ホワイトカラー

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ホワイトカラーを象徴する衣類の例:ワイシャツにネクタイ、スラックスを着用している。

ホワイトカラー英語: white-collar[1][2][3][4], white collar[5]; white-collar worker[6][7])とは、「白い襟」の意で[8]、広くは事務系の職種一般[8]、つまり企業の管理部門で企画あるいは管理業務などの事務労働に従事する労働者を指す[2][9]

対義語はブルーカラー[4]。関連語にはサラリーマンが挙げられる[10]

概要[編集]

職業分類の概念であり[1]、現業系の労働者を指す[11] ブルーカラーに対比される。雇用従業員の中でも、知的ないし技術的労働や事務、販売系の職に就いている者をいう[3]オフィスで仕事をしている職員や事務員が[5]、白い襟のワイシャツを着用しているのが多いことが、その語源である[8][9]

具体的にいえば、専門的職業、技術的職業、中・下級の管理的職業、事務的職業、販売的職業、対人サービスが挙げられ、これら精神労働がホワイトカラーの特徴である[12]

ブルーカラーと比較すると、賃金水準は高い傾向にあり[9]生産に直接的に関わることのない非現業的な職種に携わっている[12]ため、業務が原因の労働災害が少ない[9]。但し、業務内容の標準化の遅れから、業務量が偏重しがちで精神的負担が大きくなる傾向がある[9]

歴史[編集]

ホワイトカラーの急増[編集]

19世紀後半から20世紀前半にかけて発展した、機械制大工業を基盤とする第二次産業中心の産業化社会では、まずブルーカラーが急増していた[12]。次いで、20世紀半ばから高度産業化が進んだことで、ホワイトカラーの質的な多様化と併せて量的な急増をもたらし、多くの先進国でブルーカラーの数を上回った[12]。職場組織の大規模化と官僚制化による管理スタッフの増大や、大量消費社会の成熟による流通・広告・販売関連の拡充、行政機構の肥大と社会保障施策の充実による公共サービスの増大、情報技術の発達による情報社会化といった第三次産業の発展がホワイトカラーを大量に生み出したのである[12]

曖昧化と両極化[編集]

1970年代以降、ホワイトカラー・ブルーカラー双方の労働現場にコンピュータITなどの技術革新が導入され始め、労働の機械化・自動化が進んだ[13]。これによって、ブルーカラーは肉体労働から監督労働や判断労働へと移行する一方で、ホワイトカラーは機器操作業務が増え、両者間の差は曖昧となった[13]

かつて20世紀前半まで、学歴や賃金・報酬、昇進の可能性の違いからホワイトカラーとブルーカラーはそれぞれ異なった階級意識を持っていたが[14]学歴格差から地位格差まで、ホワイトカラーとブルーカラーの間に存在した格差は高学歴化や賃金水準の平準化に伴って消滅していった[13]。また、マスメディアを中心に、ホワイトカラーとぶるブルーカラーを区別なく「サラリーマン」、または「会社員」とする呼称が普及した[13]。更に、サービス産業の比重の増大によって製造業中心の概念区分では捉えきれない多様な業務も増えたため、ホワイトカラーの範囲も曖昧になりつつある[9]

就労形態の多様化がホワイトカラーの両極化も生んでいる[15]。下層のホワイトカラーはブルーカラーとの同質化、そしてホワイトカラー内でも上下両層の異質化つまり二重構造化が進んでいる[15]

国、地域、人、話し手、状況、使われ方による差異の例[編集]

一般的にブルーカラーとされる溶接工も、工業高校卒業後、見習い時代を終えれば、溶接工の指導、育成に当たるようになり、単純な現場作業でなくなる。独立して社長になればスーツになる。アメリカのホワイトカラーの定義には管理者も入るためこの場合この社長はホワイトカラーとみなすが、イギリスの定義では大学卒業した技術者はホワイトカラーで、高卒の技術者はブルーカラーなのでこの社長はブルーカラーになる。

矛盾[編集]

技術系職種の中でも研究開発職は頭を使う仕事であり、学位(博士修士)をもっている人が多い。そして、これらの職種の人は作業着の上に白衣で実験を行っていることもあれば、ブルーカラーと同じく作業着のままで実験を行っていることもある。後者だけを見れば外見上はブルーカラーである。しかし、頭を使う仕事であるからホワイトカラーともみなせる。

また、公安職(警察官や消防吏員や海上保安官など)は上級職になると、現場から離れて作業服・制服ではなく背広服を着用することが多くなるが、これはブルーカラーなのかホワイトカラーなのか定義できない。またそもそも警察官消防吏員刑務官海上保安官自体、体を動かすと同時に非常に頭を使う仕事(在職中は昇進試験や、職務上で必要な資格取得の勉強も多い)であり、現場で作業するために制服をきている下級職のときからブルーカラーなのかホワイトカラーなのか定義しにくい。

医師や看護師はホワイトカラーと呼ばれることが多いが、実際は他の医療関係の職業と同様、作業着(白衣)を着て自分の肉体を使って作業をしている。ブルーカラーの定義に十分あてはまる部分がある。

また、営業マンは背広服を着ているが、人によっては「あれはホワイトカラーではない」という人もいる。もっとも同時にブルーカラーでもない。

脚注[編集]

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  1. ^ a b 杉政孝. ブルーカラー・ホワイトカラー - 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンク. 2019年2月27日閲覧。
  2. ^ a b 大辞林 第三版. コトバンク. 2019年2月27日閲覧。
  3. ^ a b デジタル大辞泉. コトバンク. 2019年2月27日閲覧。
  4. ^ a b 精選版 日本国語大辞典. コトバンク. 2019年2月27日閲覧。
  5. ^ a b 世界大百科事典 第2版. コトバンク. 2019年2月27日閲覧。
  6. ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. コトバンク. 2019年2月27日閲覧。
  7. ^ プログレッシブ和英中辞典(第3版). コトバンク. 2019年2月27日閲覧。
  8. ^ a b c ナビゲート ビジネス基本用語集. コトバンク. 2019年2月27日閲覧。
  9. ^ a b c d e f 人材マネジメント用語集. コトバンク. 2019年2月27日閲覧。
  10. ^ 「ビジネス書」と日本人 、川上恒雄 ,、PHP研究所、2012年3月22日
  11. ^ ブルーカラー・ホワイトカラー #ブルーカラー - 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンク. 2019年2月28日閲覧。
  12. ^ a b c d e 杉政孝. ブルーカラー・ホワイトカラー #ホワイトカラー - 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンク. 2019年2月28日閲覧。
  13. ^ a b c d ブルーカラー・ホワイトカラー #格差の解消と新しい中間層の出現 - 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンク. 2019年2月28日閲覧。
  14. ^ ブルーカラー・ホワイトカラー #階層帰属意識 - 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンク. 2019年2月28日閲覧。
  15. ^ a b ブルーカラー・ホワイトカラー #ホワイトカラーの両極分解 - 日本大百科全書(ニッポニカ). コトバンク. 2019年2月28日閲覧。

関連項目[編集]