プログレッシブ・メタル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
![]() | この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。2012年9月) ( |
プログレッシブ・メタル Progressive Metal | |
---|---|
様式的起源 |
プログレッシブ・ロック ヘヴィメタル フュージョン |
文化的起源 |
1980年代中期 アメリカ合衆国 イギリス、カナダ |
使用楽器 | ボーカル、ギター、ベース、ドラム、キーボード |
関連項目 | |
カオティック・ハードコア マスコア |
プログレッシブ・メタル(英語:Progressive Metal)は、ロック・ミュージックのジャンルのひとつ。略称プログレメタル(あるいはプログメタル)。あまり明確な定義はないが、プログレッシブ・ロックとヘヴィメタルの要素を取り入れたサウンドで、1990年代以降はひとつのジャンルとして確立された。
概要[編集]
そのサウンドの概要は、プログレッシブ・ロックの持つ技巧的あるいは幻想的な音楽性と、ヘヴィメタルの持つハードで大胆な音楽性が合わさったもの。どちらかと言うと、ヘヴィメタルの要素がベースになっているが、「長大な楽曲、変拍子、転調、シンセサイザーの多用、コンセプト性を持ったアルバム構成」など、プログレッシブ・ロックの特徴もそれなりに収められている。
ピンク・フロイド、キング・クリムゾン、ジェネシス、イエスなどのプログレッシブ・ロック勢と、アイアン・メイデン、ジューダス・プリースト、メタリカなどのハード・ロック/ヘヴィメタル勢の双方から影響を受けてきたミュージシャン達が、1980年代後半になって本格的な音楽活動を始めたところに起因する。
代表的なバンドとしては、フェイツ・ウォーニング、クリムゾン・グローリー、ドリーム・シアター、クイーンズライク、ペイン・オヴ・サルヴェイションなどがあり、マーケットにおいてはドリーム・シアターらの躍進した90年代にプログレッシブ・メタルと呼ばれるタームが定着した。
プログレッシブ・メタルがジャンルとして確立される前から活動しているラッシュも、プログレッシブ・メタルであると考える人もいる。また、一部のネオクラシカルメタルやデスメタル、ブラックメタルなどには、メンバーが超絶技巧の持ち主であり、曲調もプログレッシブであるようなバンドが存在し(たとえばシンフォニー・エックスやオーペス)、そのようなバンドはプログレッシブ・メタルであると解釈されることもある。
日本においては70~80年代前半という早い時期からシェラザード、マンドレイク、人間椅子、筋肉少女帯といったHR/HMとプログレッシブ・ロック双方の要素を取り入れ独自の音楽性を展開したバンドが散見されプログレ・ハードと呼ばれた。またノヴェラの元メンバーや彼らのフォロワーが結成したハードロック色の強いグループが一時期(アンダーグラウンドな)プログレ・シーンで次々と登場し、これらはノヴェラ系ジャパグレと呼ばれた。他にはクラシックの要素を大きく取り入れたX JAPANがプログレッシブ・メタルであると解釈されることもある。
歴史[編集]

プログレッシブ・ロックとヘヴィメタルを組み合わせるスタイルの登場は1960年代後半から1970年代初頭までさかのぼることができる。イギリス出身の最もヘヴィなプログレ・バンドのひとつ、ハイ・タイド[1]は、「クリーム、ブルー・チアー、ジェフ・ベック・グループといったメタルの元となったバンド」の要素を自分たちのサウンドへと組み込んだ[2]。キング・クリムゾンやラッシュらもメタルの要素を取り入れている[3][4]。他にそのような試みを行っていたバンドとしてはユーライア・ヒープがいる[5]。「Bastille Day」「Anthem」「By-Tor And The Snow Dog」「2112」「The Fountain of Lamneth」「Something for Nothing」などのラッシュの楽曲はプログレッシブ・メタルの最初期の例として見ることができる[6]。ルシファーズ・フレンドやナイト・サンも早くからこのような音楽性を志向していたバンドのひとつである[7]。だが、1980年代中頃までプログレッシブ・メタルがひとつのジャンルとして結実することはなかった。サイコティック・ワルツ、フェイツ・ウォーニング、クイーンズライク、クリムゾン・グローリー、ドリーム・シアターといったバンドはプログレッシブ・ロックの要素(特に演奏面や曲構成の点)を取り入れており、ジューダス・プリーストやブラック・サバス(この2つのバンドは初期のアルバムでプログレッシブなアプローチをとっていたバンドでもある)から影響を受けたメタルのスタイルと合体させた音楽性を完成させた。その結果、プログレッシブ・メタルというジャンルはここに産声を上げた。この5つのバンドこそがこのジャンルを作り出し、確立させた始祖であると言えよう。
フェイツ・ウォーニング、クイーンズライク、クリムゾン・グローリー、ドリーム・シアターの4つのバンドはこのジャンルをともに作り上げたとはいえ、サウンドはそれぞれ異なっている。クイーンズライクはこの中でも最もメロディに重きを置いたスタイルをとっている。彼らの発表したアルバム『オペレーション・マインドクライム』と『エンパイア』はこのジャンルの中で最も商業的に成功した作品となり、シングル「Silent Lucidity」はビルボード・チャートで9位を獲得した。フェイツ・ウォーニングはこの中で最もアグレッシヴでヘヴィだ。背景にはこの時代のスラッシュメタルと多くの共通項を持っていることもあるが、彼らがそもそもジューダス・プリーストやアイアン・メイデンの系譜に連なるヘヴィメタル・バンドとして始動したこともあると考えられる。アルバム『パーフェクト・シンメトリー』は従来のNWOBHM的なサウンドの枠を抜け出し、ドリーム・シアターが後に広めることとなるプログレッシブ・メタルの基礎となるサウンドを作り上げた。ドリーム・シアターは伝統的なプログレッシブ・ロックから強い影響を受けており、メンバーの技術力で多くの聴衆を魅了した。クリムゾン・グローリーは2本の美しいリード・ギターがハーモニーを奏でる点が特徴である。彼らの作品『トランセンデンス』はこのジャンル内でも出色の出来であり、プログレッシブ・メタルの傑作のひとつとして数えられることも多く、ケイジ、トリオスフィア、ラプソディー・オブ・ファイアらに影響を与えたことで有名である[8][9][10][11]。
主なプログレッシブ・メタル・バンド[編集]
3
3 (1980年のバンド / Emerson, Berry & Palmer)
サーティー・セカンズ・トゥー・マーズ
Adagio
Aeon Zen
アガロク
Age of Nemesis
Age of Silence
Aghora
Akercocke
Alarum
Alchemist
Aletheian
AlogiA
Alpha Galates
Altera Enigma
Amaseffer
Ambeon
アモルフィス
Anacrusis
Anata
アナセマ
アンドロメダ
Angband
Angel Dust
アニマルズ・アズ・リーダーズ
Ansur
アーキテクツ
John Arch
アークチュラス
Ark
アーテンション
あさき
エイシスト
Avalanch
エイリオン
Baroness
Becoming the Archetype
Behold... The Arctopus
Believer
Benea Reach
ビトウィーン・ザ・ベリード・アンド・ミー
Beyond Twilight
Biomechanical
THE BLACK MAGES
Blind Illusion
Blotted Science
Borknagar
Burst
Cacophony
カイロ
Carbonized
Carcariass
Cea Serin
Circle II Circle
サーカス・マキシマス
Communic
Coheed and Cambria
Conception
Confessor
Control Denied
Coprofago
コロナー
Cronian
Crimson Glory
Cryptic Fate
シニック
Daedalus
Damn the Machine
Dargoron
Dark Suns
Deadsoul Tribe
デス
デレク・シェリニアン
Divina Enema
デリンジャー・エスケイプ・プラン
Delphian
Demon
Dendura
DGM
Dial
Disillusion
ドミニシ
DOOM
ドリーム・シアター
Dreamscape
Dysrhythmia
Echoes of Eternity
エッジ・オブ・サニティ
Eldritch
エレジー
Electro Quarterstaff
エンチャント
Engine
Enochian Theory
Ephel Duath
エヴァーグレイ
Extol
エンスレイヴド
フェイツ・ウォーニング
Fearscape
Fragile Vastness
Frameshift
Frantic Bleep
Fuseboxx
ギャラクティック・カウボーイズ
Giant Squid
Gordian Knot
ゴジラ
五人一首
Green Carnation
Hacride
Haken
Hammers of Misfortune
Harmony
Henceforth
Horizon
Hourglass
Hubi Meisel
The Human Abstract
Hybrid
Ice Age
イーサーン
Illuminatus
Iniquity
In Mourning
In the Woods...
イントゥ・エタニティー
アイオン・ディソナンス
Iron Fire
Jacob's Dream
Janvs
ザ・ジェリー・ジャム
Jon Oliva's Pain
ジョン・ペトルーシ
Juggernaut
Kalijuge
カンサス
カーニヴール
Katagory V
Kayo Dot
ケカル
Khallice
キングスX
Kiuas
Klabautamann
Kohllapse
Kraken
Kylesa
Last Chance to Reason
リキッド・テンション・エクスペリメント
Madder Mortem
マジェラン
マンドレイク
マンティコラ
Martyr
マストドン
Maudlin of the Well
Mechanical Poet
メコン・デルタ
メシュガー
Mizraab
Mindflow
ネミック
Motherjane
Monarchy
Moonlight
Moonlight Agony
ムーンソロウ
マッドヴェイン
マルマズラー
Mutiny Within
ミラス
Narnia
ネクロファジスト
Nekropsi
Negură Bunget
Nerverek
ネヴァーモア
Nightingale
Nodes of Ranvier
Novembre
The Number Twelve Looks Like You
ジ・オーシャン
Oficina G3
オーペス
Orphaned Land
OSI
Outworld
Pagan's Mind
ペイン・オヴ・サルヴェイション
Pathosray
ペリフェリー
ペルセフォネ
ペスティレンス
プラネット・エックス
プラティパス
ポーキュパイン・ツリー
パヴァティズ・ノー・クライム
プライマス
プロフェット
Prospect
プロテスト・ザ・ヒーロー
Prototype
Psychotic Waltz
Psycroptic
Psyopus
Pyramaze
クイーンズライク
Quo Vadis
レイジ
レインタイム
Redemption
Relative Silence
Ride the Sky
Riverside
マイケル・ロメオ
ロイヤル・ハント
ジョーダン・ルーデス
ラッシュ
Ron Jarzombek
Rusty Eye
Ruthless order
サディスト
サヴァタージ
Scale the Summit
ダロン・マラキアン・アンド・スカーズ・オン・ブロードウェイ
Scheherazade
Sculptured
Sequester
Sethian
Seventh Wonder
シャドウ・ギャラリー
シャイ・ハルード
Sieges Even
サイ
シクス
Sky Architect
Sleepytime Gorilla Museum
Spastic Ink
スフェリック・ユニバース・エクスペリエンス
Spiral Architect
スポックス・ビアード
Star One
Stolen Babies
ストラッピング・ヤング・ラッド
ストリーム・オブ・パッション
Stride
サブテラニアン・マスカレード
Sunblaze
Sun Caged
Superior
Suspyre
ダン・スワノ
シンフォニー・エックス
Tarantula Hawk
Terra Rosa
テッセラクト
テクスチャーズ
Theocracy
セリオン
Theory in Practice
Thought Chamber
Thought Industry
Threat Signal
Threshold
Thy Catafalque
ティアマット
タイム・レクイエム
To-Mera
Tomorrow's Eve
Tourniquet
デヴィン・タウンゼンド
Trail of Tears
Trivial Act
ティア
Unexpect
ユーライア・ヒープ
ヴァンデン・プラス
Vanishing Point
Ved Buens Ende
Versailles
Veni Domine
Venturia
Vintersorg
ヴォイヴォド
ワルタリ
Warmen
Wastefall
ウォッチタワー
Winds
Without Face
ウルフマザー
Wolverine
Yakuza
Zero Hour
脚注[編集]
- ^ Neate, Wilson. “High Tide - High Tide”. Allmusic. 2011年10月10日閲覧。
- ^ Neate, Wilson (1969年7月8日). “Sea Shanties - High Tide”. Allmusic. 2011年10月10日閲覧。
- ^ Buckley 2003, p. 477, "Opening with the cataclysmic heavy-metal of "21st Century Schizoid Man", and closing with the cathedral-sized title track,"
- ^ Buckley 2003, p. 749, "Rush were throwing off shackles of prog-rock and heavy metal,"
- ^ Thomas, Stephen. “Uriah Heep”. Allmusic. 2011年10月10日閲覧。
- ^ [1] Progressive rock reconsidered by Durrell S. Brown
- ^ Rivadavia, Eduardo (2006年12月21日). “Lucifer's Friend”. Allmusic. 2011年10月10日閲覧。
- ^ Rivadavia, Eduardo. “Transcendence - Crimson Glory”. allmusic. Rovi Corporation. 2011年12月28日閲覧。
- ^ "Fabian De La Torre" (August 2007). “El nuevo U.S. Metal Cage [The New US Metal. Cage]” (Spanish). Metalica Fanzine (53): 32–34.
- ^ “Alex Staropoli”. rhapsodyoffire.com. 2011年12月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年12月28日閲覧。
- ^ “CRIMSON GLORY Preparing To Embark On 25th-Anniversary Tour”. Blabbermouth.net. Roadrunner Records (2011年4月18日). 2011年4月18日閲覧。[リンク切れ]
|