マルチプレーン・カメラ

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マルチプレーンカメラ
4層のセル台にそれぞれ異なったセル画・背景を置き立体感を出す

マルチプレーン・カメラMultiplane camera)は、セルアニメの制作で使用された特殊な映画撮影用のカメラである。たくさんのセル画をそれぞれ異なった距離に配置し、それぞれを異なったスピードで動かすシステムである。実際には立体ではない絵に、3次元的な奥行を表現する効果を生み出した。

歴史[編集]

1926年、マルチプレーン・カメラの先駆的な技術が使用された。ロッテ・ ライニガーがアニメーション大作『アクメッド王子の冒険』のために使用したものである。彼女とともに仕事をしていたベルトールド・バルトッシは1930年、『The Idea』という作品でも類似の技術を使用した。

最初のマルチプレーン・カメラは、1933年ウォルト・ディズニー・カンパニーの元アニメーターディレクターでもあったアブ・アイワークス発明した[1]。 水平カメラの前に4層のセル画を配置したもので、装置には古いシボレー車の部品を使用した。

また、その翌年の1934年に、フライシャー・スタジオは、セットバック撮影方式(または、ステレオプティカル・プロセス)という、平面のセルの奥に立体模型を作成し、撮影するという撮影方法を独自に確立させた。これにより奥行きのみならず、背景の立体感をリアルに再現することができた。この撮影方式は、1934年公開のベティ・ブープシリーズの一編『ベティのシンデレラ(原題:Poor Cinderella)』で初めて実用化され、ポパイのカラー中編のうちの2作品(『船乗りシンドバッドの冒険(原題:Popeye the sailor meets Sindbad the Sailor、1936年)』、『ポパイのアリババ退治(原題:Popeye the sailor meets Ali Baba's Forty Thieves、1937年)』などで使用された他、フライシャー・スタジオが製作した2本の長編映画(『ガリバー旅行記(原題:Gulliver's Travels、1939年)』、『バッタ君町に行く(原題:Mr. Bug Goes to Town)』)で、オープニングのみだが使用された。

最も有名なマルチプレーン・カメラは、ウォルト・ディズニー・カンパニーがアニメ映画『白雪姫』で使用したものである。これはウィリアム・ギャリティが発明したもので、1937年前半に完成していた[2]。その高い技術が評価され、『風車小屋のシンフォニー』は1937年のアカデミー短編アニメ賞を受賞した。

ユーリ・ノルシュテインはウォルト・ディズニーで使用されたものと類似したマルチプレーン・カメラを現在でも使用している。

テレビ番組などの他の表現形態でも、マルチプレーン、もしくはラスタースクロールなどの関連した効果が使われる。

脚注[編集]

  1. ^ Pat Williams and Jim Denney (2004). How to Be Like Walt: Capturing the Disney Magic Every Day of Your Life. HCI. p. 133. ISBN 978-0-7573-0231-2. http://books.google.com/books?id=lSJIngvkCsAC&pg=PA133. 
  2. ^ (2001) Audio Commentary by Walt Disney and John Canemaker. Bonus material from Snow White and the Seven Dwarfs: Platinum Edition [DVD]. Walt Disney Home Entertainment.