フラノエクスプレス

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国鉄キハ80系気動車 > フラノエクスプレス
フラノエクスプレス
Furano exp.jpg
基本情報
運用者 日本国有鉄道
北海道旅客鉄道
種車 キハ80系
製造年 1967年 - 1968年
改造所 国鉄苗穂工場
改造年 1986年 - 1987年
改造数 4両
運用開始 1986年昭和61年)12月20日
運用終了 1998年平成10年)11月1日
廃車 2004年
主要諸元
編成 3両 → 4両編成
軌間 1,067 mm
最高速度 100 km/h
全長 21,100 mm
台車 DT31B、TR68A
動力伝達方式 液体式
機関 DMH17H
Wikipedia blueribbon W.PNG
第30回(1987年
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フラノエクスプレス (Furano Express) は、日本国有鉄道(国鉄)・北海道旅客鉄道(JR北海道)が1986年昭和61年)から2004年平成16年)まで保有していた鉄道車両気動車)で、ジョイフルトレインと呼ばれる車両の一種である。

概要[編集]

(根室本線富良野 - 芦別間、1998年9月26日)

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国鉄北海道総局では、1985年(昭和60年)12月に欧風気動車「アルファコンチネンタルエクスプレス」を登場させていたが、好評につき増結もされるほどであった。この経験を生かし、富良野プリンスホテルとのタイアップを行い、「アルファコンチネンタルエクスプレス」と同様の高品質なサービスを提供した上で乗り心地と速度向上を狙った車両として、北海道総局が登場させた車両である。

リゾート列車としての内外装が評価され、北海道の鉄道車両では初となるブルーリボン賞(第30回・1987年〈昭和62年〉)を受賞した。

車両[編集]

本節では、登場当時の車両仕様について記述する。

いずれの車両もキハ80系気動車より改造されており、先頭車がキハ84形、中間車がキハ83形である。改造は国鉄苗穂工場が担当した。

  • 1号車 - キハ84 1(旧キハ80 164) - 展望室・一般席
  • 2号車 - キハ83 1(旧キハ82 109) - 一般席
  • 3号車 - キハ84 2(旧キハ80 165) - 展望室・一般席

全車両とも普通車扱いとなっている。なお、キハ84形は東海旅客鉄道(JR東海)のキハ85系中間車と番号が重複していた。

コンセプト・デザイン[編集]

基本的な考え方として、アイデンティティは共通のイメージを持たせた高品質なリゾート列車であることを明確化することになった一方で、「アルファコンチネンタルエクスプレス」の単なるマイナーチェンジ車両とはしないこととした。

車体塗装デザインは「スポーティ」・「クリア」をテーマとしたことにより、ベースカラーは「」をイメージするとし、「富良野ラベンダー」をモチーフとしたピンクと「広い」を連想させるの2色ラインを入れ車体裾には全体のデザインを引き締める目的でミッドナイトブルーの帯を入れた。また、各車両の扉横にはスノーボード・ワールドカップ富良野大会のイメージキャラクター(ミスターフーとマドモアゼルペッカー)の大型プレートを配した。

改造内容[編集]

正面形状は「アルファコンチネンタルエクスプレス」と共通のイメージを持たせながらも違いを明確化するため、前面窓を曲面ガラスを用いた構成(パノラミックウィンドウ)とした上で、両側の後退角を大きく設定した。また乗用車エアロパーツのイメージを再現するため、台枠の先端部分を突き出した上で車体と同色のスカートを装備した。

先頭車の展望室部分と中間車の側面窓は床の高さを600mm上げた上で、側面窓に屋根まで回り込む大型の曲面ガラスを使用し、さらに天窓を配することにより乗客が広い視界の展望を得られるように配慮した。

冷房装置は、キハ83形がAU76形集中式冷房装置を2基、キハ84形はAU79形集中式冷房装置と新鮮外気装置を1基ずつ搭載した。

客室[編集]

本列車はスキーリゾートへ向かう列車であるという性格上、重厚な豪華さはそぐわないものと考えられた。このため、シンプルで知的なイメージを表現するべく、室内の配色は白とウォームグレーのモノトーン3色でまとめることで、気品ある高品質を感じられることをねらった。

座席は背もたれの幅を可能な限り広くとり、座面も深く設定したリクライニングシートとした。座席モケットはウォームグレーとシルバーグレーの2色とし、シンプルでやさしい雰囲気が感じられるものとした。

ハイデッカー部分は広大な風景を楽しむことを最優先としたため、熱線吸収ガラスを使用することでカーテンの装備を省略した。またサービス機器はスピーカー以外には設置しないこととした。

キハ84形の一般客室部分については展望よりも落ち着きを求める利用者を重視し、室内の照明は間接照明とした。大型の荷物棚を座席上に設置した上、仕切り部分にはビデオスクリーンを設置した。

走行機器[編集]

走行機器については、基本的には種車となるキハ80系のものを使用しているが、キハ183系気動車との連結を可能とするため制御回路の電圧を交流100Vから直流24Vに変更した。

走行用機関はDMH17H形エンジン (180PS/1,500rpm) を、キハ83形に1基、キハ84形に2基搭載し、キハ83形にはサービス電源発電用機関を1基搭載する。台車形式は、キハ84形とキハ83形の駆動台車がDT31B形台車、キハ83形の付随台車はTR68A形台車となる。

沿革[編集]

「ANAビッグスニーカートレイン」
キハ80 501

1986年昭和61年)12月20日に、札幌駅富良野駅を結ぶ団体専用列車扱いの臨時列車として運行を開始した。

特筆すべき運用としては、1987年(昭和62年)6月1日から10月31日まで、全日本空輸(全日空、ANA)とタイアップし、全日空ツアー乗客用の「ビッグスニーカートレイン」として運行したことが挙げられる[1]。この時は正面の愛称表示が「ANA」に変更されただけでなく、帯の色も全日空の航空機と同様のブルー濃淡2色(トリトンブルー)に変更された[2]。この時に、キハ82 110を種車としてキハ83形とほぼ同様の車体を新造し、走行用機関を2基搭載する中間車キハ80 501が増結され、以後4両編成での運行となった[1]。キハ80 501では、ソファーを配置したラウンジ(フリースペース)が設置された[1]

  • 1号車:キハ84 1(旧キハ80 164) - 展望室・一般席
  • 2号車:キハ80 501(旧キハ82 110) - 一般席・ラウンジ
  • 3号車:キハ83 1(旧キハ82 109) - 一般席
  • 4号車:キハ84 2(旧キハ80 165) - 展望室・一般席

1990年平成2年)1月には、キハ184-11を同色に塗色変更して編成に組み込み、このシーズンは5両編成で運用された。その後も4両編成でリゾート列車を中心に運用されていたが、1998年(平成10年)11月1日に運行された「ラストラン・フラノ」をもって運用を終了。2004年(平成16年)で正式に廃車となった。廃車後は先頭車1両が苗穂工場に長年留置されていたが、2015年(平成27年)に解体された。

主要諸元[編集]

フラノエクスプレス 主要諸元
形式 キハ84形 キハ83形 キハ80形
車両番号 1・2 1 501
改造年 1986年 1987年
軌間 1,067 mm
定員 44人 52人 0人[注釈 1]
全長 21,100mm
全幅 2,900mm
全幅 4,090mm
自重 45.1t 47.4t
台車 DT31B DT31B
TR51
DT31B
機関形式 DMH17H
機関出力 132kw (180PS)
車両出力 265kw (360PS) 132kw (180PS) 265kw (360PS)
液体変速機 TC2A, DF115A
減速比 2.615
参考 [3]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 車内にソファーが設置されたラウンジカー。

出典[編集]

  1. ^ a b c 鉄道ジャーナル』第21巻第8号、鉄道ジャーナル社、1987年7月、 100 - 101頁。
  2. ^ 鉄道ジャーナル』第21巻第11号、鉄道ジャーナル社、1987年9月、 15 - 24頁。
  3. ^ 広田尚敬『国鉄車両形式集 2 気動車』山と渓谷社〈ヤマケイレイルブックス〉、2007年7月1日、217頁(日本語)。ISBN 978-4635068222。

参考文献[編集]

関連項目[編集]