ミルテの花冠

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ミルテの花冠』(ミルテのはなかんむり、ドイツ語: Myrthen-Kränze作品154は、ヨハン・シュトラウス2世が作曲したウィンナ・ワルツ。「花冠(かかん)」ではなく、花嫁がかぶる花のかんむりを示している。『ミルテの花束[1]』とも。

楽曲解説[編集]

新婚の皇帝夫妻(1854年)

1854年4月24日、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世とバイエルン公女エリーザベトの結婚式が執り行われた[2]。同月27日夜、ホーフブルク宮殿のヨーゼフ広場に面した宮廷舞踏場において、祝賀行事の一環として皇帝夫妻主催の大規模な舞踏会が開かれた[3]ヨハン・シュトラウス2世はこの舞踏会に指揮者として登場し[3]、フランツ・ヨーゼフ1世への献呈という形で[1]、皇后となったエリーザベトの名を冠した『エリーザベト・ワルツ[2]』という新曲を披露した。皇帝夫妻の婚礼を祝う作品であったため、ハイドンの作曲したオーストリア帝国国歌『神よ、皇帝フランツを守り給え』が最初の部分に採り入れられている[4]

のちに『エリーザベト・ワルツ』から『ミルテの花冠』と改題された[2]ミルテは結婚式などの祝い事に飾られる花であり、時事色は薄められたものの婚礼をテーマとする楽曲であることは変わらなかった。

第1ワルツ


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 }

出典[編集]

  1. ^ a b 井上(2009) p.281
  2. ^ a b c ケンプ(1987) p.80
  3. ^ a b 須永(1986) p.114
  4. ^ 加藤(2003) p.110

参考文献[編集]

  • 須永朝彦『黄昏のウィーン――ハプスブルク王朝の終焉』新書館、1986年11月10日。ISBN 4-403-21035-X。
  • ピーター・ケンプ『シュトラウス・ファミリー――ある音楽王朝の肖像』木村英二訳、音楽之友社、1987年10月。ISBN 4276-224241。
  • 加藤雅彦『ウィンナ・ワルツ ハプスブルク帝国の遺産』日本放送出版協会NHKブックス〉、2003年12月20日。ISBN 4-14-001985-9。
  • 井上和男『クラシック音楽作品名辞典<第3版>』三省堂、2009年。ISBN 978-4-385-13549-6。