンアメリカ社会党の社会主義青年同盟(YPSL)に所属し、民主社会主義者としての活動も始めた。

政治活動[編集]

バーモント州[編集]

下院議員時代のサンダース(1991年1月3日)

ニューヨークの中心部で生まれ育ちながら子供の頃から自然が好きだったサンダース[36]は、1968年バーモント州に移住する。折しも、若者世代にヒッピー・ムーブメントが大流行していた。親世代の物質主義や拝金思想や出世至上主義を嫌い、美しい自然環境の[37]バーモント州に流入した多くの若者の一人だった。定職にはつかず、大工、ドキュメンタリー映画製作、地域新聞へ寄稿するフリーライターで辛うじて生計を支えた。1969年、ニューヨーク出身の女性との間に息子をもうけ、協力しあって育てるが、結婚はしなかった。

1971年、30歳のサンダースは、州の小さな地域政党である労働ユニオン党から連邦上院議員選挙に出馬する。それまで党が立候補者を探していたが誰も手を挙げず、新参者のサンダースが初めて手を挙げた人物だった。友人に誘われ「冷やかしで」見物に来た党の集会だったが、建物を出てきた時は上院議員候補になっていた[38]。当時の仲間は「本当に驚いた。だがバーニーはいつも大胆不敵だった[39]」と述懐している。しかし、得票数わずか1,571票(2.2%)で落選した[40]

1972年、再び労働ユニオン党員としてバーモント州知事選挙に立候補するも落選。得票数は2,175票(1.1%)だった。その後も1974年に上院議員選挙、1976年に州知事選挙に立候補したが、いずれも落選に終わった。この頃までの生活は非常に厳しく、格差解消を訴える候補者として自分も冷蔵庫は空、料金滞納でたびたび電気を止められ、数ヶ月間生活保護を受けたことさえあった[41][42]。ついにはアパート[43]を追い出され友人のリチャード・シュガーマン宅に身を寄せた[44]1977年、労働ユニオン党を離党する。

政治に見切りをつけ、バーモント州をはじめとしたニューイングランド地方の歴史や、20世紀初頭に合衆国大統領選挙に5度出馬した社会主義者ユージン・V・デブスのドキュメンタリー映画の製作・販売で生計を立てる決心を固めていたサンダースだったが[45]、一大転機が訪れた。1980年、上記の友人の提案 ー労働ユニオン党候補時代、バーリントン市で得票率が高かったから、バーリントン市長選なら勝てるかもしれないー[46] に背中を押され、バーモント州最大の都市バーリントン市の市長選に無所属候補として出馬、現職との得票差がわずか10票で新市長に選出される[47]。2期目を目指した1983年の市長選では、2位の候補に21%差で勝利する。サンダースが市長を務めた時期、バーリントン市は米国でもっとも住みやすい街に選出された。市政では、価格を抑えた住宅の供給、累進課税制度の導入、環境保護、エネルギーを100%風力発電太陽光発電化、児童ケア、女性の権利、若者のための施策などを推し進めた。また、米国でもっとも早くLGBTの権利を公に支持した市長として知られた[48][49]

連邦議員[編集]

妻であるゴダード大学英語版の元学長ジェーン・オメアラ英語版と手を掲げるサンダース

1986年、市長任期を終えて再びバーモント州知事選挙に立候補するも3位に留まり、1988年には連邦下院議員選挙に立候補するがこちらも落選となった。

1990年、連邦下院議員で対抗馬の共和党候補を17%差で下し、下院議員に初当選を果たした[40]

2006年、連邦下院から連邦上院への鞍替えを狙い、連邦上院議員選挙に立候補する。民主党をはじめ、バーモント進歩党アメリカ民主社会主義者などから支援を受ける無所属候補として選挙を戦い、議席を得た。サンダースは自ら民主社会主義者であると名乗っているため、合衆国上院史上初となる社会主義者の議員となった(下院議員としては過去のサンダース自身をはじめ、アメリカ社会党ヴィクター・L・バーガーなどの例がある)。議員となってからは、ワーキングクラス家庭に焦点を当て、縮小する中産階級富裕層の格差縮小に取り組む。アメリカ合衆国第112議会の上院では同じく無所属のアンガス・キング英語版とともに民主党と院内会派を組んだ。

2010年12月13日ブッシュ政権から続いていた減税措置の延長をめぐって8時間半に及ぶフィリバスターを行った。通常、フィリバスターはシェイクスピア合衆国憲法を意味もなく朗読するものであるが、サンダースのフィリバスターは、減税措置をはじめとする行き過ぎた自由市場主義によってもたらされた貧富の格差の拡大や国内産業の衰退について強い批判の態度を持って行われ、本人も「2時間あれば言い終わると思っていた」と話している。このフィリバスターはインターネット上で話題になり、その様子はTwitterで中継された[50]

2期目を目指した2012年の上院議員選挙では、71%の得票率だった。

2016年大統領選挙[編集]

支持者達に両手を掲げて応えるサンダース(2015年7月18日)

2015年4月30日、2016年アメリカ合衆国大統領選挙に民主党から出馬することを表明した[51]。 同年、出馬表明と前後して民主党に入党したが、選挙戦ではむしろ反主流派として民主党指導部のリベラル的な中道主義を厳しく批判した。多数の汚職疑惑から本命候補とされていたヒラリー・クリントンを敬遠する労働者青年層の党員を中心に支持を集め、共和党ドナルド・トランプと並んでアウトサイダーながら予備選の有力候補に躍り出る躍進を見せた。対照的にヒラリーを中心とした民主党指導部からは党の乗っ取り(加入戦術)を企てているかのような扱いを受け、不公平な選挙戦を強いられた。

2015年3月、製造業が集まるミシガン州でヒラリーとの接戦を制して勝利し、一時は指名獲得が現実味を帯びた。しかし共和党の予備選挙とは異なり既存勢力を押し切るまでにはならず、6月23日に「指名はされないだろう」と敗北を宣言した。敗北宣言後も7月の党大会で採択される政策綱領に揺さぶりをかける為、直ちにヒラリー支持は表明せず選挙戦を継続した。2016年7月12日、ヒラリー・クリントンへの支持を正式に表明したが、やはり選挙戦からは最後まで撤退しなかった。党大会直前には情報の自由を掲げるウィキリークスによってサンダース側に不利な情報をメディアにリークしようとしていた事実を示す民主党指導部のメールが公開され、デビー・ワッサーマン・シュルツ民主党全国委員長は辞職に追い込まれた[52]。他に「彼はユダヤ人なのか、無神論者なのか」といった民族的・宗教的な差別発言もあり、民主党指導部は厳しい批判に晒された。サンダース自身もヒラリーへの支持を撤回しなかったものの不快感を示し、サンダース派党員の間では緑の党への投票を促す動きもみられた[53]

バーニー・サンダースがペンシルベニア州フィラデルフィアで開催された2016年民主党全国大会で講演

7月25日に開かれた民主党全国大会初日に、自身の主張である最低賃金引き上げや大学授業料無料化が政策綱領に盛り込まれた[54]ことから、クリントンに対する応援演説を行い[55]、クリントンを全会一致で指名する動議を投票手続きの途中で提案した[56][57]。最終的にサンダースの獲得した得票率は43.1%に達し、23州でヒラリーに勝利した。代議員票については特別代議員で殆ど得票できなかった為、総数で下回ったものの一般代議員票ではヒラリーを上回っている。このためサンダース支持者からは、一般代議員の投票結果に縛られない特別代議員の投票がクリントン勝利の流れを後押ししたという批判が巻き起こり、2018年8月、民主党は次回大統領選の予備選挙からは特別代議員の投票権を制限することを決定した[58]。予備選終了後、サンダースは民主党を離党して無所属に戻った。

予備選挙後[編集]

最低賃金15ドルを求める政治集会で演説するサンダース(2017年4月26日)

2016年8月24日、ネット中継で新自由主義的な貿易政策に反対し、「オバマ大統領がこの協定を推し進めているのは大きな間違いだ。TPPはウォールストリートや大企業に支えられている」と述べてバラク・オバマ政権を批判し、TPP阻止などを挙げる政治組織「私たちの革命英語版」(Our Revolution)の立ち上げを宣言した [59]。同年11月には自身の政治理念を説いた同名の著書英語版も発表され、ベストセラーとなっている。二大政党制の枠組みにおける左派の受け皿としての民主党を重要視し、党執行部にも関与して内部からの改革を促している[2]。一方で無所属議員としての立場も継続しており、上述の政治組織私たちの革命英語版を通じた独自の政治運動を展開するなど、党内外から民主党指導部へ改革に向けた圧力を加えている。

2016年11月、大統領選挙でヒラリー・クリントンを破って当選したドナルド・トランプ大統領について「彼は現実指向だ」と評価しており、危険なのはトランプ自身よりも周囲にいる共和党の政治家達であると指摘している。トランプ個人については「何百万もの人がミスター・トランプ、そっちには行かないでおこうよと言った時、彼がそれに耳を傾けるかもしれない」と評している[60]。トランプ政権はサンダースが求めていたTPPなどの自由貿易への反対、海外派兵の見直し、製造業の再建、公共投資の強化などを公約している。また敗北した民主党については手厳しい批判を行い、「これまでのようにリベラル派のエリートの管轄下にあってはならない」「民主党は大衆に開かれているものに変容する必要がある」「労働者、低所得者や若者の痛みを感じることのできる政党でなくてはならない」と指導部やリベラル派の驕りが敗北を招いたとの認識を示している[60]

こうした点から依然としてサンダース及び彼を支持する青年層・労働者と、ヒラリー支持者に代表される民主党主流派の溝は深いままに留まっている。ヒラリーは予備選挙でのが自身の自伝「何が起こったの?英語版」で自身の大統領選挙での敗北を弁明する為、予備選挙でのサンダースの協力に謝辞を述べつつも、サンダースを空想主義者と攻撃し、その支持者からのバッシングをミソジニー反フェミニズムなど性差別的であり、共和党陣営に有利にする存在であったと主張している[61]。反対に予備選挙でのサンダース派に対する不正行為疑惑で民主党全国委員長を退任したワッサーマンに代わり、暫定委員長を務めたドナ・ブラジル英語版によってヒラリー陣営の不公平な選挙戦を認める新たな証言が行われ、話題となった[62]

2017年に家族の分離に反対して話すバーニー・サンダース

2017年10月22日、サンダースは翌年の上院選挙に民主党候補として出馬せず、無所属で再選を目指す事を明言した[63]。正式な入党を強く求める民主党内の動きを拒否しての無所属活動について、「それは私が長年続けてきた事だ」とコメントしている[63]。現在、サンダースは私たちの革命英語版を通じてアメリカ民主社会主義者働く家族達の党英語版などの急進主義的な左派政党、ファーストフード・ウォーカー・ストライカーズ英語版全米看護師連盟英語版などの労働組合、ジャスティス・デモクラッツ英語版真新しい議会英語版など既存左派の改革を求める団体と連帯している。

2018年のドナルド・トランプの社会保障削減に反対するバーニー・サンダースの演説

2018年11月7日、無所属候補としてバーモント州の上院議員選に出馬、大差で当選した。共和党・民主党を含めた全候補の中で最も早く当選を確定させて政治的影響力の高さを見せた。

新興左派の間ではバラク・オバマヒラリー・クリントンナンシー・ペロシといったリベラルな民主党指導部ではなく、党外に留まっている民主社会主義のサンダースに支持が集まる傾向が見られている。民主党に投票しつつもサンダースと緊密な協力関係にあるアメリカ民主社会主義者に所属する青年層も増えており、過去にサンダースがウゴ・チャベス政権を評価していた事から「アメリカをベネズエラにしようとしている」との反共主義的なバッシングも再燃している。

2020年大統領選挙[編集]

ノースカロライナ大学チャペルヒル校で演説するサンダース(2019年9月19日)

2019年2月19日2020年アメリカ合衆国大統領選挙に民主党候補として再出馬することを公式に表明した[64]

民主党の候補者同士の討論会の中では、自ら提唱する国民全員を対象とする無料の公的医療保険制度「Medicare for All」(現行のメディケアの刷新)を主張するなどで注目を集めた。2019年8月にCNNが民主党および民主党寄りの登録有権者に対して行った候補者に対する調査では、15%の支持を集めて2位の座を得たが、首位のジョー・バイデンは29%と倍近くの支持を得たほか、同じリベラル勢力で互いを攻撃しない暗黙の了解を取ってきたエリザベス・ウォーレンに1%差で迫られるなど、候補者の一本化に向けて楽観視できない状況に立たされている[65][66]

ノースカロライナ大学チャペルヒル校で演説するサンダース(2019年9月19日)

2019年10月2日動脈閉塞の治療(ステントの挿入)を受けたことを理由に、当面の間、選挙活動を休止することを発表し[67]、10月15日に全米で生放送された民主党テレビ討論会に出場するまでの期間は、自宅でメディア取材を受けて動画配信するなど、活動を一部制限した。10月19日からは通常の演説活動に復帰している。

2020年1月に行われたバグダード国際空港攻撃事件については、我々を新たな戦争に向かわせているとしてトランプ大統領を批判した[68]。同月に行われたCNNの世論調査では、民主党員あるいは民主党寄りの無党派層のうち27%がサンダースを支持。長らく追いかけていたジョー・バイデンに3%の差をつけ、誤差の範囲という条件は付きながらも初めて首位に立った[69]

しかしその後、バイデンは勢いを取り戻し、また予備選挙から撤退していった候補者は次々にバイデン支持を表明。同時期にCOVID-19が世界的に流行したことでアピールする場が限られたこともあり、逆転は不可能と判断。4月8日に予備選挙からの撤退を表明し、残る民主党候補者はバイデンのみとなったため、バイデンの指名獲得が確実となった[70]

主張・政策[編集]

サンダースは自身を「民主社会主義者」と評していて[71]北欧型英語版社会民主主義者であり、職場民主主義英語版の変わらぬ支持者である[72]ユニバーサルヘルスケア単一支払者制度(によるユニバーサルヘルスケア)、有給の育児休業、授業料免除の高等教育を提唱している[73]。米国内でのジェネリック医薬品販売を許可する特許関連法改正により医薬品価格を下げることを支持している[74]オバマケアのうちの医療費負担適正化法を支持したが、同法ではまだ不十分であったとの評価をしている[75]。 2015年11月にジョージタウン大学での講演で、民主社会主義についての考え方を、フランクリン・ルーズベルトリンドン・ジョンソン両大統領の政策における位置付けも含めて示した[76][77]。民主社会主義を定義するに当たって、サンダースは「政府が市中の食料品店を買収したり、生産手段を保有すべきとは考えないが、アメリカの富を産んでいる中産階級や労働者家庭は適切な生活水準を享受すべきであるし、その収入を減らすのではなく増やすべきであることに疑いはない。アメリカ国内での生産を取りやめ海外の安価な人件費で利益を上げている会社よりも、アメリカ国内で営業し投資し成長する民間企業や雇用を生み出す会社の方が正しいと信じている。」と述べた[76]

サンダースの政治家人生を通しての立ち位置や投票行動に基づき、多くの解説者は彼の政治的思想主義を税収に支えられた社会給付に基づくものと見ており、生産手段共有化英語版に依るとは見ていない[78][79]。サンダースの政治哲学を「福祉国家主義英語版」と評価する者もいるし[80]、「社会民主主義」[81]と評価する者もいるが、「私有財産を剥奪しての社会主義社会」として定義される民主社会主義とは評価されていない[82]。アメリカのさまざまな社会主義政党・団体のうち一部からは、サンダースは資本主義の改革者であって社会主義者ではないと言われている[83][84][85]。ほかにも、社会主義社会民主主義民主社会主義をそれぞれ区別して、彼の思想を社会保障給付メディケアといった既存のアメリカ国内の現代民主主義英語版的政策の延長と捉え[86][81][87]、ヨーロッパの多くの国々、とくに北欧諸国、に見られる社会民主主義により近いものであるとする者もいる[88][81]ノーム・チョムスキートーマス・フランクはサンダースを「ニューディール主義者」と評している[注釈 1][87]。そのほかの評者、たとえばレーン・ケンワーシー英語版バスカー・サンカラ英語版は、彼の価値観は民主社会主義的な価値観により親和性があるのではないかと示唆している[89][81]

気候変動[編集]

サンダースは地球温暖化を深刻な問題であると見ており[90]、その効果を反転させるための大胆な行動を提唱している。エネルギー効率、持続可能性、そして雇用創出を重要目標とする、インフラ(道路、橋、交通機関など)に対する十分な投資を求めている[91][92]気候変動を国の安全保障に対する最大の脅威英語版と捉えている[93][90]。発展途上国の現状を念頭に、気候変動に対する挑戦において家族計画が助けになるだろうと述べたことがある[94]ダコタ・アクセス・パイプライン(ノースダコタ州とイリノイ州を結ぶ石油パイプライン)の建設には、キーストーンXLパイプライン英語版(ネブラスカ、サウスダコタ、モンタナの各州を貫通しカナダアルバータ州につながる石油パイプライン)のように、「気候に多大な影響が出るだろう」という理由で反対した[95]。2019年にはグリーン・ニューディール英語版法案への支持を表明し[96]アレクサンドリア・オカシオ=コルテスアール・ブルーメナー英語版の両下院議員とともに気候変動が国内的および国際的な緊急事態であると宣言する法案を提出した[97]

経済問題[編集]

経済問題での主な関心事は、収入資産の不平等さ英語版[71][98]貧困[99]、最低賃金引き上げ[100]ユニバーサルヘルスケア[73]学生の借金英語版の免除[101]金融取引税導入英語版による公立大学の学費無償化[102]、25万ドル以上の収入に対する給与税の所得上限廃止による社会保障給付の拡大[103][104]などである。同種の法律は他の先進国のほぼ全てですでに導入済みであることに触れつつ、企業が従業員に育児休暇病気休暇有給休暇を付与することを義務化する法律を強力に推進し実現してきた[105]。労働者の職能別組合英語版への参加や結成を容易にする法案を支持している[106][107]。過去に不良資産救済プログラム英語版に反対しており[108]、包括的な金融改革を提唱している[109]。改革案の例としては、「倒産させるには巨大すぎる英語版」金融組織の分割、グラス・スティーガル法(銀行と証券の分離)の復活、連邦準備銀行の改革、経済的に取り残された地域社会での基本的な融資サービスを郵便公社に許可すること、などを挙げている[110][111][112][113]

国際貿易の合意交渉においては労働者の権利と環境への関心により重点を置く必要があるとの信念から、NAFTA(北米自由貿易協定)CAFTA英語版(中米諸国とアメリカの自由貿易協定)、中国とのPNTR英語版(恒久通常貿易関係)には反対票を投じており、今日まで継続的に反対の意思を表明してきている。サンダースはこれらの枠組みは結果的にアメリカ企業が国外移転をもたらすので、「アメリカの労働者にとって災難」との評価を変えていない。「企業国家アメリカと医薬品業界とウォール街の手による」ものだとして、環太平洋連携協定(TPP)には反対している[114][115]。2019年5月1日付けのツイッターで、「わたしが反対票を投じた中国との貿易協定英語版(クリントン政権下での2000年の貿易協定)以来、アメリカは300万人分以上の製造業雇用を失った。中国がわが国の経済的競争相手のうちに入らないとの主張は誤りだ。」と述べている[116]

外交政策[編集]

外交問題では、サンダースは軍事費削減を支持する一方で、外交努力や国家間協力をより追求する。CIAニカラグア左派政権に対する秘密工作において、ニカラグア反政府勢力(コントラ)への資金援助に反対した[117]アメリカのイラク侵攻英語版に反対し、対テロ戦争の最中に策定された多くの政策、とりわけ監視社会政策や愛国者法、を批判してきた[118][119][120][121]2014年のガザ侵攻におけるイスラエルの好戦的行動を批判し[122]イエメンにおいてアメリカがサウジアラビア主導の介入に関与することも批判した[123]。2015年11月15日、ISによるパリ同時多発テロ事件に反応して、イスラム恐怖症に対する注意を喚起し、ISに対する戦争において「われわれは屈してはならないが、馬鹿な真似はしてはならない」と述べ、アメリカはシリア難民を受け入れ続けるべきだと付け加えた[124]。2020年1月のイラン軍司令官ガーセム・ソレイマーニーに対するドローンでの暗殺を、高くつく戦争につながる危険な緊張拡大英語版だと批判した[125]

自身はユダヤ系のもの、基本的に反イスラエル、親パレスチナである。サンダースは何回かに渡ってパレスチナの権利を擁護し、イスラエルを批判してきた。2020年には、アメリカ・イスラエル公共問題委員会のことを根強い偏見を持つ者のための討論の場だと表現し、その会議には参加しないと述べた[126][127]。トランプがエルサレムをイスラエルの首都と認定した決断を非難し、次のように述べた。「その決断はイスラエルとパレスチナの和平合意を見込みを劇的に傷つけ、アメリカの和平仲介能力を激しく、もしかしたら修復不可能なほどに損ねるだろう」[128][129]

2017年9月のウェストミンスター大学(ミズーリ州の私立大学)での講演で、より一層の国際間協力、パリ協定イランの核合意の枠組み英語版などアメリカが先頭に立つ世界的な共通理解の遵守、それに基本的人権と民主主義の理想英語版(基本的人権など民主主義の実現に欠かせない要素)の推進に向けての外交政策案を詳しく説明した。世界的な経済的不平等と気候変動に関連付けられる影響を強調し、アメリカの軍事力行使を抑制するように、その使用は「常に最終手段でなければならない」と力説した。「残忍な政権」、たとえばイランチリエルサルバドルなどへの冷戦時代のアメリカの支援英語版も批判し、一連の行動はこれからもアメリカの安全をより危うくすると述べた[130][131]ロシアによる2016年アメリカ大統領選挙への介入やそれに対するトランプ大統領の対処の仕方について批判した[132]トルコはアメリカの同盟国ではないと考えており、アメリカが支援する北東部シリアクルド人勢力に対してのトルコ軍のシリア侵攻を非難した[133]

銃規制[編集]

アサルト・ウェポン(半自動小銃)の禁止英語版銃器購入時の全州統一身元調査英語版銃器見本市における販売規制の抜け穴英語版の解消を支持している[134][135][136]。1990年には、上院議員になる引き換えとして競合相手のピーター・スミスの活動(銃規制についての態度を翻した)と拳銃購入時の待機期間の両方に反対することを約し、NRA(全米ライフル協会)に支援された[137]。上院議員時代の1993年に、(履歴調査と待機期間を設けた)ブレイディ法案に反対票を投じた。2005年には銃器製造業者の製造責任免除を認める法案に賛成票を投じたが、2016年現在においては同法廃止を支持すると継続的に主張している[138]。1996年に、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)での銃器関連問題の研究への予算投入に反対票を入れたが、2016年には同センターでの銃犯罪研究予算を増やすように求めた[138]

社会問題[編集]

社会問題ではサンダースはリベラルな立場をずっと取り続けている[139]。バーリントン市長として1983年にLGBTの権利を擁護し、1996年の結婚防衛法に反対票を入れた。2006年には、全国レベルで同性婚を合法化するのには時宜を得ていないと述べて、同問題は州レベルで扱われるべき問題であるとした。しかし2009年には、バーモント州での同性婚合法化英語版を支持し、同年制定された[140]。自身をフェミニストであると考えており[141]、避妊については中絶合法化を支持しており、プランド・ペアレントフッドへの出資中止には反対している[142]制度化された人種差別英語版を強く非難しており、受刑者数英語版減を目指した刑事司法改革を求めている[143]警察による暴力行為英語版への断固たる措置を提唱し、民間の営利を目的とする刑務所英語版の廃止[144][145][146]死刑廃止を支持している[147]ブラック・ライヴズ・マター(黒人の命も大切だとの運動)の支持者である[148]。連邦レベルでのマリファナ合法化の支持者でもある[149]。市民のより一層の政治参加、選挙資金規制改革英語版シチズンズ・ユナイテッド対FEC裁判(選挙戦CMについて表現の自由が問題になった裁判)を判例変更する憲法修正条項や司法判断、を求めている[150][151][152]

トランプ政権[編集]

トランプ大統領が複数の億万長者(スティーブン・ムニューシンウィルバー・ロスゲイリー・コーン)を顧問団(内閣)に指名したことを批判した[153]。トランプがオバマ前大統領のクリーン電力計画英語版を巻き戻したのを、人類の活動が気候変動に与える科学的に報告された影響に言及し、トランプがその報告をでっちあげだと呼んだことを引用して、批判した[154]シリア内戦については、「戦争に参加するのは簡単だが抜け出すのは難しい」と述べて思慮を求めた[155]。「トランプとトランプ主義と共和党の右派イデオロギー」を打倒すると誓っている[156]

サンダースはトランプの2018年の一般教書演説についてネット上で反応を示して、トランプを「強迫観念に囚われたように不誠実」と表現し、若年移民に対する国外強制退去の延期措置の打ち切りにより「深刻な移民危機」が生じていると批判した。また、ロシアが2016年の選挙を妨害したとの報告に触れなかったことに懸念を示し、「CIA長官によれば、プーチン氏との非常に特別な関係がないかぎりは……2018年に予定されている中間選挙に介入するだろうとのことだ」と述べた[157]

評価[編集]

イギリス労働党党首として第三の道路線を主導したトニー・ブレア首相はアメリカ大統領選挙でヒラリー・クリントンを支持し、サンダースや(労働党の新しい党首でマルクス主義者とされている)ジェレミー・コービンら左派政治家が求心力を得る事を批判している[158]。ブレアはサンダースやコービンの台頭を「エリートへの怒りであり、を揺さぶる人を選びたい欲求だ」「部分的にはソーシャルメディアという大きな熱意を生み出す革命的現象ともいえる」と表現している。

中道左派を自認するブレアは、サンダースやコービンら左派政治家が台頭してきた理由を「中道主義への信頼が失われている」と分析した上で、学費無償化などの理想主義は「実現すれば凄いことだが、誰かが対価を払わなければならない」と苦言している[158]

立憲民主党枝野幸男代表は、2018年9月13日(現地時間)、ワシントン議員会館でサンダース議員と会談し、(1)民主主義の重要性(2)若者の貧困問題(3)気候変動地球温暖化問題(4)中国朝鮮半島など東アジアの状況――などについて意見を交わした。サンダースの印象について、「(今回の会談を通じ)非常にオーソドックスに重要な課題について話をされた。日本で伝えられているよりも、オーソドックスなベースの中で現在の社会の問題点を鋭く指摘している」と語った[159]

家族[編集]

1964年、シカゴ大学在学中からの恋人デボラ・シリング(Deborah Shiling)と結婚してバーモント州モントピリアに居を構えたが、1966年に離婚した[160][161] デボラ・シリングは今でも政治家サンダースと友人であり、支持者だという[162]。 1969年、事実婚の間柄であったスーザン・キャンベル・モット(Susan Campbell Mott)との間に長男レヴィ・サンダースが生まれているが、スーザンと正式に再婚する事はなかった[163]

1988年、バーリントン市長時代に教育家で、後年にゴダード大学英語版バーリントン大学英語版の学長を務めたジェーン・オメアラ英語版と再婚、彼女はしばしばサンダースの政治顧問を務める事もある。また自身と同じく離婚歴があり、お互いに連れ子がいた。現在、サンダースには4人の子供と7人の孫がいる[164]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

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公職
先代:
ゴードン・パケット
バーリントン市長
1981年 - 1989年
次代:
ピーター・クラヴェール
アメリカ合衆国下院
先代:
ピーター・P・スミス
パーモント州選出下院議員
パーモント州大選挙区

1991年1月3日 - 2007年1月3日
次代:
ピーター・ウェルチ
アメリカ合衆国上院
先代:
ジム・ジェフォーズ
バーモント州選出上院議員(第1部)
2007年1月4日 - 現在
同職:パトリック・リーヒ
現職
儀礼席次
先代:
ベン・カーディン
D-メリーランド州
アメリカ合衆国上院議員序列
37位
次代:
シェロッド・ブラウン
D-オハイオ州