マルタウグイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マルタウグイ
標本
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: コイ目 Cypriniformes
: コイ科 Cyprinidae
亜科 : ウグイ亜科 Leuciscinae
: ウグイ属 Tribolodon
: ジュウサンウグイT. brandtii
学名
Tribolodon brandtii maruta
(Sakai & Amano, 2014)
和名
マルタ
マルタウグイ(丸太石斑魚)
英名
Pacific redfin

マルタウグイ Tribolodon brandtii maruta は、ウグイ亜科に分類されるマルタウグイ(丸太石斑魚)と呼ばれることが多い。コイ科魚類の中で、降海性を獲得した数少ない魚類である[1][2]

分布[編集]

東京湾以北の太平洋沿岸。

富山湾以北の日本海沿岸、北海道、沿海州、朝鮮半島東岸[1]に分布する種は近縁亜種のジュウサンウグイ

亜種[編集]

1960年代よりマルタウグイとジュウサンウグイが異なるとする報告がいくつかされていた[3][4]が、「遺伝学」「形態学」「生態学」の各観点からの研究は不十分と指摘されていた[1]。2015年、マルタ (T. brandtii maruta.) と、ジュウサンウグイ (T. brandtii brandtii) に分けられた[5]

形態[編集]

マルタウグイ 2018.8.13 那珂湊漁港

最大で50 cm、1.5 kg程度になる。最大では近縁種のウグイより大型になる。ウグイとの違いは、オスの婚姻色(赤色縦条)がウグイは2本であるのに対し、マルタは1本しかないことである。自然の状態でウグイとは容易に交雑するかは不明である。

生態[編集]

主に沿岸部から河川河口部の汽水域に生息し、春の産卵期には川を遡上する遡河回遊魚である。幼魚は1年ほど河口付近で過ごし、7-9 cmほどに成長して海に降る。寿命は10年ほどと比較的長命である。動物食性で、貝類ゴカイ類、エビなどの甲殻類といった小動物を捕食する。

人間との関係[編集]

ルアーフィッシングの対象魚であるスズキの外道としてよく釣れる。食用になるが、小骨が多いのでよく煮るか甘露煮などにするのが適している。

マルタウグイには身の節ごとに小骨が存在するため、食べるにはひと工夫が必要

汽水域の特に排水口付近を好んで生息しているために生臭い個体が多い。そのため、皮と血合い、内臓は利用せずに、白身を味噌、だし汁(鰹節と昆布)に浸し、圧力鍋で煮ると、臭みが無くなり、小骨はやわらかくなり食べやすくなる。

2回(20分加熱)圧力鍋で煮ることにより小骨がやわらかくなったマルタウグイのサク

脚注[編集]

  1. ^ a b c 酒井治己, 中井博紀, 天野翔太 ほか、「遡河回遊性コイ科魚類ウグイ属マルタ椎体異常個体の形態学的特徴 (PDF) 」 『水産大学校研究報告』 2014年 62巻 2号 p.63-68
  2. ^ 石崎大介, 淀太我、「耳石微量元素分析に基づいたニゴイ類の塩分環境経験の証拠」 『伊豆沼・内沼研究報告』 2018年 12巻 p.63-71, doi:10.20745/izu.12.0_63
  3. ^ 中村守純:日本のコイ科魚類 『日本産コイ科魚類の生活史に関する研究』 455 pp. 財団法人資源科学研究所, 東京(1969), NAID 10017980704
  4. ^ 小野寺隆, 本間義治、「東北日本におけるウグイ属魚類の種族分化」 『動物分類学会誌』 1976年 12巻 p.65-77, doi:10.19004/pjssz.12.0_65
  5. ^ 日本産ウグイ属魚類の寄生虫目録 : 補足(2016年) A synopsis of the parasites from cyprinid fishes of the genus Tribolodon in Japan: A 2016 update and supplement. 『広島大学大学院生物圏科学研究科紀要』 2016年 55巻 p.57-70