ヘイ・ブルドッグ

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ヘイ・ブルドッグ
ビートルズ楽曲
収録アルバム イエロー・サブマリン
リリース 1969年1月13日 (US)
1969年1月17日 (UK)
録音 1968年2月11日
ジャンル サイケデリック・ロック[1]
ポップ・ロック[2]
ハードロック[3]
アシッド・ロック[4]
時間 3分14秒
レーベル アップル・レコード
作詞者 レノン=マッカートニー
プロデュース ジョージ・マーティン
その他収録アルバム

イエロー・サブマリン 〜ソングトラック〜』 (1999年)

イエロー・サブマリン 収録曲
A面
  1. イエロー・サブマリン
  2. オンリー・ア・ノーザン・ソング
  3. オール・トゥゲザー・ナウ
  4. ヘイ・ブルドッグ
  5. イッツ・オール・トゥ・マッチ
  6. 愛こそはすべて
B面
  1. 「ペパーランド」
  2. 「シー・オブ・タイム」
  3. 「シー・オブ・ホールズ」
  4. 「シー・オブ・モンスターズ」
  5. 「マーチ・オブ・ミーニーズ」
  6. 「ペパーランド・レイド・ウエイスト」
  7. 「イエロー・サブマリン・イン・ペパーランド」
イエロー・サブマリン 〜ソングトラック〜 収録曲
イエロー・サブマリン
(1)
ヘイ・ブルドッグ
(2)
エリナー・リグビー
(3)
ミュージックビデオ
「Hey Bulldog」 - YouTube

ヘイ・ブルドッグ (Hey Bulldog)はビートルズの楽曲である。

解説[編集]

楽曲は主にジョン・レノンによって書かれ、最終的にポール・マッカートニーとの2人で仕上げた[5]1969年1月に発表されたイギリス盤公式オリジナル・アルバムイエロー・サブマリン』(ビートルズが主人公の同名アニメーション映画サウンドトラックアルバム)に収録された。

レコーディング中、ポール・マッカートニーはいきなり犬の吠える声を真似しだした。もともと「Hey Bullfrog」と書かれていた[6]歌詞が曲の途中で「Hey Bulldog」へと変わってしまい、これがそのまま曲名になっている。この曲は「レディ・マドンナ」のプロモーション・フィルムを撮る最中に録音した。

ジョン曰く「ポールが時間を節約するためにスタジオで曲作りもやるべきだと言った。だから既に頭にあった2,3個のフレーズを曲にぶち込んだまでの曲だ」とのことでかなり即興性の強い曲であることが伺える。

ビートルズのエンジニア、ジェフ・エメリックはこの曲がメンバー全体が熱意を持って取り組んだ最後の曲だと述懐している。1968年5月に『ザ・ビートルズ』のセッションでメンバーが再集結したときにはグループの団結は既にビジネスへの考え方、芸術性、そして性格の違いから崩れかかっていた。これが解散への遠因となる。

セッション中は撮影クルーがビートルズが曲を録音するところを撮った。これは彼らがアビー・ロード・スタジオで長い時間撮影することを許可した希有な例である。これはインドで4ヵ月休暇を取っている最中にプロモーション・フィルムとしてリリースされる予定であった[注釈 1]

映画本編ではビートルズがブルードッグを茶化すシーンで使われている。しかし、イギリス初回公開時などを除き、本曲のシーンはカットされてしまう。[7]一説には本曲のシーンに出てくる4つの頭を持つ犬(ブルードッグ)の映像が、奇形の表現を嫌うアメリカ等で問題となったため…と言われている。現在販売されている映画のDVDには本曲のシーンが収録されている。 [注釈 2]

サビの部分のみが「She Can Talk To Me」のタイトルでデモ・テイクが現存している。1968年2月の「レディ・マドンナ」セッションで録音。現在「レディ・マドンナ」のPVとして知られている映像は、実際には本曲の録音風景 (2月11日撮影、同日に録音・ミックス完了) である。後にこの時の模様を収めたフィルムの完全版が発掘。映画の再発表を宣伝しようと、アップルは1999年に再編集を施し、この曲のPVとして公開した[注釈 3]

「ヘイ・ブルドッグ」のギターリフは『ラヴ』に収録されている「レディ・マドンナ」に使われている。[8]

1999年、『イエロー・サブマリン 〜ソングトラック〜』にステレオの定位置を変更したリミックス・ヴァージョンが収録された。

2つのミキシング違い[編集]

「ヘイ・ブルドッグ」にはオリジナル・サウンドトラック盤とソングトラック盤の異なる2つのミックスが存在し、多数の異なる箇所が存在する。オリジナル版ではバッキング・トラックが左チャンネルに定位し、ベースは中央、ヴォーカルとリードギターは右チャンネルに定位している。1分4秒から挿入されているリード・ギターはシャープであり、1分32秒で終わる。笑い声と掛け合いはソロの途中で聞ける。バッキング・トラックは最後の掛け合いの声が大きくなるにつれて少し音量が小さくなる。このミックスではフェードアウトは7秒で終わる。

イエロー・サブマリン 〜ソングトラック〜版ではスタジオエンジニアがオリジナルのマルチトラックからリミックスしている。この結果、音がよりクリアになり[注釈 4]、ステレオの定位がより現代風になった。具体的にはバッキング・トラックが左チャンネルに定位し、ボーカルが中央で、ベースとリードギターが右チャンネルに定位した。このミックスにおけるギターはオリジナルよりも埋もれている。笑い声と掛け合いは声が小さくなり、最後の掛け合いも少し小さくなっている。フェードアウトは10秒である。これのおかげで最後に「Hey Bulldog」と叫んでいるのが聞き取れる。

演奏[編集]

クレジットはThe Beatles Bible[9]ジェフ・エメリックによるもの

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 後にシングルの「レディ・マドンナ」のプロモーション・フィルムとして編集された。
  2. ^ なお、ブルードッグのシーンがカットされたヴァージョンはその前後の展開が若干異なり、「ベイビー・ユーアー・ア・リッチ・マン」を使用したシーンに差し替えられている
  3. ^ 1999年にTVで放映されて以来長らく商品化されていなかったが、2012年よりiTunes StoreにてPVが販売されているほか、2015年に発売された映像作品『1+』に収録されている。
  4. ^ ピアノリフとドラムの音を聞き比べるだけで容易に分かる。
  5. ^ ダブルトラック処理が施されている。

出典[編集]

  1. ^ J. DeRogatis, Turn On Your Mind: Four Decades of Great Psychedelic Rock (Milwaukie, Michigan: Hal Leonard, 2003), 0-634-05548-8, p. 48.
  2. ^ Terence J. O'Grady (1 May 1983). The Beatles, a musical evolution. Twayne. p. 149. ISBN 978-0-8057-9453-3. https://books.google.com/books?id=n33uAAAAMAAJ. "Finally, Lennon's "Hey Bulldog," also recorded in January, 1968, is a rhythm and blues-influenced pop-rock song..." 
  3. ^ Mojo. 150–153. EMAP Performance Limited. (2006). https://books.google.com/books?id=OXNLAAAAYAAJ. 
  4. ^ Neaverson, Bob (March 1999). The Beatles Movies. Cassell. p. 94. ISBN 9780304337972. https://books.google.co.uk/books?redir_esc=y&id=rn4IAQAAMAAJ&focus=searchwithinvolume&q=acid+rock. "One of Lennon's most powerful acid-rock songs to date ('Hey Bulldog')..." 
  5. ^ Beatles Songwriting & Recording Database: Yellow Submarine”. Beatlesinterviews.org (1969年1月17日). 2011年8月21日閲覧。
  6. ^ 『ビートルズと60年代』p.322
  7. ^ 『ビートルズ レコーディング・セッション』p.165
  8. ^ It's hard not to LOVE the new Beatles album”. Miami Herald (2006年11月21日). 2006年11月23日閲覧。
  9. ^ Hey Bulldog”. The Beatles Bible. 2018年12月20日閲覧。

参考文献[編集]

  • マーク・ルゥイソーン 『ビートルズ レコーディング・セッション』 内田久美子訳、シンコー・ミュージック、1990年。
  • イアン・マクドナルド 『ビートルズと60年代』 奥田祐士訳、キネマ旬報社、1996年。