マリンバ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マリンバ
マリンバ
マリンバの演奏風景

マリンバ (Marimba) は、木製の音板をもつ鍵盤打楽器で、いわゆる木琴の一種。譜面上の略記はMar. Mari. Mrb. Mrm. 等。

概要[編集]

構造[編集]

ピアノと同様の配列をした木製(ローズウッドパドック)の鍵盤マレットと呼ばれる枹・ばちでたたいて演奏する。同じ木琴の一種であるシロフォンと同様の構造であるが、シロフォンよりも鍵盤が広く厚く造られており、深みのある音色を表現できる。さらに、鍵盤の下部に各音階によって長さを変えた共鳴用の金属管が設けられており、その下端を閉じることにより、鍵盤の音に共鳴し増幅させる。それにより、さらに豊かな音色となる。

音域は通常の4オクターブから80年代に5オクターブをヤマハが開発し世界に普及させた。その後、マリンバ・ワンが高音域に半オクターブ拡張して他のメーカー各社もこれを追った。さらに近年5オクターブ半(こおろぎ社/ヤマハ/アダムス/マリンバ・ワン)のものやアーチストモデル(安倍圭子/ロバート・ヴァン・サイス/ルートヴィヒ・アルバート)まであり、理論上は6オクターブ半(A13-D90)まで拡張することが可能である。近年は奏者の指向が中から低音域にマリンバの魅力を見出す傾向にある。マリンバを高音域に拡張して、鍵盤の材質を根本的に変えたものはシロリンバと呼ばれるが、マリンバの高音域拡張やシロフォンの低音域拡張に伴い、国際的に廃れてきた。低音専用のマリンバはバスマリンバと呼ばれ共鳴管と構造のみが違い、コンサートマリンバの低音部と同一の音域に作られているが、近年はマリンバの性能の向上によりあまり用いられなくなっている。また、ピッコロマリンバやコントラバスマリンバを特注して使う高橋美智子もいるが、一般的ではない。

なお、シロフォンとマリンバの大きな違いに、その調律方法の違いがある。現在のシロフォンは3倍音(オクターヴと5度上)が基本で、低音域では7倍音(2オクターヴと短7度上)も調律されるのに対し、マリンバの調律は4倍音(2オクターヴ上の音)で、低音部ではさらに10倍音(3オクターヴと長3度上)も調律される。その結果、シロフォンに比べて豊かな低音が特徴となる。

なお、Studio 49によるMARIMBA concert RXMV 5100はC16からD90までの6オクターブ強を市販で実現させている[1]。近年は5.5オクターブを最初から想定する作曲家も数多く、5オクターブ版に後から改訂するケース[2]すらある。

マレテックは共鳴管を曲げている[3]が一般的ではない。

歴史[編集]

マリンババンド

起源はアフリカにあると言われ、の板を並べた下にひょうたんをぶら下げて共鳴管の役割を果たしていたと言われている。アフリカバントゥー語群で、「リンバ」は木の棒を意味し、「マ」が多くの数を表す接頭語であるから、「マリンバ」は、多数の木の棒から成る楽器をあらわす。

現在の形のマリンバが生まれたのは、19世紀後半、グアテマラであると言われている。またメキシコ等南米でもマリンバが古くから演奏されておりメキシカン・マリンバとして民族音楽のスタイルを形成している。これらは米国に持ち込まれるようになり、1910年代には、米国での製作が始まり、シカゴのディーガン(Deagan) は、木製パイプを金属製パイプに取り替えた。その後、鍵盤の配列をピアノ同様の配列にするなど多くの改良がなされ、また、演奏スタイルは、従来一つの楽器を複数人で叩くスタイルであったのが、現在の西洋伝統音楽の独奏者のように演奏するスタイルへ徐々に変貌した。

当初は「打楽器奏者の副業」としてしか見られていなかった楽器奏者を、世界的名手の手で「マリンビスト」に変えたのは、少なくとも20世紀後半の話である。

現在ではマリンバは、単にオーケストラ楽器というだけでなく、パイプによってもたらされた大きな音量によってソロ楽器としても取り扱われるようになった。特に、ソロ楽器としての開拓者としては、日本の安倍圭子の貢献が大きい。近年ではマリンバを多く取り入れたマリンバオーケストラとしてのスタイルも確立され、多種多様な場面で用いられている。またソロ・マリンバ向けの楽曲も多く作曲されており、非常に高度な技術を要する曲も増えてきている。

奏法[編集]

演奏に際しては通常マレットが使われる。マレットは、ゴムの玉にさまざまなものをかぶせることによって、音色を変えることができる。通常演奏される際は、マレット2本~4本で演奏されることが多い。しかし、特殊な楽曲によっては6本を必要とする場合もある。また、4本マレットの持ち方(グリップ)にも様々な方式がある。クロスグリップのトラディショナル&バートン・グリップ、ノンクロスのマッサー&スティーブンス・グリップ。日本ではクロスグリップが主流であるのに対して欧米ではインディペンデント・グリップ(ノンクロス)が主流となっている。

通常のマレットの先端を鍵盤に落とす奏法や、ロール(トレモロ)の他、マレットを鍵盤に押し付けるように弾くことで音に消音効果と独特の打音を持たせるデッドストローク、先端で鍵盤の表面をこするように鳴らすグリッサンド奏法、片手に持った複数本のマレットを縦に並べて鍵盤を挟み表裏を連続して弾くマンドリンロール、マレットの柄で鍵盤を弾く、楽器の側板を打楽器として叩く、などその奏法は多種多様であり、また更なる開発が進められている。

吉岡孝悦は「アーティスト・マレット」を開発[4]している。

著名なマリンバ奏者[編集]

レパートリー[編集]

  • 風紋 - 安倍圭子
  • タンブラン・パラフレーズ - 安倍圭子
  • 桜の幻影 - 安倍圭子
  • 竹林 - 安倍圭子
  • わらべ歌による譚章 - 安倍圭子
  • 小さな窓 - 安倍圭子
  • マリンバのためのやさしい練習曲 - 木村恭子
  • プラーナ - 三村奈々恵
  • 組曲「会話」 - 三善晃
  • 源流 - 一柳慧
  • ディベルティメント - 小山和彦
  • Ilijas - Nebojsa J.Zivkvic
  • Tomi・富 - 相澤睦子
  • Merlin - Andrew Thomas
  • Kaskada - Echard Kopetzki
  • Marrrrimba - Andy Pepe
  • Two Mexican Dances - Gordon Stout
  • Velocities - Joseph Schwantner
  • Dances of Earth and Fire - Peter Klatzow
  • Sonata for marimaba and piano - Peter Taner
  • Concertino - Ney Rosauro
  • Volution - Andrea Poggiali
  • Eric Sammut - Cameleon

主要メーカー[編集]

  • ヤマハ - 世界初の5オクターブメーカー
  • マリンバ・ワン - 世界初の5.5オクターブメーカー
  • アダムス - 世界初の5.6オクターブメーカー
  • マレテック
  • スタジオ49 - 世界初の6.2オクターブメーカー
  • サイトウ
  • コウロギ - かつてバスマリンバを作っていたが、現在カタログにない。
  • ムッサー
  • プレミア
  • ヴァンコレ
  • デメロー
  • ダイナスティ
  • コマキ
  • トマン

関連項目[編集]

関連文献[編集]

  • Helmut Brenner: Marimbas in Lateinamerika. Historische Fakten und Status quo der Marimbatraditionen in Mexiko, Guatemala, Belize, Honduras, El Salvador, Nicaragua, Costa Rica, Kolumbien, Ecuador und Brasilien (=Studien und Materialien zur Musikwissenschaft 43), Hildesheim–Zürich–New York: Georg Olms Verlag, 2007.

脚注[編集]

[ヘルプ]

注釈・出典[編集]

  1. ^ Studio 49 2018年6月30日閲覧
  2. ^ Alterations for 5-octave marimba version by the composer 2017年5月12日配信 2018年6月30日閲覧
  3. ^ MJB Marimba 2018年7月4日閲覧
  4. ^ 吉岡孝悦モデル 2018年7月5日閲覧
  5. ^ 松島美紀コンサート情報 特別Webサイト 2018年6月30日閲覧