プリニウス (漫画)

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プリニウス
ジャンル 歴史漫画
漫画
作者 ヤマザキマリ
とり・みき
出版社 新潮社
掲載誌 新潮45
新潮
レーベル コミックバンチ45プレミアム
発表号 2014年1月号 - 2018年10月号(新潮45)
2019年1月号 -
巻数 既刊8巻(2019年4月9日現在)
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画
ポータル 漫画

プリニウス』 (PLINIVS) は、ヤマザキマリとり・みきの合作による日本歴史漫画[1][2]。『新潮45』(新潮社)にて2014年1月号(2013年12月18日発売)より連載を開始[1]。同誌の休刊後は『新潮』(同社刊)に移籍して2019年1月号(2018年12月7日発売)より連載中。なお、『新潮』での漫画掲載は本作が初の事例となる[3][4]

奔放な知識欲、豪胆な行動力を併せ持ち、『博物誌』を著した古代ローマの博物学者大プリニウスを虚実を織り交ぜて描く[1]

両者で漫画共作を行うのは本作が初めてであり、連載に先立って、ウェブマガジン『日経ビジネスオンライン』にて2014年8月末から5週にわたり、両者が対談形式で世界の漫画事情を語るコラム「とりマリの『当事者対談』」を発表していた[1][5]

概要[編集]

以前からプリニウスに興味のあったヤマザキは、「入浴」という日本と古代ローマの共通項を描いた『テルマエ・ロマエ』を執筆していたころから、「自然災害」という別の共通項を切り口として古代ローマを描くことを構想し、ヴェスビオス火山で亡くなったプリニウスを主人公とすること思い立った[6]

『テルマエ・ロマエ』連載の終盤のエピソードで、古代ローマの背景を描くアシスタントを探していたヤマザキにとりが手伝いの声を掛けたのがきっかけで、ヤマザキととりの交流が始まる[6]

『新潮45』の編集長から連載の打診を受けたヤマザキは、当初はエッセーの文章の予定であったが、ヤマザキのほうからプリニウスの漫画構想、とりとの合作構想を告げ、これに編集長が大いに乗り気になったことで、合作と連載が実現した[6]。また、新潮社は塩野七生のローマシリーズを出版していることから、資料や取材に関するノウハウが他社より高いと思われたことも、連載実現の要因の1つとなっている[6]。実際、作中で登場人物の台詞のカタカナ書きに対して、場面によってはラテン語の表記ではなくギリシア語のカタカナ表記を勧めるような指摘も行われている[6]

ヤマザキはローマ在住、とりは日本在住であるが、原稿はインターネットを介してデータでやり取りを行っている[7]。領域を超越することも多いが、概ねストーリーと歴史考証、人物はヤマザキ、背景はとりの作画による。夏目房之介は「とりさんの鬼のように凝りに凝った背景と幻獣が、ヤマザキマリさんの物語に重厚さをもたらし、絵そのものを変えていく」と評している[8]

当初は、タイトルロールとしてプリニウスが主人公であったが、次第にネロの比重が高まってゆき、「ダブル主人公」状態になっているとヤマザキはとりとの対談で語っている[9]

中国語版、スペイン語版、韓国語版、フランス語版などの翻訳版も刊行されている[10]

あらすじ[編集]

紀元79年のポンペイ。ヴェスヴィオ山が噴煙を上げている最中に、悠々と風呂へ入る男と、彼の発言を書き留めている男がいる。風呂に入っている男の名はガイウス・プリニウス・セクンドゥス、発言を書き留めて記録している男はエウクレスという。

時は遡り、紀元60年ごろのシキリア(現在のシチリア)。エトナ山の噴火により家と家財を失った青年エウクレスは、ローマ帝国のシキリア属州総督代行として被害確認に来ていたプリニウスと出会う。プリニウスが語る雷の発生論に感銘を受けたエウクレスは、それを書き留めようとしたことが気に入られ、プリニウスの口頭記述係となり行動を共にすることとなる。

一方、そのころのローマでは、当時の皇帝であるネロ帝の横暴が日増しに激しくなっていた。被害状況を確認している途中にも関わらずネロ帝から呼び出されたプリニウスは、理不尽な呼び出しに反発し、遠回りな陸路を使って道中の記録を取りながらローマへ向かうのであった。

主な登場人物[編集]

プリニウス
本作のタイトル・ロール変人
シチリア属州総督代行の職にある。
エウクレス
ギリシア人で、シチリア島エトナ火山の近くに住んでいたが、噴火のため家と財産を失い途方に暮れていたところでプリニウスと出会い、成り行きで口頭記述係(書記官)となった若者。
フェリクス
シチリア属州総督配下の軍人で、プリニウスに付き従い、用心棒を兼ねる。複数人の山賊に囲まれた際も難なく退治する腕前。ローマに戻った際には恐妻家の面も見せる。
シレノス
ローマ在住の好色な医者。プリニウスの主治医でもある。プリニウスに喘息の薬を処方する。
ネロ
ローマ帝国の第5代皇帝
プリニウスの話す各地の事象(博物学)に興味を抱き、ローマ在留を望む。
ポッパエア
ネロの子供を身ごもっており後に正式に妃となるが、コミックス3巻の時点ではネロの前妻も健在であり、妃とは認めていないローマ市民も多い。
ティゲリヌス
ネロの側近。
本作では奸臣のように描かれており、ローマ大火では、黒幕としてユダヤ商人と共謀して、ネロを騙ってキリスト教徒を唆して放火させたという設定となっている[9]

賞歴[編集]

書誌情報[編集]

月刊コミック@バンチ』掲載の漫画のコミックスとなるバンチコミックスの特別レーベル「コミックバンチ45プレミアム」として販売されている[12]

  • ヤマザキマリ、とり・みき『プリニウス』新潮社〈コミックバンチ45プレミアム〉、既刊8巻(2019年4月9日現在)
    1. 2014年7月9日発売、ISBN 978-4-10-771757-3
    2. 2015年2月9日発売、ISBN 978-4-10-771799-3
    3. 2015年9月9日発売、ISBN 978-4-10-771841-9
    4. 2016年6月9日発売、ISBN 978-4-10-771899-0
    5. 2017年2月9日発売、ISBN 978-4-10-771954-6
    6. 2017年10月7日発売、ISBN 978-4-10-772016-0
    7. 2018年7月9日発売、ISBN 978-4-10-772100-6
    8. 2019年4月9日発売、ISBN 978-4-10-772176-1
  • ヤマザキマリ、 とり・みき、新潮45編集部 (編)『プリニウス 完全ガイド』新潮社〈コミックバンチ45プレミアム〉

関連イベント[編集]

  • 2015年2月9日から2月22日にかけてリブロ池袋本店で原画展が開催された[5]
  • 2015年2月21日にジュンク堂書店池袋本店でヤマザキマリととり・みきのサイン会が開催された[5]
  • 2015年9月7日から10月17日にかけて三省堂書店カルチャーステーション千葉で原画展が開催された[2]
  • 2015年9月19日に日本マンガ塾でヤマザキマリととり・みきのトークライブが開催された[2]
  • 名古屋市博物館で開催される「世界遺産 ポンペイの壁画展」(2016年7月23日から同年9月25日)に併せて、2016年8月28日にヤマザキマリととり・みきによるトークショーが開催された[13]

脚注・出典[編集]

  1. ^ a b c d ヤマザキマリ×とり・みき、新潮45で新連載「プリニウス」”. コミック・ナタリー (2013年12月5日). 2015年12月11日閲覧。
  2. ^ a b c ヤマザキマリ&とり・みきが合作方法語る、歴史巨編「プリニウス」3巻記念”. コミック・ナタリー (2015年9月7日). 2015年12月11日閲覧。
  3. ^ “漫画「プリニウス」、「新潮45」休刊で文芸誌「新潮」へ 創刊114年で初漫画”. 産経新聞. (2018年11月22日). https://www.sankei.com/entertainments/news/181122/ent1811220003-n1.html 2018年11月26日閲覧。 
  4. ^ “文芸誌「新潮」、創刊114年で初漫画 プリニウス移籍”. 朝日新聞. (2018年11月22日). https://www.asahi.com/articles/ASLCQ5TZGLCQUCVL017.html 2018年11月26日閲覧。 
  5. ^ a b c ヤマザキマリ&とり・みきの歴史巨編「プリニウス」2巻でサイン会や原画展”. コミック・ナタリー (2015年2月9日). 2015年12月11日閲覧。
  6. ^ a b c d e 古代ローマの博物学者プリニウスに挑む!(上) マンガ家ヤマザキマリさん、とり・みきさん”. 読売新聞 (2015年1月13日). 2015年12月11日閲覧。
  7. ^ 古代ローマの博物学者プリニウスに挑む!(下) マンガ家ヤマザキマリさん、とり・みきさん”. 読売新聞 (2015年1月27日). 2015年12月11日閲覧。
  8. ^ 夏目房之介 (2016年6月6日). “夏目房之介の「で?」:ヤマザキマリ、とり・みき『プリニウス完全ガイド』”. ITmedia. 2016年6月9日閲覧。
  9. ^ a b 対談 vol.9-1 ローマの大火と皇帝ネロ”. 新潮社. 2019年1月9日閲覧。
  10. ^ 世界は「プリニウス」をどう読んだか?ヤマザキマリ&とり・みきがトーク”. コミック・ナタリー (2017年2月14日). 2018年7月9日閲覧。
  11. ^ マンガ部門”. 2015年12月11日閲覧。
  12. ^ 2014年4月アーカイブ - 編集長ブログ”. web@バンチ (2014年4月25日). 2015年12月11日閲覧。
  13. ^ 記念イベント開催決定! 「ヤマザキマリ×とり・みき『プリニウス』スペシャルトーク」”. 中日新聞. 2016年6月9日閲覧。