マイナビ女子オープン

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マイナビ女子オープン
棋戦の分類 女流タイトル戦
旧イベント名 レディースオープントーナメント(前身)
開催概要
開催時期 予選:7月 - 翌年2月
タイトル戦:4月 - 5月
初回開催 2008年度
持ち時間 予選:40分
本戦・タイトル戦:3時間
番勝負 五番勝負
優勝賞金 500万円
主催 マイナビ
日本将棋連盟
公式サイト マイナビ女子オープン - 将棋情報局
記録
前期女王 西山朋佳(第11期)
永世資格者 該当者なし
最多優勝 加藤桃子(4期)
最長連覇 加藤桃子(4連覇)

マイナビ女子オープン(マイナビじょしオープン)は、将棋女流タイトル戦2007年創設。毎年4月頃から挑戦手合制の五番勝負が行われ、勝者には「女王」の称号が与えられる。優勝賞金は、女流棋戦では女流王座戦と並ぶ最高額の500万円。

創設当初はマイナビ(旧・毎日コミュニケーションズ)、日本将棋連盟日本女子プロ将棋協会(LPSA)が主催する[注釈 1]形態だったが、第7期以後はマイナビ、日本将棋連盟の2者による主催となっている。

概要[編集]

2006年度まで行われていたレディースオープントーナメントを発展拡大し、5つ目の女流タイトル戦として創設された。レディースオープンが女流公式棋戦で唯一のオープン棋戦であったことを引き継ぎ、第1期より女性アマチュア選手の出場枠が設けられている[注釈 2][注釈 3]

本棋戦のタイトル称号である「女王」は、第1期開幕前に公式サイト内で公募され、1500通を超える応募の中から決定された[注釈 4]

本棋戦は、他の棋戦とは違い、「マイナビ」とスポンサー名だけで呼ばれる事が多い(例:「片上大輔 (2018年2月8日). “順位戦、マイナビ、新女流棋士” (日本語). daichanの小部屋. 2018年2月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年9月29日閲覧。」)。

一方、NHKが本棋戦について言及する場合は、スポンサー名を除いて「女子オープン」と呼称する。

方式[編集]

トーナメント方式による予備予選「チャレンジマッチ」、予選、本戦を行い、女王への挑戦者を決定する。女王と挑戦者が五番勝負を戦い、その勝者が新女王となる。ただしチャレンジマッチは第4期(2010年)からの実施である。また第1期では本戦決勝を五番勝負として初代女王を決定した。

チャレンジマッチと予選の全対局は、東京都千代田区にあるパレスサイドビルディング9階のマイナビ本社内「マイナビルーム」において、それぞれ1日で行われる。チャレンジマッチと予選は椅子に着席しての対局である。

前年度本戦ベスト4以上(女王が失冠した場合を含む)の4名は予選を免除され本戦シードとなる。それ以外の者は、たとえタイトル保持者であっても予選からの参加となる。これがこの棋戦の1つの特徴である。なお、第1期のシードは8名、第2期/第7期/第9期は3名であった(後述)。

予備予選「チャレンジマッチ」[編集]

第4期よりプロアマ混合の予備予選「チャレンジマッチ」が設けられ、より多くのアマチュア選手に門戸が開かれた[3]。アマチュアのチャレンジマッチ参加者は選抜ではなく一般から募集される。チャレンジマッチは毎年5~6月に行われている。

出場対象者は以下のとおりである。

  1. チャレンジマッチ開催月初における新進棋士奨励会3級以下の女性奨励会員
  2. 女性研修会員
  3. 有段のアマチュア女性選手(元女流棋士は出場できない)
  4. 3期連続で予選1回戦敗退の女流棋士

持ち時間は各15分(チェスクロック使用)で、切れたら1手30秒未満。チェスクロックは対局者自身が操作する。

予選トーナメント[編集]

予選トーナメントは、本戦出場16名のうち本戦シード4名を除く12名の枠を争うトーナメントである。

参加者
  • 本戦シード(前期ベスト4)でもチャレンジマッチからの出場でもない女流棋士
  • 2級以上の女性奨励会員
  • 女性アマチュア招待選手若干名(第8期は2名[注釈 2]
  • チャレンジマッチ通過者

なお、第1期の本戦進出は8名であり、また、第2期、第7期及び第9期は、本戦シードが3名(後述)のため13名であった。

トーナメント表は、前年度の本戦出場者がそれぞれ別ブロックになるように、LPSA所属女流棋士同士が1回戦で当たらないように組まれる[注釈 5]。予選の全対局は公開対局であり、大盤解説会も行われる。第1期は2007年10月に、第2~6期は毎年7月、第7期以降は毎年8月に開催されている。

持ち時間は各40分(チェスクロック使用)で、切れたら1手1分未満。

本戦トーナメント[編集]

予選を勝ち抜いた者と本戦シード者の計16名のトーナメントにより、女王への挑戦者が決定される。対局は東京・将棋会館関西将棋会館で行われる[注釈 6]

持ち時間は各3時間(チェスクロック使用)で、切れたら1手1分未満。

五番勝負[編集]

女王と挑戦者が五番勝負を戦い、その勝者が新たな女王となる。第4期以降は、神奈川県秦野市元湯・陣屋で開幕局が行われることが多く[4]、次いで各地の旅館等で1~2局、それ以降は東京・将棋会館関西将棋会館で対局する。

持ち時間は本戦と同じく各3時間(チェスクロック使用)、切れたら1手1分未満。1日制。

クイーン称号[編集]

タイトル「女王」を連続5期獲得、または通算7期獲得でクイーン称号永世女王」を授与される[5]。2018年現在、該当者はいない。

歴代五番勝負[編集]

年度は五番勝負が行われた年。網掛けの対局者が勝者(女王)。○●は前期女王(第1期は勝者)から見た勝敗。

年度 決勝進出者 勝敗 決勝進出者 ベスト4
1 2008 矢内理絵子 ○●○○ 甲斐智美 山田久 鈴木
年度 女王 勝敗 挑戦者 本戦決勝敗者 ベスト4
2 2009 矢内理絵子 ○○○ 岩根忍 中村真 清水 中井
3 2010 矢内理絵子 ●●● 甲斐智美 斎田 石橋 上田
4 2011 甲斐智美 ●●● 上田初美 石橋 矢内 斎田
5 2012 上田初美 ○○○ 長谷川優貴 清水 里見香 斎田
6 2013 上田初美 ●●● 里見香奈 鈴木 甲斐 石橋
7 2014 里見香奈 ●○●● 加藤桃子 清水 井道 伊藤沙
8 2015 加藤桃子 ○○●○ 上田初美 和田 甲斐 矢内
9 2016 加藤桃子 ○●○○ 室谷由紀 西山 清水 香川
10 2017 加藤桃子 ○○○ 上田初美 里見香 西山 甲斐
11 2018 加藤桃子 ○●●● 西山朋佳 岩根 里見香 伊藤沙

シード[編集]

第1期マイナビ女子オープンでは、前身であるレディースオープントーナメント2006のベスト4以上や当時のタイトル保持者など、下記8名が予選を免除されシードされた。

  • 矢内理絵子(レディースオープントーナメント2006優勝、女流名人)、里見香奈(同準優勝)、 山田久美(同ベスト4)、村田智穂(同ベスト4)
  • 清水市代(女流王位)、斎田晴子(倉敷藤花)、 千葉涼子(女流王将)、甲斐智美(第11回鹿島杯優勝)

第2期以降は、基本的には上記一覧表の前期の番勝負敗退者、本戦決勝敗者およびベスト4が本戦シードとなる。ただし以下の期は下記の理由でシードが1名少ない。

  • 第2期は前期では本戦決勝敗者がいないため。
  • 第7期は前期ベスト4にLPSA所属の棋士(石橋)が含まれていたが、LPSAが不参加となったため。
  • 第9期は前期ベスト4の矢内が休場したため。

エピソード[編集]

初代女王就位式(第1期)
第1期女王就位式は2008年7月18日に第2期公開予選抽選会を兼ねて東京のパレスホテルで開催され、矢内理絵子女王が桂由美デザインのパリ・オートクチュールコレクションのドレスと、フォーエバーマーク・ダイヤモンド総計10.17カラットのティアラ(2000万円相当)を身につけて登場するという、将棋界では過去に例のない演出で行われた。
懐妊の挑戦者(第2期)
五番勝負は例年4月から5月にかけて行われることになっているが、第2期で挑戦者となった岩根忍は妊娠中で、五番勝負の日程途中に出産予定日を控えていた。このため、第2局以降を延期することが取り決められた[6]。しかし、第1局(2009年4月17日予定)の直前になって岩根の出産予定が早まり、第1局も延期することとなった[注釈 7]。最終的に、五番勝負は岩根の出産から1か月以上経った、6月から7月にかけて行われた。
シンデレラガールの活躍(第5期)
アマチュアだった長谷川優貴は第5期の一斉予選を勝ち上がり、その後2011年10月1日付で女流2級としてデビュー。本戦2回戦で甲斐智美女流王位と対局し、持将棋指し直しの末勝利し、女流初段に昇段。さらに準決勝で斎田晴子、挑戦者決定戦で清水市代を破り、タイトル挑戦者となると同時に女流二段に昇段した。プロ入りしてから4局目でタイトル挑戦を決めて女流二段に昇段したのは最短記録であり、プロ入りから4ヶ月でのタイトル挑戦は、女流棋界の草創期を除けば最速記録である。長谷川の活躍は「マイナビドリーム」「シンデレラガール」と形容された[7]
史上初の五冠達成(第6期)
第6期では当時女流四冠であった里見香奈が本戦トーナメントを勝ち上がりタイトルに挑戦。五番勝負では女王だった上田初美を三連勝で破り、史上初の女流五冠を達成した。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 「第5期マイナビ女子オープン五番勝負第1局-上田初美女王 VS 長谷川優貴女流二段」 『将棋世界』 2012年6月号、114頁。本棋戦では、日本将棋連盟とLPSAが主催に名を連ねている。
  2. ^ a b 第1期はアマチュア2名、第2期はアマチュア2名と女流育成会員1名の計3名、第3期はアマチュア3名が出場した。
  3. ^ その後、同年に創設された大和証券杯ネット将棋・女流最強戦にもアマチュア出場枠が設けられた。さらに女流王将戦には第31期(2009年度)、大山名人杯倉敷藤花戦には第21期(2013年度)よりアマチュアが出場している。
  4. ^ 公募は2007年9月4日から30日までの期間に行われた[1]「女王」の称号は予選一斉対局の前夜祭(2007年10月19日)で発表された[2]
  5. ^ 第1期マイナビ女子オープン<予選>第2期マイナビ女子オープン<予選>。また、連盟関西本部所属の女流棋士を同一ブロックにまとめる方式をとらない(女流王座戦も同様)。
  6. ^ 第3期では東京・セレスティンホテル、第4期ではLPSA芝浦サロンでも対局が行われた。両会場とも、椅子に着席し、テーブルに盤を置いて対局した。
  7. ^ 第2期マイナビ女子オープン五番勝負第1局の延期および倉敷対局中止のご報告”. 日本将棋連盟 (2009年4月14日). 2018年9月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年9月29日閲覧。」を参照。タイトル戦では第1局を指せない対局者が失格となるため、挑戦者決定戦敗者の中村真梨花を繰り上げて挑戦者とする案もあったが、主催3者の協議の結果、岩根の出産を待つこととなった。

出典[編集]

  1. ^ マイナビ女子オープン誕生-マイナビ女子オープン 称号公募のお知らせ”. マイナビ. 2007年9月21日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2018年9月29日閲覧。
  2. ^ マイナビ女子オープン誕生 マイナビ女子オープン 前夜祭中継”. 2007年10月21日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2018年9月29日閲覧。
  3. ^ 第4期マイナビ女子オープン チャレンジマッチ アマチュア参加者募集のお知らせ”. マイナビ. 2010年2月14日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2018年9月29日閲覧。
  4. ^ 上田初美女流三段自戦記。第10期マイナビ女子オープン五番勝負を振り返って【前編】”. 日本将棋連盟公式サイト (2017年7月4日). 2017年7月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年7月4日閲覧。
  5. ^ 第10期マイナビ女子オープン 女王就位式・祝賀会レポート”. 日本将棋連盟 (2017年7月24日). 2017年7月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年7月24日閲覧。
  6. ^ “出産控える岩根忍女流二段が挑戦者に--第2期 マイナビ女子オープン” (日本語). マイナビ. (2009年3月9日). オリジナル2018年9月29日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180929145518/https://news.mynavi.jp/article/20090309-a049/ 2018年9月29日閲覧。 
  7. ^ 五番勝負、兵庫県神戸市で開幕 第5期五番勝負第1局” (日本語). マイナビ出版 (2012年4月7日). 2018年3月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年9月29日閲覧。