ラエリアン・ムーブメント

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日本のラエリアン

ラエリアン・ムーブメント(Raëlian movement)は「ラエル」(Raël)ことフランス人のモータースポーツ系ジャーナリスト、クロード・モーリス・マルセル・ヴォリロン(Claude Maurice Marcel Vorilhon、1946年9月30日 - )が創立した新宗教[1](日本では宗教法人として登記はされていない)。欧米ではラエリズム(Raëlism)と称される場合もあり、本部はスイスジュネーヴにある。

公式アナウンスによると、ラエルは1973年12月13日にフランス中部で遭遇したエロヒムと名乗る異星人から人類の起源と未来に関する重要なメッセージを受け取ったとされる。

ラエルはそのメッセージを全人類に伝え、異星人を地球に迎える大使館の建設をエロヒムより要求されており、この2項目を主要な目的として団体を創立したとされる。

六芒星と逆向きのを組み合わせたシンボルを用いており、これはエロヒムの宇宙船に描かれていた紋章で宇宙における空間と時間の無限性を表現しているとされる[2]

概要[編集]

ラエリエン・シンボル

1973年、当時フランス人のモータースポーツジャーナリストであったクロード・ヴォリロンは、フランス中部のクレルモン=フェラン近くの火山のクレーターで、空飛ぶ円盤から現れたエロヒムと名乗る異星人とコンタクトし、 その異星人から人類に向けたメッセージを受け取った。その際にラエルの名を与えられたとされている。

このメッセージによれば、現在の地球上の全ての生命は約25,000年進歩した科学技術力を有するエロヒムによって創造されたとする。エロヒムとは現代のヘブライ語にて神を意味するが、異星人の主張ではヘブライ語の聖書の原典において「天空より飛来した人々」の意味であると述べている。

世界の神話や伝統的な宗教のは地球外の知的生命体をモデルとした存在で、科学が理解できなかった時代に作られた古い概念と位置づけており、(霊)も存在しないと考えているため無神論宗教とも主張している。

また生命の自然発生説進化論は間違いであり、科学的な技術によって原始の生物から高度な生物へと推移した創造科学論であるとしている。旧約聖書の創世記は過去のエロヒムによる生命創造の証となる記述が多く残っているとしている。

エロヒムは折に触れ人類と接触しており、自ら人類の理解を越えた神として振舞いながら各時代に道徳や規律を教示したとしている。モーセブッダイエスマホメットなどはエロヒムによって教育された彼らの預言者とされている。

人類は全ての現象を科学的に理解可能とする時代へ到達したとエロヒムが判断したため、真実の起源を人類へ伝えるためにラエルを選任したとする。ラエルはエロヒムにとって人類最後の預言者であり、ユダヤ教においてのメシア、仏教においての弥勒菩薩マイトレーヤ)とも主張している。

エロヒムは人類が公式な来訪を望むのであれば、その証明として治外法権と制空権、外交特権等が認められた異星人の大使館の建設を要求しており、彼らはそこで主要諸国の代表者や報道機関と公式に会見し、地球上の様々な諸問題の解決策を提示し、段階的に科学技術の遺産を人類に継承すると述べている。 しかしながら、エロヒムは自らのメッセージを証明する為の物的証拠を人類に対して提示することは一切なく、宇宙船(UFO)を度々見せる事で人類に疑問を抱かせるのみとしている。彼らには人類が物的証拠を得ずとも自らのメッセージを考察し理解できる聡明さが重要であり、それによって人類がより知性的であると認められ科学的遺産を継承するに値すると述べている。

創始者のラエルを含めラエリアン・ムーブメントの会員全員が無給でこのメッセージを普及する活動に従事している。会員からの寄付金はエロヒムを地球に迎えるための大使館建設および講演会・セミナー開催の経費などに充てられている。

2003年11月の時点で、世界90カ国に活動拠点があり、6万人以上のメンバーが在籍しているといわれる。 日本ラエリアン・ムーブメント(1980年設立 )は最も規模が大きく、公式アナウンスによれば6,000人以上の会員を擁している。現在は団体主催による講演会が全国各地で開催されている。

教義[編集]

ラエリアン・ムーブメントの主要な教義は、ラエルが異星人エロヒムから告げられたメッセージを真実と認め、そのメッセージを世界中に広めること、エロヒムの要望通り大使館を建設し彼らを地球へ迎え入れることである。エロヒムのメッセージはラエルの著作『地球人は科学的に創造された』にまとめられており、概要は次項目にて記述する。

愛を人類の最も崇高な価値観と捉え、他者と自らを愛することを全ての言動や思想の基準とする。愛とは一切の見返りを期待することなく与えること、対象の幸福を願うことであり、恋愛や性愛を意味するものではない。

創造者であるエロヒムとその創造物を愛し尊重する。特に外見、内面共に彼らの生き写しである人類は、誰であれ一人一人が尊重されなければならない。違法でなく、非暴力的で他者に直接迷惑をかけない限りは周囲の目や社会的な習慣を気にせず、本人の責任の範囲で自由に振舞うべきとし、他人においても同様である。

人類(知的生命)の存在理由は幸せに生きること、楽しむこと、自己実現のためとする。個人においての存在理由も自己実現であり、常に自分らしくありのままに存在し、それによって理由なく幸せであり続けること、理由なく心から笑っていること、より芸術的で感覚的、官能的(センシュアル)であること、真剣に遊ぶこと、自己と他者に愛を与えることを人生の目的とする。

人は誰も他人の所有物ではなく、他人を所有できない。恋愛や性行為に関しては性別や人数を問わず、同意を得た者同士の間では自由に振る舞って良い。また、これらは決して義務ではなく、あくまでも各人の選択であり、他者から強制される事があってはらない。 度々「ラエリアンはフリーセックスを推奨している」と称されるが、これらの価値観が誇張されたものであり、実際にフリーセックスと呼ばれる行為が組織的に行われた実績はない。 もちろん個人における自由とは性に限ったものではない。しかしながらラエリアン・ムーブメントが性の自由に関して強調する側面があるのは、世界の倫理や慣習の中で、性に関しては人権を蹂躙する事を時に容易く許す程に強固な罪悪感によって縛られているからである。

人間の尊厳という心の深い感覚に反するものは行ってはならならない。例えば「世界を守る為にあの者を殺しなさい」と自らの政府の指導者やラエル、又はエロヒムから直接の指示を受けた場合でも、それが自らの良心に反する場合には決して従ってはならならない。人は常に自らが良心の番人でなくてはならない。あらゆる環境、社会的な立場によって与えられた指示や命令であっても、それを実行した場合において「自分は命令や規則に従っただけ」という責任感を放棄した言い訳は何ら意味を為さず、命令を下す側と実行する側の責任は常に同等であり、その責任を問われるものとする。また平常では非人道的とされる行為の責任が大義名分によって免除される事も無い。

ラエリアンは法令を遵守する。だがもし法令の側が暴力や差別を容認、奨励し人権を尊重しない場合にはその法令を変えるよう、社会に対して積極的に働きかけなければならない。

神や魂(霊)、悪魔や死後の世界は存在せず、神話や伝統的な宗教の神々の多くはエロヒムがモデルであるとする。生物は死後、その機能を失うだけであり、科学的に証明可能なもの以外は何も残らない。死は眠るようなものであり、その眠りが永遠に覚めないというだけである。

食に関しては何を食べても良いとする。ただし食用とするために動物を殺すことは許されるが、決して苦しみを与えてはならない。死は何でもないことだが、苦しみは人に対するのと同様に忌むべきことだからである。植物も動物と同様に苦しむのであり、動物の肉を食べて生きるのを嫌悪し、菜食主義を守ることは馬鹿げているとする。

あらゆる個人には死ぬ権利も認められるべきである。(まずは適切な治療が最優先であるが)肉体的または精神的な苦痛が医学的に治療の見込みがない程に激しく、本人が死を望みながらその気力すらない場合には社会によって安楽死が認められる必要があると主張する。

エロヒムは自らの技術により25,000年以上を生きており、彼らの星の生命もまた別の知的生命体によって創造されたとする。エロヒムによると宇宙(全ての物質とエネルギー)には起源も終焉もなく永遠に循環しており、空間と時間は無限であり、また知的生命にも起源はないとする。地球人類はエロヒムを含め連綿と続く知的生命の鎖の輪の1部と捉える。

エロヒムが地球において生命創造を行った頃より現在まで、彼ら以外の地球を訪れたり人類とコンタクトを取る地球外の知的生命体の話は全てフィクションだと主張する。

エロヒムの1人「アマミキヨ」が最初に降り立ったのは日本の沖縄県であり、現在も海底神殿などの遺跡が残されていると主張している。

1973年のメッセージ[編集]

ラエルは1973年12月13日にフランス中部の山岳地帯で、空飛ぶ円盤から降りてきた異星人と遭遇した。異星人の身長は120cm、やや緑掛かった白色の肌で黒色の長髪と短いあご髭を生やしていた。 異星人は自らをエロヒムと名乗った。エロヒムとは旧約聖書に出てくる単語であり、現在では「神」を意味するが、彼らの主張によるとヘブライ語の原典において「空から来た人々」と解釈する。エロヒム〈Elohim〉は複数形であり、単数形はエロハ〈Eloha〉となる。

エロヒムはテレパシーでラエルを山の上へ呼び寄せたと伝えた。人間の髪と髭はテレパシーのアンテナの役割を持つとも述べている。世界中の言語を話せると言い、フランス語でラエルと会話した。エロヒムはラエルに聖書と筆記用具を持参するように伝え、翌日より6日間に渡り同じ場所に円盤は出現し、ラエルは円盤内でエロヒムの話をノートに書き留めた。話の前半は聖書の有名な記述を部分的に紹介しながらその真実を解説したもの、後半はエロヒム自身について、そして人類の将来的な指針について述べている。

エロヒムは25,000年前に彼らの科学者や芸術家たちが地球に訪れ、生命創造の実験を開始したと語った。彼らの惑星では事故により生命創造に関する実験が禁止されたからである。彼らは地球を生物に適した惑星にするため大気組成を調査した後、まず1つの巨大な大陸を形成し、地球の物質から植物の細胞を創造した。かつて地球の大陸が1つだったのはそのためだとする。その後、全ての生命を創造し、現代で言うエコロジーと呼ばれる生態系を創ったとされる。

アダムとイブもDNAの段階から創造された試験管ベビーである。かつてエロヒムの星の政府は人類の文明の進歩が自身の安全を脅かす可能性があると考えており、科学に関しては人類を無知の状態にしていた。しかし、現在のイスラエル付近にあった実験場の1つであるエデンの園(創造物のコンクールにおいて、この地の人間は最も成功を収めるタイプと評価されている)において、エロヒムの中に人間に深い愛情を抱き、科学技術を発展させれば創造者と同様になれることを人間に教える者たちが現れ、この件によって実験場の中にいた人間は野外へ出された。生命創造の実験後に地球追放される事になったエロヒムの科学者たちは自らのグループを地を這う「蛇」と呼び、人類と共に暮らした。

その後、人類の科学技術は桁外れなものとなり、人類が自立を始めた為にエロヒムの惑星の者たちは人類を危険な存在とし、核ミサイルによって地球上の全ての生命が葬られる事になった。しかし、地球に残されたエロヒムの指導によって、ノアに宇宙船を造らせ、宇宙船は数千キロメートル離れた上空に退避した。大災害の後、放射能を除去し、宇宙船に保存していた細胞を用いて再び地球に生命は創造された。再創造の際、恐竜を含む管理なく生存できない生物は復活させなかった。

その頃、エロヒム自身も自らが別の知的生命体に創造されていた事、かつて自分たちの星で起きた出来事を繰り返していた事を知る。エロヒムは人類が科学的な進歩を望むことが当然だと認識し、科学的な進歩を人類自身の手に委ねた。人類が道徳的に正しく進歩する為、生命創造の痕跡を残す為にエロヒムは人類の中から預言者を選び出し、間接的に人類に接するのみに留まった。

モーセエリヤエゼキエルらの前に姿を現したエロヒムは、その後ひとり の「メシア」を遣わすために、マリアに創造者(主)の子をもうけた。イエスやモーセによる様々な奇跡は、創造者の科学技術によるものである。イエス・キリストは、エロヒムが人類を創造した証としての聖書を、世界中に広める役割を持っていた。この役割は、本来はイスラエル人に与えられていたものである。

ラエルはモーセ、釈迦、イエス・キリスト、ムハンマドなどのエロヒムが遣わした預言者たちに続く、アポカリプス(黙示録、ギリシャ語で全ての事が科学的に理解できる時代と解釈しており、世界の終末の意味ではない)の時代の最後の預言者になる。エロヒムよりラエルの名でメッセージを広め伝えること、エロヒムを迎える大使館を建設することを要請される。

将来人類もエロヒムと同様に創造者となり、他の惑星に生命を誕生させる時が来るという。またエロヒムは他の多くの惑星と経済的交流をもっている。エロヒムの世界では、完全な有機物による生物ロボットを使うことにより労働の義務がなく、貨幣制度も結婚制度も存在せず、知性が高い人々によって選ばれた天才たちによって統治されているという。人類の破滅を避けるためには、天才たちによる天才政治、人道的人類主義、単一の貨幣制度および世界政府実現が必要であると記されている。

1975年のメッセージ[編集]

ラエルは1975年10月7日にフランスのロックプラで再びエロヒムと会った。そして地球近くの基地を経由して、エロヒムが他の惑星上に造った楽園を訪れた。そこは「不死の惑星」と呼ばれ、科学的に不死となったイエス・キリストや仏陀、モーセなどの預言者たちと、選ばれた不死の地球人たちがいた。この時より、エロヒムはラエルを介して見たり聴いたり話したりすることを出来るようにした。

エロヒムが人類を滅ぼすことはないが、人類自身の手によって大破局が訪れた場合は、ラエルに従う人々、およびエロヒムのメッセージは知らなかったが人類の発展に貢献した人々が再び地球に再生される(その可能性は高いとする)。聖書の黙示録にある描写はこの大破局の事だとする。

ヤーウェはエロヒムの不死会議の議長であり、地球における人工生命創造計画の指揮をした。エロヒムは全ての人間をコンピューターによって観察しており、死後に生涯の行為が採点され、その内容次第では「不死の惑星」で暮らすか、将来の人類によって裁きを受ける為に再生されると記されている。は存在せず、霊魂も存在しない。死んだ後は、科学が介入しない限り生物を生物たらしめる特性は何も残らない。

エロヒムは自身を迎える大使館をイスラエルエルサレム近くに希望するが、イスラエルが拒否すれば大使館は別の国に建てられた後、イスラエルは崩壊するとされる。 現在は日本でも異星人の大使館を建設する要請が進んでいる。 エロヒムが再び地球に来訪すれば、人類は新たな黄金時代に入る。エロヒムと共にキリストなどの過去の預言者も大使館にやって来るとされる。

エロヒムは過去にルルドをはじめとして、世界各地で援助に値すると判断した人々に、救いの手を差しのべて来た。エロヒムは人類全体に対して直接的な干渉はしないとするが、彼らの意に適う行動か、あるいは彼らの不興を買う行動を取った個人に対しては働きかけるとする。

1997年のメッセージ[編集]

この団体の広報によるとその後1997年にもメッセージがあり、イスラエルの民とのつながりは終わりに近く、エロヒムの保護を失い離散するだろうとしている。新しい時代での仏教は、ラエリアンに近い宗教である。全ての諸国に、大使館建設のための許可と必要な治外法権を要請する。1kmの領地の半径は陸でも、航行が禁止されていれば水面でも良い。大使館を建てる国の将来は保障され繁栄し、将来何千年も全地球の精神的科学的センターになる、とのメッセージがあったと記されている。

なお、2009年(ユダヤ歴5769年)にイスラエルに対してエロヒムから最終警告のメッセージがあったとされ、その後、広報によると、2015年8月6日でエロヒムのイスラエルへの保護が無くなったという。

クローン人間[編集]

ラエリアン・ムーブメントの司教ガイドであるブリジット・ボワセリエ(Brigitte Boisselier)代表は、「クローンエイド」(Clonaid)という専門会社を設立して研究を行い、2003年にクローン人間が誕生したことを発表した。また2004年にも同社は複数のクローン人間の誕生を発表した。日本でも発表した事実については、文部科学省の作業部会と国会で取り上げられている[3][4]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

関連項目[編集]