ライオン仮面

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
検索に移動

ライオン仮面』(ライオンかめん)は、藤子・F・不二雄漫画作品『ドラえもん』の一エピソード(てんとう虫コミックス第3巻・藤子・F・不二雄大全集第1巻収録「あやうし! ライオン仮面」)に登場する架空の漫画作品(劇中劇)。また、その主人公であるヒーローの名前。

作品概要[編集]

本作は『ドラえもん』の作品世界内で月刊少年誌に連載されている人気漫画。作者はドラえもんのび太の家の近所に住んでいる漫画家フニャコフニャ夫

主人公であるライオン仮面は少女と共にくらやみ団に取り囲まれて窮地に陥る。光線銃で怪光線を浴びせられライオン仮面は返り討ちに遭ってしまうが、緊迫した場面で話は打ち切られて次号へ続く。

次の号では場面が変わり、ライオン仮面の弟であるオシシ仮面が主人公になって、捕らわれた兄を救出すべくくらやみ団の本部に乗り込む。しかし、オシシ仮面も兄と同様に捕らわれてしまい、火あぶりにされて断末魔の悲鳴を上げる。前号同様、主人公が大ピンチに陥ったところでまた次号へ続く。

その次の号ではオシシ仮面のいとこであるオカメ仮面が救出に乗り出すことになるが、それ以後の展開は作中には登場せず不明である(2005年放送のアニメでは、オカメ仮面もくらやみ団に捕らわれた旨をフニャコが述べている)。

ストーリー[編集]

以下の内容は原作コミックス3巻に収録された『あやうし! ライオン仮面』から。

複数の雑誌に並行して連載を持っていた人気漫画家のフニャコフニャ夫は、「ライオン仮面」の担当編集者に急き立てられて主人公が絶体絶命の危機に陥る場面を後の展開を全く考えないままで描いてしまった。窮地に立たされた主人公は、どう考えても助かりようがない。「ライオン仮面」のファンで、緊迫した展開の続きを知りたくなったドラえもんがフニャコの家を訪ねると、作者であるフニャコ本人も「あれからどうして助けたらいいか見当もつかん」と頭を抱えていた。

どうしても続きを知りたくなったドラえもんは、タイムマシンで未来に行き、来月号の掲載誌を読んでくる。同じく続きの展開を知りたがっていたのび太たちにせがまれ、ドラえもんは空き地でみんなを前に得意げに筋書きを話していると、仕事場を逃げ出していたフニャコが出てきて自分が作者であるにもかかわらず「ぜひその先を教えてほしい」と懇願する。立ち読みの途中で本屋の店主に追い払われてしまい途中までしか読んでいなかったドラえもんは、フニャコからお金をもらって未来で掲載誌を買ってくる。絶体絶命の展開をどのような話を繋いでうまく収めたのかと読み進めてみると、ライオン仮面を救出に現れた弟の「オシシ仮面」を新しく登場させて同じく絶体絶命の境遇に遭わせてそのまま次号へ先送りするという実にいいかげんな結末だった。フニャコは自分の無責任さに憤るが、続きが気になってそのまた次の号もドラえもんに買ってきてもらうと、またしても、新しく登場したオシシ仮面のいとこの「オカメ仮面」を主人公に変えてお茶を濁すという展開だった。

仕事部屋の外では締め切りを気にする編集者が爆発寸前の剣幕で原稿を待っている。フニャコは、仕方なく掲載誌を丸写しすることにする。他の雑誌の編集者たちからも次々と原稿の催促をされパニックになったフニャコは、ドラえもんに自分の漫画の載っている雑誌を手当たり次第に買ってくるよう頼む。紙袋一杯に雑誌を買ったドラえもんが未来から戻ってくると、疲れ果て目を回したフニャコは、とうとう過労で倒れてしまう。結局、ドラえもんが未来から手当たり次第に買ってきたフニャコの漫画を丸写しすることになり、フニャコの漫画の本当の作者はいったい誰なのかわからなくなる(タイムパラドックス。フニャコが丸写しを決行した時点でも、本来の執筆過程からアイディアを練る段階が消失するというパラドックスが生じてしまっている。)という不条理な結末で本エピソードは幕を閉じる(ライオン仮面たちがどうなったのかも不明のままである)。

本作の掲載誌は、原作では月刊誌「少年ザンネン」に連載されているが、初期の版では『ライオン仮面』の担当編集者とは別の編集者が「少年ザンネン」編集者として登場している。なお、2005年放送のアニメ版では掲載誌は「ゴロゴロコミック」連載となっている。フニャコは、この雑誌以外にも「少年キャベジン」「少年ザンネン」「少年チャランポラン」「少年ジャプン」と連載を抱えており、自宅では大勢の編集者たちが仕事部屋に続く階段に腰を下ろして列を作り、原稿の仕上がりを待ちくたびれていた。なお、フニャコが連載を持っていた雑誌について、後年の版では「少年ザンネン」「少年チャランポラン」の雑誌名が「少年ヨンデー」「少年チャンポン」に変更されている。

登場人物[編集]

ライオン仮面
主人公のヒーロー。その名の通り、ライオンをモチーフにしたマスクを被っている正義の味方。整った端正な美男子風の顔の周りをが包んで、ピッタリしたタイツ状のいかにもヒーローらしいスーツで身をかためている。詳細は不明だが悪の結社であるくらやみ団と死闘を繰り広げていた模様で、クライマックスでくらやみ団に包囲され、怪光線を浴びせられる。
オシシ仮面
ライオン仮面の弟。その姿は獅子舞のような出で立ち。捕らわれた兄を救出すべく単身くらやみ団の本部に乗り込むが、兄と同様に捕らわれてロープで吊るされ火あぶりにされてしまう(2020年のアニメではロープを通して衝撃を与えられる)。わずか2コマしか登場していないにも関わらず後述するキャラクター商品が作られた。
オカメ仮面
オシシ仮面のいとこ。オシシ仮面が捕らわれた後にくらやみ団のアジトへ乗り込むが、原作ではドラえもんの台詞でその存在が言及されるのみのため、他の2名と異なりキャラクターの造型は不明(2020年のアニメではおかめの面を着けた長髪の女性)。
なお、本作の初出(『小学四年生』1971年6月号)より遡ること3年半前、『小学五年生』『小学六年生』1967年12月号に掲載された同じ作者の漫画『パーマン』の「オカメ仮面」(藤子・F・不二雄大全集『パーマン』第4巻に収録)では、全日本ギャングドロボー連盟(全ギャド連、後に「全日本悪者連盟」へ改称)の犯罪技術開発部長が扮装して「正義のみかたオカメ仮面」を名乗るエピソードがあり、TBS放送のアニメ第1作、1968年4月14日放送Bパート「オカメ仮面」も同内容である。『パーマン』のオカメ仮面はカンカン帽におかめの面、衣装はスーツという出で立ちである。
くらやみ団の構成員
悪の結社の構成員たち。尖った頭頂部の先が後ろにたれ下がった真っ黒のローブ状の服で全身をすっぽりと覆い、いかにも悪者らしい格好で登場する。ライオン仮面と少女を大勢で包囲し、彼らを嘲って光線銃の怪光線で返り討ちに遭わせる。オシシ仮面も同じく大勢で包囲し、同じセリフを浴びせて返り討ちに遭わせる。
女の子
ライオン仮面と一緒に登場する少女。黒髪のおかっぱ頭にヘアバンドをした少女。クライマックスでライオン仮面と共にくらやみ団に包囲されて怪光線を浴びせられた。
2005年および2020年のアニメではライオン仮面の先導によって脱出しようとする描写があるが、原作ではなぜライオン仮面とともに取り囲まれたのか不明。

アニメ化[編集]

本作の登場するエピソードは、これまで4度にわたりアニメ化されている。いずれもテレビ朝日系放送作品。話の大筋は原作と同じだが、1995年放送の作品ではライオン仮面が「タイガー仮面」、オシシ仮面が「ジャガー仮面」という名称に変更されており、オカメ仮面の代替キャラクターは登場しない。また、作者は外観こそフニャコフニャ夫に酷似しているがフニャコではなく虹子(にじこ)という名前になっている。

放送年月日 エピソードタイトル 脚本 絵コンテ 演出 作画監督
1979年11月9日 あやうし! ライオン仮面 (無し) 福富博 中村英一
1995年8月25日 あやうし! タイガー仮面 西村孝史 塚田庄英 中村英一
2005年10月28日 あやうし! ライオン仮面 与口奈津江 安藤敏彦 富永貞義
2020年10月17日 あやうし! ライオン仮面 伊藤公志 鈴木大司 岩永大蔵

2005年および2020年放送の作品ではライオン仮面のキャラクター造型が原作と大幅に異なり、擬人化されていない実物のライオンそっくりの仮面をかぶっている。オシシ仮面の登場シーンでは原作のコマがほぼそのまま使用されている。なお、本エピソード放送の週から使用されていたオープニングアニメーション(夏川りみハグしちゃお」)ではライオン仮面が原作準拠のキャラクター造型で登場し、くらやみ団の構成員と抱き合う場面がある。また、第2期のアニメ版ではのび太の部屋の本棚に『ライオン仮面』の単行本がある。

また、2007年放送のエピソード「半分の半分のまた半分…」では、のび太がテレビでオシシ仮面が主人公の番組を楽しそうに見ていた(アニメか特撮かは不明)。2007年公開の映画『ドラえもん のび太の新魔界大冒険 〜7人の魔法使い〜』では、ライオン仮面とオシシ仮面のボトルキャップフィギュアが飾ってある。なおライオン仮面に助けられる少女のボトルキャップも並んで置かれており、「ONNANOKO(女の子)」とネームがふられている。2011年公開の映画『ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜』では、スネ夫の部屋にライオン仮面たちのフィギュアがあり、のび太の部屋にはライオン仮面のポスターが貼られている。また、ジャイアンが本屋でオシシ仮面が吊るされる場面を立ち読みしていた。2011年3月23日に発売されたコンピレーションCD『テレビ朝日アニメソング Gold』のジャケットは、テレビでオシシ仮面が吊るされているシーンをドラえもんが見ている図になっている。

キャラクター商品[編集]

『ドラえもん』の作中に登場するヒーロー[編集]

上記の「ライオン仮面」以外にも、『ドラえもん』のシリーズ中には劇中劇の中で様々なヒーローたちが登場する。「オシシ仮面」のようなヒーローらしくない珍妙な外見のヒーローも多いが、それでものび太は夢中になる。

スーパーダン
「スーパーダン」(てんとう虫コミックス第3巻に収録)に登場する。空を飛べばロケットよりも速く、ピストル弾丸もはじき返す強さを誇るヒーロー。ジャイアンが憧れ、マントに見立てた風呂敷を羽織って正義の味方を気どっていた。のび太たちの時代だけでなく22世紀の未来でも人気があるようで、「スーパーダンのふろしき」という道具も存在する。
なお、初版では「スーパーマン」と表記していた。
あらわし仮面
「正義のみかたセルフ仮面」(てんとう虫コミックス第12巻に収録)に登場する。名前のとおり、の仮面をかぶったヒーローで、サーベルを武器に使う。のび太は夢中になってテレビ番組(アニメか特撮かは不明)を見ていたが、ドラえもんは単純だと言ってまるで興味を示さなかった。
UFOレンジャー
「ハロー宇宙人」(てんとう虫コミックス第13巻に収録)に登場する4人組の戦隊ヒーロー。顔がトランプのマークになっておりジャッカー電撃隊と酷似している(テレビアニメ第2作第2期では5人組になっており、顔が+、-、×、÷、=になっている)。UFOを駆り、侵略者の円盤を打ち落とすシーンをのび太とドラえもんが手に汗握りながら視聴している所を、たまたま地球にやってきていた火星人が見て「なんということだ、地球人は血を見るのが大好きなんだ」と誤解されてしまう。
ドラベース ドラえもん超野球外伝』にも「UFOレンジャーズ」という草野球チームが登場する。
宇宙ターザン
「宇宙ターザン」(てんとう虫コミックス第16巻に収録)に登場する。ターザンをSFの世界で活躍させたような特撮ドラマで、恐竜に跨ったターザンが光線銃を持った悪の軍団と戦う。低視聴率に苦しみ一時は打ち切りの危機まで招いたが、大ファンだったのび太のはからいで本物の恐竜を使って中生代で撮影することになり、視聴率40%を越える大人気番組になった。
その後、「時門で長〜〜い一日」(てんとう虫コミックス第31巻に収録)にも登場するが、のび太が時門を使って放送時間を長引かせたため、ターザンが6匹以上の怪獣と戦い続けた末に過労で病院に運ばれることとなった。
スタージョーズ
「ドラやき・映画・予約済み」(てんとう虫コミックス第17巻に収録)に登場する。他の2、3のエピソードでも名前だけ登場する。
ムテキマン
「平和アンテナ」(てんとう虫コミックス第25巻に収録)に登場する。のび太のみならず、スネ夫やジャイアン、ドラえもんも夢中になる人気番組の主人公(アニメか特撮かは不明)。どんなすごい宇宙怪獣が出てきてもひるまず恐れず、必ず悪を滅ぼす無敵のヒーロー。宿敵「アクマーン」と死闘を繰り広げていたが、興奮したのび太がひみつ道具「平和アンテナ」のボタンをうっかり押してしまい、ムテキマンがアクマーンと仲直りしてしまって番組は終了した。
ウルトラセブンイレブン
「テレビとりもち」(てんとう虫コミックス第26巻に収録)に登場する。ジャイアンが見ていた番組で、エピソード中ではサソリのような怪獣と戦っていたが、ジャイアンがひみつ道具「テレビとりもち」を画面に突っ込んだせいで怪獣がジャイアンをテレビの中に引っ張り込み、それが全国中継されてしまった。
コロタン文庫の『ドラえもんコミッククイズ③ ドラえもん未来へ過去へ』によると、そのあと登場したウルトラセブンイレブンがジャイアンごと怪獣をボコボコにして決着がついたらしい。
建設巨神イエオン
「キャラクター商品注文機」(てんとう虫コミックス第28巻に収録)に登場する。額に鉢巻きを巻き、武器の代わりに大工道具を持つというロボットだが、のび太はキャラクターグッズを欲しがっていた。また同エピソード中では、ジャイアンが「かめライダー」、スネ夫が「バンダム」(次項参照)、静香が「アサレちゃん」のグッズを集めていた。
バンダム
「プラモが大脱走」(てんとう虫コミックス第29巻に収録)に登場する。巨大ロボット同士が戦うアニメ。プラモデルは早朝から模型店に並ばないと買えないほど大人気。早起きが苦手なのび太も朝早く起きて買いに行った。
ミケちゃんマン
「クロマキーでノビちゃんマン」(てんとう虫コミックス第30巻に収録)に登場する。中年男性が顔出しの三毛猫着ぐるみを着てマントを纏っただけのヒーローだが、のび太は「かっこいい」と言っていた。
コンドルマン
「フクロマンスーツ」(てんとう虫コミックス第34巻に収録)に登場する。普段はメガネをかけたさえない青年だが、コンドルマンスーツを着ることで悪を撃ち滅ぼす戦士になる。
ゼイ肉マン
「タイムふしあな」(てんとう虫コミックス第36巻に収録)に登場する。テレビ番組のヒーロー。この回は、のび太とドラえもんがこの番組を見逃すところから開始される。
スーパーコアラッコ
「アニメばこ」(てんとう虫コミックス第44巻に収録)に登場する。サングラスをかけ、マントを羽織ったコアラのヒーロー。
スターマン
「イメージ灯」(カラー作品集第4巻に収録)に登場する。額に赤い星をつけ、全身鎧と黒のマントを身に纏ったヒーロー。火を噴くドラゴンと戦っていた。

脚注[編集]

  1. ^ グエーッ! オシシ仮面が藤子・F・不二雄ミュージアムショップ限定で2種発売だ!GA Graphic

関連項目[編集]