芸人交換日記〜イエローハーツの物語〜

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
芸人交換日記
〜イエローハーツの物語〜
著者 鈴木おさむ
発行日 2011年3月11日
発行元 太田出版
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判
ページ数 256
コード ISBN 978-4-77-8312503
Portal.svg ウィキポータル 文学
[ Wikidata-logo-en.svg ウィキデータ項目を編集 ]
テンプレートを表示

芸人交換日記〜イエローハーツの物語〜』(げいにんこうかんにっき イエローハーツのものがたり)は、放送作家・鈴木おさむによる日本小説

2011年に舞台化、2013年に『ボクたちの交換日記』(ボクたちのこうかんにっき)のタイトルで映画化。

概要[編集]

2009年10月からカルチャー雑誌『QuickJapan』(太田出版)に約一年間に渡り連載され、2011年3月11日に太田出版より単行本化された。

架空の無名のお笑いコンビの生活と葛藤を主人公二人の交換日記形式で描いた作品。交換日記という形式は、鈴木が普段夫婦で交換日記を書いているということ、また、朗読劇『LOVE LETTERS』の芸人版を作りたいということから着想を得た[1]。また、作中にキャイ〜ンはんにゃ千原ジュニアなど実在の芸人の名前が出てくる事でも話題になった。

あらすじ[編集]

結成11年目、いまだ鳴かず飛ばずのお笑いコンビ“イエローハーツ”。M-1グランプリの出場資格も失い、所属事務所から与えられる仕事はストリップ劇場やパチンコホールでの余興や前座ばかり。これまでコンビの今後について真剣に話し合うことを避けてきた2人も、気がつけば30歳。お笑いに懸ける思いは本気。でももう後がない。なんとかして変わりたい…。そんなある日、ツッコミの甲本の思いつきで「交換日記」を始めることになり、乗り気でなかったボケの田中も次第に交換日記を通してお互いの本音をぶつけ合うようになっていく。そして芸人人生を賭けたあるお笑いコンテストへの出場をきっかけに、コンビには大きな転機が訪れる。

舞台[編集]

2011年版[編集]

2011年8月5日から8月7日まで東京グローブ座にて、2011年8月20日と21日には大阪OBP円形ホールにて舞台版が上演された。

出演は田中役:若林正恭オードリー)、甲本役:田中圭、久美及び黄染役:伊勢佳世(イキウメ)。脚本・演出は鈴木おさむ。

2013年版[編集]

『芸人交換日記』〜リーディングシアター〜」のタイトルで2013年2月8日から2月10日まで、東京・草月ホールにて朗読劇の形で上演された[2]。また、同年3月16日3月17日には大阪ビジネスパーク円形ホールにて大阪公演が行われた。それぞれの公演でキャストが異なる。

東京公演[編集]

出演

大阪公演[編集]

出演

漫画[編集]

月刊ヤングマガジン』(講談社)にて2012年4月号より2013年12月号まで連載。作画担当は東直輝

単行本[編集]

  • 『芸人交換日記〜イエローハーツの物語〜』講談社(ヤンマガKCスペシャル)全4巻
  1. 2012年9月6日発売[3][4]、ISBN 978-4-06-382220-5
  2. 2013年3月6日発売[3][5]、ISBN 978-4-06-382292-2
  3. 2013年8月6日発売[3][6]、ISBN 978-4-06-382345-5
  4. 2013年12月6日発売[7]、ISBN 978-4-0638-2402-5

映画[編集]

ボクたちの交換日記
監督 内村光良
脚本 内村光良
原作 鈴木おさむ
『芸人交換日記〜イエローハーツの物語〜』
出演者 伊藤淳史
小出恵介
長澤まさみ
木村文乃
川口春奈
佐々木蔵之介
音楽 武部聡志
主題歌 FUNKY MONKEY BABYS
「サヨナラじゃない」
撮影 北山善弘
編集 小堀由起子
配給 ショウゲート
公開 日本の旗 2013年3月23日
上映時間 115分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 2億6500万円
テンプレートを表示

ボクたちの交換日記』(ボクたちのこうかんにっき)のタイトルで映画化。2013年3月23日公開。監督は内村光良

内村が監督を務めるのは2006年の『ピーナッツ』以来2作目。原作の漫才師はコント師に、コンビ名の「イエローハーツ」は「房総スイマーズ」に変更されており、「千葉県出身で高校では共に水泳部所属だった事がコンビ名の由来」という設定が加えられている。多数の若手芸人がエキストラとして出演した事も話題になった。最終興行収入は2億6500万円[8]。なお原作の漫才師をコント師に変更したのは、監督を担当した内村が漫才が苦手で、劇中でネタをやるシーンの制作をやりやすくするためだったという。

キャスト[編集]

ボケ及びネタ作り担当。もともとはイタリアンシェフ志望だったが、甲本に強引に誘われお笑いの道に引きずり込まれる。ビデオレンタルショップ「TSUTAYA」でバイトをしながら生計を立てるも、将来には不安を感じている。内気で人見知りが激しく、後輩からは「ケチ」と噂される。
ツッコミ担当。高校の文化祭で「お笑いをやろう」と田中を誘い房総スイマーズを結成する。お笑いで天下を取るという夢を持ちながらも、30歳を迎えて無職、借金300万円、ヒモ生活と崖っぷち。お調子者で見栄っ張り、少し空気の読めない所がある。もう一度お笑いに希望を託し、交換日記を提案する。
甲本の恋人。昼は薬剤師、夜はキャバクラ嬢と休みなく働き、ヒモ状態の甲本を支える。後に結婚し、娘のサクラを出産している。
田中のバイト先の同僚。後に田中と結婚する。
孝志と久美の娘。物語のラストで、大物芸人の地位を確立した田中に父の想いを記した交換日記を届けに行く。
前々から房総スイマーズに目をかけていたテレビ局プロデューサー。田中のネタ作りの才能を高く買っており、構成作家への転身を勧めた事もある。
房総スイマーズの事務所「ビッグチャンス」の社長。以前はAVの制作会社をやっていた。一向に芽の出ない房総スイマーズに見切りをつけつつあり、最近になってAV女優のマネージメントを始めた。
甲本の行きつけのバーのマスターで房総スイマーズの元先輩。店に来た芸人たちに、自身の経験を基にした売れるための助言や手助けをしている。占いで「夢を諦めるのも才能」と言われた事があり、芸人引退を決めた際には「芸人の才能はなかったけど、辞める才能くらい持っていたいから」と語っている。
房総スイマーズの事務所「ビッグチャンス」の元後輩で、大手事務所(ホリプロと思われる)に移籍してBBを結成した。コンビではツッコミ担当。今の事務所が売り出しに力を入れているらしい。後に田中の新しい相方になる。
福田の相方でボケ担当。
房総スイマーズの事務所「ビッグチャンス」所属のAV女優。中山社長と愛人関係にあると噂されている。

原作・舞台版との違い[編集]

上記に挙げた点のほか、特に終盤の展開にいくつかの違いが見られる。

  • コンテストに臨む直前の、甲本が田中へ誕生祝いとしてお揃いの黄色いリストバンドを贈るくだりが省略されている。
  • 甲本の娘の名前が違う。原作と舞台版では「黄染(きいろ)」という。
  • 原作と舞台版では田中の自宅に黄染が手紙と共に交換日記を届けるが、映画ではテレビ局の田中の楽屋にサクラが交換日記を届けに行く。また原作と舞台版における手紙の文面は、映画では田中と対面したサクラのセリフとして表現されている。
  • 交換日記を見た田中が憤慨して交換日記をゴミ箱にぶち込み、帰宅後の麻衣子との会話でわだかまりを解いていき、急いでテレビ局に戻ってゴミの山の中から交換日記を捜し出すくだりは映画のオリジナル。
  • 田中と甲本の最後の再会シーン。
    • 原作と舞台版では病室で田中が久美と共に甲本を看取り、お互いが交換日記に「甲本へ 漫才をやろう」「田中へ ありがとう。またやろうな、イエローハーツ。天国で」と書き記した所で甲本は息を引き取る。その後2人が天国で再会してイエローハーツの漫才をやり(この中には故人である実在の漫才師の名前が出てくるなど若干のブラックジョークも散りばめられている)、田中の「お前と漫才ができるならどこだって天国だよ」というセリフで締めくくられる。
    • 映画では田中がかつてコンビ結成を誓った場所と同じ海の見える丘に甲本を連れ出し、交換日記を渡す。そして「また思っている事をどんどん書いてくれ」(甲本)「…嫌です(言った後ニッコリ笑う)」(田中)という会話で締めくくられる。甲本が死ぬ描写と天国漫才のくだりは省略されている。

スタッフ[編集]

Blu-ray / DVD[編集]

2013年8月21日発売。発売・販売元はジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメントジャパン

  • ボクたちの交換日記 通常版(1枚組)
    • 映像特典
      • 内村光良監督・脚本『ボクたちの交換日記』ドキュメンタリー“〜笑いに情熱を懸けた男たちの物語〜”
    • 音声特典
      • オーディオコメンタリー(監督・脚本:内村光良×伊藤淳史×小出恵介×原作:鈴木おさむ)
  • ボクたちの交換日記 初回限定版(3枚組)
    • ディスク1:本編ディスク(通常版と同様)
    • ディスク2:特典DVD1
      • ビジュアルコメンタリー(監督・脚本:内村光良×伊藤淳史×小出恵介×原作:鈴木おさむ)
    • ディスク3:特典DVD2
      • 監督・内村光良の撮影日記
      • イベント映像集
      • 新宿バイタス お笑いライブ
      • 内村直伝コント タナフク「ファミレス」
      • 内村直伝コント タナフク「タクシー」
    • 日記仕様アウターケース付き日記仕様リバーシブルジャケット仕様

スピンオフドラマ[編集]

映画作品のスピンオフドラマ『ひとり交換日記』(ひとりこうかんにっき)が製作され、2013年2月22日TSUTAYA限定でDVDレンタルが開始された。主演はバカリズムと映画本編にも出演している木村文乃。原作は鈴木おさむが本ドラマ用に書き下ろしたものである。

キャスト[編集]

  • 黒田鉄也:バカリズム
田中のバイト先の同僚の一人で、麻衣子に片思い中。俳優志望だがオーディションには受かったためしがなく、内気でネガティブ思考な性格からか友達が一人もいない。麻衣子への思いを募らせた事とネガティブな自分を変えるために、彼女を相手にした一人二役の「妄想的ひとり交換日記」を書き始める。
  • 宇田川麻衣子:木村文乃

スタッフ[編集]

オーディオブック[編集]

2013年10月25日よりオトバンクFeBe!にてオーディオブックが配信されている。担当声優は伊丸岡篤新垣樽助古木のぞみ

作中で描かれた売れない芸人たちのリアルな実情[編集]

作者の鈴木がお笑い業界にも詳しいだけあって、この作品の中では売れっ子芸人とそうでない芸人たちの落差(番組の出演者と前説の間での、楽屋やスタイリストや送迎の有無といった待遇の違いなど)や芸人世界の厳しい現実が克明に描き出されている。
主人公コンビのイエローハーツは一度深夜のコント番組のレギュラーになって少し売れかけるものの、その番組がゴールデンに進出した時に「年を食いすぎている」という理由で降板させられた上にゴールデンに進出したその番組の前説をする事になったり、まともに見てくれる人もろくにいない遊園地やデパートでの営業や売れっ子になった後輩の単独ライブの手伝いなどの屈辱的な仕事に甘んじなければならなかったり、甲本は住んでいたアパートの家賃を滞納したため追い出されて恋人の家に居候するハメになったりと辛酸をなめ続ける日々を送っている。
自らの夢と現実の間での苦悩や葛藤、本業だけでは暮らせないのでバイトで汗水垂らして生計を立てなければならない生活苦、芸能事務所間の力関係や売り出し方、ライバルや後輩に抜かれていく屈辱感や挫折感や絶望感、ネタを作るプロセスや大きな大会に賭ける思い、ネタを書けないコンプレックスなどの芸人だからこそ抱いている本音、解散して別々の道を進むようになったコンビの「その後」などのリアルな描写は、多くの芸人たちから共感を得ている。

脚注[編集]

  1. ^ 大野宏 (2011年3月11日). “小説「芸人交換日記~イエローハーツの物語~」を執筆した鈴木おさむさんのインタビュー”. yorimo(読売新聞). 2012年11月23日閲覧。
  2. ^ 堀内×土田、宮迫×宮川ら、舞台「芸人交換日記」5公演決定”. お笑いナタリー (2012年11月18日). 2012年11月23日閲覧。
  3. ^ a b c 月刊ヤングマガジン|芸人交換日記|作品紹介|講談社コミックプラス2013年2月18日閲覧。
  4. ^ 月刊ヤングマガジン|芸人交換日記|ニュース|講談社コミックプラス『芸人交換日記 〜イエローハーツの物語〜』単行本第1巻、9月6日(木)発売!!(2012年09月06日)2014年2月18日閲覧。
  5. ^ 月刊ヤングマガジン|芸人交換日記|ニュース|講談社コミックプラス『芸人交換日記』第2巻 3月6日発売!!(2013年03月06日)2014年2月18日閲覧。
  6. ^ 月刊ヤングマガジン|芸人交換日記|ニュース|講談社コミックプラス『芸人交換日記』第3巻 8月6日発売!!(2013年08月06日)2014年2月18日閲覧。
  7. ^ 月刊ヤングマガジン|芸人交換日記|ニュース|講談社コミックプラス『芸人交換日記』第4巻 12月6日発売!!(2013年12月06日)2014年2月18日閲覧。
  8. ^ 「2013年 日本映画・外国映画業界総決算」、『キネマ旬報(2月下旬決算特別号)』第1656号、キネマ旬報社2014年、 200頁。