ボンバルディア チャレンジャー 300

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チャレンジャー 300/350
[BD-100-1A10]

Bombardier BD-100-1A10 Challenger 300 AN1704544.jpg

ボンバルディア チャレンジャー 300 (Bombardier Challenger 300) は、ボンバルディア・エアロスペース社が開発した高性能な中型 (super-midsize) のビジネスジェットで、5,741km (3,100海里) の航続距離を持つ。1999年に発表され、2004年に市場投入された。チャレンジャー 350は、2014年に投入された派生機で、航続距離が5,926km (3,200海里) に延ばされている。なお、300シリーズは600シリーズ800シリーズ英語版の派生機ではなく、新設計されたシリーズである。

開発[編集]

クローズアップ : 先端、展開した搭乗口、エンジン
キャビン

チャレンジャー 300[編集]

チャレンジャー 300は、1999年のパリ航空ショーでボンバルディア・コンチネンタルとして発表された[6]。完全新設計の機体であり、2003年3月31日にカナダ運輸省、6月4日にアメリカ、7月31日にヨーロッパの型式証明を取得した[4]カンザス州ウィチタで生産された機体が、2004年1月8日からフレックスジェット社で商業運航を始めた[7]

その超臨界翼は固定翼で27%の後退角を持っている。1.15 m (3.8 ft)のウィングレットは巡航時の誘導抗力を最大17%軽減する[4]。高度12,497m (41,000 ft)へは最大離陸重量国際標準大気の条件下で、455 kgの燃料消費で18分で到達する。そして14,330 kgの機体は、マッハ 0.8 (824km/h)では1時間あたり680kgの燃費で、マッハ 0.83 (861km/h)では1時間あたり875kgの燃費で飛行できる[4]

胴体と翼はアルミ製のセミモノコック構造であり、ウィングレット複合材である[8]。外側エルロンは手動で操作される。昇降舵方向舵は機械式バックアップを持つ油圧式である。フライ・バイ・ワイヤ制御のスポイラーロール制御の効果を高めたり、スピードブレーキとして作用したり、着陸時に揚力を減少させたりする。油圧式の一枚羽根のファウラーフラップは、4段階の設定角度(0,10,20,30度)を持っている[8]

このモデルは現在は生産されていない[9]

チャレンジャー 350[編集]

350の主な外見的違いは、ウィングレットが垂直ではなく斜めになっていることである

2013年3月2日に初飛行した改良型は、5月のEBACE(ヨーロッパ・ビジネス航空博覧会)で公表された。そして、2014年5月に就航予定である[10]。ホットセクションの変更とFADEC(エンジン制御装置)は、ハネウェル製のHTF7350エンジンの離陸推力を7.3%増強させて32.57 kNとした。定格出力と耐久性、信頼性は同一水準を維持している。さらに、斜めのウィングレットを持つ強化翼や、翼幅の拡大によって、燃料満載時の積載量が410 kg (900 lb)増加した[10]。20%高くなったキャビン窓を備え、より高級感のあるインテリアになったこともあり、価格は100万ドル増しの2,590万ドルとなった。ローンチカスタマーであるネットジェッツは、75機を確定発注し、さらに125機をオプション発注した[10]

350は、2014年6月11日にカナダ運輸省から、6月25日にFAA (アメリカ連邦航空局)から、9月2日にEASA (欧州航空安全機関)から型式証明を受けた[11]。斜めのウィングレットは遷音速での抗力を和らげる鋭角をしており、翼幅が1.6m広がった。これにより、翼の面積やアスペクト比が大きくなっている[8]。13,700kgの機体は、マッハ 0.8 (843km/h)で巡航し、その際は1時間あたり696kgの燃費とされている[8]。350のメンテナンスプログラムは飛行1時間あたり277ドルで提供され、検査間隔は600時間とされる[8]

350は、長距離巡航時には8人の乗客を乗せてマッハ 0.8 (849km/h)で5,926km飛ぶことができる[12] 。また、350はカナダで生産されている[13]

運用歴[編集]

底部 : 収納された降着装置、露出している車輪、後退翼

2014年11月時点で累積飛行時間は100万時間近くになっており、448機のチャレンジャー 300が運用中で、定時出発率は99.79%であった。機齢5年の機体は当初の64%の価値を維持していた[8]。2015年末時点で、550機のチャレンジャー 300/350が運用されており、402機がアメリカ、75機が西ヨーロッパ、37機がラテンアメリカ、12機が東ヨーロッパ、7機がインド、6機がアフリカと中国、4機がアジア太平洋地域、1機が中東にあった。最大の運航者は300を30機、350を7機運用するフレックスジェットである。4機のネットジェッツ・ヨーロッパ分を含めて計26機を受領したネットジェッツが続く[14]

2017年、ボンバルディアはエンブラエル レガシー 500の登場を受け、その2,000万ドルという価格に対抗できるように、チャレンジャー 300/350の価格を700万ドル引き下げた[15]。先代の300は2014年までに450機超が引き渡され[2]、後継の350は2019年7月に300機目が引き渡された[3]

スペック[編集]

概要
モデル チャレンジャー 300[16] チャレンジャー 350[12]
乗員 2人
乗客数 8-9人 9人
全長 20.92 m
全幅 19.46 m 21.0 m
全高 6.20 m 6.1 m
翼面積 48.5 m2
アスペクト比 7.81 9.09
重量
最大離陸重量 17,622 kg 18,416 kg
基本運航重量 10,659 kg 11,249 kg
最大燃料 6,418 kg
最大積載量 1,588 kg 1,542 kg
翼面荷重 363.3 kg/m2 379.7 kg/m2
エンジン
ターボファン (2基) ハネウェル HTF7000 ハネウェル HTF7350
推進力 [注釈 1] 30.4 kN 33 kN
性能
最高速度 マッハ 0.82 (870 km/h) マッハ 0.83 (882 km/h)
巡航速度 マッハ 0.80 (850 km/h)
航続距離 [注釈 2] 5,741 km (3,100 海里) 5,926 km (3,200 海里)
最大巡航高度 13,716 m
離陸距離 [注釈 3] 1,466 m 1,474 m
着陸距離 [注釈 4] 792 m 826 m
アビオニクス (航空電子機器)
共通
個別

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ ISA (国際標準大気)、定格出力
  2. ^ ISA (国際標準大気)、乗員2人、乗客8人、長距離巡航時
  3. ^ MTOW (最大離陸重量)、SL (海面)、ISA (国際標準大気)
  4. ^ MLW (最大着陸重量)、SL (海面)、ISA (国際標準大気)

出典[編集]

  1. ^ Brooke Shaw (2007年10月1日). “An Inside Look At The Challenger 300”. Wings Magazine. https://www.wingsmagazine.com/operations/an-inside-look-at-the-challenger-300-565 
  2. ^ a b Fred George. (Nov 1, 2014), "Pilot Report: Bombardier Challenger 350 : Improving on the best-selling super-midsize jet", Aviation Week. (2019年8月10日閲覧).
  3. ^ a b Kate Sarsfield. (July 15, 2019), "Bombardier Challenger 350 hits 300 deliveries milestone". FlightGlobal. (2019年8月10日閲覧).
  4. ^ a b c d “Flight test: Bombardier Challenger 300 - Polished player”. Flight International. (2004年2月3日). https://www.flightglobal.com/news/articles/flight-test-bombardier-challenger-300-polished-player-177135/ 
  5. ^ “Business Jets Specification and Performance Data”. Business & Commercial Aviation (Aviation Week). (2015年5月). http://aviationweek.com/site-files/aviationweek.com/files/uploads/2015/05/Business%20Airplane%20Tables_May_2015_revised.pdf 
  6. ^ “Trio of new Bombardier Business jets mark Paris Air Show debut” (プレスリリース), Bombardier, (2003年6月14日), http://www.bombardier.com/en/media/newsList/details.1449-trio-of-new-bombardier-business-jets-mark-paris-air-show-debut.bombardiercom.html 
  7. ^ Graham Warwick (2004年1月20日). “Challenger 300 makes its service entry with Flexjet”. Flight International. https://www.flightglobal.com/news/articles/challenger-300-makes-its-service-entry-with-flexjet-176574/ 
  8. ^ a b c d e f Fred George (2014年11月1日). “Pilot Report: Bombardier Challenger 350”. Business & Commercial Aviation (Aviation Week). http://aviationweek.com/business-aviation/pilot-report-bombardier-challenger-350 
  9. ^ http://businessaircraft.bombardier.com/en/aircraft
  10. ^ a b c William Garvey and Fred George (2013年5月27日). “Bombardier Unveils Challenger 350”. Aviation Week. http://aviationweek.com/awin/bombardier-unveils-challenger-350 
  11. ^ “Bombardier’s Challenger 350 Jet Receives EASA Certification” (プレスリリース), Bombardier, (2014年9月2日), http://www.bombardier.com/en/media/newsList/details.bombardier-aerospace20140902bombardierschallenger350jetreceivese.bombardiercom.html 
  12. ^ a b Challenger 350 Brochure and Factsheet, Bombardier, 2016.
  13. ^ Jerry Siebenmark (2017年3月15日). “Is Bombardier ‘winding down’ Learjet?”. The Wichita Eagle. http://www.kansas.com/news/business/aviation/article138751248.html 
  14. ^ “Monthly Program Profile: Bombardier Challenger 300/350”. Weekly of Business Aviation (Aviation Week). (2015年12月28日). https://aviationweek.com/site-files/aviationweek.com/files/uploads/2015/12/bav_12_28_2015_cht.pdf 
  15. ^ Fred George (2017年9月22日). “Legacy 500: Super Midsize Technology Leader Fights For Market Share”. Aviation Week Network. http://aviationweek.com/business-aviation/legacy-500-super-midsize-technology-leader-fights-market-share 
  16. ^ Challenger 300 Factsheet, Bombardier, 2006.