ペット

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おもちゃで遊ぶポメラニアン
。飼育されているペットの種類の1位と2位。
ベッドで眠る

ペット英語: pet)とは、愛玩を目的として飼育される動物である[1]

概要[編集]

ペットは、人の心を和ませたり楽しませてくれる、といった理由で飼われる動物である。人はペットとの様々なやり取りを楽しんだり、その姿や鳴き声などを鑑賞したりする。

ペットは生命をもった動物で、モノではない。ゆえに、ペットが健康で快適に暮らせるよう、栄養や環境など様々なことに配慮する必要がある。飼い主は、ペットのために餌や飼養施設を用意したりするなど、様々な世話をする必要がある。

ペットの歴史は古く、ネコ古代エジプトの時代から現在のペットのような位置づけや、の駆除などの実用目的で飼われていたことが推測されている。また、イヌに関しても、太古の昔から、実用と愛玩目的も兼ねて飼われていたことが推測されている。

ペットの入手方法は、ペットショップで購入する以外にも様々な方法がある。

ペットは、人の人生の質の向上に貢献する。ペットは人を癒し、孤独感を解消する。さらに、思いやりの心などが育つなどの情操教育の効果もあるとされる。(→#ペットがもたらすメリット

ただし、ペットを飼うには様々な責任が伴う。それらを理解しないと、近隣や周囲の人々に迷惑を及ぼし、またペットそのものに害を及ぼすこともある。(→#ペットにまつわる諸問題

動物虐待の防止や公衆衛生の観点から、ペットの取り扱いを規定する法律がある。日本では、「動物の愛護及び管理に関する法律」や「狂犬病予防法」などの法令がある。(→#各国におけるペット関連規制

なお、ペットは基本的に人間が愛玩の対象とし飼育する動物をさす語である。しかし、一部の霊長類などのある程度高度な知性・情動がその行動に感じられる動物では、異種の動物の特定の個体に対し、愛着を感じさせる行動を見せることがある。手話を理解したゴリラココは、自身の欲求として子猫を飼いたいと表明し、愛着を持って世話をした。更には、この猫が交通事故にあって死んだ際には、深い悲しみを訴え泣いたことが伝えられている。

諸概念の定義[編集]

愛玩動物[編集]

愛玩動物(あいがんどうぶつ)とは、一般に「愛玩用に家庭などで飼育されている動物のうち、特に愛玩飼育を目的として改良・繁殖が行われてきた動物種」のことをいう[2]

愛玩動物は従来からの愛玩動物、学校飼育動物、エキゾチックペットなどに分類される[2]

従来からの愛玩動物
従来からの愛玩動物は、イヌ、ネコ、ウサギ、 小鳥(ブンチョウなど)、金魚など、古くから愛玩動物として親しまれてきた動物をいう[2]。イヌやネコは愛玩動物としてヒトに飼育されるようになってから数千年から一万年以上の時間が経過している代表的な愛玩動物で、その間にヒトにとって好適な愛玩動物として適応した[2]。また、従来からの愛玩動物の一部には、盲導犬聴導犬のように人間の生活を補助する補助動物もいる[2](他に介助犬身体障害者補助犬介助猿など)。
学校飼育動物
学校飼育動物とは、小学校や幼稚園などで教育的・社会心理的効果から教育・愛玩目的で飼育される動物をいう[2]。代表種はウサギ、ニワトリカメ、金魚などである[2]。児童は動物由来感染症に対する抵抗力の不十分な可能性もあるため衛生管理などに注意を要する[2]
エキゾチックペット
エキゾチックペットとは、カメ、イグアナヘビリスザルリス、鳥類(オウムなど)、野生由来の魚類など比較的新しく愛玩目的で飼育されるようになった動物をいう[2]。エキゾチックペットは野生動物を捕獲した個体であることも多く、飼育・管理方法が確立されていない、感染症等の原因・症状・診断法・検査法・治療法の知見が少ないなどのリスクがある[2]

コンパニオンアニマル[編集]

人々の動物に対する接し方が、より細やかで密接になる傾向を反映して「ペット」という概念(モノや所有物のように見なす概念)に替わって伴侶動物(はんりょどうぶつ)やコンパニオンアニマル英語: companion animal、人生の伴侶としての動物)という概念も普及してきている。

ペットの歴史[編集]

以下では、一部に家畜の歴史も含めて解説する。

ダ・ヴィンチが描いた『白貂を抱く貴婦人』のように古くから様々な生物が飼育されてきた

太古のペットは、野生動物を捕獲したものである。人間が太古からペットを飼っていた証拠は、いずれの大陸からも発見される。最古の痕跡は、3万前の石器時代の遺跡にあるホラアナグマの飼育跡(洞窟の檻)である。ただし、狩猟で捕獲したものを一時的に生きたまま保管したのか、継続的に餌を与えて飼っていたのかは不明である。ペットとして手当たり次第に飼い始めた野生動物の中から、家畜として有用なものが見いだされたと考えられる[3]

オオカミ(イヌ)の家畜化が3万年 - 1万5千年前から行われ、狩猟の際の助けとして用いられた。以下、トナカイヒツジイノシシブタ)、ヤギウシニワトリハトウマラクダなどが、家畜として飼育されるようになった。また農耕のはじまりとともに、害獣となるネズミなどを駆除してくれるネコイタチのような小型肉食獣が珍重されるようになった。

上述の通りペットの歴史は家畜に先行していると考えられるが、明確に愛玩動物として飼育された最初の例として史料が残っているのは、5,000年前の古代エジプトピューマである。南米のインディオではインコサルを飼っていた[4]

人間の飼育下で繁殖させたペットが普及するのは、家畜が定着するよりも後である。狩猟目的のイヌ、害獣駆除目的のネコなど、実用目的の家畜だったものが、その目的で飼われなくなって以降も人間に飼われるようになった。それらが、人間の飼育下で繁殖したペットの最初となる。ただし、どの段階で実用でなくなったのか明確な境界線を引くのは困難である。日本におけるニワトリのように、食のタブーで一旦はペットとされたものが、再び食用の家畜(家禽)へと変遷した例もある。

古代 - 近代[編集]

特にイヌの場合は、はっきりした主従関係を好む習性から、家族の一員として扱われた歴史が長いとされる。石器時代におけるイヌの墳墓(埋葬に際して添えられたと見られる花の花粉が見られたり、なんらかの食料の残骸が一緒に発見されるなどの特徴も見られる)も発見されている。その一方で、所有物という概念もあったようで、殉死によって飼い主と共に埋葬されたと思われるケースも見られる。欧米では、古来から現代まで王侯貴族や歴代大統領から一般市民の間で愛玩用、護衛用、狩猟用などとして飼われている。イングランド王ジェームズ2世や米大統領クーリッジなど多数の愛犬家がいる。

古代エジプトでは、ネコ科の動物は今日のペットに近い存在であったとされる。それらは神格化されたせいもあって、高貴な身分にふさわしい愛玩動物として扱われた。丁寧に埋葬されたネコのミイラも発見されており、同時代に於ける同種動物の地位が如何に高かったかを感じさせる。

また農耕文化にも関連して、ネコやイタチ・キツネのような小型動物を捕食する肉食獣を、穀物食害から守る益獣として珍重していた文化が世界各地に見出されている。今日のアメリカでも、納屋に住み着くネコを「barn cat」と呼び珍重するなどの風習が見られる。

近代 - 現代[編集]

今日ペットは、心を癒したり、あるいは愛玩されたり、共生したりするなど、様々な面を持つ。ペットは、家族として、パートナーとして、仲間として人の暮らしに密接に関わる。

現代の日本の2人以上の世帯では、48%の世帯が、何かしらのペットを飼っている、という調査結果がある[5]。日本の2010年(平成22年)における飼育ペットの割合は、犬59%、猫31%、魚類19%、鳥類6%(複数回答)である[6][注釈 1]

動物を尊重する人々の中には、言葉の用法に人間との同一視が見られることがある。例えば、ペットの性別を「オス」「メス」ではなく「男の子」「女の子」と呼んだり、「餌をやる」ではなく「食事をあげる」と表現したりする。

中にはペットに遺産を残したいと望む人もいる。[注釈 2]

ペットの統計[編集]

動物別[編集]

2015年の「ペット飼育率調査」によると、世界でペットとして飼育されている動物は、犬が33%、猫が23%、魚が12%、鳥が6%だった[7]

ペットフード協会によれば、日本での推定飼育数は、1994年のイヌは906万7000匹、ネコは717万8000匹である。イヌのピークは2008年の1310万匹で、その後、減少傾向にある。2017年にネコ(952万匹)が、イヌ(892万匹)を追い抜いた。2018年のイヌは890万3000匹、ネコは964万9000匹である[4]

ペットフード協会の「2015年犬と猫の飼育実態調査結果」によると、日本で飼育されている犬の平均寿命は14.85歳、猫の平均寿命は15.75歳で寿命は毎年延びる傾向にある[7]

地域別[編集]

2015年の「ペット飼育率調査」によると、世界でも最もペットが飼育されている地域は中南米(75%~80%)で、最も飼育率の低かった地域はアジア(30%~40%)とされている[7]

ペットの種類[編集]

熱帯魚などを水槽で飼う例
植物は従来、園芸によって育まれる物だったが、近年では愛玩する対象としても扱われるため、広義のペットと見なされることがある。
人間が人間を「飼う」というのは人権人道に絡んで倫理上問題視される要素を含むものの、風俗的な観点からはそのような現象も見られる。また、奴隷制度は人間の家畜化であるが、目的が「愛玩」であればペットと見なす事も可能である。ただし近年に於いてその大半は仮想上のものや、有償や無償のサービスであったり、または犯罪行為のいずれかである。
親が溺愛のあまり子供をペット状態に置くケースも有る。また、単に年下の恋人を示す語彙として『ペット』と称する事も有る。類似語:ツバメ

医療[編集]

ペットの健康問題[編集]

ペットをその性質に即した飼い方が成されていない場合も少なくはない。例えば肉食性の動物に、菜食主義者の飼い主が野菜を主体とした餌を与えて、適切な消化酵素を持たないこれら肉食のペットが健康被害を受ける場合も見られる。中には、偏食となるエサを与えてしまう飼い主がおり、結果として糖尿病などの成人病的症状で動物病院に通院するペットがいる。よく懐いている犬の場合、飼い主が与えた餌を食べると飼い主が喜ぶことを犬が理解して、満腹であっても飼い主を喜ばせようと餌を食べる場合が見られる。これらの犬は肥満に陥ったり、肥満が引き起こす健康被害を受けることもあるとされる。

また、過度に愛玩された結果として神経性の円形脱毛症胃潰瘍に陥るペットもいる。また、飼い主が自分のストレス解消や鬱憤晴らしに行う動物虐待の被害を蒙る場合もある。

動物の手術[編集]

、断声帯切除、の抜歯、除去(ごと除去)、などがある。ドイツでは脊椎動物について麻酔なしの手術、(医療目的以外で)肢体や臓器の摘出を原則禁止としている[8]

人間の都合による断耳、断尾、声帯切除、牙の抜歯、爪除去(指ごと除去)は、動物虐待にあたるとする考えもある。

ペットの入手方法[編集]

インドムンバイにあるCrawford Marketのペット屋

ペットの入手方法は、ペットショップで購入する、譲渡会で入手する、友人・知人から譲り受ける、屋外で拾う、等の方法がある[9]。日本では、公共の動物収容施設(動物愛護センターなど)が、犬や猫の新しい飼い主を募集している[10]

アメリカでは、25州で8週齢未満の子犬の販売に規制がある[11]。日本では生後56日以内の販売が禁止される[12]。一方、専門家の間では「生後49日」が妥当とされている[12]

環境省は、動物の命に配慮し、ペットを迎える際には譲渡という選択肢を考えて欲しいと広報している[13]

最近、ペットショップがペットを販売せず、ペット関連商品の販売だけで利益を上げ、保護ペット譲渡に舵を切る動きもある[14]

ペットがもたらすメリット[編集]

ペットを飼うことで、癒し孤独の解消、思いやりの心が育まれるといった実利が得られる。研究からも、ペットが子どもの健全なを育てることが判明している[15]。子供は、自分自身を動物達とのコミュニティに属していると捉えている[16]

ペット飼育者の多くは、フラストレーションの解消を目的に、話を聞いてくれる相手として人間と同じようにペットに話しかける[17]ペンシルバニア大学の調査では、ペット飼育者の98%は動物に話しかけた経験があり、そのうちの80%はペットに対して人間と同様に話しかけていたという。抑うつ引きこもり、精神の矯正に及ぼすペットの癒やしの効果は精神分析医ソーシャルワーカーに着目され、老人ホーム刑務所でペットが効果を上げた例もある[17]

ペットのイヌが飼い主に運動を促すように、ペットとの交流は延命の一因となり得る[17]。人間とペットが交流している時間中、双方の血圧と心拍数が低下するという実験結果がある。水槽の魚を眺めているだけでも医学的に有意な血圧低下が見られるという実験結果もある[17]

ペットにまつわる諸問題[編集]

ペットの殺処分[編集]

ペットの扱いには国ごとに差異がある。ガス室を用いた殺処分は日本では禁止されないが、アメリカの一部の州では禁止される。

アメリカ[編集]

アメリカでは、アニマルシェルターにいる動物の中で、毎年約153万頭(犬67万頭、猫86万頭)が殺処分される[18]。なお、あるアニマルシェルターでは95%以上の動物が殺処分された事例がある[19]

また、殺処分方法の規制は州によって異なる。ガス室を用いた犬猫の殺処分は、23州で禁止される[20]

日本[編集]

日本では、保健所が野良犬・迷い犬を捕獲・収容したり、飼い主から直接持ち込まれた動物を収容したりする。収容された動物は、数日の保管期間をおいて殺処分される。殺処分数は、過去には毎年数十万頭に及ぶこともあったが、平成27年度以降は毎年10万頭以下に減少している[21]

保健所は、殺処分を減らすために飼い主を探す努力もしている。例えば、当該犬を収容している旨を公示して飼い主を探す、譲渡会等で飼い主を募集する、譲渡希望者に気に入った個体を引き渡すなどが行われる[22]

実際に熊本市動物愛護センターでは、2002年度の段階では56.38%であった処分率を、2008年度には12.86%にまで引き下げることに成功した[23]。こうした成功事例が知られるようになり、「熊本のようにやる気になりさえすればペットの命が救えるのに、なぜ他の自治体では同様のことをやろうともせず問題を放置するのか?」という声が出るようになった。

環境省は、2009(平成21)年度より、犬や猫の殺処分の半減を目標に、新しい飼い主探しを促進するための施設を、都道府県(や政令市に)、年間約10カ所整備する計画を、また2017年(平成29年)までに90カ所整備する計画を立て、それに着手した。9年間で、殺処分の数の半減を目指すという。新しい飼い主探しを促進するための施設整備などを行うという。また、ペットの不妊手術の推進や、(ペットが迷子になってしまった時に飼い主のもとに戻ることができるように)マイクロチップ装着なども推進するという[23]

無理な繁殖や近親交配[編集]

珍しい種類や人気がある種類の犬・猫では、ブリーダー近親交配による繁殖を行うことがある。それらの中には近親交配によって発生した、畸形遺伝的な異常を持つ個体が販売され、飼い主とペットショップの間で品質面の問題が係争されるなどの現象も起こっており、これを憂う向きもある。しかしながら、近親交配は品種改良や品種のスタンダード維持の重要な手段でもあり、一律禁止は大きな弊害を伴うとされる。

闇取引[編集]

珍しい動物を飼いたいという需要を満たすために、動物が違法に捕獲され売買されることもある。野生のオランウータンワシントン条約で商取引が禁じられているが、これすら密猟された事例がある[24]

また、動物園などから珍しい動物が盗まれる事件も発生している[25]。日本では、2003年(平成15年)に動植物園からレッサーパンダワタボウシタマリンが盗まれる事件が起きた(4ヵ月後に返還された)[26]

盗んだはいいが飼い方が判らず死なせてしまうといった事件も起きている。

管理上の問題[編集]

周囲の人々に対する配慮の欠如[編集]

香港の飲食店にて
日本のショッピングセンターにて
日本の団地にて
日本の団地にて

ペットの飼い主は、周囲の人々への配慮も求められる。路上や公園に放置されたペットの糞尿は、人を不快にさせる。糞尿の始末は、飼い主の責任である。

また、ペットが苦手な人もいる。特に、動物アレルギーの人にとっては健康にもかかわる。したがって、「ペット禁止」との表示がある場所にペットを持ち込まない、ということは守るべき当然のマナーとされる。あるいは、特に表示が無くても、不特定多数の人々が出入りする場所では、ケージ等に入れ、ペットを管理下に置くことはマナーとされる。

ペットが人に被害を与えた場合、刑事民事の責任を問われることがある。刑事上では、ペットをけしかけるなどして他人に危害を与えた場合は、軽犯罪法傷害罪で罰せられる。民事上では、ペットの管理者は、ペットが他人に加えた損害を賠償する責任を負う(民法第718条)。また、人に危害を加える恐れのある動物を逃がすことも同様の責任が生じる[27]

ペットによる健康被害[編集]

病原体[編集]

ペットとして供される動物が、病原体を媒介することがある。「動物由来感染症」または「人獣共通感染症」と呼ばれる伝染病寄生虫による被害は、飼い主自身のみならず周囲の人々に及ぶ場合もあり、致死率の高い感染症も存在する。日本では気候や飼育下にある動物への衛生対策などにより、動物由来感染症の罹患は多くはない[28]

致死率の高い感染症として狂犬病がある。げっ歯類は通常狂犬病に罹患した捕食動物に噛まれた際に死亡してしまうため、極めて稀な事例ではあるが、ボリビアでは、2003年にペルー産のペット用ハムスターが狂犬病を発症した[29]

日本では、飼い犬に年1回の狂犬病予防注射を受けさせることが法律で義務化されている[30]

咬傷等[編集]

ペットが噛み付くなどして人に危害を加えることがある。日本では、犬による咬傷事故は減少しているが、毎年約4000件発生している[31]。野犬が少ない日本ではほとんどが飼い犬による被害になっている。

屋外に犬を連れて行く時は、犬による危害を防ぐためにリードをつけることが求められる[32]。日本では、警察犬や盲導犬などの一部の例外を除き、屋外における犬の放し飼いは条例で禁止される[33]

ペットが逃げ出し、人へ重大な危害を加えるなど緊急性がある場合は、警察官に射殺されることがある[34]。隔離命令、保健所への届出、狂犬病の検診証明書提出など行政処分が下される事もある[35]

アメリカでは、老人がピットブル4頭に噛まれて死亡し、飼い主が殺人罪で起訴された事件がある[36]

野生化[編集]

ペットが野に放たれ、外来種が生み出されるという問題も、世界中で発生している。例えば日本では、アライグマが野生化し、農作物を食い荒らす、住宅の天井裏に住み着き糞尿をするなどの被害が発生している[37]

アライグマがペットとして人気となったのは、1977年(昭和52年)に放映された『あらいぐまラスカル』というテレビ番組の影響であるとされる[38]。しかしアライグマの成獣は気性が荒く、飼育は難しい。世話に手を焼く飼い主が捨てたことで、野生のアライグマが全国に急速に増加した[38]

野生化したペットは狩猟対象となることがある。ドイツでは、同国の狩猟法において、野生の犬猫の駆除は野生生物の保護を名目に合法化されている[39]。年間40万匹のノネコ、4 - 6万頭のノイヌが民間のハンターによって狩猟の対象とされているが、野生化した動物も単に戸外を歩き回るペットも見分けが付かないことにも絡んで、狩猟区域に入り込んだペットが捕獲されたり罠に掛かったりするトラブルも報じられている[40][41][42]

日本でも、鳥獣保護法により野生化したノイヌ、ノネコは狩猟対象である。しかし、それらは非狩猟鳥獣の野良犬野良猫との判別が困難なため[43]、それらを主要な狩猟対象として活動する者はほとんどいないとされる。

動物利用との矛盾[編集]

ペットの健康のために金銭や労力等を費やしながら、畜産や動物実験を許容するのは、「道理に反する」・「不誠実な振る舞い」といった批判がある[44]。猫は肉食動物とされ、菜食仕様のキャットフードでも、タウリンなどが補充されタンパク質を多く含むものなら大丈夫であるという指摘もある[16]

各国におけるペット関連規制[編集]

一部の国と地域では、行政の免許がないと犬をペットとして迎え入れられないことがある。こうした免許はドッグライセンスと呼ばれる。

日本[編集]

  • ペット販売における対面説明の義務

イギリス[編集]

  • 動物の飼養や利用に関連する法令は70以上[45]
  • 16歳未満はペット購入不可能[46]
  • RSPCA(王立動物虐待防止協会、Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals)という動物保護団体がある。
  • 動物取扱業は免許制

アメリカ[編集]

  • 動物取扱業は免許制

ペットを取り上げたフィクション[編集]

  • 禽獣』(川端康成) - 小鳥を愛玩する男の抒情と非情の物語。
  • 『向井荒太の動物日記〜愛犬ロシナンテの災難〜』 - 獣医志望の獣医学部の学生が、人間と動物の関係に苦悩しつつ獣医を目指すドラマ。ペットロスや捨てられる動物などの奇麗事ではない問題に向きあった内容である。
  • ペット・セマタリー』 - そこに埋葬すると死別したペットが甦るという禁断の墓地をめぐる、ホラー作家スティーヴン・キングの小説。映画化もされた(映画の邦題は『ペット・セメタリー』。1989年、監督メアリー・ランバート)。
  • 冷たい熱帯魚』 - 熱帯魚屋の店主であった温厚な人物が、周囲人々との関係によって殺人を行ってしまう物語。

参考文献[編集]

  • B.ガンター、安藤孝敏、金児恵、種市康太郎 訳 『ペットと生きる』ペットと人の心理学 北大路書房 ISBN 4762825034

注釈[編集]

  1. ^ ペットフード協会の調査でも飼育ペットの種類の順位について、内閣府調査と整合性のある結果が出ている。1位が。2位が。3位が金魚である
  2. ^ ペットの家族化が進むにつれ、「ペットに遺産を相続させたい」という要望が出るようになった。日本では法律上、ペットは物として扱われるため相続人にはできない。そこで、「負担付遺贈でペットの世話を条件に、世話人に遺産を相続する」という手法で、飼い主の死後もペットの生活を守る遺言を作成できる(『愛するペット困らぬように…行政書士に遺言相談が続々』2008年2月9日付配信 読売新聞)。その際、世話人がペットの世話をきちんとするかを監視する遺言執行者を置き、世話をきちんとしない場合には遺産を取り消すようにすれば、「遺産だけもらって世話をしない」といった事態への予防策になる(同出典)。

脚注[編集]

  1. ^ 大辞泉,大辞林
  2. ^ a b c d e f g h i j 愛玩動物の衛生管理の徹底に関するガイドライン2006”. 厚生労働省. 2019年12月26日閲覧。
  3. ^ 『銃・病原菌・鉄(上)』ジャレド・ダイヤモンド著 倉骨彰訳 草思社文庫 ISBN 978-4794218780
  4. ^ 「キリンが笑う動物園 環境エンリッチメント入門」16-19頁 上野吉一著 岩波科学ライブラリー154 岩波書店 2009年1月27日発行 ISBN 9784000074940
  5. ^ ペットフード協会調査。2007年(平成19年)現在。
  6. ^ 動物愛護に関する世論調査”. 内閣府. 2020年5月31日閲覧。
  7. ^ a b c 名古屋税関管内における“犬、猫用ペットフード”の輸出 名古屋税関調査統計課、2020年4月18日閲覧。
  8. ^ ドイツにおける動物保護の変遷と現状
  9. ^ 一般市民アンケート調査(平成 25 年度)”. 環境省. 2020年5月30日閲覧。
  10. ^ 譲渡会等のお知らせ”. 環境省. 2020年5月30日閲覧。
  11. ^ Table of State Laws Concerning Minimum Age for Sale of Puppies”. Michigan State University. 2020年6月1日閲覧。
  12. ^ a b ペット販売:生後56日以下は禁止 改正動物愛護法、猶予付きで成立へ毎日新聞 2012年08月23日 東京朝刊
  13. ^ 譲渡でつなごう!命のバトン”. 環境省. 2020年6月2日閲覧。
  14. ^ 犬を売らないペット店が岡山で人気の事情〜殺処分されてしまう元凶は命の売買にある?
  15. ^ ペットが子どもの健全な心育てる、研究で明らかに―北京市”. 2008年10月24日閲覧。
  16. ^ a b スー・ドナルドソン、ウィルキムリッカ『人と動物の政治共同体』尚学社、2016年、205頁。
  17. ^ a b c d マーヴィン・ハリス『食と文化の謎:Good to eatの人類学』 岩波書店 1988年、ISBN 4000026550 第8章
  18. ^ Pet Statistics”. ASPCA. 2020年6月1日閲覧。
  19. ^ PETA 'killed more than 95 per cent of adoptable dogs and cats in its care last year' shocking new report says”. DAILY MAIL. 2020年6月1日閲覧。
  20. ^ North Carolina To End Use Of Gas Chambers In Animal Shelters”. WUNC NEWS. 2020年5月31日閲覧。
  21. ^ 犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況”. 環境省. 2020年5月31日閲覧。
  22. ^ 譲渡会等のお知らせ
  23. ^ a b 殺処分問題への取り組みセーブペットプロジェクト:メリアル・ジャパン株式会社と日本全薬工業株式会社が共同で運営
  24. ^ スーツケースからオランウータンの赤ちゃん、密輸容疑で男を逮捕 インドネシア”. CNN.co.jp. 2020年5月30日閲覧。
  25. ^ 動物園から盗まれたペンギン。なんとネットで売られていたことが発覚!犯人逮捕へ(イギリス)”. カラパイア. 2020年5月30日閲覧。
  26. ^ 市川市動植物園 20年の足跡”. 2020年5月30日閲覧。
  27. ^ ペット可物件で「爬虫類」を飼うことはできるのか”. オトナンサー編集部. 2020年6月2日閲覧。
  28. ^ >{{Cite web |url=https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000155663.html |title=動物由来感染症を知っていますか? |publisher =厚生労働省 |accessdate=2020-06-02}
  29. ^ 狂犬病発生に関する海外情報の提供と 「狂犬病対応ガイドライン 2001」の付属書の追補について”. 厚生労働省. 2020年6月1日閲覧。
  30. ^ 犬の鑑札、注射済票について”. 厚生労働省. 2020年6月1日閲覧。
  31. ^ 犬による咬傷事故件数(全国計:昭和49年度~平成28年度)”. 環境省. 2020年6月2日閲覧。
  32. ^ 正しい飼い方のこと”. 環境省. 2020年6月1日閲覧。
  33. ^ 条例の制定・運用状況について(平成19年7月環境省調べ)”. 環境省. 2020年6月1日閲覧。
  34. ^ 警察官が人襲った体長120センチ「紀州犬」に13発発砲し射殺 千葉県警「拳銃使用は適正」…住民「バンバンバンの銃声、テレビ番組かと…」 千葉・松戸”. 産経新聞社. 2020年6月2日閲覧。
  35. ^ All About 犬が人を咬んでしまったら
  36. ^ “米女性かみ殺した犬の飼い主を殺人罪で起訴、終身刑の可能性も”. Reuters. (2014年9月1日). http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPKBN0GW1LZ20140901 2014年9月6日閲覧。 
  37. ^ 特定外来生物の解説”. 環境省. 2020年5月31日閲覧。
  38. ^ a b 【関西の議論】「ラスカル」どころか害獣 近畿でエスカレートするアライグマ被害”. 産経新聞社. 2020年5月31日閲覧。
  39. ^ 諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況 ―イギリス、ドイツ、アメリカ―”. 遠藤 真弘. 2020年5月31日閲覧。
  40. ^ [1]
  41. ^ [2]
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  43. ^ 第43回国会 衆議院 農林水産委員会 第17号”. 林野庁指導部長による発言. 2020年5月31日閲覧。
  44. ^ スー・ドナルドソン、ウィル・キムリッカ『人と動物の政治共同体』尚学社、2016年、197頁。
  45. ^ ペットをめぐる法律(2)海外編”. 2009年12月26日閲覧。
  46. ^ Caring for pets”. GOV.UK. 2020年6月2日閲覧。

関連項目[編集]