プレミアムフライデー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
検索に移動

プレミアムフライデーは、2017年平成29年)に日本政府と経済界が提唱した個人消費喚起キャンペーンである。博報堂が事務局を受託。月の最終金曜日に合わせ、民間企業や公共機関は社内向けと社外向けのイベント・セールなどのキャンペーンを行っている。略称はプレ金[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11]

概要[編集]

経済産業省および経済団体連合会を中心とした、経済界が提唱・推進する、毎月末金曜日(フライデー)に、普段よりも豊かな生活を推奨するとする個人消費喚起キャンペーン。午後3時(15時)に仕事を終えることを奨励する「働き方改革」と連携し、給与支給日直後に該当しやすい月末金曜日には、夕方を買い物や旅行などに充てることを推奨している。2017年(平成29年)2月24日より実施された[12]

運営団体のプレミアムフライデー推進協議会は、「プレミアムフライデー ナビゲーター」として、アイドルグループ・関ジャニ∞を起用[13]。関ジャニのメンバーが出演し、プレミアムフライデーについて紹介するPR映像を作成した。プレミアムフライデーにセールやキャンペーンを実施している企業のうち、来店者増加は約7割で売り上げ増加は5割越えであり、イベントとして当初の目的である消費の拡大には貢献している[14]

また、岐阜県の寺社仏閣や城などの観光施設に於いて「プレミアムフライデー限定」と銘打って金色の御朱印を授与する観光キャンペーンが同県岐阜市のまちづくり団体ひとひとの会によって行われるなど、企業以外に対して波及した事例も存在する [15][16]

該当日に割引販売等のサービスが行われるなど消費者向けの取り組みの一方、不足する社内コミュニケーションの場としても活用されている。「それぞれに、プレミアムな金曜日の過ごし方があるようだ」と伝えられている。ひと工夫したことでプレミアムフライデーが定着し、社内コミュニケーションの活性化に成功した例が報道されている。プレミアムフライデーで、着実に成果を上げている企業である串カツ田中ではプレミアムフライデー開始当初から毎月、最終金曜日は国内のほぼ全店を午後3時にオープンし、串カツ全品を終日108円で提供しているほか、プレミアムフライデーの週にイベントを開催するなどしている。取り組みを継続したことで問い合わせも増え2018年1月の最終金曜日に比べ、午後3時から午後6時の間の売り上げが15%増、客数は19%増となっていて、今でも好調を維持しているという状況であり、キャンペーンに対して取り組んだかで明暗が別れている[11]

認知率は9割を超えているが、実際に実施された例は1割程度というアンケートも存在しており、同様にメリットがあげられている。旅行業では土日のみの休日が半日増えることにより、旅行者増加で観光地は経済が一層活性化する。他のメリットとしては、月末金曜日の業務を15時で終了することで効率的に業務をこなす必要性が生じることにより、不要な会議や残業を減らすこととなっている[17]。経済産業省のプレミアムフライデー告知ページはCOVID-19による外出自粛中の影響で2020年2月に更新の一時休止、6月に再開された[18][1][19]が、2021年4月現在では実店舗上でのキャンペーン告知等はほぼ行われておらず、プレミアムフライデーと直接の関連性が薄い団体からの通販などの告知が主となっている。

課題と現状[編集]

2017年2月から導入されたプレミアムフライデーは、働き方改革の一環として普段よりもプレミアムな生活を推奨する個人消費喚起キャンペーンと謳っていて、導入企業では社員の早帰り・社内交流など社内の活用、割引など社外のキャンペーンという主に2 つの活用法にわかれている[11]

導入直後の2017年

制度が導入された初月である、2017年2月3日から同月8日までに行われたカルチュア・コンビニエンス・クラブの調査によると、「導入する」予定の企業は僅か3.4%であった。串カツ田中のようにキャンペーンが商機になると考えて、事前に大々的に準備している企業はレアであった。プレミアムフライデーキャンペーンを導入していたことで、同年7月時点で第2四半期決算で売上高は前年同時期と比べて、37.7%増の25億円、経常利益は33.7%増の2億5千万円だった[3][20][21]。2017年2月15日時点でプレミアムフライデー推進協議会事務局によると取組み推進のために賛同企業が社内向けに従業員へ退社啓発、社外向けに小売店や飲食店がキャンペーン告知にも利用できる統一ロゴマーク利用申請数は2,300社超えくらいとのことである[22]

2018年以降

2019年1月までに行われた推進協議会のアンケート調査では2017年2月に始まったプレミアムフライデーのおかけで早帰りした人は2017年2月~2019年1月までの統計で平均で11.3%である[23]。しかし、工夫で社内・社外キャンペーンに活用出来た企業は業績を伸ばしたり、社内コミュニケーションの潤滑化に用いられている[24][25]。導入初月に西武百貨店池袋本店でら客数で5%増、売上高で3%増となった。外食ではサントリー系列ダイナックの広報担当者は、売上高で前年比6%増、日商でプラス300万円の上乗せとなり、一定以上の成功を収めることができたとみていると述べた。PRONTOは売上、客数とも前年比3%増となり、「商機に繋がった」と語った。イトーヨーカ堂はプレミアムフライデー当日には各店平均で前年比15~20%の売り上げ増だった。 イオンリテールは、24日の売上高は全社で前年比20%増となり、月末の金曜から日曜までの3日間を「ビッグフライデー」とするキャンペーンを今後も行うことにした。ワタミの専門居酒屋「ニッポンまぐろ漁業団」新橋店では客数が前年比18%増となった。背景についてワタミ広報は「官公庁の集まる霞ヶ関に近く、近隣にPFを導入する大企業が多くあったことが客数の増加に結び付いた。15時半から16時半まで満席となるなど大きな効果があった」と分析している。またファミレス「ロイヤルホスト」では限定版商品を提供し、プレミアムフライデーの注文数は前日までと比較し3倍となった。天丼の「てんや」では主だった販促は打たなかったものプレミアムフライデー割引した生ビールの注文数は前年比2割増で着地し、売上増につながった[24]。最初の2017年1月から消費者に「月末金曜日=串カツ田中」と認識してもらうため、毎月さまざまな企画を実施してきた串カツ田中は、導入丸二年後の2019年2月時点でプレミアムフライデーのキャンペーン開催日1月25日には前2018年1月の最終金曜日に比べ、午後3時から午後6時の間の売り上げが更に15%増、客数は19%増となっているなど好調を維持している。前年比売上130%、その後毎年約20%ずつ伸ばしてきたことでプレミアムフライデー成功企業に名をあげられる。その後もコロナで一時中断期間があったものの、取り組みを継続した結果、プレミアムフライデー時のキャンペーンで知名度が上がり、月末金曜日の売り上げ・客数でプラスの影響が出ている[26][25][27]。小売、飲食、サービス業、地方商業施設などキャンペーンを行っている一定規模以上の企業・団体はPDFにて随時更新されている[28]

繁盛期との競合[編集]

月末は、企業の月次決算作業などと重なり、早く退社することが難しいという意見が多く、月初の金曜日に変更してほしいとの要望が出ている[29]。特に2回目の実施日は、多くの企業が年度末としている「3月31日」という、多忙を極めることが容易に推測できる日に設定されており、早期退社が1年の中でも最も困難であるとの意見が続出した[30][31]

就業時間との兼ね合いについて[編集]

前述された繁忙期の兼ね合いも含め、そもそも企業務めの場合においての仕事量は変化しないため、「早く帰ったらその分どこかでやらなければならないから、結局何も変わっていない」、「数値を達成するために他の日に残業したり休日出勤が発生する」といった本末転倒な事態が発生し、浸透を妨げる要因の一つになっている[32]

中小企業への波及[編集]

キャンペーン開始の2017年4月上旬に行われた大阪シティ信用金庫の調査によると、プレミアムフライデーを実施した中小企業は、わずか2.4%で特に運輸業は実施した企業は皆無であった。プレミアムフライデーに参加しなかった企業に対して、主にどのような条件が整えばプレミアムフライデーに参加するか聞いた場合、「関係先企業がほとんど参加すれば」と答えた企業が 38.2%で最多であり、 次に「効果や必要性などが納得できれば」とする企業も 35.3%、「生産性が向上し、仕事が回れば」とする企業が25.3%であった[33]。顧客の理解と協力が得られない限り、午後3時で仕事を終えるのは不可能であり、金融業も月末の金曜午後は最も忙しい時期であるため、職場でもプレミアムフライデーの話題は全くないのが現状である。このようにプレミアムフライデーは大企業が先行して制度化し、取引先である中小企業などにも波及、一般化できるかが課題となる。ただ、中小企業にとっては、取引慣行の見直しにまで手を付けざるを得ない面があり、現状ではハードルが高い状況である[33][34]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b 1月の「プレミアムフライデー」情報をお知らせします”. 経済産業省. 2020年8月14日閲覧。
  2. ^ 金曜日の夜はちょっとワクワク♡プレミアムフライデーの楽しみ方」『ニコニコニュース』。2018年8月26日閲覧。
  3. ^ a b “串カツ田中、プレミアムフライデーで売り上げ2割アップ 「お店のPRにもなりまして...」” (日本語). HuffPost Japan. (2017年7月28日). https://www.huffingtonpost.jp/2017/07/27/kushi-katsu-tanaka-premiumfriday_n_17608128.html 2018年8月26日閲覧。 
  4. ^ 株式会社ロジスティクス・パートナー. “プロント/プレミアムフライデーで売上・客数が3%増” (日本語). 流通ニュース. 2018年8月26日閲覧。
  5. ^ 食品産業新聞社. “プレミアムフライデーが始動 客数・売上増で一定以上の経済効果” (日本語). www.ssnp.co.jp. 2018年8月26日閲覧。
  6. ^ “プレミアムフライデーの効果は? 飲食店消費動向 | 財経新聞”. 財経新聞. (2017年4月30日). https://www.zaikei.co.jp/sp/article/20170430/367524.html 2018年8月26日閲覧。 
  7. ^ “プレミアムフライデー1周年。 日清や串カツ田中が「応援」するワケ”. ホウドウキョク. https://www.houdoukyoku.jp/posts/26568 2018年8月26日閲覧。 
  8. ^ プレミアムフライデーの経済効果|新日本有限責任監査法人2017.02.21
  9. ^ 「プレ金」は普及するか? -2017年4月1日 6:00 日本経済新聞
  10. ^ プレ金:浸透せず 開始4カ月、イベントは空振り気味 - 毎日新聞、2017年6月30日
  11. ^ a b c 導入から2年…“プレミアムフライデー”はどうなった?意外な活用法も!”. FNNプライムオンライン. 2020年8月14日閲覧。
  12. ^ 経済産業省「プレミアムフライデーの実施方針・ロゴマークが決定しました」”. 経済産業省. 2017年2月5日閲覧。
  13. ^ 関ジャニ∞、プレミアムフライデー ナビゲーターに就任! - マイナビニュース、2017年2月22日
  14. ^ [1]
  15. ^ 『金の御朱印広がる授与』2019年8月29日付 読中日新聞朝刊岐阜県版16面
  16. ^ 『プレ金は「金の城御朱印」』2019年11月29日付 中日新聞朝刊岐阜県版19面
  17. ^ 導入企業はわずか1割!プレミアムフライデーを導入する企業側のメリットとは?”. MS-Japan. 2020年8月14日閲覧。
  18. ^ もはや風前の灯、毎月最終金曜日の「プレミアムフライデー」このまま自然消滅か?”. Impress Watch. 2020年8月14日閲覧。
  19. ^ テレワーク後に「プレ金」 消費喚起へ来月にも再開―経産省:時事ドットコム” (日本語). 時事ドットコム. 2020年10月29日閲覧。
  20. ^ プレミアムフライデー「導入」は3.4%、何をする? - ITmediaビジネスオンライン、2017年2月15日
  21. ^ 串カツ田中「中止も検討」、プレ金に大きな岐路 | 外食” (日本語). 東洋経済オンライン (2020年2月28日). 2020年10月29日閲覧。 “プレミアムフライデー成功の代表例とされる居酒屋チェーン「串カツ田中」”
  22. ^ 飲食店で広がるプレミアムフライデーの取組み。串カツ田中では先取り企画も2017年02月17日”. フーズチャネル. 2020年10月30日閲覧。
  23. ^ プレミアムフライデー:時事ドットコム” (日本語). 時事ドットコム. 2020年10月29日閲覧。
  24. ^ a b 食品産業新聞社. “プレミアムフライデーが始動 客数・売上増で一定以上の経済効果” (日本語). www.ssnp.co.jp. 2018年8月26日閲覧。
  25. ^ a b 導入から2年…“プレミアムフライデー”はどうなった?意外な活用法も!”. FNNプライムオンライン. 2020年8月14日閲覧。
  26. ^ 串カツ田中「中止も検討」、プレ金に大きな岐路 | 外食” (日本語). 東洋経済オンライン (2020年2月28日). 2020年10月29日閲覧。
  27. ^ 串カツ田中の「プレミアムフライデー」が復活 コロナ禍で一時中断していた” (日本語). ITmedia ビジネスオンライン. 2020年10月29日閲覧。
  28. ^ プレミアムフライデー(Premium Friday) 月末金曜、何しよう?「最新情報」” (日本語). PREMIUM FRIDAY. 2020年10月29日閲覧。
  29. ^ “プレ金「月初にという声強い」…経団連会長”. ヨミウリ・オンライン (読売新聞社). (2017年9月11日). http://www.yomiuri.co.jp/economy/20170911-OYT1T50047.html 2017年9月12日閲覧。 
  30. ^ “【悲報】プレミアムフライデーの日取りが絶望的 3月は年度末、4月はGW直前で15時退社が無理ゲー状態”. キャリコネニュース (グローバルウェイ). (2017年2月27日). https://news.careerconnection.jp/?p=32030 2017年9月12日閲覧。 
  31. ^ “プレ金、実施率わずか2.8%で完全失敗…クソ忙しい月末に早帰り、官僚の「机上の空論」”. Business Journal (サイゾー). (2017年9月25日). http://biz-journal.jp/2017/09/post_20691.html 2017年9月25日閲覧。 
  32. ^ 「プレ金のために他の日に残業した」実施企業で働く人の4割 「仕事量は変わらないのに時間だけ減らせというのは理屈に合わない」”. キャリコネ. 2020年8月14日閲覧。
  33. ^ a b 中小企業における働き方改革とプレミアムフライデーについて - 大阪シティ信用金庫
  34. ^ 「プレ金」スタート 働き方改革に大きな課題 中小・零細を中心に参加できない企業が圧倒的 - 産経ニュース、2017年2月24日

関連項目[編集]