ボストン・ダイナミクス

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ボストン・ダイナミクス
Boston Dynamics
種類 非公開企業[1]
本社所在地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
マサチューセッツ州ミドルセックス郡
ウォルサム市
設立 1992年
業種 精密機器
事業内容 ロボット研究開発
主要株主 ソフトバンクグループ 100%
外部リンク www.bostondynamics.com
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ボストン・ダイナミクス英語: Boston Dynamics)は、ロボットの研究開発を手がけるアメリカ合衆国企業国防高等研究計画局 (DARPA) の支援の下開発した四足歩行ロボットビッグドッグ[2]や、人間のシミュレーションを行うCOTSソフトウェアDI-Guyといった製品を開発している。2013年12月にインターネット関連サービス大手のGoogle社に買収された[1]。2017年6月にソフトバンクグループが買収することを発表し[3][4]、2018年2月7日1億8,302万ドルで買収手続きが完了した。[5]

沿革[編集]

ボストン・ダイナミクスは1992年マサチューセッツ工科大学 (MIT) においてロボットと人工知能を研究していたマーク・レイバート英語版(当時教授)が、同大学をスピンアウトして設立された。[6][1]

設立当初は、American Systems Corporation社とともにNAWCTSD英語版との契約の下、DI-Guyというソフトウェアによる3Dシミュレーションを用いた米海軍用の航空機の発進トレーニングビデオを更新する業務に携わっていた。[7]

2013年12月13日、ボストン・ダイナミクス社はインターネット関連サービス大手のGoogle社に買収された。この買収はアンディ・ルービンが進める同社のロボティクスプロジェクトにおける8社目の買収であった。[8]

2016年3月にGoogle社が短期的には収益が期待できないとして売却を検討していると報道された[9][10]。2017年6月9日、ソフトバンクグループは子会社を通じてボストン・ダイナミクス社を買収することを発表[3][11]

2017年4月に行われたTEDカンファレンスにおいて、これまで開発してきたロボットについての講演が行われた。

2019年4月3D画像認識技術のKinema Systemsを買収。同社のディープラーニングを用いた3D画像認識システム「Kinema Pick」はBoston Dynamics Pick Systemと改名された[12]。新しい活動拠点では主に応用や知覚、ソフトウェアの開発が行われ、ハードウェアエンジニアリングは引き続きボストンで続ける意向を示している[13]

製品[編集]

ビッグドッグ[編集]

ビッグドッグは、2005年にボストン・ダイナミクス社がFoster-Miller英語版社、NASAジェット推進研究所ハーバード大学と共同で開発した四足歩行ロボットである。[14] ビッグドッグはDARPAの出資の下[15]、車両が走行できない荒地において、兵士に随伴し物資を運搬するロボットラバを実現することを目指して開発された[16]。車輪の代わりとして、ビッグドッグには4本の脚が装備されており、この脚を用いることで車輪以上の踏破性を実現している。ビッグドッグは"世界で最も野心的な脚を持ったロボット" ("the world's most ambitious legged robot") とされており、340 lb (150 kg) の荷物を運びながら4 mph (6.4 km/h) の速度で兵士に随伴して行動することが可能で、35度以上の傾斜を持つ荒れた地形をも踏破することができる。[17]

ボストン・ダイナミクス社では、ビッグドッグを発展させた米軍向けの四足歩行ロボットLegged Squad Support System英語版 (LS3) の開発も行っている[18]

チーター[編集]

チーター (Cheetah) は、ボストン・ダイナミクス社が開発した四足歩行ロボットである。28mph(45.06km/h)でのギャロップ走行が可能で、2012年8月には脚を持ったロボットによる陸上移動において世界最速を記録した。これ以前の世界記録は、1989年MITにおける13.1 mph (21.08 km/h) であった。チーターの開発は、DARPAのMaximum Mobility and Manipulationプログラムの出資の下で行われた。チーターは脚に関節を持っており、それらを一歩ごとに曲げることで、実際の動物のような歩行と速度を実現している。最初に公開されたチーターは、研究室内で外部からケーブルによる電力供給を受けた上で、高速のトレッドミル上で走行する実験室レベルのものであった。しかし2013年10月3日には、ワイルドキャットと名付けられた新型による、屋外でのより自然に近い環境での実験の模様が公開されている[19][20]

リトルドッグ[編集]

リトルドッグ (LittleDog) は、ボストン・ダイナミクス社がDARPA向けに開発した小型の研究用四足歩行ロボットである。リトルドッグは他の研究機関が用いるテストベッドとして開発された。ボストン・ダイナミクスはリトルドッグをDARPAの標準プラットフォームとして整備している。[21][22]

RiSE[編集]

RiSEは、ボストン・ダイナミクス社が開発したロボットの一つで、小型の鉤爪を備えた脚を用いて、壁や木々、フェンスといった垂直な構造物を登ることができる。RiSEは壁面の状態に応じて姿勢を変えることができ、さらに急勾配でのバランス取りを助ける尻尾も備える。RiSEは小型のロボットで、長さが0.25 m、重量は2 kgで、登攀速度は0.3 m/sである。[23]

RiSEの6本の脚はペアのモーターにより駆動される。搭載されたコンピュータは脚の動きの制御と通信の管理、それに姿勢や脚ごとの負荷、接触状況などの各種センサーの機能を提供する。

ボストン・ダイナミクスによるRiSEの開発には、ペンシルベニア大学カーネギーメロン大学カリフォルニア大学バークレー校スタンフォード大学それにルイス・アンド・クラーク・カレッジ英語版の研究成果が用いられている。RiSEの研究もDARPAの出資の下行われた。

PETMAN[編集]

PETMAN (Protection Ensemble Test Mannequin)[24]は、ボストン・ダイナミクス社が開発した化学防護服のテスト用の人型ロボットである。PETMANは同社が公開した初の人型ロボットであり、二足歩行に加え、実際の人間のような様々な動きを再現することが可能となっている。こうした技術の多くは、ビッグドッグの開発から派生したものである。[25]

Legged Squad Support System[編集]

Legged Squad Support System (LS3) は、ビッグドッグの軍用バージョンである。

アトラス[編集]

アトラスは、2013年にボストン・ダイナミクス社が公開した3世代目の人型ロボットである[26]。 2017年11月、新たにバク宙を披露するビデオを公開[27]。 2018年5月ランニングして障害物をジャンプする様子が公開された。[28] 2018年10月11日、ボストン・ダイナミクス社の最新型アトラスが「パルクール」を軽々とやってのける動作を撮影した新映像が公開された[29][30]

スポットロボット、スポットミニ[編集]

スポット (SpotMini)は、電気駆動の四足歩行ロボット。2015年2月に開発社内を散策する動画が公開[31]。ビッグドッグの様な不整地踏破や加速、衝撃に対する姿勢安定もある。エンジン駆動のビッグドッグに対してモーター駆動音のみとなったため静音。

2016年6月には全高がスポットロボットの半分ほどに小型化されたスポットミニの動画が公開されている[32]。先端部に首を思わせる折りたたみ式アームとカメラを取り付けることもでき、アーム先端の空中位置固定やキッチンにおかれた物を判別し食器かごやゴミ箱に正しく置く様子が見られる。転倒時はアームを使用して起き上がることができる。

2017年4月にはスポットミニがTEDカンファレンスで動く様子が公開されている。11月には外装が刷新され[33]2018年2月にはドアを開ける映像が公開された。[34]2018年5月11日のステージ上で年内に契約メーカーで100体製造して2019年には量産して販売する計画が語られている。[35]

2018年6月には竹中工務店フジタ、ソフトバンクロボティクスにより建設現場における活用に向けた実証実験を実施[36][37]

2018年10月5日、スペインマドリードで開催された世界最大のロボット国際会議「IROS(IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems) 2018」(開催期間:2018年10月1日から2018年10月5日)にて中国版四足歩行ロボット「Laikago」と初対面した[38]

2018年10月11日、大手ゼネコン竹中工務店ソフトバンクが実証実験を実施している東京の建設現場で撮影されたボストン・ダイナミクスの「SpotMini(スポットミニ)」の新映像が公開された[39][40]

ハンドル[編集]

ハンドル (Handle) は、電気駆動の車輪付き2足ロボット。2017年2月に公開された。全長6.5フィート(198 cm)、重量105キロ。一回の充電で約15マイル(24 km)走行できる大容量バッテリーを搭載している。ロボットの脚部に車輪を組み合わせることで時速9マイル(14 km)の滑らかな走行を実現させており、さらにアーム部を用いているとみられる姿勢制御により蛇行や回転といった走行に加えて、下り階段や雪道における高速移動を可能にしている。また、4フィート(約1.2m)の跳躍力を持ち障害物を飛び越えたり、2本のアームで100ポンド(約45kg)の重量物を運搬することもできる。形状は複雑ながら関節駆動は10個しか用いられていないため28個のAtlasよりもシンプルな構造となっている[41][42]

2019年3月倉庫のパレットから別のパレットへ荷物を搬送する新型ハンドルの様子が公開された。2本のアームが1本のサクションカップに変更され、最大重量は約45kgから約15kgへ減少したものの、速やかにピックアップしたり荷物を並べられるようになった。なおアームが変更されたため新型のバランス制御は“お尻“を利用している模様[43]

参考文献[編集]

  1. ^ a b c Google、四足ロボット「BigDog」のメーカーBoston Dynamicsを買収”. ITmedia (2013年12月15日). 2013年12月16日閲覧。
  2. ^ David Hambling, Robotic 'pack mule' displays stunning reflexes, New Scientist, 3 March 2006.
  3. ^ a b “ソフトバンク、ロボット開発の米ボストン・ダイナミクスを買収”. ロイター (ロイター). (2017年6月9日). https://jp.reuters.com/article/softbank-idJPKBN19001L 2017年6月9日閲覧。 
  4. ^ ソフトバンクがボストン・ダイナミクスをGoogleから買収』 2017年6月9日 Onebox News
  5. ^ “ソフトバンクによるボストン・ダイナミクスの買収が完了 SBGの子会社に”. ロボスタ (ロボスタ). (2018年5月14日). https://robotstart.info/2018/05/14/softbank-boston-dynamics.html 2018年5月14日閲覧。 
  6. ^ About Boston Dynamics Archived 2007年7月22日, at the Wayback Machine. (2005), Retrieved on 4 July 2007.
  7. ^ Sharon Foster, "Updating Technology Without Upping the Price: Boston Dynamics completes first phase of catapult trainer upgrade" アーカイブ 2011年5月16日 - ウェイバックマシン, (subscription required), National Defense, November 1, 2001.
  8. ^ "Google Adds to Its Menagerie of Robots", New York Times, December 14, 2013.
  9. ^ Google is said to put boston dynamics robotics unit up for sale”. bloomberg (2016年3月17日). 2016年3月17日閲覧。
  10. ^ In Setback For Robotics Push, Alphabet Has Put Boston Dynamics Unit Up For Sale
  11. ^ ソフトバンクがボストン・ダイナミクスをGoogleから買収』 2017年6月9日 Onebox News
  12. ^ “Boston Dynamicsが3D画像認識技術を擁する企業を買収、ロボット商用化にも注力へ”. TechCrunch. (2019年4月3日). https://jp.techcrunch.com/2019/04/03/2019-04-02-boston-dynamics-acquires-a-3d-vision-startup-in-bid-to-put-its-robots-to-work/ 2019年4月4日閲覧。 
  13. ^ “ボストン・ダイナミクスはロボットの「知覚」に磨きをかけ、その進化を加速する”. wired. (2019年4月4日). https://wired.jp/2019/04/04/what-boston-dynamics-rolling-handle-robot-really-means/ 2019年4月4日閲覧。 
  14. ^ Boston Dynamics”. 2007年6月30日閲覧。
  15. ^ Markoff, John (2012年4月9日). “Pentagon Contest to Develop Robots to Work in Disaster Areas”. The New York Times. http://www.nytimes.com/2012/04/10/science/pentagon-contest-to-develop-robots-to-work-in-disaster-areas.html?_r=1 
  16. ^ BigDog Boston Dynamics
  17. ^ BigDog - The Most Advanced Rough-Terrain Robot on Earth”. Boston Dynamics. 2011年2月22日閲覧。
  18. ^ LS3 Boston Dynamics
  19. ^ WildCat Boston Dynamics
  20. ^ Creepy Cat Robot Can Run 16mph”. Breitbart. 2013年10月6日閲覧。
  21. ^ Greenemeier, Larry "DARPA Pushes Machine Learning with Legged LittleDog Robot", Scientific American, April 15, 2008
  22. ^ "LittleDog: The Legged Learning Robot" Archived 2008年10月23日, at the Wayback Machine.. Accessed on October 20, 2008.
  23. ^ RiSE: The Amazing Climbing Robot”. www.bostondynamics.com. 14-10-2013閲覧。
  24. ^ http://www.army-technology.com/projects/petman/
  25. ^ Video of petman on the Boston Dynamics youtube channel
  26. ^ Atlas Boston Dynamics
  27. ^ ボストン・ダイナミクスのアトラスにはバク宙が出来る』 2017年11月17日 Onebox News
  28. ^ Video of Atlas on the Boston Dynamics youtube channel
  29. ^ Parkour Atlas - YouTube
  30. ^ Watch Boston Dynamics' Humanoid Robot Do Parkour WIRED wired.com |2018年10月11日閲覧
  31. ^ Spot Boston Dynamics
  32. ^ SpotMini Boston Dynamics
  33. ^ Video of SpotMini on the Boston Dynamics youtube channel
  34. ^ Video of SpotMini on the Boston Dynamics youtube channel
  35. ^ “Boston Dynamics、4つ足「SpotMini」を2019年に発売へ”. ITmedia NEWS. (2018年5月13日). http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1805/13/news030.html 2018年5月15日閲覧。 
  36. ^ “竹中工務店、ソフトバンクロボティクス、ソフトバンクの3社で建設現場におけるBoston Dynamics社の「SpotMini」の活用に向けた実証実験を実施”. 竹中工務店. (2018年6月25日) 
  37. ^ “フジタ、ソフトバンクロボティクス、ソフトバンクの3社で建設現場におけるBoston Dynamics社の「SpotMini」の活用に向けた実証実験を実施”. フジタ. (2018年6月25日). https://www.daiwahouse.com/about/release/group/20180619143727.html 2018年7月9日閲覧。 
  38. ^ iros2018 Laikago( Unitree Robotics ) meeting spotmini( Boston Dynamics ) - YouTube
  39. ^ Watch Boston Dynamics' SpotMini Robot Strut Through a Construction Site WIRED wired.com | 2018年10月12日閲覧
  40. ^ Spot Robot Testing at Construction Sites - YouTube
  41. ^ “走る!跳ぶ!持ち上げる!キモカワでおなじみBoston Dynamics最新ロボットはタイヤつき「二足走行」”. gizmodo. (2017年3月1日). https://www.gizmodo.jp/2017/03/boston_dynamics_newest_robot.html 2019年3月30日閲覧。 
  42. ^ “Boston Dynamicsの車輪付き2足ロボット「Handle」はジャンプもすごい”. techcrunch. (2017年2月28日). https://jp.techcrunch.com/2017/02/28/20170227boston-dynamics-handle-robot-dominates-parkour-on-wheels-in-new-footage/ 2019年3月30日閲覧。 
  43. ^ “Boston Dynamicsの荷物運びロボット「Handle」が大幅更新でより実用的に”. ITmedia NEWS. (2019年3月29日). https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1903/29/news076.html 2019年3月30日閲覧。 

関連項目[編集]