ヒナゲシ
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ヒナゲシ | |||||||||||||||||||||
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![]() ヒナゲシ(2004年5月)
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Papaver rhoeas L. (1753) | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
ヒナゲシ | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Corn poppy |
ヒナゲシ(雛芥子、雛罌粟、学名:Papaver rhoeas)は、ヨーロッパ原産のケシ科の一年草。グビジンソウ(虞美人草)、コクリコ(フランス語: Coquelicot)、シャーレイポピー (英語: Shirley poppy) とも呼ばれる。他のケシ科の植物も含めて単にポピーということもある。フランスやポーランドなどの国花として有名である。
特徴[編集]
ヨーロッパ中部の原産[1]。畑の雑草、グビシンソウ(虞美人草)ともいう[1]。
耐寒性の一年草で、全体に粗毛が密生し、茎は直立し[1]、草丈50センチメートル (cm) - 1メートル (m) 位になる。葉は互生し、羽状に深い切れ込みがあり、裂片は線状披針形、葉縁は粗歯牙状になる[1]。初夏に花茎を出し、上の方でよく分枝し、茎の先に直径5 - 10 cmの赤・白・ピンクなどの4弁花を開く。現在タネとして売られているものには、八重咲きの品種が多い。ケシやオニゲシに比べるとずっと華奢で、薄い紙で作った造花のようにも見える。
ケシとは、毛がないところと、葉に深い切れ込みがない点で相違があり、区別することができる[1]。
栽培[編集]
ヒナゲシは、観賞用のオニゲシとともに栽培してよい種である[注釈 1]。
土質は選ばないが、排水がよい土地を選ぶ[1]。移植を嫌うので、9月下旬から10月中旬頃に、花壇に直まきする[1]。覆土はタネが見え隠れする程度でよい。かなり細かいタネなので、砂を混ぜて散布し、発芽してきたら間引いて[1]、株間が30 cmくらいになるようにする。
利用[編集]
生薬名はないが、咲いた花は花柄とともに採取して乾燥したものが生薬になり、咳止めに利用される[1]。ケシにあるような麻薬成分は含まれていない[1]。民間では、乾燥花を1日量2 - 4グラムを、水300 ccで半量になるまで煎じた汁に砂糖を少量加えて、2 - 3回に分けて分服する用法が知られている[1]。
グビジンソウの名について[編集]
グビジンソウ(虞美人草)名は、中国の伝説に由来している。
秦末の武将・項羽には虞と言う愛人がいた。項羽が劉邦に敗れて垓下に追い詰められた時に、死を覚悟した項羽が詠った垓下の歌に合わせて舞った。
この舞の後に彼女は自害した。彼女を葬った墓に翌夏赤くこの花が咲いたという伝説から、こう呼ばれる。なお虞美人の自害云々については、女性の貞操がとやかく言われるようになった北宋代からであり、『史記』、『漢書』ではそのような記述は無い。
その他[編集]
- フランスの国旗の赤を表す花。
- リメンブランス・デー:11月11日。1918年の11月11日に第一次世界大戦が講和したことからヨーロッパでは追悼記念式典が行われる。ヒナゲシは主にイギリス連邦の国々で戦没者の象徴とされている。カナダの詩人で従軍したジョン・マクレーの詩「フランダースの野に」にちなむ。
- 作家などもヒナゲシをテーマに詩を詠んでいる。
— 与謝野晶子ああ皐月(さつき) 仏蘭西(フランス)の野は
火の色す 君も雛罌粟(こくりこ)
われも雛罌粟(こくりこ)」
— 木下夕爾陽(ひ)に倦(う)みて
雛罌粟(ひなげし)いよよ くれなゐに
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
参考文献[編集]
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 季節の花 300 - 雛罌粟(ひなげし)
- What's in a Name? - 【ヒナゲシ - What's in a Name?】