マジカル・ミステリー・ツアー (曲)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
検索に移動
ビートルズ > ビートルズの曲名一覧 > マジカル・ミステリー・ツアー (曲)
マジカル・ミステリー・ツアー
ビートルズ楽曲
収録アルバム マジカル・ミステリー・ツアー
英語名 Magical Mystery Tour
リリース
  • アメリカ合衆国の旗 1967年11月27日 (1967-11-27) (LP)
  • イギリスの旗 1967年12月8日 (1967-12-08) (EP)
  • 日本の旗 1968年3月10日 (1968-03-10) (EP)
録音
ジャンル サイケデリック・ポップ
時間 2分51秒
レーベル
作詞者 レノン=マッカートニー
作曲者 レノン=マッカートニー
プロデュース ジョージ・マーティン

マジカル・ミステリー・ツアー 収録曲
マジカル・ミステリー・ツアー
(A-1)
フール・オン・ザ・ヒル
(A-2)
マジカル・ミステリー・ツアー 収録曲
マジカル・ミステリー・ツアー
(A-1)
ユア・マザー・シュッド・ノウ
(A-2)
ミュージックビデオ
「Magical Mystery Tour」 - YouTube

マジカル・ミステリー・ツアー」(英語: Magical Mystery Tour)は、ビートルズの楽曲。1967年12月にBBC One放送された同名のテレビ映画の主題歌(オープニングテーマ)で、同名のEP盤キャピトル編集盤の表題曲でもある。レノン=マッカートニー名義となっているが、主にポール・マッカートニーによって書かれた楽曲[1]

アルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のレコーディング・セッションが終了した直後の1967年4月から5月にかけてレコーディングされた本作は、聴衆に対して不思議なミステリー・ツアーへの参加を呼びかける楽曲となっている。楽曲中には、4本のトランペットによるファンファーレが含まれている。

背景・曲の構成[編集]

「マジカル・ミステリー・ツアー」は、主にポール・マッカートニーによって書かれた楽曲。楽曲への貢献について、マッカートニーは「ジョンとの共作」とし[2]ジョン・レノンは「僕も少し手伝ったけど、基本的にポールのアイデア」と語っている[3]。なお、レノンは1972年に「ポールが書いた。僕は少しだけ歌詞を手伝った」と語っている[4]

マッカートニーは、本作の作詞にあたり、ビートルズのアシスタントで元ロード・マネージャーのマル・エヴァンズに、歌詞になりそうな言葉が掲載されたポスターを地元のバス停から探してくるように依頼した。最終的に理想的なポスターが見つからなかったことから、翌日にスタジオで行われたブレインストーミングを経て、歌詞が完成した[5]

歌詞は映画を前提としたもので、1967年4月初めにアメリカを訪れたマッカートニーが「ビートルズが観光バスに乗り込んで旅行し、予測できない「マジカル」な冒険をするショート・フィルム」を制作することを考案[6]し、「主題歌を作る必要がある」と考えたことから本作が書かれた[7]。本作は映画のオープニングテーマとして使用されており、聴衆に対して不思議なミステリー・ツアーへの参加を呼びかける楽曲となっている。楽曲が制作された当時、ビートルズはLSDを服用していたことから、歌詞は薬物への明示的な言及と解釈されることもある[8][9]

レコーディング[編集]

「マジカル・ミステリー・ツアー」のレコーディングは、『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のセッション最終日から1週間も経っていない1967年4月25日にEMIスタジオの第3スタジオで開始された。曲が未完成であったことから、その日の夕方はほとんどリハーサルに費やされた[10]。ベーシック・トラックは、マッカートニーのピアノ、レノンのアコースティック・ギタージョージ・ハリスンリードギターリンゴ・スターのドラムスの編成で3回レコーディングされた[11]。その後ベーシック・トラックのリダクション・ミックスを作成する際に、ハリスンのギターと曲のコーダにおけるピアノにフランジャーがかけられた[12]

4月26日にマッカートニーのベースオーバー・ダビングされ、4人はエヴァンズやニール・アスピノールと共にマラカスタンバリンカウベル、追加のドラムスなどのパーカッションを加えた[12]。その後にレノン、マッカートニー、ハリスンの3人で強く反響する叫び声を加えた[12]。翌日にマッカートニーのリード・ボーカルを加え、レノンとハリスンは「Roll up―Roll up for the Mystery Tour(さあさあ寄ってらっしゃい、ミステリー・ツアーの出発です)」というフレーズをはじめとしたバッキング・ボーカルを歌った[13]。バッキング・ボーカルは、テープの回転速度を遅くしてレコーディングしたため、通常の速度に戻すと声が高く聴こえるようになった[10]

5月3日にデイビッド・メイソン英語版エルガー・ハワースをはじめとしたトランペット奏者4名によるブラス・セクションが追加された[14][15]。レコーディングに参加した奏者の友人であるフィリップ・ジョーンズは、ハワースがブラス・セクションのスコアを書いたとしている[16]。また、コーダにはグロッケンシュピールもオーバー・ダビングされた[15]

音楽評論家のイアン・マクドナルド英語版は、レコーディングの進行の遅延について、ビートルズがLSDを服用していたことと、レノンとハリスンがマッカートニーが企画した映画に対して無関心であったことが原因であるとしている[17]。メンバーは、マネージャーのブライアン・エプスタインの死後、9月初旬に映画の撮影を行うことを決め、サウンドトラック用のレコーディング・セッションは、11月7日にマッカートニーが本作の冒頭に入っている客引きの台詞とバスの走行音を加えて終了となった[18]。バスの走行音のテープループ英語版は、M1モーターウェイを見下ろす高架橋で録音されたもの[10]で、単体でステレオ・ミックスであったためそのままミックスされた[19]

リリース[編集]

「マジカル・ミステリー・ツアー」は、1967年12月8日にイギリスで6曲入りの2枚組EP盤の表題曲として発売された[20]。なお、イギリスでの2枚組EPの発売は初の例となった[21][22]。アメリカでは既にEPの形態が廃れていたため、同年に発売されたシングル5曲を追加したLP盤として発売された。なお、このLP盤は2枚組EP盤に先行するかたちで11月27日に発売された[23]

12月26日にイギリスのBBC Oneでテレビ映画『マジカル・ミステリー・ツアー』が放送され、本作はオープニングテーマとして使用され[24]、映画のエンディングで使用されたリプライズ・バージョン[25]には、レノンによる別れの言葉が加えられた[15]。テレビ映画の評判は芳しいものではなかったが[26]、その一方でサウンドトラック盤については肯定的な評価を得た[11]。イギリスで発売された2枚組EP盤は、全英シングルチャートで最高位2位を獲得し、第1位にはシングル盤『ハロー・グッドバイ』がランクインした[27]

本作は、1973年に発売されたコンピレーション・アルバム『ザ・ビートルズ1967年〜1970年』や、1982年に発売されたコンピレーション・アルバム『リール・ミュージック』にも収録された[28]。なお、1987年以降のビートルズのアルバム作品のCD化の際には、アメリカで発売されたLP盤が採用された[29]

評価[編集]

本作についてヒット・パレーダー英語版誌は、「ビートルズは、オープニング・ナンバーで魔法的なミステリー・ツアーに連れて行ってくれると宣言した。この曲はステレオで聴かなくてはならない」と書いている[30]

ニューヨーク・タイムズ紙でリチャード・ゴールドスタイン英語版は、「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」と同様にスタジオの技術に依存して、モチーフに対して過度に焦点を合わせているとし、本作と「ユア・マザー・シュッド・ノウ」について「夕食後の会話のように退屈で息が詰まる」と評している[31]ステレオ・ヴィジョン英語版誌のレックス・リード英語版は、本作およびアルバムに収録された楽曲について「からくりは音楽のアイデアを補うものではない」「『マジカル・ミステリー・ツアー』はラジオシティ・ミュージックホールのパロディに過ぎない」と評した[32]。音楽評論家のイアン・マクドナルド英語版は、「メインとなるアイデアは古くさく、その対照的なセクションは『ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ』のヴァースの順序を置き換えただけ」と評している[33]

演奏[編集]

※出典[34][11]

ビートルズ
外部ミュージシャン

カバー・バージョン[編集]

アンブロージアは、1976年に公開されたドキュメンタリー映画『All This and World War II』のサウンドトラックとしてカバーした。アンブロージアによるカバー・バージョンは、アメリカでシングル盤としても発売され、Billboard Hot 100で最高位39位を獲得した[35]。この他にも、チープ・トリックBONNIE PINKイングヴェイ・マルムスティーン、エディ・ウェダーらによってカバーされた[36]

ビータリカは、2007年にアルバム『Masterful Mystery Tour』に、メタリカの楽曲「Master of Puppets」とマッシュアップした「Masterful Mystery Tour」という楽曲を収録した。

マッカートニーは、1993年の「New World」ツアーで本作を演奏した。当時のライブ音源は、ライブ・アルバム『ポール・イズ・ライブ』に収録された[36]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

出典[編集]

  1. ^ MacDonald 1998, p. 222-24.
  2. ^ Miles 1997, p. 352-353.
  3. ^ Womack 2014, p. 595.
  4. ^ Smith, Alan (February 1972). “Lennon/McCartney Singalong: Who Wrote What”. Hit Parader. https://archive.org/details/JohnLennonInterview1972HitParaderMagazine. 
  5. ^ Winn 2009, p. 103.
  6. ^ Stark 2005, p. 218.
  7. ^ Lewisohn 2005, pp. 109-110.
  8. ^ Campbell, Michael; Brody, James (2007). Rock and roll: an introduction. Schirmer Books. p. 171. ISBN 0-534-64295-0 
  9. ^ The Beatles (Unseen Archives). Parragon Plus. (2003). p. 193. ISBN 1-4054-0716-6 
  10. ^ a b c Lewisohn 2005, p. 110.
  11. ^ a b c Everett 1999, p. 132.
  12. ^ a b c Guesdon & Margotin 2013, p. 424.
  13. ^ Winn 2009, p. 103-104.
  14. ^ MacDonald 1998, p. 222, 223.
  15. ^ a b c Winn 2009, p. 104.
  16. ^ Lewisohn 2005, p. 111.
  17. ^ MacDonald 1998, p. 222-224.
  18. ^ Lewisohn 2005, p. 130.
  19. ^ Everett 1999, p. 132-133.
  20. ^ Castleman & Podrazik 1976, p. 64.
  21. ^ Neaverson 1997, p. 53.
  22. ^ Larkin 2006, p. 488.
  23. ^ Castleman & Podrazik 1976, p. 63.
  24. ^ Ingham 2006, p. 45.
  25. ^ Winn 2009, p. 104-105.
  26. ^ Frontani 2007, p. 161-162.
  27. ^ Official Singles Chart Top 50 (17 January 1968 - 23 January 1968)”. Official Charts Company (1968年1月17日). 2020年9月29日閲覧。
  28. ^ Womack 2014, p. 596.
  29. ^ Lewisohn 2005, p. 200.
  30. ^ Staff writer (April 1968). “Platter Chatter: Albums from The Beatles, Rolling Stones, Jefferson Airplane, Cream and Kaleidoscope”. Hit Parader. http://www.rocksbackpages.com/Library/Article/platter-chatter-albums-from-the-beatles-rolling-stones-jefferson-airplane-cream-and-kaleidoscope. 
  31. ^ Goldstein, Richard (1967年12月31日). “Are the Beatles Waning?”. The New York Times: p. 62 
  32. ^ Reed, Rex (March 1968). “Entertainment (The Beatles Magical Mystery Tour)”. HiFi/Stereo Review: 117. https://www.americanradiohistory.com/hd2/IDX-Audio/Archive-Stereo-Review-IDX/IDX/60s/HiFi-Stereo-Review-1968-03-OCR-Page-0113.pdf. 
  33. ^ MacDonald 1998, p. 223.
  34. ^ Lewisohn 2005, p. 110-111.
  35. ^ The Hot 100 Chart”. Billboard (1977年4月2日). 2020年9月29日閲覧。
  36. ^ a b Fontenot, Robert. “The Beatles Songs: 'Magical Mystery Tour' – The history of this classic Beatles song”. oldies.about.com. 2013年1月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月29日閲覧。

参考文献[編集]