マクラーレン・MCL35

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マクラーレン・MCL35
プレシーズン・テスト仕様(2020年2月)
プレシーズン・テスト仕様(2020年2月)
カテゴリー F1
コンストラクター マクラーレン
デザイナー ジェームス・キー(テクニカルディレクター)
ピーター・プロドロモウ(チーフエンジニア)
先代 マクラーレン・MCL34
主要諸元
エンジン ルノー E-Tech 20 1.6L V6ターボ
タイヤ ピレリ
主要成績
チーム マクラーレンF1チーム
ドライバー スペインの旗 カルロス・サインツJr.
イギリスの旗 ランド・ノリス
出走時期 2020年
初戦 2020年オーストリアGP
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マクラーレン・MCL35 (McLaren MCL35) は、マクラーレン2020年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カーである。

概要[編集]

2020年2月13日にマクラーレン・テクノロジーセンターで正式発表された[1]

前年に加入したテクニカルディレクターのジェームス・キーが主導して開発された最初のマシンであり、翌年からパワーユニット(PU)をメルセデスに変更するため、ルノーPUを搭載する最後のマシンとなる[1]

前年のMCL34をベースに制作されたが[1]、ノーズがより細くされて先端部の開口部がなくなり、フロントサスペンションも変更された。インダクションボックスは電球型に変更され、一部の冷却部品がサイドポッドからエンジンカバーの下に移動したことに伴って6区画に分けられた[2]。カラーリングのパパイヤオレンジとブルーは配置が変更され、軽量化のためにマット塗装を施した[1]

7月29日にマクラーレンはガルフ・オイルと新たなパートナーシップ契約を結んだことを発表[3]。それ以降に行われたGPではマシンおよびウェアにてガルフのロゴを掲載して出走した。

2020年シーズン[編集]

ドライバーはカルロス・サインツJr.ランド・ノリスのコンビを継続。

プレシーズンテストではマシンの習熟を優先したため[4]、ラップタイム上では前年の下位に当たるチームに負けた面もあったが[5]、全体としては前年の好調を維持していることをアピールしてテストを終えた。

開幕戦となる予定だったオーストラリアGPではスタッフが2019新型コロナウイルス(COVID-19)に感染したことによりレースから撤退した[6]。これを受け、同GPは中止となった[7]。その後コロナウイルスの世界的流行の影響が深刻化し、F1は休止状態となった。そして、4カ月遅れの開幕戦となったオーストリアGPでは、2台とも予選Q3進出を果たし、ノリスが2列目スタートを獲得。そして、決勝はサバイバルレースとなり、2台とも常時入賞圏内をキープ。そんななか、終盤4位を走行していたノリスだったが、2位のルイス・ハミルトン(メルセデス)がレース中の接触の責を問われ、5秒のタイムペナルティ加算が確定。それを受け、ノリスはペースアップし、最終ラップでファステストラップを記録した結果、その5秒圏内に入ることに成功し、繰り上げという形ではあるが3位表彰台を獲得[8]。チームとしては、ノリスのキャリア初の表彰台獲得を含めたダブル入賞でスタートを切ることとなった[9]

シーズン前半にあたる第8戦までの成績だが、チームとしての連続入賞記録を開幕戦から伸ばしており、サインツはタイヤ交換時のトラブル[10][11]といったピット作業ミスや第4戦のタイヤバーストといった不運[12]でいくらかのポイントを失ったが、着実に入賞を積み重ね、ノリスも第3戦をスタートミスで入賞を逃したことを除けば、全て入賞し続けており、暑さなどのコースコンディションがチームにとって不利な状況[13]な時以外では、安定して入賞圏内で順位を争うレース展開[14]を見せている。そんななか、第8戦イタリアGPではサインツが3番手を獲得し、決勝ではメルセデス勢が結果的に失速。レース後半は2位を走行し、自身のキャリア初優勝およびチームとしても2012年ブラジルグランプリ以来の優勝も射程にとらえたが、首位ピエール・ガスリー(アルファタウリ)とのマッチレースに敗れ2位に終わった。それでも、シーズンに複数回表彰台を獲得したのは2012年以来の成績となる。

スペック[編集]

[15]

シャシー[編集]

パワーユニット[編集]

  • 型式: ルノー E-Tech 20
  • 最小重量: 145kg
  • パワーユニットコンポーネント:内燃エンジン(ICU)、MGU-K、MGU-H、エネルギー貯蔵装置(ES)、ターボチャージャー(TC)、コントロールエレクトロニクス(CE)

エンジン[編集]

  • 排気量: 1,600cc
  • 気筒数: V型6気筒
  • バンク角: 90度
  • バルブ数: 24
  • 最高回転数: 15,000rpm(レギュレーションで規定)
  • 最大燃料流量: 100kg/h(10,500 rpmの場合)
  • 最大燃料容量: 110kg
  • 燃料噴射方式直接噴射(1シリンダーあたり1噴射器、最大500bar
  • ターボチャージャー: 単段コンプレッサー、排気タービン、共通シャフト

エネルギー回生システム(ERS)[編集]

  • 機構: モーター・ジェネレーター・ユニットによるハイブリッド・エネルギー回生。MGU-Kはクランクシャフト、MGU-Hはターボチャージャーに接続
  • エネルギー貯蔵装置(ES): リチウムイオンバッテリー(20-25kg)、1周あたり最大4MJを貯蔵
  • MGU-K
    • 最高回転数: 50,000rpm
    • 最大出力: 120kW
    • 最大回生量: 1周あたり2MJ
    • 最大放出量: 1周あたり4MJ
  • MGU-H
    • 最高回転数: 125,000rpm
    • 最大出力: 無制限
    • 最大回生量: 無制限
    • 最大放出量: 無制限

トランスミッション[編集]

  • ギアボックス: カーボンファイバーコンポジット製ケース、縦置き
  • ギア数: 前進8速、後退1速
  • ギア操作: 電動油圧式シームレスシフト
  • ディファレンシャル: 遊星歯車構造マルチプレート・リミテッド・スリップ・クラッチ式ディファレンシャル
  • クラッチ: 電動油圧式カーボンファイバー製マルチプレートクラッチ

記録[編集]

(key)

No. ドライバー AUT
オーストリアの旗
STY
シュタイアーマルク州の旗
HUN
ハンガリーの旗
GBR
イギリスの旗
70A
70周年記念ロゴの旗
ESP
スペインの旗
BEL
ベルギーの旗
ITA
イタリアの旗
TUS
トスカーナ州の旗
RUS
ロシアの旗
EIF
ドイツの旗
POR
ポルトガルの旗
EMI
エミリア=ロマーニャ州の旗
TUR
トルコの旗
BHR
バーレーンの旗
SKR
バーレーンの旗
ABU
アラブ首長国連邦の旗
ポイント ランキング
2020 55 スペインの旗 サインツ 5 9 9 13 13 6 DNS 2 Ret Ret 5 6 7 5 5 4 6 202 3位
4 イギリスの旗 ノリス 3 5 13 5 9 10 7 4 6 15 Ret 13 8 8 4 10 5

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d マクラーレンMCL35:マット塗装採用のスリムなマシン「僕のベイビー」とドライバーも大満足の出来栄え”. autosport web (2020年2月14日). 2020年2月23日閲覧。
  2. ^ F1新車”雑感”解説:さらなる前進を目指して……マクラーレンMCL35”. motorsport.com (2020年2月17日). 2020年2月23日閲覧。
  3. ^ マクラーレンとガルフ・オイルが再タッグ。F1および市販車部門で提携www.as-web.jp(2020年7月29日)2020年9月7日閲覧。
  4. ^ マクラーレン、”近年で最高のスタート”を切る。テスト後半でアップデート投入も予定jp.motorsport.com(2020年2月26日)2020年7月7日閲覧。
  5. ^ 2020年 F1バルセロナテスト:グラフで振り返る最速ラップと総周回数formula1-data.com(2020年3月3日)2020年7月7日閲覧。
  6. ^ マクラーレンF1、オーストラリアGPの参戦取りやめ。チームスタッフが新型コロナウイルス検査で陽性”. autosport web (2020年3月12日). 2020年3月12日閲覧。
  7. ^ F1オーストラリアGPの中止が正式に発表。F1チームスタッフの新型コロナ感染を受け”. motorsport.com (2020年3月13日). 2020年2月13日閲覧。
  8. ^ 初表彰台ノリスの、衝撃的最終ラップ……マクラーレン「彼は明らかに成長した」jp.motorsport.com(2020年7月7日)2020年7月7日閲覧。
  9. ^ コンスト2位発進!開幕W入賞とノリスの初表彰台に沸くマクラーレンformula1-data.com(2020年7月6日)2020年7月7日閲覧。
  10. ^ マクラーレンF1代表、タイヤ交換時のミスを謝罪「渋滞のなかに送り出すことになってしまった」www.as-web.jp(2020年7月15日)2020年9月7日閲覧。
  11. ^ サインツJr.「ホイールガンのトラブルで、それまでの努力が水の泡に」:マクラーレン F1第5戦決勝www.as-web.jp(2020年8月11日)2020年9月7日閲覧。
  12. ^ サインツJr.「突然タイヤが壊れて最終周にピットイン。本当に残念で悔しい」:マクラーレン F1第4戦決勝www.as-web.jp(2020年8月4日)2020年9月7日閲覧。
  13. ^ マクラーレン︰お熱いのがお嫌い?冷却に問題抱え急遽ボディーワークを変更 / F1-70周年記念GP《予選》2020formula1-data.com(2020年8月9日)2020年8月10日閲覧。
  14. ^ リスクを負った、サインツJr.の予選驚速ラップ「身震いがしたよ」jp.motorsport.com(2020年9月6日)2020年9月7日閲覧。
  15. ^ McLaren MCL35 Technical Specification”. McLaren Racing (2020年2月13日). 2020年2月23日閲覧。