プリュギアのダレス

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プリュギアのダレス古希: Δάρης, Darēs, : Dares Phrygius)は、古代ギリシア詩人である。ホメロス叙事詩イリアス』に名前が現れるトロイアヘパイストス神の神官ダレスとされる[1][2]アイリアノスによると真偽はともかくプリュギア地方の出身で、ホメロス以前に生きた人物であり、トロイア滅亡の顛末を叙事詩で著したと考えられていた[3]。これをラテン語に翻訳したとされる『プリュギア人ダレスのトロイア滅亡の歴史物語』(Daretis Phrygii de excidio Trojae historia)と題された作品は、中世によく読まれ、その後サッルスティウスにそれを捧げようとしたコルネリウス・ネポスに帰された。しかし、使用されている言語はネポスの時代よりもはるかに遅い時期に一致している(おそらく西暦5世紀)。

既存の作品がより大きなラテン語の作品の要約なのか、ギリシア語のオリジナルの改作なのかは疑わしい。クレタのディクテュス英語版の同様の作品とともに、『トロイア滅亡の歴史物語』はトロイアの伝説に関する数多くの中世の記述の主要な情報源を形成している。ダレースはこの戦争で866,000人のギリシア人と676,000人のトロイア人が戦死したと主張したが、これほど大きな戦争があったことを示唆する考古学的発見はない[4]

この作品はエクセターのヨセフ英語版の『トロイア戦争』(De bello Troiano)の重要な情報源であった[5]

脚注[編集]

  1. ^ 『イリアス』5巻9行。
  2. ^ 『イリアス』5巻27行。
  3. ^ アイリアノス、11巻2。
  4. ^ Matthew White 2012, p.556.
  5. ^ A. G. Rigg英語版. “Joseph of Exeter: Iliad”. Centre for Medieval Studies. 2013年11月1日閲覧。

参考文献[編集]

  • アイリアノス『ギリシア奇談集』松平千秋中務哲郎訳、岩波文庫(1989年)
  • 『ディクテュスとダーレスのトロイア戦争物語 トロイア叢書1』岡三郎訳、国文社(2001年)
  • White, Matthew (2012). Atrocities: the 100 Deadliest Episodes in Human History. W. W. Norton. pp. 556. ISBN 978-0-393-34523-0