メタスプリッギナ

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メタスプリッギナ
生息年代: バージェス頁岩累層
Metaspriggina NT small.jpg
メタスプリッギナ・ワルコッチの復元図
地質時代
古生代カンブリア紀中期
分類
: 動物界 Animalia
亜界 : 真正後生動物亜界 Eumetazoa
階級なし : (未整理[注 1]
左右相称動物 Bilateria
(未整理)
新口動物 Deuterostome
: 脊索動物門 Chordata
: (未整理)
: (未整理)
: メタスプリッギナ科 Metaspriggiidae
: メタスプリッギナ属 Metaspriggina Simonetta & Insom, 1993
学名
genus Metaspriggina
下位分類群(
  • M. walcotti Simonetta & Insom, 1993[1][2]

メタスプリッギナ学名Metaspriggina)は、最初にカンブリア紀中期のバージェス頁岩から2つ[3]2012年カナダ西部ブリティッシュコロンビア州クートニー国立公園のマーブルキャニオン単層から44個の標本が発見された、脊索動物の属の1つ[4]

形態[編集]

エディアカラ生物群のスプリッギナにちなんで命名されたが、無関係であることが後の研究により示された[3]。メタスプリッギナは原始的な脊索動物を代表すると考えられており、頭索動物と最古の脊椎動物の中間であるとみられている。ただし、有頭動物が持つ特徴の大半をメタスプリッギナが持つため、この見解を疑問視する声もある。を持たず、頭蓋骨もあまり発達していないが、上を向いて良く発達したとその後方の鼻孔が存在した。

メタスプリッギナには、軟骨で形成されたと考えられる脊索が7対の咽頭弓に沿って存在した。脊索は単一の骨ではなく複数の分かれた骨から形成され、前方の2本はを支えていなかったとみられる他の骨と比較して巨大化していた。これらの特徴は、メタスプリッギナと顎口上綱の関係が縁遠いものであったことを示唆している。最大の標本は全長10センチメートル。当初は海中を自由に泳いでいたと考えられたが、後に海底の標本が発見され[5][6]、マーブルキャニオン単層に由来する標本は眼の存在を示し、海底の上を泳ぐ濾過摂食者として生活していたことが眼の位置から示唆されている。

咽頭弓(鰓弓)の発見により、メタスプリッギナは咽頭弓を持つ最古の動物となった[4]。第1咽頭弓は後に脊椎動物の上下のへ進化した。第2咽頭弓は舌弓の形態に進化した。脊椎動物においては舌弓は舌の基盤である舌骨と顎を支持している。

系統[編集]

当時利用可能だったバージェス頁岩の標本に基づくメタスプリッギナ復元図[3][5]

メタスプリッギナの発見は、大まかに同じ時代に生息していたピカイアとともに、顎口上綱の起源を混乱させることとなった。ブランキオストマと違ってピカイアには鰓弓が存在せず[7]、系統について2通りの解釈ができる。

1つは、メタスプリッギナ以前に脊索動物門が4つに分岐し、メタスプリッギナと他の有頭動物(顎口上綱と無顎類の両方)をブランキオストマや頭索動物とともに1つのグループにし、ピカイアをその外の枝に置くものである。ここにおいてメタスプリッギナは全ての顎口上綱の直系の祖先であり、無顎類の最も近縁なグループになる。この説明ではピカイアは有頭動物と頭索動物に全く近縁でなく、それらよりもさらに原始的な動物になる。そして、有頭動物と頭索動物を定義づける形質は鰓弓になる。

もう1つは、メタスプリッギナを全ての顎口上綱の祖先かつ再び無顎類と近縁とし、脊索動物門を形成するものである。しかし、ピカイアは非常に原始的な親戚としてではなく全ての頭索動物の祖先として扱われ、ピカイアとブランキオストマの間のどこかで鰓弓が集中的に進化したとされる。これにより、ブランキオストマが脊索動物(あるいは少なくともその)と異なる数の鰓弓を持つ理由が説明できる可能性がある[7]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 分類学上、未整理の分類群(タクソン)。以下同様

出典[編集]

  1. ^ Van der Laan, Richard (2016). Family-group names of fossil fishes. doi:10.13140/RG.2.1.2130.1361. https://www.researchgate.net/publication/317888989_Family-group_names_of_fossil_fishes. 
  2. ^ Part 7- Vertebrates”. 'Collection of genus-group names in a systematic arrangement'. 2016年6月30日閲覧。
  3. ^ a b c Conway Morris, Simon (March 2008). “A Redescription of a Rare Chordate, Metaspriggina walcotti Simonetta and Insom, from the Burgess Shale (Middle Cambrian), British Columbia, Canada”. Journal of Paleontology (Boulder, CO: The Paleontological Society) 82 (2): 424–430. doi:10.1666/06-130.1. ISSN 0022-3360. http://www.bioone.org/doi/abs/10.1666/06-130.1 2014年6月13日閲覧。. 
  4. ^ a b Conway Morris, Simon; Caron, Jean-Bernard (June 11, 2014). “A primitive fish from the Cambrian of North America”. Nature (London: Nature Publishing Group) 512: 419–422. doi:10.1038/nature13414. ISSN 0028-0836. PMID 24919146. http://www.nature.com/nature/journal/vaop/ncurrent/full/nature13414.html 2014年6月13日閲覧。. 
  5. ^ a b Template:Burgess Shale species
  6. ^ Smith, M. Paul; Sansom, Ivan J.; Cochrane, Karen D. (2001). “The Cambrian origin of vertebrates”. In Ahlberg, Per Erik. Major Events in Early Vertebrate Evolution: Palaeontology, Phylogeny, Genetics and Development. London; New York: Taylor & Francis. pp. 67–84. ISBN 0-415-23370-4. LCCN 00062919. OCLC 51667292. 
  7. ^ a b GEOL 331 Principles of Paleontology”. www.geol.umd.edu. 2018年1月6日閲覧。