プルンバン

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プルンバン
識別情報
CAS登録番号 15875-18-0
特性
化学式 PbH4
モル質量 211.23 g/mol
沸点

-13 °C

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

プルンバン(Plumbane、PbH4)は、水素から構成される金属水素化物である[1]。プルンバンは熱的に不安定で水素原子を失いやすく、その特徴はまだよく分かっていない[2]。プルンバンの誘導体には、四フッ化鉛PbF4テトラエチル鉛(CH3CH2)4Pb等がある。

歴史[編集]

最近まで、プルンバンが実際に合成されたのかどうかはよく分かっていなかった[3]が、1963年、SaalfeldとSvecは質量分析でPbH4+を観測したと報告した[4]。プルンバンは何度もディラック-ハートリー-フォック方程式による相対論的量子化学の計算の対象となり、MH4またはMH2という化学式を持つ金属水素化物の安定性、立体配置、相対エネルギー等の研究が行われた[2][5][6]

特徴[編集]

プルンバンは、不安定な無色の気体で、IV水素化合物の中では最も重いものである[7]。さらにプルンバンは、鉛原子と水素原子の平衡距離が1.73 Aの四面体構造(Td)を持つ[8]。重量パーセントでは、1.91%の水素と98.09%の鉛から構成される。プルンバンの中の水素と鉛の酸化数は、鉛の電気陰性度が水素のものよりも高いため、それぞれ+1と-4である。MH4 (M = C-Pb)という化学式を持つ金属水素化物の安定性は、Mの元素番号が大きくなるにつれ、低下する。

製法[編集]

一般的には、金属水素化物は気体状の水素が金属と反応できる時に生成される。これらは可燃性の高い水素ガスを貯蔵することができる。

初期の研究で、PbH4はより軽い同族体(シランゲルマンスタンナン)と比べて不安定であることが明らかとなり[9]、GeH4やSnH4を合成するのに用いる方法では生成できなかった。

近年、プルンバンは硝酸鉛(II)Pb(NO3)2水素化ホウ素ナトリウムNaBH4から合成された[10]。さらにプルンバン合成の非発生機構も開発された[11]

2002年、Wang, X.らはレーザー切除によるPbH4の生成を研究し、赤外線バンドによって同定した[12]

同族化合物[編集]

出典[編集]

  1. ^ Porritt, C. J. Chem. Ind-London. 1975, 9, 398
  2. ^ a b Hein, T. A.; Thiel, W. J. Phys. Chem. 1993, 97, 4381
  3. ^ Cotton, F. A.; Wilkinson, G.; Murillo, C. A.; Bochman, M. Advanced Inorganic Chemistry. Wiley: New York, 1999
  4. ^ Saalfeld, F. E.; Svec, H. Inorg. Chem. 1963, 2, 46.
  5. ^ Pyykko, P.; Desclaux, J. P. Chem. Phys. Lett. 1974, 29, 534
  6. ^ Pyykko, P.; Desclaux, J. P. Nature. 1977, 266, 366
  7. ^ CRC Handbook of Chemistry and Physics, Online Edition.
  8. ^ Visser, O.; Visscher, L.; Aerts, P. J. C.; Nieuwpoort, W. C. Theor. Chem. Acc. 1991, 81, 405
  9. ^ Malli, G. L.; Siegert, M.; Turner, D. P. Int. J. Quantum. Chem. 2004, 99, 940
  10. ^ Krivtsun, V. M.; Kuritsyn, Y. A.; Snegirev, E. P. Opt. Spectrosc. 1999, 86, 686
  11. ^ Yan, Z.; et al. Guangpuxue Yu Guangpu Fenxi. 2005, 25, 1720
  12. ^ Wang, X.; Andrews, J. J. Am. Chem. Soc. 2002, 125, 6581